そば処 よこ亭(03)

2002年09月22日
【店舗数:—】【そば食:232】
長野県上水内郡牟礼村

堅物おやじそば

この日は「ふじおか」で蕎麦を頂く予定だったのだが、その人気を完全にナメてかかっていたため、ちょっと目を離したスキに店の前に大行列を許してしまい、食べ損なってしまった(経緯は「位置エネルギーを無駄にするのはやめよう」参照)。

その腹いせのため、「ふじおか」の蕎麦・・・ではなく、「ふじおか」の側にある信濃ブルワリーに立ち寄ったのだが、それでも気分が晴れるわけではない。やっぱり、蕎麦を食べないと気が済まない。信濃ブルワリーのおっちゃんに「周辺でおいしい蕎麦屋ってどこですかね?」と聞いてみたら、「そうですね、『たかさわ』はおいしいですよ」とパンフレットをくれた。「たかさわ」は、黒姫高原から妙高高原に向かう道の途中にあり、まさに長野県と新潟県の県境に位置する。この店だったら、前を通ったことは何度もある。そば打ち体験とかできるところだったはず。

・・・でも、パンフレットまで用意されているあたりに、非常に商業主義的な臭いを感じてしまい、今回は敬遠。別に商業主義=蕎麦がイマイチ、と決まっているわけではないが、あまりワクワクしないのは事実。同行しているコダマ青年にきっちりと美味い蕎麦を食べて帰って貰いたい、という気持ちがあるので、アタリかハズレかわからない蕎麦屋に行くのはちょっと気が引けた。

となると、ここら辺でいったら、「若月」「よこ亭」になるわけだが。今回はよこ亭をチョイスしてみることにした。若月の横を素通りしながら、車はよこ亭に向かって南下。

よこ亭

思い返してみると、このお店は今年に入って3度目の訪問になる。東京在住の身からすると、そんなに頻繁に通えるような場所ではないのに、不思議だ。

駐車場はほぼいっぱいに混んでいて、店内もお客の出入りが激しい。店の前に広がる雄大な景色とは、ちょっと不釣り合いな繁盛っぷりだ。この店からの眺めって、どこかで似たシチュエーションがあったような・・・。あ、なるほど、「安曇野翁」や「名人亭」に通じるものがある。この光景だけでも、十分に値打ちモノのお店だと思う。

過去2回の訪問で、毎度「堅物おやじそば」を食べているので、今回こそは別のものにしようかと思う。しかし、そうやってメニューをヌヌヌと凝視していると、どうしても「一品料理」のコーナーに目がいってしまうから困る。

「ポテトフライ200円」「鳥のからあげみぞれ和え350円」・・・蕎麦屋でポテトフライ。どう考えても不釣り合いなシチュエーションだ。でも、200円は安い。頼んでみようか。いや、頼んだら負けだぞ、油の味が口にべったり張り付いて、その後の蕎麦の味なんてわからなくなるんだから・・・うーん。

「ご注文お伺いしますー」
「あっ!?あ、ええと、あの、堅物おやじそばってまだ残ってますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃ、それを」

あー、また堅物おやじそばかよ!不意をつかれたため、ついつい慣れ親しんだメニューを口走ってしまった。

堅物おやじそば

「限定20食」のはずの堅物おやじそば、過去3回共に一度も食いっぱぐれた事がない。本当に「限定」なのだろうか、と気になるくらいだ。でも、周囲のお客を眺めてみると、天ぷら蕎麦を食べてたり、ざるそばの大盛りを食べていたりしていて、案外「堅物」を食べている人は少ないようだ。「限定」というコトバに動揺し、「注文しなくちゃ!」という気分になるのは、東京人の悪い癖なのだろうか?

お店の人が「堅物おやじそば」を運んできて、「食べ方わかりますか?」と聞いてきた。「大丈夫です」と胸を張って答えたが、別にこんな事で胸を張る事は全然ないわけであり、後で考えると空しい。しかし、基本的にざるそばである料理に対して、「食べ方の説明」が必要というのは他に例がないのではないか。さすが、「堅物」。

地場産の蕎麦粉を100%使っている、ということでまだ新蕎麦には1カ月ほど早かったようだ。蕎麦の香り、味ともに絶品とまでは行かなかった。しかし、相変わらずの「麺の堅さ」は食べていて気持ちよく、もみじおろしを溶かし込んだ辛いつゆと相まって口から喉にかけて楽しい。ついつい、セットでついている食前酒の地酒がくいくいと空く・・・車を運転しない、コダマ青年だけが。

くそー、堅物おやじそばは清酒が付くんだったっけな。

みすみす自分の分の清酒をコダマ青年に贈呈する羽目になったぜ。