短期集中食べ歩きマニアックス(その2)
「激辛麻婆豆腐十番勝負」をやっている傍らで、もう一つの食べ歩き企画も実施していた。それは、「激辛カレー十番勝負」。こちらも、凝りもせず「激辛」をテーマにしたものだ。もう、取り憑かれているとしかいいようがない。
週の内2日ないし3日程度は、カレーまたは麻婆豆腐、どっちかの激辛を口にしている日々。さぞやおなかの具合がよくなかったんじゃないかと心配されそうだが、全く問題はなく快適に過ごす事はできた。余計な心配せんでよろしい。
実はおかでん、「カレー」という料理をさほど愛していないし、食べてもいない。「国民食」の一つとして、ラーメンなどと並び称される料理だというのに、とても冷めている。なぜか。それは「米料理」だからだ。自他共に認める麦酒飲み人種にとって、米というのは本当に相性が悪かった。米食べたらおなかがいっぱいになるじゃないか。ビールが飲めないじゃないか・・・というわけで、カレーは常に敬遠され続けた。
だから、「元祖激辛」といっても過言ではないカレーではあるが、おかでんはカレーを食べ歩いたことはない。
しかし風向きが変わったのが2013年。ビール飲むのをあっさり放棄しちゃったおかでんにおいて、カレーはもはや敵ではなかった。だったら、辛いカレーを食べ歩いてもいいんじゃないか、そのように思えてきた。
さあ、辛い辛いカレーを食べ歩いてみようじゃないか。都内にある、激辛で知られるカレー店を10店舗ピックアップ。「十番勝負」として食べ歩いていこうと思う。気に入った店がその中にあれば、今後も通っていきたいところだ。
【01軒目】デリー 銀座店(東京都中央区銀座) 2013年09月05日

銀座で所用があったので、ちょうど近くにあった「デリー」で夕食を食べていくことにした。
デリーといえば、カレーの名店。上野の方にあると思っていたが、銀座に支店があるとは意外だった。銀座、という場所にふさわしく、高級感溢れるお店だった。ここは「カレー屋」じゃないんだな。インド・パキスタン料理のお店、という位置づけだ。
接待にも使えるようなお店で、一人かしこまって料理の到着を待つ。

冷蔵庫から、カレーのお口直しが運ばれてきた。
ほう。当たり前だけど、福神漬けとからっきょうといったものが出てくるわけじゃないんだな。チーズと、きゅうりのきゅうちゃん?と、玉ねぎ。

頼んだのは、「カシミール」の「ベリーベリーホット」。
お店の公式サイトによると、「カシミール」は「お店の代名詞」とも言えるカレーらしい。もともと、このお店の中ではデフォルトで一番辛いカレー。でも、それに「ベリーベリーホット」というオプション注文をつけ、より辛くしてもらった。

さらさらのルー。
カレーに関しては、「どろっとしている方が辛い」とかそういう法則性はないので注意。さらさらだからといって油断していたら・・・ほら、痛い!これは痛覚を刺激する味だ。
でも、下品な辛さじゃない。うまく形容できないのだが、唐辛子の辛さとは違う、体の内面深くに訴えかける、しみじみした辛さだ。ほら、だから体が即応する。汗がどっと額から出てきた。
ぐいぐい水を飲み、ぐいぐい食べる。水を飲みまくることは決して恥ずかしいことじゃないと思う。たくさん飲んで、たくさん食べて、豪快に笑ってお会計。楽しい事だと思う。
このお店ではまさにそれ。辛いカレーを笑いながら食べる事ができた。ああ、爽快。夏だからこそカレー、というのがようやくこの食事で分かった気がする。これだけ汗かいたら、冬だと体が冷える。暑い夏だから、食べたいものだな。
【02軒目】ラホール 外神田店(東京都千代田区外神田) 2013年09月09日

一昔前の秋葉原は、食事をする場所に苦労するところだった。物欲でギラついていて、食欲なんてどこかに置いてきたような雰囲気があった。しかし今やすっかり飲食店は多くなり、軽食からガッツリ系、果てはメイド喫茶まで硬軟織り交ぜてなんでもありのエリアになった。そりゃそうだ、昔が異常だったんだ。人が集まるところには飲食店がある。これが自然な流れ。
そんな秋葉原の飲食店の中に、激辛カレーを出すお店があるというので行ってみた。店名を「ラホール」という。インドカレーを出すお店らしい。

このお店のカレーは、ベースとなるものが何種類かある。8種類+ドライカレーの合計9種類だ。「何種類か」と書いたところで、なんだか不安になったのでちゃんと今数えたぞ。
で、その8種類のカレーには、「日本風カレー」「インド風カレー」「ブラックカレー」の3パターンを選ぶことができる。辛いのは、そのうちの「ブラックカレー」だ。
それだけでは飽き足らない人向けに、辛さを増強することが可能。2辛増しで20円、10辛増しで100円といった具合だつまり、1辛あたり10円という計算。このお店は最高100辛まで注文することが可能なのだが、じゃあ100辛だったら辛さ追加だけで1,000円もするの?と不安になる。でもさすがにそれはあこぎすぎると思ったのか、値段はぐっと抑えられて300円だ。とはいえ、「辛さを追加するためだけ」に300円というのは、よっぽど激辛好きでないと割に合わない投資だ。

何も、「限界まで辛いものを食べる」というのが今回のカレー食べ歩きの趣旨じゃあない。それは単なる変態趣味だ。というか、受け狙いすぎて、自分が自分に引くわ。
今回は20辛で様子を見ることにした。誰だって、「辛くて美味い」がいいに決まってる。多分100辛は、人間が食べるレベルのものではないと思う。深海に住む変な生き物とか、そんなのしか無理だと思う。
しかし、出てきた「ブラック野菜カレー20辛」は案外辛い。ずしんと重たい辛さではなく、ぴりぴりくる辛さ。もちろん、痛い。食後しばらくは口の周りの痛みが続き、落ち着くまでしばらく時間を要した。もともと辛さに相当強いおかでんでさえこれなんだから、普通の人は食べられないレベルの辛さだろう。危なかった、「とりあえず間をとって50倍」とかやらなくて正解だった。
ブラック野菜カレー700円に20辛で200円の合計900円。
辛さを追求したい人にとっては、ちょっと出費が大きいかもしれない。
【03軒目】カーナ・ピーナ(東京都目黒区祐天寺) 2013年09月17日

東急東横線祐天寺駅から歩いたところにある、カレー専門店「カーナ・ピーナ」。
ここも相当骨のある辛いカレーが出ると聞いて、恵比寿からバスに乗って訪れてみた。

メニューは全て「普通サイズ」「半量サイズ」「2-3人前サイズ」から選べる親切設計。あと、どのカレーも辛さを「マイルド」「セミホット」「ホット」の3段階で選べるというのも、うれしい。
羊肉好きの性分として、「マトン600円」というのが気になるが、ちょっと待って欲しい。「キーマ1,050円」というのは、ラムの挽肉を使っているのだという。値段が一桁変わってしまうのはうれしくないが、よく考えてみると羊肉を挽肉状態で食べた事ってないと思う。珍しいので、ぜひ今回試してみることにした。
キーマ(ホット)、ライス、ヨーグルトドリンクで1,500円。結構高くなってしまった。
でも、出てきた量は一人前にしては相当多いカレーでうれしくなる。食べても食べてもなかなか減らない。「大量の米を少量のカレーでなんとか食べる」というのは貧相だけど、これはなんだかリッチな気分にさせられた。
しかも辛くて美味いんだこれが。挽肉にしたおかげで、肉の旨味と甘みがよく出ていて、辛いんだけどチクチクした鋭角な痛みは全くなく、おいしく汗をかきながら食べることができた。
これはすばらしい。とても気に入ったので、祐天寺界隈に行く機会があったら何度も訪れたいお店だと思った。
【04軒目】メーヤウ(東京都新宿区馬場下町) 2013年09月26日

早稲田のカレー店「メーヤウ」は辛いカレーを出す事で学生たちの間では有名だ。度胸試しとして使われることも多いようだ。早稲田界隈には、チョコレートが入ったカツを食わせる店とか、とんかつと牛丼を一緒に盛る店とか、B級な名店がたくさんある。
おかでんの学生時代はこの地にはあまり縁が無かったので、そういう「B級店」での武勇伝などを同級生から聞くたびに羨ましいと思ったものだ。何しろ、おかでんのいた大学キャンパスは、学食以外で飯を食うという選択肢が皆無だったから。
サークルの先輩(女性)で、メーヤウでバイトしているという人がいたな、なんて思い出しながら、このお店を訪れた。名前だけはよく知っていたけど、訪れるのは初めてだ。
早稲田で飯食うときってどこだったかな、と20年前を振り返ってみたら、文学部キャンパスの学食か、「天丼てんや」のどっちかだった。学生時代、てんやの天丼は本当に神の食べ物だと思っていた節がある。

メーヤウのカレーは辛いんだが、週替わりで出てくるカレーでもっとすごいのがある、と聞いた。
毎月第四週目に登場する、「インド風激辛チキンカリー」というのがそれだ。
週によってはマイルドな味のキーマカレーの時もあるので、激辛が食べたかったら「第四週」ということを肝に銘じないといけない。

注文したら、1分もしないうちにお皿が届けられてびっくり。ファストフードだ。
注文したのち、意志がくじけて「や、やっぱりやめますー」と店員に言ってももう遅い。頼んだが最後、皿はもう目の前だ。
辛いカレー。でも、カーナピーナほどではない。一口食べた瞬間に絶望の淵を感じるような辛さではないので、大丈夫。

テーブルの上には、ブリックナンプラーが置いてある。ブリック(青唐辛子)をナンプラーに漬け込んだもんだ。
辛さが物足りない方は、これをお好みでどうぞ。
お会計の時、ふと店内のカレンダーを見てびっくりした。第五週には、もっと辛いカレーが登場するらしい。店員さんに確認すると、今日食べたカレーよりも辛いんですよとうれしそうに言う。
「でも、第五週がない月も多いですからね。食べられない月だってあるんですよ」
というからとても気になる。機会を見つけて、ぜひまた訪れてみたいものだ。
【05軒目】TAAL(東京都豊島区駒込) 2013年10月02日

JR山手線駒込駅で下車したのは今回が初めて。駅を出るとすぐそこには閑静なマンションが建ち並び、ここが山手線の駅近くとは到底思えない様相を呈している。ちょっとした郊外の風情。
そんな中を歩いて、目指す「TAAL」に向かう。
この地に引っ越ししてもいいな、と歩きながら思った。不動産物価さえ高くなければ、ここに引っ越せばとても快適に暮らせそうだ。

TAAL外観。
怪しい雰囲気のお店が住宅地の中にぽつんとある。

店内は薄暗い。
客はおかでん一人。店の奥で、ご主人の息子さんと思われる人が宿題をしていた。そういえば、店頭には子供のおもちゃなども置いてある。閑散期は子供の遊び場になっているらしい。

「ダルバートセット」1,500円。
マトンカリー、サブジ、ダールスープ、ロティ、サラダ、ヒマラヤティ。
この店のマトンカリーは激辛で有名。
おかでんのように、「激辛」という言葉に惹かれてわざわざ初訪問する人だっているわけで、飲食店は「他店を圧倒する辛いメニュー」をひとつ用意しておくと予想外な集客力があると思う。
えーと、ところでどれが「サブジ」でどれが「ダールスープ」でどれが「ロティ」?
慣れない言葉と料理を前に、クイズの様相を呈してきたぞ。
マトンカレー、確かにからい。でもスパイス感がしっかりしていて、おいしいと思った。
客ゼロなのはかわいそうな味だが、住宅地の中なのでしんどいのは当然。近くにインドカレーの店があったし。
この後、駒込の不動産物件をいろいろ検討してみたことから気持ちに火が付き、2013年12月に引っ越しを敢行した。引っ越しの契機となったのが、まさにこのTAAL訪問だった。
【06軒目】Curry草枕(東京都新宿区新宿) 2013年10月08日

女性でも落ち着いて食事ができる、広々した店内。壁に面したカウンター席もあるし、普通のテーブル席もあるし、二人が並んで食べられるソファ席もある。

なすトマトチキン10番、大盛り+ラッシー 1,130円。
辛さは1-10番まで選べる。ノーマルだと3番相当だったかな?
その気になれば10番以上も頼めるそうだ。

辛さの調整は、単に唐辛子の増量だけではなく、スパイス全体のバランスをとりながら行われているのだという。実際、食べてみたら、突出した辛さを感じないのに汗がじっとりと出てくるというさりげなさ。これはとてもおいしいと思った。
テーブルにある漬物もとてもおいしく、これはぜひリピーターになりたい店だと思った。ラッシーの次回無料券をもらったことだし。
【07軒目】エチオピア(東京都千代田区神田小川町) 2013年10月12日

激辛カレー十番勝負。今回は「エチオピア」@神保町。

先日、「激辛グルメ祭り」でエチオピアの野菜カリー70倍を既に食べているが、あらためて実店舗で食べてみた。
今回も70倍。このお店では最高の辛さ。
なんで「70」という中途半端な数字なのか、興味深い。おそらく、「100倍」とかの数字ありきで、辛さを分割していったのではなく、1倍から辛さを積み上げていった結果だろう。80倍とか90倍だと味のバランスが悪くなるので、まぁ70倍が限界だよね、ということか。

野菜カリー、野菜たっぷりで野菜好きにはうれしい。
辛い、というか、痛い。
口腔内の痛みを最小限にするため、スプーンですくったルーをぽいっと口の中に放りこむ感じ。ねぶるように食べると、痛みが広がるから。

ここはジャガイモ食べ放題。ご飯の大盛りは有料なので、おなかいっぱいになりたければジャガイモをしこたまおかわりするとよろし。
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