わんこ回転寿司挑戦

「たまには何かガツンとやりたいものだな」

2015年10月に引っ越しをし、新居での生活にようやく慣れてきた頃に僕はつぶやいた。

口で言うのは簡単だが、じゃあガツンって何だよ。

気力体力が年老いたとは思っていないが、いろいろ自分を取り巻く環境が絡み合って、「ムチャしてナンボだぜヒャッホウ!」と行き当たりばったりな事ができないようになっていた。

「出来たとしても、せいぜいしこたまメシを食べる、くらいだなあ」

黙れデブ。あまりに自分の無能な発言に愕然とした。宅配ピザでLサイズ2枚でも頼んで喰ってろ。

とはいっても、「離島や海外に遠征」とか「スタンプラリー的な企画」といったアワレみ隊が得意とするジャンルのイベントごとを企画できる余裕が今の僕にはなかった。となると、さっきデブ呼ばわりされた「とりあえず腹一杯食べるのだ。」というのは現実的な解という気がしてきた。

既に僕の大食い記録をまとめたコーナー「土下座バイキング」は終了している。今更あのコーナーを復活させる気はない。とはいえ42歳になろうとしているオッサンが、オーバー40なりの四苦八苦っぷりを文章にするというのは見苦しいけど面白いかもしれない。土下座バイキング時代の「がむしゃらさ」ではなく、「姑息さ」「世間体」「健康」といったキーワードが常にぐるんぐるん頭の中を巡る、そんな大食い。

でも、やらないのは「今やってもイタいだけだから」だ。「こういうのをやったら面白いんでしょ?」と、いるのかいないのかわからない「読者」の顔色をチラチラ伺う自分の姿、というのがたまらなくイヤだからだ。

僕がずっと20年近くこのサイトをやってきているのは、一貫して「僕が面白いと思ってやったこと、考えたこと」を書く、ということだ。もちろんスケベ心が皆無だったとは言わないけど、アワレみ隊の一連の企画や、自身の大食いだって、僕自身がやりたかったからやっただけのことだ。

しかし、ネット文化が深化した今となっては、何かネタ的な事をやると「PV稼ぎ」的な感じになってしまう。大食いなんてまさにそうで、それが僕にとってはイヤでしょうがなかった。

どうせ僕が限界まで食べたって、テレビに登場する大食い選手たちの足元にも及ばない。中途半端な結果しか残せないのに、何か「ネタ的においしいでしょう?」的なドヤ顔で文章を書いたり顔をさらすのは恥だ。

・・・そんな愚痴ともぼやきともつかない事をカツにダラダラと喋っていたら、「チャレンジメニューではなく、回転寿司でやってはどうですか?」と提案された。ひと皿いくら、で計算される回転寿司なので、いつでも自分の腹具合にあわせて止めることができる。限界ギリギリまで食べてもいいし、そこそこでやめたっていい。「気楽に、しこたま」はどうだろうか?というわけだ。

なるほど、それはいい。

「大食いチャレンジに再参入!」となると、「年寄りの冷や水だ、やめとけ」となるけど「100円回転寿司を心ゆくまで食べよう」なら全く問題はない。よし、それでいこう。

もちろん、「回転寿司を食べに行きました。まる。」なんてのは日記の域を超えないありふれた話だ。何を今更感がある。でもそんなことを言い出したら、このサイトは全部日記なんだし、まあいいじゃないか。

くら寿司

回転寿司なんて久しぶりだ。今じゃすっかりメジャーである「くら寿司」でさえ、僕は利用したことがない。せいぜい、以前かっぱ寿司でおなじみのカッパ・クリエイトの株を持っていて、損をして売却したイヤな思い出があるくらいだ。

酒を飲んでいた僕にとって、「米を食べる店」ともいえる回転寿司は縁遠かった。回らない寿司なら刺身を見繕ってもらうこともできるが、回転寿司ならそうはいかないからだ。

そんなわけで、年甲斐もなく回転寿司にときめき、むしろ事前にどんなメニューがあるのか情報遮断をしていたくらいだ。食べ終わった皿の数に応じてガチャガチャができるという話は聞いたことがある。その程度だ。

参加者を募ったら、カツの他によこさん、めぐさんが賛同してくれた。女性3人と僕一人。よーし、女性3人分を上回る皿数、一人で食べてやろうじゃないか。

ちなみによこさんは、昨年わんこそば対決をやった際に100杯越えをした強者だ。女性とはいえ、あなどれない。

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最近の回転寿司といのはネットで席の予約ができるのだな。全国いたるところに店舗があるくら寿司なんだから、今や常識なのだろうが、初体験の僕は驚きづくしだ。

受付画面

得意満面で「予約をしていたおかでんですけど」とレジにいた店員さんに声をかけたら、「番号が呼ばれるまでお待ち下さい」と言われた。あれ、そうですか。まあ、さすがに黒服のボーイがうやうやしく「お待ちしておりました、こちらへどうぞ。お足元段差がありますのでご注意ください」なんて出迎えるとは思っていなかったけど。

予約、というより整理券をネットで先取りできる、という解釈の方が正しいんだな。

カウンターだったら15分待ちで案内できるようだけど、ボックスシートだと案内できるのは今から2時間以上先になるようだ。やっぱり予約を事前にしておいて良かった。

店内

店内の様子。こんな写真を撮影しているくらいだから、よっぽど嬉しかったのだろう。今時いないぞ、回転寿司屋だ!ウワアイ!と喜ぶ大人なんて。子供ならまだしも。

今この写真を見ながら何かコメント文を書け、と言われても途方に暮れてるもん。それくらいどうでもいい写真だ。「お客さんがいっぱいいますねぇ」程度。

番号

さすが予約システム、しばらくしたら呼ばれ、番号札に従って自分たちのボックスシートに向かった。カラオケボックスのようだ。

このお店の場合、ボックスシートが27あるらしい。で、カウンター席はほんの僅か。それでもカウンター席は待ち時間が短く、ボックスシートは2時間以上待つというこのギャップ。家族団らんの場所なんだな。

やべー、昔僕は回転寿司屋に行っては、着席するやいなや「生二つ!」とか頼んでたよ。やさぐれてたなあ。店員さんが「二つ、ですか?」って確認するので、自信満々に「はい、二つです」って答えてたっけ。自信満々に答えてるんじゃねぇよ、恥じらいを知れよ。

ちなみに脱線ついでにその思い出の回転寿司屋について話をすると、「生ビール二つ!」と頼むと、「ナマ、二つですね?」と訂正していた。ビールではなかったらしい。うっかり「生ビール二つ」と復唱すると、嘘をついたことになって大変にマズいので、従業員教育はその点徹底されていたっぽい。

回転レーン

それはともかく、ボックスシートに着席する。「今日は喰うぞ」モードのおかでんとよこさんはレーンすぐ脇に陣取り、「今日は立会人に徹する」と言うめぐさん、「私はもともと食べられないですから。5皿食べたら上出来」というカツは通路側に座った。

はー、くら寿司はネタの乾燥を防ぐためにドーム型のふたがしてあるのだな。これは、「あッ、あれ食べたい!」とネタが通り過ぎる瞬間に気づいても、取りそびれる恐れがある。寿司ネタは一期一会と心得よ。

まあ、そのためにもタッチパネルでオーダーができるのだけど。

タッチパネル

そのタッチパネル。今時の回転寿司屋では珍しくない装備だが、とにかくこれが使いづらかった。タッチパネルの感度が非常に悪く、ボタンを押しても反応しない。ようやく動いても動作がキビキビしておらず、メニューをパラパラとめくる感覚で料理を俯瞰できない。さらには画面が小さく、一覧性が悪いので「・・・えーと、結局どんなメニューがこのお店にはあるんだ?」とよくわからない。

さらには、メニューの1ページ目がうどんやラーメン、茶碗蒸しという謎構成。こういうサイドメニュー類は後半に出てきた方がわかりやすいのだけど。恐らく、「寿司そのものはレーンから取ってもらえる。サイドメニューはタッチパネル注文が主になるので、それを優先的に」という発想なのだろう。でも、レーンの寿司を最初から当てにしていないので、この構成には弱った。

タッチパネルを押す

タッチパネルに四苦八苦するよこさん。

「あー!この店は客にお寿司を食べさせたくないんじゃなかろうか!」

とぼやくくらい、反応が悪かった。食事後半になって、割り箸の背中をスタイラスペンのようにして使えばタッチパネルの反応がよくなることに気づき、作業効率が上がったけど。それでもタッチパネルを操作するのは面倒で面倒で、極力いじりたくない気分だった。

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