日光そばまつり2009

2009年11月01日
【店舗数:—】【そば食:431】
栃木県日光市瀬川

合計10杯のそばでおなかいっぱい

日光に向かう道

既に紅葉

本来、1シーズンにそば祭り参加は1回で十分だ。一回の訪問で10食近く食べ歩いてしまう性分なので、一回限りでも蕎麦不足は十分に補われるからだ。砂漠のラクダは、背中に水を溜め込むように、おかでんの体も蕎麦を一度チャージすれば暫くはそれで生きていける。今年は既に「信州・松本そば祭り」に参加しているので、蕎麦分は補充済みだ。

しかし、今年の10月は不覚にも体調を崩し、ただいま大絶賛病み上がり中。あまり外出する気力も体力もそもそも持ち合わせていないのだが、「いい加減外に出ないと」というプレッシャーだけは人一倍ある。このままだと、引きこもり生活になりそうだからだ。ならば、食べ物イベントという「人参」を目の前にぶら下げてどこかに繰り出すべし、ということで、日光そばまつりを選択した。

本当は、飛び石連休の間にある平日、11月2日に訪問したかった。しかし、今、週末は高速道路が1,000円という事を考えると、平日の移動は分が悪い。そのため、日曜日に行ってみる事にした。イヤだなあ、混むのは目に見えているんだけどなあ、と愚痴りながら。

高速道路、やるなら平日を1,000円にして、週末は通常料金という逆の体系にした方が良いと思う。曜日による人の流通を平準化したほうが、観光地にとってもありがたいだろうし、厚生労働的観点から見ても、有給取得促進に繋がるだろう。

この手のそばまつりは、過去の経験を踏まえると

「午前中は結構混んでいる。昼はどのお店も相当な行列。ただし、13時を回ったあたりから急激に客足が引き始める」

ということが分かっている。つまり、限定100食の十割そば、なんぞを狙わない限りは、午後になってから「いやぁー、すまんすまん、遅れちゃってさあ」なんて言いながら現地入りするのがベストだ。

しかし、それでも朝から出かけてしまう私。遠出する時、のんびりと家を出るという選択肢は自分の頭には、ない。やっぱり蕎麦ってぇもんは、早い時間に食ってさっと帰るのがよろしい、と勝手に思いこんでいる。

・・・しかし、その考えはやっぱり改めた方がええんちゃうん、というのに気がついたのは現地到着間際の事だった。

日光道の今市ICを降りた直後から、渋滞。鬼怒川方面にお出かけの人と、日光そばまつりに行く人の車であーあー、どうなってるの状態。裏道を華麗に走り、渋滞を回避。この辺りは昨年のそばまつりで歩いたので、地の利あるぜ・・・と思ったら、またもや渋滞。どうなってるの、これ。この辺りは信号がない道路なのに。そばまつり会場方面の車線だけが、めっぽう大盛り渋滞。まあ、街路樹の紅葉が奇麗なので、それでも見て和んでおこう。

大駐車場は満車

どんどん遠くの駐車場に回される

日光そばまつりの会場になっている、日光だいや川公園には大駐車場がある。そこに停められれば人生勝ち組間違いなしなのだが、ア・バオア・クーに取り付く連邦軍のジムやボールのような無数の来場車がある以上、あっという間にキャパシティオーバーだ。というわけで、まつり開始時刻の10時前であっても、警備員から「この先の駐車場へGO」と転送指示されてしまうのだった。webサイトで「このサイトは移転しました。5秒後に自動的にジャンプします」というのとは訳が違う。数キロ先まで移動だ。まあ、これは想定のうち。
大駐車場を越えると、急に渋滞は解消した。この大駐車場は、各地の駐車場を結ぶ無料シャトルバスの発着場になっている。そのバスが、地方都市のバスターミナル以上にひっきりなしに出入りしているため、その都度係員が道路封鎖し、バスを優先的に通しているのが渋滞の原因だった。おバス様のためにできる大渋滞。今年も相変わらず、日光市はもの凄い物量作戦でこのそば祭りを運営している。つくづく感心させられる。

大駐車場から先に行ったところに、「公園西駐車場」もあるのだが、こちらも当然のごとく満車。想定済みなので今更いちいち驚いてはいられない。どうせ、相当離れたところにある河川敷の臨時駐車スペースになると思っていた。

大谷川河川敷

バス乗り場まで延々歩く

その大谷川河川敷の駐車スペースは、会場から3kmほど日光寄りの場所にある。
見えてきたな・・・と思ったら、係員に「ここはダメよ、もっと先行って」と指示される。まだ遠く、ですか。

歩道には、大量の人が歩いているのが見える。あれは一体なんだ?どこかの「歩こう会」が日光の秋を満喫散歩中、なのだろうか。それにしては人が多すぎる気がする。

かなり遠くの駐車場

遙か彼方まで駐車場が続く

案内された駐車スペースは、河川敷駐車場の中でも相当離れたところにあった。一体どれだけの車がこのイベントのためにやってくるんだ?恐ろしくなってくる。で、車を停めてみて、先ほどの「歩こう会」の正体がようやく分かった。会場へのシャトルバスが出るのは、この河川敷の中でも一番会場寄りの場所だった。なので、そこまでみんな、延々と歩いているのだった。と、いうことはおかでんも晴れて今日から歩こう会メンバーか。そりゃどうも。えーと、バス乗り場まで1km近くありそうなんスけど。こっちにもバス停を作ろうという発想は・・・あ、いや、なんでもないです。歩きます。

ようやくバス乗り場

シャトルバスに群がる人

てくてく歩いて、シャトルバス乗り場まで行く。お日柄が大変宜しく、気持ちよく歩けるので良かった。これが暑かったり寒かったら、結構な拷問だ。
バス停にいたスタッフの話をそれとはなしに聞いていたら、バスは4台で運営しているらしい。定時運行なんてやっている状態ではないので、人が乗降でき次第バンバンピストン輸送している状態だった。バスは観光バス会社から借りているものもあるし、日光市所有のものもある。市で観光バスを所有しているというのが、観光の町・日光らしくて面白い。

ここ、大谷川右岸駐車場(日光側)が最大のバス路線だが、他には合計で11路線がある。観光バス会社は、日光そばまつり様々だ。とはいえ、11月頭といえばそばまつりが無かったとしてもかき入れ時。バス会社からしたら「もっと別の季節にそばまつりをやってくれればいいのに・・・」と思っているかもしれない。

バス乗り場のところに、係員の誘導に従ってお行儀よく整列する一同。

「こっちの列は次のバス。こっちの列は次の次」

などとてきぱきと指示を出していた。慣れたもんだ。日光市のイベント運営ノウハウは相当蓄積されているのだろう。広告代理店に入りたかったけど、内定が貰えなかった・・・という学生さんは、日光市役所の試験を受けてみるといいかもしれん、と無責任に思った。

さて、バスを待っている間に、日光そばまつり来場アドバイスなんぞを。

まず、車で来るより、電車で来た方が楽っす。車だと、どうしても渋滞したり、駐車場内を歩いたり、面倒。
でも車で来るとすれば、やはりおかでんが今回使用した、「大谷川右岸駐車場(日光側)」が手堅い。キャパシティが大きいのであぶれることはないし、シャトルバスの頻度が高い。

ただし、ここに行こうとすると、会場前の渋滞に巻き込まれてえらく手間取る。だから、日光道を日光ICまで進み、日光駅方面からアプローチすると渋滞なしで素敵。

会場東側、国道121号線大谷橋近辺の河川敷にも駐車場はあるが、バスの便が少ないのと、会場に向かうバスは必ず渋滞で立ち往生するのでお奨めはできない。

あと、上今市駅から会場の間にある裏道の路肩に駐車している車が結構あった。これが、会場へのアプローチとしては最強なのだが、どうせ問題化して規制がかかるのは目に見えているし、そもそもお行儀が悪いのでやめとけ。

第一会場

消毒液あります

バスは数分で、日光そばまつりの第一会場にあるシャトルバス降場に到着。みんなはやるきもちでソワソワ。早く降りようとみんな一斉に立ち上がる。そりゃそうだ、会場から予想外に遠い駐車場に車を停め、そこから延々歩いてバス乗り場までいって、並んで、待って、乗って、ようやく到着だ。

とはいえ、慌てて降りてはいかん。イベントの性格上、ご高齢の方や小さい子供連れもいる。「バス内で将棋倒し・そばまつり会場で空腹の客」なんて報道されたらかなわん。しかも、我が身が加害者だったら、親兄弟にあわせる顔がない。蕎麦で首吊って死ぬしか。

第一会場は、昨年訪れた時と同様に物産ブースが並んでいた。蕎麦店が激しくつばぜり合いをしているのは、陸橋を渡った先にある第二会場。身を挺してでも彼らの争いを仲裁せねば。

というわけで、第二会場へとさっさと向かうことにした。第一会場には、唯一蕎麦店として広島の「達磨」がある。別格扱いだ。なお、今年も日光そばまつりのポスターは、デカデカと達磨の高橋氏の写真が採用されていた。毎年の恒例だ。リビングレジェンドならではだ。

とはいえ、リビングレジェンドを完全無視してやるぜ。僕、蕎麦に関しては無宗教なもんでして。というか、多分とうの昔に整理券配布終了になっているに決まっていて、様子を見に行くだけ無駄だ。食べたければ、早朝に行列作らないと無理。

この点、実家が広島にあるという事は本当に良かったと思う。広島のお店で食べる機会がまだあるかもしれんね、というのが心のゆとりに繋がる。もっとも、広島といっても達磨はものすごい山奥にあるし、ほとんど営業していない店なのでまず食べられる機会はないのだが。

会場入口には、アルコール消毒液が配備されていた。インフルエンザ注意。流行中ですからな。蕎麦をずずずっと空気と一緒にすすった際、ウィルスまで一緒に吸い込んだらたまらん。

蕎麦渋滞

第二会場に繋がっている陸橋から、今市方面の車道を見下ろしたところ。

すっげえ、車が蟻の行列のようだよ。視界の限り、車がずっと連なっている。信号がない道路なのに。その数、100台じゃきかないぞ。

そばまつり渋滞。えらいイベントだ。驚き呆れてしまう。

で、陸橋の反対側、日光方面を見ると、駐車場入口から先はすっこり渋滞が消えているのだった。もちろんそこにも渋滞はない。単に、車誘導の警備員が何名かいて道路を仕切っているだけだ。

第二会場

陸橋を越え、下り坂を歩きながら第二会場へと向かう。気持ちがはやる。早く食べ歩きを開始したい。のんびりしていると、昼ご飯時で会場内が人だらけになる。そういえば、昨年もそんな心境でこの坂を早足で歩いたな、と思い出し苦笑いしてしまった。

つい先日、信州・松本そば祭りに参加してつくづく思ったのだが、「事前にどの店に入ろうか」なんて検討するだけ無駄だ。今回の日光そばまつりには、24ブース31店舗が出店している。多すぎて訳がわからんすよ。どれも基本、「もりそば」だから。チャーシュートッピングあります、とかフライドガーリックが味の決め手、なんていう差別化は基本的にない。となれば、直接店頭に行き、その時の混雑状況や胃袋状況、その他店員さんと目があった、みたいなご縁で判断するしかない。

※4日の開催期間中、店の中身が入れ替わるブースがいくつかあるので、「24ブースしかないけど、31店舗出店」という事になる。
昨年は、時計回りにぐるっと周りながら食べ歩いていったので、今年は反時計回りに巡ってみることにした。

秘伝のへぎそば 浅野屋

秘伝のへぎそば 浅野屋のメニュー

会場入口から反時計回りに向かって、最初にあった店がこれ。「秘伝のへぎそば 浅野屋」。
うわあ、へぎそばかぁ。思い出したぞ、昨年の日光そばまつりで、最後に食べた蕎麦だ。お店も一緒、浅野屋。布海苔の独特な弾力のため、「最後に食べるにしては異端すぎた」と思った蕎麦。今回は冒頭に登場ですか。でも、冒頭からあの独特な食感はちょっと気乗り薄。まずは王道で頂きたい。申し訳ないが、一軒目からスルー。

お品書きを見ると、もりそば500円のほかに、きのこ汁600円、カレー汁600円というお品書きだった。カレーか!カレー蕎麦の場合、なかなかつゆが冷めず、ふぅふぅ言っているうちに蕎麦が伸びてしまうことがよくある。その点、へぎそばでカレーそばにするとちょうど良いかもしれない。

布海苔のPR

昨年もそうだったが、今年もお店の前で店員さんが布海苔を見せて・触らせていた。道行くお客さんも、その真っ赤な布海苔を見て、「へー、これが蕎麦の中に?」と興味津々だった。へぎそばって何?というお客さんに対して、良いPRになると思う。

と、思いつつ、その横を素通り。ごめん、おっちゃん。後で普通の蕎麦の味に飽きたら、寄せてもらうかもしれん。

茶そばの店 やぶ定

茶そばの店 やぶ定メニュー

へぎそばの隣に移動すると、そこは「茶そばの店 やぶ定」だった。
うわ、これまた癖が強い蕎麦が・・・。過去、幸か不幸か茶そばでおいしいものに出会った事がないので、このお店もスルー。あれ?去年もこのお店について、同じ事を書いてスルーしたような気が。それくらい、茶そばについては食わず嫌いになっている。

おい、このまま会場をぐるりと一周して、何も食べずに帰るって事にはならないだろうな?

お品書きを見ると、先頭に「大もりそば(600円)、その次に「もりそば(500円)」という並び順だった。当店お奨めは大もり、という事なのか。食べ歩きキラーだな。実際、大もりが開催期間中どれだけ出たか、とても気になる。ほとんどオーダーは無かったのではなかろうか?ハーフサイズ、というお品書きがあれば人気を博したとは思うのだが。

そういえば、全店舗「ハーフ」というものは存在しなかった。主催者的にNGなのか、お店側としてはハーフなんてやってられん、ということなのか、どっちなのだろう?

幌加内そば

これまでの2店はさほど混んでいなかったのだが、お隣はやたら混んでいたまだ早い時間なのに、何なんだ。お店は、「北海道幌加内そば」。大変な繁盛っぷりだった。蕎麦打ちの実演のところに人だかり、そしてずらりと並ぶ人々。幌加内、という蕎麦産地のブランドが浸透してきたということなのだろうか。でも、実際のところ「幌加内ってどこ?」と聞かれると大抵の人は分からないのだった。おかでんも同じく。さらに、「音威子府も蕎麦の産地だけど、これ、なんて読む?そして、場所は?」とクイズをすれば、答えられる人はさらに少ないと思う。

幌加内そばは、昨年の日光そばまつりで食べている。昨年は1,000円で天ぷらそば、天ざるを提供していたが、今年はもりとかけというシンプル勝負。天ぷらという華がないにもかかわらず、これだけの行列ができているのは立派としかいいようがない。

ただ、あまりに行列が長いので、並ぶのはやめにした。次行こう、次。今日のテーマは「できるだけ並んでいない店に行く」だ。

[1軒目:水車屋(茨城県) 10:57 もりそば 500円]

水車屋

水車屋メニュー

次は「水車屋」。ここは行列がなかったので、本日の一軒目としてお世話になることにした。地元日光の蕎麦屋さんらしい。2日だけの参加で、本日最終日。明日から別の蕎麦屋が入ってくるようだ。

売り物はもり、かけという定番商品だけでなく、ゆばそば(700円)があるのが面白い。いかにも日光っぽい。今日はもりそばに固執しないで、こういう蕎麦にもどんどん手を出していきたいところだが、さすがに一食目でゆばそば食べるのはどうか、と思いもりそばを注文することにした。

なお、他には大根おろしで頂く「日光連山そば(700円)」、「きのこそば」などがあった。

もりそば食券

漬け物サービス

食券はラミネート加工された本格的なもので、立派。でも、定期的にそばまつりに参加するなら、こういうものをあらかじめ作っておいたら便利だとは思う。食券をあらかじめ印刷して通番を振って、なんてやるのも何かと面倒だし、割り箸にマジックで色を付けるというのは分かりにくいし、偽造されやすいし。

厨房カウンターで食券を渡し、席について蕎麦のでき上がりを待つ。

隣にいたおっちゃんおばちゃんグループの会話をそれとはなしに聞いていたら、

「このあと、宇都宮で餃子を食べて、佐野のワイナリーに行く」

と言っていた。なるほど、あくまでもこのそばまつりは「目的地」ではなく、「立ち寄り地点」に過ぎないのか。確かに、周囲に観光ポイントがたくさんある日光のことだ、蕎麦で一日を潰してしまうのはもったいないかもしれない。おかでんくらいか?蕎麦を食べまくって「今日は夕食いらない」というくらい満腹になってしまっているのは。

卓上にあった、らっきょうをぽりぽり食べながら周りの客層を見ていたら、結構子連れや高齢者がいて、幅広い年齢層が来場していることが分かった。これは、このお店に限らず会場全体がそう。高齢者は昼以降はすーっと減っていったのが、なるほど年寄りは朝が早い、というのは本当だな、と感心させられた。松本そば祭りは、もう少し30~60代の客層が多かったと思うので、何がこの客層の差を生んでいるのか気になる。

幅広い客層故に、「二人で一枚の蕎麦をつつく」とか、「食べるのが遅い」というのが多く、そこも松本のそば祭りとちょっと違うところだ。おかげで、客の回転が悪くて・・・ほら、さっきまで行列が無かったこの水車屋だが、今じゃ15名くらい列ができちゃった。

もりそば

もりそばアップ

いや、客の回転が悪いから列ができたのではない。このお店の場合、厨房のオペレーションが回っていないのだった。人員配置を見ると、ゆで釜担当、蕎麦を水で締めるシンク担当、そして盛りつけ担当の合計3名体勢だった。えー、日光そばまつりって、大量の客をさばくために、人海戦術でお店を切り盛りしているイベントだと思っていたのだが、案外小規模経営の店もあるんだな。認識が改まった。恐らく、2日のみの出店なので、臨時増員はしないで乗り切ろう、という事なのだろう。
こういうとき、そば打ち同好会のブースというのは有利だ。そば好きが集っているわけだから、人海戦術ができるし、しかも我も我もと手弁当参加だ。人件費がいらない。その点、そば店からの出店の場合、パートさんに時給払わないといかんし、イベント用に増員するとなるとリクルート活動したり、その分余計に人件費かかったり。そう考えると、実店舗を持っているお店の参加ってとってもありがたい事だと思う。そば祭り期間中、お店の営業はどうすんの、という難問もあるし。

結構待ったところで、もりそば到着。食券番号80番。10時から営業開始したとして、約1時間で80枚ということになる。相当なペースだとは思うが、これでも他店と比べれば客足が少ない部類のお店。繁盛店は、一体どんな猛烈な勢いで蕎麦を提供しているのだろう?

なお、きのこそばは今しがた4番の人が受け取っていた。やはり、もりそばが圧倒的人気だ。

さて、そのもりそばだが、つるつるした食感、というのが印象的。喉越しを楽しみたい向きには良いのかもしれないが、あまりにつるンとしすぎていて、おかでんとしてはもう少し引っかかりが欲しい食感だと思った。それ以外は取り立ててコメント無し。

会津山都蕎麦 蕎邑

会津山都蕎麦 蕎邑の厨房

会津山都蕎麦 蕎邑。

やあ、毎度毎度どこでもお見かけしますな。ご熱心で。「お互い様ですな」と向こうからも言われそうだが。この時期、サーカス団のように全国各地の蕎麦祭りを行脚しているのだろう。

今シーズンの蕎邑は福島県オリジナル蕎麦だという「会津のかおり」という品種の蕎麦粉を持ち込んでいる。品種改良されていない「在来種」が最近の流行りのようだが、これは在来種とは違うようだ。「会津のかおり」ののぼりを見ると、「そばで永田農法改革を進めよう!」なんて書いてある。永田農法と蕎麦がどう結びつくのか、よくわからないが面白そうだ。

ただ、残念ながらあまりにも同じみなお店なので、わざわざ食べてみようという気が起きないのだった。食べようと思ったらいつでも食べられる、と思ってしまい、その結果ここ数年は全く食べていない。なんのこっちゃ。

店の横から厨房を覗いてみると、肩を寄せ合うように人が密集していた。人員確保の目処があり、なおかつ繁盛店だと、それくらいの人海戦術でもしないと怒濤の客足に対応できないということだ。

栃木のうまい蕎麦を食べる会

栃木のうまい蕎麦を食べる会メニュー

栃木のうまい蕎麦を食べる会。

ここも常連グループ。今年も、常陸秋そばの早狩り新蕎麦を持ち込んでのそば打ちだ。

11月頭だと、栃木産の蕎麦だとやや新蕎麦としては早いのだろうが、だからといって「北海道産の新蕎麦を使いました」だと、何のために「栃木のうまい蕎麦を食べる会」と名乗っているのだかがわからなくなる。ビバ早狩り。

そば打ちは、ビニールカーテンをぶら下げた小さなタープの中で打っていた。これは他店でも今年はよく見られる手法で、恐らく雨の日でも風の日でも蕎麦が打てるぜ、という事で採用されたのだろう。あと、時節柄、そば打ち見学中の人が咳やくしゃみをして、インフルエンザウィルスが蕎麦に練り込まれました、というのはあまりにも素敵すぎる隠し味になるので、避けようという思惑があるのかもしれない。

ここのお品書きは、数量限定ながらも「豆乳もりそば(600円)」なんてものがあるのがとても気になる。もりそばで豆乳って、一体どんな味がするんだろう。もし、豆乳が「バナナ味」とか「マロン味」だったらどうしよう。

とっても気になったが、その気になりっぷりを粉砕するほどの大行列だったので、並ぶのはやめた。

[2軒目:小代行川庵(栃木県) 11:08 もりそば 500円]

小代行川庵

小代行川庵メニュー

小代行川庵を二軒目にセレクト。理由は単純、空いていたから。「空いている店=おいしくない店」という事はない。おかでん自身、「昨年行った蕎麦ブースってどこだっけ?」とほとんど覚えていないくらいなので、美味いまずいの下馬評ってのは無いと思ってよかろう。空いていればラッキー、と思って、邪推しないでとっとと食券を買うがよろし。

かけそば、もりそば500円、天ぷらそば600円。そばつゆや生麺のお持ち帰りもやっている。

もりそばの食券を買ったら、番号が8番だった。どうやら1巡して、108人目の注文だったようだ。

小代行川庵の厨房

卓上にはネギ取り放題

おや、このお店も厨房に人が少ない。

行川庵は昨年も出店していたし、どれくらいの人員配置が最適なのかは熟知しているはず。ということは、この人数で十分であると判断しているのだろう。そんなものなのか。じゃあ、すっげえたくさんの人がいるところって、一体何だろう。

日光そばまつりの場合、原則として使い捨て容器の使用が禁止されている。そのため、厨房では「下膳された食器を洗い、乾かし、片付ける」という手間がかかる。それだけでも一人専属が必要になりそうだが、少人数でもなんとかなったりする事もあるようだ。

もりそば

もりそばアップ

小代行川庵のもりそば。

エッジが立って、四角でございまする、と主張する蕎麦。また、蕎麦が固いため、特にその印象が強い。ただ、固すぎて、食べものを食べているというより異物混入、といった感じすら受けた。固さ故に、蕎麦の風味まで萎縮してしまっていて、麺を食べました、ごちそうさまでした。というだけになってしまっているのが惜しい。

[3軒目:北海道そば研究会(北海道) 11:19 もりそば 500円]

北海道そば研究会

北海道そば研究会の蕎麦打ち実演

昼時が近づいてきたということで、あたりは大混乱。客引きをやっているお店の人も声に熱が入る。朝は蕎麦を挽いて、昼は客を引くとは、なんとも忙しいことだ。

ひときわ声を張り上げてお客さんに呼びかけていたのは、北海道そば研究会のブース。「幻の牡丹そばですよー」「牡丹そばが食べられるのはここだけですよー」と言っている。ボタンえびが入っている蕎麦、だったらどうしよう。それは確かに珍しいが、特にこのお店でなくても食べられると思う。そもそも、ボタンえびという「蕎麦のトッピング」を売りにするなんて、邪道・・・って、あれれ。

店頭でそば打ちをしている職人さんの顔を見て、急に記憶が蘇った。このヒゲおやじ、見たことがあるぞ。で、昨年の日光そばまつりでここの蕎麦、食べたぞ。

職人さんは白髪髭面ポニーテールサングラスという出で立ち。服装がいくら白くてシンプルであっても、この姿は一度見たら忘れられない。やあどうもどうも、一年ぶりでございます。

以前、アワレみ隊唯一のヒゲ面、しぶちょおが「ヒゲはやしているとすぐに顔を覚えられる」と言っていたのを思いだした。しぶちょおはそのせいで、仕事上でもめ事があるとすぐに「あのヒゲの奴を出せ」と相手から言われてしまうらしい。目立つ風貌というのは、メリットもあるが損することもある。コンビニで頻繁にエチーな本買ってたら、従業員にエロヒゲとか名前つけられそうだし。おかでんなら絶対にヒゲはやしちゃダメだな。

ヒゲ職人さんの服には、「新十津川手打ちそば同好会」と刺繍がされていた。どうやら「北海道そば研究会」というのは複数の組織が共同でやっているようだ。

ヒゲ職人さん、「今5キロ玉を打ってますよー」と手も口もお達者。5キロもの蕎麦を打つとは、凄いな。一体何人分の蕎麦になるのだろう?

北海道そば研究会のメニュー

エビ天ぷら

ヒゲ職人さんの重力に引き込まれ、このお店に大気圏突入してしまった。客足が比較的緩やかなお店だったということもある。もっとも、緩やかといっても行列はそれなりにできているのだが。
お品書きは、もりとかけ(各500円)に加えて、天ぷら盛りあわせが付いたそばが1,000円。

最近の北海道由来の蕎麦ブースは、1,000円で天ぷら蕎麦を出すのが定番になっている気配。松本そば祭りでも1,000円の店があったっけ。夏目漱石さんお一人を供託しなければならんのは結構な勇気がいるが、人質を出してでも食べたい人が一定数いるということなのだろう。実際、このブース、昨年は天ぷらそばが800円だったが、今年は1,000円に大幅値上げだ。

しかし、さすがにその内容は大幅グレードアップだ。800円だった昨年は、かきあげだったのが、今年は普通の天ぷらで勝負。しかも、「えび・カニ合戦」と物騒なネーミングをしているとおり、海老も蟹も入っているぜ、という一品。かぼちゃ、茄子、ブロッコリー付きということなので、500円プラスという値付けは妥当。むしろ、これだけを酒肴にしていっぱいやりたいくらいだ。ところで、ブロッコリーの天ぷらとは凄いな。食べたことがない。

もりそば食券

もりそば

天ぷらも魅力的ではあったが、まだ天ぷらタイムにするには早い。もりそばを注文することにした。
届けられたもりそばは、丼と言っても差し支えないお椀に盛られて出てきた。すごいボリューム感だ。

もりそばアップ

すのこ

とはいっても、さすがにこのお椀の底までみっちり入っているわけではなく、下にちゃんとすのこが敷いてあった。そうでもしないと、底に水が溜まって蕎麦の味が薄くなる。
「幻のそば」と銘打っている牡丹そばだが、さすがに売り文句通り、食べると甘みが強い。一口噛んだ時点で、甘みと旨みが広がるのは特徴的だった。また、これまで訪問した2軒が固めの食感だったのに対し、ここはやや柔らかめの麺だった。そのおかげで、噛みしめた時の美味さがよく表現できて好印象。

しかし、三口目から味がわからなくなってしまった。蕎麦の味覚が鈍化してしまったのか、それともそういう性質の蕎麦なのか。途中から、自分の流儀ではないが薬味を投入しつつ食べることとなった。味覚がちゃんとしているときにもう一度、落ち着いてお店で食べてみたいものだ。

ウォータージャグに入ったそば湯

蕎麦湯は、よくスポーツイベントの時に控えのベンチなんぞにおいてあるような、ウォータージャグに入れてあった。保温の観点からもありがたいが、目詰まりしないのだろうか?と余計なお世話なことを考えてしまった。

ヒゲ職人さんが蕎麦をのばしていた

食べ終えてお店から出たら、ヒゲ職人さんが蕎麦をのばしていた。

さすがに5キロ玉だけあって、のし棒に巻き付けた生地ロールの分厚さたるや相当なものだった。あのままオーブンに入れて焼いたら、バウムクーヘンみたいにならないだろうか?ならないだろうな。失礼しました。

[4軒目:ミャンマー高原そば(埼玉県) 11:26 ミャンマーそば 500円]

ミャンマー高原そば

ミャンマー高原そば、というひときわ目を惹くお店がある。名前のインパクトでいったら、今回参加の全団体の中でも際だっている。なぜミャンマーなんだと。外国で「高原」がつく場所といったら、自衛隊がPKOで行った「ゴラン高原」くらいしか知らん。そもそも、「ミャンマー(旧ビルマ)」といったら、ビルマの竪琴と、軍事独裁国家というイメージしかない。それが店名とは一体何事だ。

ミャンマーという国は兎も角として、カタカナの蕎麦店ってもの凄く珍しく、インパクトがあることはこれでよく分かった。最近のラーメン店は奇をてらった名前が増えているが、蕎麦店もいずれはカタカナ店名が珍しくなくなるかもしれない。

大麻畑を蕎麦畑に変えよう

看板を見ると、「麻薬栽培からそば栽培 アジアの麻薬・貧困撲滅を支援しましょう!」と書いてあった。あー、なるほど。要するに、ケシ畑(=大麻の原料)か何か、とにかくいかがわしい植物の畑をやめて、蕎麦畑にしようぜ、ということなんだな。で、その蕎麦粉を一定量買い上げる事で、麻薬を減らし、農家の所得も増やす計画なわけだ。面白いね、蕎麦というツールで社会貢献とは。せっかくだから、そば殻枕もミャンマー特産品にしちゃえ。

ミャンマーそば食券

ミャンマーそば厨房

食券を買ってみると、通番が524番だった。・・・これはさすがに今日一日の番号ではないな。初日からの通し番号だろう。
食券には、「さいたま蕎麦打ち倶楽部」の文字が。あれれ。ミャンマー関係者かと思ったら、違うのか。厨房を見ると、白衣の職人さんはみんな埼玉そば打ち倶楽部と書かれた服を着ている。

そういえば、昨年もこの蕎麦打ち倶楽部、どこかとコラボレーションやってたよなあ・・・と思って思い出したら、昨年は「北海道美幌そば 日曜庵」という看板で営業をしていたのだった。毎年、取り組むテーマを変えて、看板も変えて出店しているという風変わりな組織だ。大抵、自分たちの組織名を前面に出して存在感をPRしたいものだが、ここの人たちは謙虚というか、いろいろな人脈があるというか、好奇心旺盛というか。来年あたりは「アルゼンチンそば」なんて地球の裏側まで飛んで、再来年あたりは「月面宙返りそば」なんて事になるかもしれん。

ミャンマーそば

中国の拉面と日本のラーメンが違うように、ミャンマー高原そば、というのは日本蕎麦とは全然違うものが出てくるのではないか、と邪念したが、さすがにさいたま蕎麦打ち倶楽部がやっているならば王道でくるだろう。油断していたら・・・ありゃ、なんだか風変わりな蕎麦が出てきたぞ。

具だくさんなぶっかけそば・・・?いや、ぶっかけ、というのは濃いつゆが少量、というのが定番だが、ここは結構つゆの量がある。かけそば・・・でもない。つゆは冷たい。

具は、人参、カイワレ大根、刻み海苔、白ごま。ちょっと冒険しました、という蕎麦になっている。冷たい蕎麦で人参、しかも生のものが載っているというのは初めて見た。ただ、これ・・・生の人参の食感が強すぎて、蕎麦が埋没。そして、胡麻、海苔という香りの強いものが載っているため、蕎麦の香りまで埋没。しかもカイワレが辛い。だめ押しに、つゆは「そばつゆに入れていた氷が溶けちゃって薄くなった」ような薄味仕立て。まとめると、「メリハリないつゆ、インパクト強すぎる具、蕎麦?ええと、記憶にありません」というものだった。コンビニで売られていたらありがたい蕎麦だと思ったが、そういう印象しか無かった。

具のコストや手間を考えると、これで500円で出したのは立派。しかし、肝心の蕎麦の味を埋没させてしまったのは、サービス精神からか、意図的なのか。これは推測だが、ミャンマーの蕎麦はまだまだ品質が悪く、もりそばなどの直球勝負ができるレベルではないのではないか。それならばそれでも構わないので、今度はミャンマー風の蕎麦料理を出して欲しい。無理に日本の蕎麦のしきたりに倣う必要はないと思うのでした。

[5軒目:NPO法人越前みやまそば元気の会(福井県) 11:46 おろしそば 500円]

NPO法人越前みやまそば元気の会

NPO法人越前みやまそば元気の会厨房

ミャンマーそばでなんとなく曖昧な味わいの蕎麦を食べたので、ここはガツンと一発かましてくれるぶっかけを食らった方がよかろう、と思った。んで、すぐ近くにある「NPO法人越前みやまそば元気の会」へ。幸い、行列はゼロ。

食券は割り箸

食券は割り箸方式。これ、いろいろ問題はある方式だと思うのだが、大丈夫かな・・・と思いながらお店の中に入ったら、予感的中。

店舗内スタッフは3名で、完全に手が回っていない状態。そのため、待ち行列をする人がおらず、お客さんは料理を待つために席についてしまっているのだった。どこの誰に先に蕎麦を出すべきなのか、などこれでは分からなくなってしまう。どうする気だろう。

厨房の中にいたおばちゃんを呼び止め、「ボクどうすればいいの?」と聞いたら、席に座ってお待ちください、とやくざに絡まれたように、身構えた声で対応された。どうしてもドタバタしてしまうそば祭り。想定外にお客から声をかけられたら、イコール「クレーム」と警戒してしまうのだろう。

食事用テーブルを見渡すと、食事をしている人の方が少ない。ほとんどが、でき上がり待ちという変な光景。ぶっかけそばの場合、食べ終わるのが早い食べ物ではある。だけど、これだけ待っている人が多いと、「全員そろって、いただきますするまで食べちゃダメ」と言われているかのようだ。

原因は厨房にあった。絶対的に人が少なく、ゆで釜を担当している人が、そのままシンクに蕎麦を移し、水で締めていた。これでは、流れ作業で蕎麦がゆでられない。人数がある程度そろっているところは、「ゆで釜担当」と「水で締める担当」は別だ。蕎麦が水で締められている間に、早速次の蕎麦が釜に投入されている、という段取りだ。もう少し頭数を増やせなかったのだろうか?

ただ、最初に訪問した「水車屋」も人が少なかったし、このブースの隣にある「桝田屋」も厨房に人が少なかった。人数少なめ、が今年の傾向なのだろうか。不景気・・・だから?

おろしそば

おろしそばアップ

危惧したとおり、見事なまでな予定調和で順番飛ばしされ、後から着席した人に先に料理が届けられるという素敵な展開。わおう、シビレるぅ、とマゾ心をビシバシ刺激されて恍惚の表情になっていたところでようやくおろしそば到着。
・・・着席させておいて、座席までお届け、なんてしなけりゃいいのに。カウンター前に行列させればいいんだ。セルフサービスに不満を持つ人なんてここにはいないし、順番ぬかしはないし、スタッフの手間が省ける分、労働力を厨房内調理に割ける。

ぶーぶー文句言いながら、おろしそばを食べる。かつおぶしと、大根おろしがたっぷりと載っている。かつおぶしのせいで麺がほとんど隠れてしまっているというインパクトある見た目。名古屋駅ホームにある立ち食いきしめんを思い出した。

うーん。「うまいコンビニそば」っていうコメント。麺の食感はとても良いのだが、蕎麦の風味はぶっかけという食べ方のせいで全くわからず。特に、かつおだし+かつおぶし、というダブルかつおのせいでカツオ圧勝。もちろん、コンビニで売られているぶっかけそばでこんな高度な味は出せるわけがない。だが、つい「うまいコンビニそば」と形容してしまったのは、ひとえにおかでんが「ぶっかけ」という蕎麦形態をあまり好きではないからだろう。もちろん、このレベルのぶっかけがコンビニで食べられる事なんて、あり得ない。雲泥の差だ。しかし、ぶっかけちゃえば蕎麦ってある程度いい加減なモノでも、案外おいしく食べられちゃうんじゃないの?とおかでんは考えているのだった。

こんな事を書くと、福井県をはじめとしてぶっかけ蕎麦を愛する人達から「馬鹿言ってるんじゃねえ」と怒られるだろうが、今のところは、そういう心境。

敢えてこうやってカミングアウトしておくのは、いずれ嗜好が変わって、おろし蕎麦最高、ぶっかけそば最高!という時がくるかもしれないからだ。そういう「視野が広がる」瞬間を今から楽しみにしている。

会津磐梯そば道場

会津磐梯そば道場メニュー

会津磐梯そば道場。

会津山都そば蕎邑と福島県陣営だが、両方とも松本そば祭りから転戦してきている。

ただ、転戦している間にこの「会津磐梯そば道場」は新しいアイテムを装備して戦いに臨んできた。「新そば」の赤い文字が躍る。松本そば祭りでは新そばが間に合わなかったが、日光そば祭りには間に合った、というわけだ。

やはり、本州でそば祭りをやるなら、11月から12月くらいがベストだと思う。ただ、12月になると寒いやら、雪が降るかもしれんやら、屋外イベントには不向きなので無理なのだろう。お日柄もカレンダーも塩梅よろしい11月文化の日前後、というのが一番ナイスな時期だと思う。つまり、日光そばまつり、おいしいとこどりだ。

で、その入荷したての新そばだが、なんとなくパス。松本でも見かけたお店、ということでレア度が低く、食指が動かなかったのだった。そんなこといっても、松本では食べていないのだけど。あ、でも昨年の日光そばまつりで食べた。

信州そば

信州そば。

もの凄い行列だ。多分、この日一番の行列だったはずだ。テントから溢れた人だけで数十名。隣のブースを塞ぎそうなので、行列が折り返しになっていた。それくらい、凄い。一体何事だ。中でアイドルの握手会でもやっているのか。

パンフレットを見ると、ここは「信州そば」とシンプルに名乗っているが、出自は静岡県浜松市。しかも、のぼりには「風林火山」の字が。何が何だかよくわからん、怪しいブースとしか言いようがない。でも大行列。ここに並んでいる人は、何を思って並んでいるのだろう?昨年、このブースは無かったから、昨年美味かったので今年も楽しみに食べに来ました、という人というわけではない。

気味悪いが、行列があまりにダントツに長いので、「美味い店なのかも」とおかでんでさえ思い、並ぼうかと考えてしまったくらいだ。結局、「どの店で食べても平均点以上は美味い。並ぶ時間のコストを差し引くと、どんなに美味い蕎麦屋でも足し引きゼロだ」という考えに基づき、この店はスルーした。しかし、多くの人は行列につられてさらに行列、という壮大な釣り針連鎖にひっかかっているのだった。

あまりの人出のせいで、店で何が売られているのかさえわからないありさま。やはりお店は、高い位置にお品書きを見やすい大きさで並べるのがよい。食券売り場用長机にメニューを貼る程度では、人が多くなると全く訴求力が無くなる。

そのかわり、このブースで大きく飾られていたのが、おっちゃんの写真入りの旗。何この人、と見ると、「信州そば打ち名人戦 初代名人 丸山勝孝」とバーンと書かれていた。何これ。もー、最近は蕎麦の世界で●●名人というのが多すぎて、訳がわからん。「信州そば打ち」の名人とはなんぞ。

後で調べてみたら、なんと松本そば祭りの期間中併催されているイベントで、2007年が第一回、今年で第三回目だった。で、丸山さんはその初代名人位だったというわけだ。しかも、北海道出身。「信州そば」を店名にする理由は分かったが、浜松からの出店扱いで、そば打ちする名人は北海道、幟は山梨を強くイメージさせる「風林火山」。ものすごいチャンポンっぷりだ。

[6軒目:しもつけ手打ちそば つちや(栃木県) 11:48 十わりそば 700円]

しもつけ手打ちそば つちや

しもつけ手打ちそば つちやメニュー

信州そばの行列に呆気にとられて、釣り針に食いつくか悩んで、ウロウロして、諦めて、結局すぐ近くにある「しもつけ手打ちそば つちや」に入ることにした。こちらは空いている。なぜこうも店ごとに差がつくのか、不思議でならん。

ここはいろいろな蕎麦料理がある。直球どストレート勝負のもりそば(500円)は端っこの方に地味に位置し、他にはかきあげ天そば(600円)、並木のしずくそば(600円)、十わりそば(700円)、そばがきしるこ(300円)など。大盛りは100円増しでできる。

そうだ、せっかくだからここで十割そばを食べよう。

そば打ちに挑戦、だって

つちや厨房

ここは、そば打ち体験を無料でやらせてくれるらしい。蕎麦打ったことないよパパ!というお子さんをお持ちの方はぜひどうぞ。ただし、でき上がった蕎麦は責任もって食べてくれ。間違っても子供がコネコネした蕎麦を僕らの料理として出したらいかんぞ。もちろんそんなことは無いと思うが。

「はじめてのそばうち」をやっている子供、というほのぼのした光景を期待したが、おかでんがこの会場をうろついている間は一人もそういう人が現れなかった。残念。みんな、「食べる」のと「打つ」のは別のモチベーションらしい。

「いやだって、牛肉が好きだからって、牛をと畜したいとは思わないでしょ?」ともの凄い極論を言われて反論されるかもしれん。

このお店は、食券がなく、受付でお金と引き替えに名前を聞かれるというシステム。店内では好きな席に座り、蕎麦ができ上がった時点で名前を呼ばれる。

待っている間、客層を見ていると、そういえば朝方多かった高齢者と小さな子供連れの家族は減ってきたような気がする。先行逃げ切り体勢だったようだ。飲食イベントの場合、おなかいっぱいになってしまうと急速にやる気がうせるからな。おなかいっぱいになり、さっさと退却したらしい。その代わり、ワカモノ~中年くらいのグループが増えた。

おっと、マイ箸を持ち込んでいる人発見。このイベントはマイ箸持参が呼びかけられているので、ご立派。

蕎麦1

蕎麦2

蕎麦3

蕎麦4

結構大盛り頼んでいる人いるなあ、と先ほどから配膳されている様子を見ていて気になった。こんなイベントで大盛り食べちゃったら、一軒で終わってしまうではないか。なんて無謀な。・・・と思ったら、大盛り一枚を二人ないし三人でシェアしているのだった。なるほど、そういう食べ方があったか!「お一人様最低一品ご注文ください」という縛りはないので、これは賢い。

また、そばがきしるこが結構出ていた。奥様方に大人気。そばがきしるこは着席後すぐに提供されるので、そばが届くまで食前デザートとして食べる事になる。

待っている間に、ああ、しまった、と気がついた。昨年気がついた事を、今年はすっかり忘れていて教訓にしていなかったぞ、と。

というのは、「十割そばと二八そば、二種類の麺を提供しているところはオペレーションが遅い」ということだ。ゆで釜に、同時に違う麺を投入すると「ミックスそば」になってしまう。だから、交互にゆでなければならないのだった。とはいっても、十割そばは圧倒的に出る数が少ないので、二八を二回ゆでて十割一回、などと変則的なゆで順になる。その結果、二八のお客さんはどんどんさばけていくのに、十割は結構待つぞ、ということになるのだった。作戦失敗。

着席から結構待って、十割蕎麦登場。このお店、二八だと平皿にスノコだが、十割になるとお椀型のざるで提供される。細かい差別化だ。

わさびがざるのへりになすりつけてあって、ワイルド。荒々しさをかいま見た。これは並の店ではみかけない、高度なテクニックだと思った。いや、別に技術的に難しいとか、そういうわけではないけど。

十割蕎麦ということもあって、生地の繋がりが悪かったらしく麺は短め。加水率高めで打ったようで、柔らかい食感であると同時に蕎麦を手繰る楽しさが損なわれているのが惜しい。風味の良さは十割ならでは、なのかもしれないが、これだけ麺が短いと気持ちよく手繰ることができない。これだったら二八で良かったな、と思った。

昨今の十割は、二八のように喉越しが良いものが増えてきているが、その逆もしかりで、二八なのに十割のような濃厚な蕎麦の風味を備えているものも多い。だったら、もう高い値段払って十割なんて食べなくても良いのではないか?と思える。

分桜流・彩次郎蕎麦打ち会 彩次郎蕎麦打ち道場

分桜流・彩次郎蕎麦打ち会 彩次郎蕎麦打ち道場、とやたらと長い名前のブース。ここ、昨年お世話になったな。えーと、十割蕎麦が500円?あれ、さっき700円で十割そばを食べたばっかりなのに。ここも結構行列ができてるので、一応スルーしておく。もともと行列が長いのに加え、隣の「信州そば」と渾然一体となって、何が何だかもう、状態。人、多いなあ。

いわはし館

祝言そばが名物

こちらは「いわはし館」。記憶になかったのだが、「会津地鶏とゴボウのだし!祝言そば」という看板を見て、思い出したあー、去年食べたぞ、これ。「けんちん汁に蕎麦が入った物」と評したっけ。ぱっと見るとネガティブな表現だが、非常に美味かった。ここで食べるのもいいなあ。そろそろ、温かい蕎麦を頂いてもバチはあたるまい。
ただし、ここもそれなりの行列だったので見送りにした。また後で訪れてみよう。

おや、ここの蕎麦って、「蕎邑」でも使っている蕎麦粉「会津のかおり」が使われているのだな。それもまた、気になるところだ。

[7軒目:韓国そば料理(大韓民国) 12:11 冷麺 500円]

韓国そば料理

焼肉もあるらしい

ミャンマーそば、というブースにも仰天したが、もう一つ目を惹くブースがあった。「韓国そば料理」というブースだ。しかも、こちらはミャンマーそばのように「実は埼玉から来ました」ではなく、所在地が「大韓民国」と記載されている。本場から乗り込んできた、蕎麦業界の黒船。

韓国そば料理って何だ?・・・としばらく思案していたら、思い当たった。ああ、冷麺だ。冷麺って、蕎麦粉使っていたよな。なるほど、あれも蕎麦だな。とはいえ、いわゆる「日本蕎麦」の範疇からは外れる料理だ。ミャンマーそばは、「ミャンマー産の蕎麦粉を使った日本蕎麦」だったわけだが、冷麺は全くの別物。そばまつり主催者、柔軟な発想だな。主催者が誘致したのか、それともお店の方が出店要望を出したのか、どちらが先かは分からないが、いずれにせよよくぞこのブースが出たもんだ。面白いぞ、もっとやれ。でも、あんまり「日本蕎麦以外の店」が増えるのは良くないが。

できれば、日本蕎麦の周辺料理、つまり「蕎麦米雑炊」とか「そばがき」などを出す店があっても良いと思うのだが、それだったら物産ブースでやれ、ということになりそうではある。

あまりに特徴のあるブースなので、行列が相当なモノだと思ったが、そこまで凄くはなかった。やはり限りある胃袋、このそばまつりにやってくる人は日本蕎麦の事しか考えていないので、冷麺に胃袋のスペースを提供することまでは考えないようだ。

行列がそれ程でもなかったので、並んでみる事にした。

食券売り場にあるお品書きを見て、「おおおう」と思わず嘆息。何ですかここは。そばまつりの出店とは思えないラインナップ。

「ヤキ肉キムチ(キムチ付) 500円」「韓国チヂミ(キムチ付)2枚 500円」「チャンビョン(キムチ付) 500円」「そば(冷麺)(キムチ付) 500円」。

そばまつりか、これ?キムチ祭りの間違いじゃないか?という内容。全部の料理にキムチが当然のようについてくるところが凄い。韓国って、ホントにキムチが好きなんだ。日本人が抱く偏見なのかと思っていた。

チャンビョン、と言う見慣れないメニューがあるが、これはキムチをチヂミでくるんで、春巻き状に巻いたものだそうだ。

冷麺の食券

冷麺の食券を購入する。正直、チヂミに惹かれたが、やめておいた。蕎麦を食べてばかりなので、ここらで気分転換するのには最適だったのだが・・・よく考えてみれば、冷麺をたべる事自体が気分転換だ。これ以上胃袋と財布を圧迫するのは止めよ。

ただ、客席にいるお客さんのお盆を見ると、結構な割合で、チヂミかチャンビョンと冷麺が組み合わされていた。複数名で訪れている人は、グループで一皿、シェアしているところが多かった。そうかー、人数が多いとこういう融通がきくからいいよなー。

バーベキュー大会

韓国そば料理厨房

行列の脇では、大きなバーベキューコンロが据え付けられており、場違い感ありありなバーベキュー大会が繰り広げられていた。あたりは焼肉の煙と臭いで充満。タレ付き肉を焼いているので、なおさらだ。
そして、行列は前に進んで厨房へ。そこでは、オモニたちがたくさんコンロを並べて、一生懸命チヂミを焼いていた。どう見ても「そばまつり」の出店ブースではない。しかも、飛び交う言葉は全部朝鮮語。見ていてなかなか楽しい。

冷麺の茹でがま

冷麺プレス機

肝心の蕎麦、いや、冷麺はちゃんと作っているのか?と心配になるくらいの厨房の雰囲気だが、ちゃんと奥にはゆで釜があって、冷麺がゆでられていた。しかし、手前にチヂミ工作部隊がたくさんいるので、ゆで釜の方はほとんど見えないありさま。
そんなゆで釜だが、時折「プシュー」という空気圧縮音がする。これまた場違い感ありあり。なんだ、この工場のような機械音は。

よーく見ていると、ここのゆで釜の上には、なにやら謎の機械が据え付けられていた。どうやら、その機械が時折プシューと音を立てているらしい。常にゆで釜職人が釜の前に立っているので、その様子はうかがい知れない。

・・・ああ、分かった。冷麺って、蕎麦玉をところてん方式で押し出して、出てきた麺がそのままゆで釜にダイブ、という方式だったっけ。その機械が釜の上にあるのだった。プシューという音は、機械が生地を押し出した時に発する音のようだ。

会場脇には、丸太製の「テコの原理で、自力で押すタイプ」の麺押し出し機が飾ってあった。さすがにこれは今となっては実用的ではないので、飾りだ。

冷麺

冷麺アップ

やってきました、冷麺。

ゆで玉子半分、キュウリ、海苔、胡麻がトッピングされていて、キムチがついて500円というのは安い。さすがに金属製の容器や箸ではなかった。運搬時に重くなるので、軽量のプラ容器にしたのだろうか。

冷麺についてはあまりたべたことがないので、何とも評価のしようがないのだが、味が薄くぼんやりした印象をうけた。これは、これまで何軒も濃い醤油味のそばつゆで蕎麦を食べてきたせいであり、このお店のものが特に薄いのかどうかまではわからない。あと、麺同志がくっついてしまっており、ほぐすのにえらく苦労した。で、ようやくたべてみると、こんにゃくとグミを足して二で割ったような食感で、蕎麦の味というものはとりたててしない。

・・・と、いろいろ書いたが、これって全部「日本蕎麦」に感覚も頭脳も染まっているからこその見解なのだろう。冷麺には冷麺の食べ方があり、美意識というものがあるのだろうから、この料理はこれで良いのかも知れん。料理はこれだから難しい。

鮎の塩焼きを売る屋台

焼き鳥屋台

ここから先は小さなブースが軒を連ねるゾーン。腹ごなしに歩いてみることにする。
今年もいろいろな食べ物や物が売られていて、見て回ると楽しい。

写真上は、鮎の塩焼きを売る屋台。下は、焼き鳥を売る屋台。座ってたべる場所がないので、こういう立ち食いができる軽食類は人気だった。

鮎は小さいのが500円、大きいのが1,000円。さすが1,000円するだけあって、やたら立派な鮎だった。

けんちん汁

しし鍋

大釜でゆでられているけんちん汁。あー、去年もあったな。今年も頑張って販売中。
一方、別のブースではしし鍋が売られていた。いずれも200円という手頃な価格。ちょっと温かい汁ものが欲しいときには重宝しそうだ。

こういうブースをみるにつけ、毎度毎度「いいなあ」と思うのだが、蕎麦ばかり食べている身分故、結局手が出せないまま会場を後にしてしまっている。つくづく残念だ。

自分が死ぬ間際、「死ぬまでに一度でも、そばまつりで蕎麦以外のものをたべたかった」と言い残すかもしれん。

でも、言い残したとしても、恐らくおかでんは孤独死するだろうから、誰もその遺言を聞く人が居ないという笑い話になるが。

大笹牧場

コロッケ屋台

コロッケ人気は相変わらずだ。この近くにある霧降高原の大笹牧場が、コロッケ屋台を出していた。そこには結構な行列ができていた。蕎麦食べたあと、油っちいものを食べたくなるという心理の他にも、「揚げたてコロッケ」に対して潜在的なニーズがあることの証拠だ。

今の勤め先を首になったら、移動屋台でコロッケ店でもやろうか、と思った。あ、でも「コロちゃんのコロッケ屋!」が倒産した過去もあるし、コロッケ店で一旗揚げるのは難しいのかね。

昨年大行列を作っていた、足利食肉事業協同組合もコロッケ屋台を出していたが、これがまた昨年を上回る大行列。大笹牧場どころの数じゃない。完全に常連客がいるな、これは。

[8軒目:韃靼そば 札幌長命庵 12:33 もりそば 500円]

韃靼そば 札幌長命庵

テレビで放映されたことをアピール

物産コーナーからまた蕎麦合戦会場に戻る。さあて、次はどうしたもんかな。次は8杯目になるので、終盤戦であることを意識しながら、店を選ばないと。

結局、比較的行列が短かった「韃靼そば 北海道長命庵」を選んでみた。ダッタンそばは正直食べたいと思わないのだが、食わず嫌いもいかんだろう、ということで行列に参戦してみることにした。このお店、松本そば祭りで完全スルーしたので、日光そばまつりでようやくランデブーだ。

NHKのテレビで紹介されました、という大きな看板が、俗っぽくてちょっとイヤだ。こういう「マスコミで紹介されました」というのをお店中に切り貼りしている店が時々あるが、「そうなのか!」と思う客と拮抗する数だけ「うわ、下世話」と思う客がいるはずなので、広告宣伝としてはあまり得策ではないと思う。

もりそばアップ

長命庵厨房

もりそば、かけそば、にしんそば、えび天そばの4種類がお店にはあった。全種類、問答無用でダッタンばだ。「普通の蕎麦粉で打った蕎麦もあります」というわけには、さすがにいかない。ダッタンそばをゆでると、ゆで湯が真っ黄色になるため、釜を分けないといけないからだ。蕎麦とうどんを一緒にゆでる、食堂や立ち食い蕎麦店とは訳がちがう。

厨房はアルミの衝立が立っていて、中があまりよく見えなかった。カウンターテーブルのすぐそばでえび天を揚げているらしい。面白い厨房レイアウトだ。

ダッタン蕎麦のもりそば

ダッタン蕎麦のもりそばアップ

ダッタン蕎麦のもりそば。さすがに色がちょっと黄色っぽい。

アップの写真を見ればわかるとおり、なにやら普通の蕎麦と違ったぬめりとてかりがあるのが特徴。

残念ながら口に合わなかった。ねっとり、まったりした食べ応えが好きになれず残念。食感が好みではない。ただ、ダッタン蕎麦独特のえぐみは無かった。

普通の蕎麦と同様の風体と容器を使っていると、頭で思い描く味と実際の味のギャップに戸惑う事になる。これはこれで、ダッタン蕎麦というジャンルを作れば良いわけで、もっと違った形に進化しても面白いと思う。容器と盛りつけを変えて、「これは普通の蕎麦とは違うんですよ」と外見でアピールするだけで、随分と食べる側の認識は変わるんではないか。

うーん、これは温かいつゆで、ニシンそばにして食べた方が美味かったかもしれん。何でもかんでも、もりそば至上主義というおかでん自身のスタイルは良くないな。TPOをわきまえないと。

越前そば道場 ふくいそば打ち愛好会

越前そば道場 ふくいそば打ち愛好会。

500円のおろしそば一本で勝負。おらがそばはコレだ、と断言できる特色のある地からの参戦は、非常に分かりやすい。

ここもそれなりに混んでいた。昼過ぎの12時40分ということもあって、どこもそれなりに混んでいるのだが、しかし全体的に来場の皆様、やや足取りがゆっくりして、顔つきも朗らかになっている気がする。既に1杯ないし2杯は蕎麦を食べ、精神的余裕が生まれている時間なのかもしれない。

いばらき蕎麦の会

いばらき蕎麦の会。

蕎麦打ちのパフォーマンスが目立つブース。外から見えるところだけで4人もの職人さんが蕎麦を打っている、圧倒感。

ただ、その分厨房が回っていないようで、客席は空いているけど行列は長いという状態になっていた。

鵜の会 大江戸庵

そば湯が入っているやかん

鵜の会 大江戸庵。

こちらも行列が長い。激しい弾幕に厨房必死に応戦中なれど、弾不足により後手後手に回っている。さすがに、どのお店も来場者の三角波に煽られて横転寸前状態だ。客足が少ないときに作りおきしておく、というわけにはいかない料理だから大変。昼間のビジネス街の弁当屋台のように、どんどん売りさばくというわけにはいかない。

この大江戸庵、お品書きが高い目線のところに陳列されておらず、しかも店頭には行列ができていたので何を売っているのかさえわからなかった。食券買って中に入ってみたら、うどんがでてきてびっくり、なんていうドッキリがあってもおかしくないくらいだ。

札幌手打ちそば愛好会

札幌手打ちそば愛好会メニュー

札幌手打ちそば愛好会。

北海道からの出店が多いし、その他地域からの出店でも北海道産の蕎麦粉を使っているところが多いので、もう何がなんだかわからない状態になってきている。

ここは、北海道からやってきましたー、というごあいさつの定番として、にしんそばと天ぷらそばも提供している。それは普通なのだが、一風変わっているのが花巻そばも扱っていることだ。花巻そばとは、もみ海苔をかけそばの上に載せたものだが、こういうそば祭りで扱っているのは初めて見た。シンプルな料理でありどこの店でも提供できるものだが、メニューを小数精鋭化させる時点で、まず生き残れない地味な蕎麦だと思う。このお店は果敢にもメニューにラインナップ。

ただし、その結果、お海老様2匹が乗っかったえび天そばと同額になってしまっているのがなんともアンバランス。この場合、花巻が高いのではなく、えび天が安すぎるのだが。

このイベント開催中、どれだけ花巻そばが売れたのか興味がある。

[9軒目:会津田島 御蔵入そばの会(福島県) 12:49 ざるそば500円、かき揚げ100円]

会津田島 御蔵入そばの会

会津田島 御蔵入そばの会メニュー

なんて読むんだろう、という蕎麦ブースがあった。御蔵入そばの会、だって。お蔵入り、と読むのだろうか。だとすればあまり縁起の良い名前ではないのだが、毒のあるしゃれっ気からネーミングしたのだろうか?

・・・と思ったら、御蔵入、っていうのは地名だった。じっさい、「おくらいり」と読むらしい。会津田島といえば、会津若松と鬼怒川の間くらいにある場所。それほど遠くないところに、「葱を箸代わりにして食べる蕎麦」でおなじみの大内宿がある。あのあたりは山ん中なので、蕎麦で食卓を彩っていた過去があるのだろう。

とはいえ、蕎麦粉は福島の最新作「会津のかおり」だ。会津のかおり、今年はあちこちで使われているな。常陸秋そばのようなブランドになるかどうか、今後に注目。

このお店は比較的空いていたので、並んでみる事にした。

もうこれで9軒目、そろそろ打ち止めの時期なので、天ぷらも食べてみることにしたい。ちょうど100円でかき揚げがあったので、ざるそばと共にかき揚げも注文しておく。

そば打ち用テント

お隣の大江戸庵、自ブースの脇にそば打ち用テントを自らしつらえてそば打ち中。

人数を数えると5名もの職人さんがひたすらそばを打っていた。これでも、売れていく蕎麦のスピードには追いつかないだろうから、朝早くから仕込みをしてある程度ストックしておいて、後はひたすら消費に追いつかれないように打って打って打ちまくらないといけない。蕎麦切れになったら大変なので、職人さんも必死だ。前日のうちに作り置きしておくというわけにもいかないから、体力勝負。頑張れ頑張れ。

食券

客席の中に水道管

食券が、手書きでちょっと心和むデザインでよろし。

かき揚げを単品で注文できる、ということは、「かき揚げダブルで」とか「よーし、パパかき揚げ10枚!」なんていうお大尽な食べ方もできる。かけそばにかき揚げがうずたかく積み上がった光景はさぞかし壮観だろう。下品だけど。

列を作って並んでいる間、ふと足元をみたら客席の下を配水管が通っていた。このパイプを避けるように、椅子や机が並べられている。蕎麦イベントは水、ガスともに相当使うので、こういうインフラ整備は大変だ。特に、水がチョロチョロとしか出ません、とかガスの火力が弱いです、となったらイベントそのものが成立しなくなってしまうので大変。

ざるそば

ざるそばアップ

ざるそば。聞くと、十割蕎麦だそうだ。十割蕎麦を二八と差別化し、割高で売る店もあるが、500円で出す店もある。店ごとに原価計算と利益と戦略の思惑が違う。
十割ではあるが、麺は細めだし長く繋がっているしボソボソ感はないし、おいしく食べられた。9軒目ということで随分頭がぼんやりしてきたが、それでもこの蕎麦は今までの中で一番自分にはしっくりときた。

つゆは平凡だと思ったが、蕎麦とあわせた時に蕎麦の甘みを強く引き出して、とても良かった。時々、「つゆに漬けた方が、蕎麦の味がより強調される」ものに出会うから不思議だ。どういう仕組みなのだろう。

一方、かき揚げは、調子にのって「ダブル」とか「トリプル」にしなくて良かったとつくづく思った。小麦粉が多いかき揚げが冷えたらどうなるか、今更説明するまでもあるまい。

しかも、1/2きれで100円というのがさらにがっかり感増強。かき揚げを食べるんだったら、かけそばにするべきだった。完全に選択をミスった。

赤かぶと大根の漬物サービスだそうだ

赤かぶと大根の漬物

このお店、「赤かぶと大根の漬物」がサービス、となっていた。

甘みと酸味がほのかにあり、お口直しとして結構でございました。

原材料を表示

そろそろ最後の一杯だな、ということで、自分のおなかの出っ張り具合とやる気と、お店の空き具合を見極めながらもう一周会場内を回る。

相変わらず茶そばの店は空いている。先ほどは気がつかなかったのだが、ここは黒板で本日の原材料を提示していた。洋風なお店の日替わりランチ御案内、みたいで面白い。

いろいろ書いてあるのだが、茶蕎麦に使っている抹茶は京都の小山園のものを使っているそうだ。なるほど、蕎麦粉に拘るだけでなく、お茶にも拘らないと、納得の茶そばというのはできないのだな。そもそも、抹茶を使っている事すら知らなかった。

どうでも良いが、黒板の中に「いまいちのおいしい水で打っています。」と書いてあって、笑った。イマイチなのか、おいしいのか、どっちなんだ、と。よく考えると「今市のおいしい水で、蕎麦を打っている」という意味なのだった。

幌加内そば

延々と続く大行列

長蛇の列だった幌加内そば、ようやくこの時間になると空いてきたな・・・と思ったが、店の脇から覗いてみると、いやいやいやいや、ものっすごい行列ですぜ、これ。このブース、会場の端ということもあってうなぎの寝床状態のような奥深いスペースが与えられていたのだった。手前のテントでは食券などの販売とそば打ち、そして飲食スペースがあって、随分と奥に厨房テントがある。そこまでの間20mくらい、行列がびっしり。何がそんなに人を並ばせるのだろう。さすがにこれには恐れおののいて辞退申し上げた。

客足は随分落ち着いてきた

13時を回ったので、客足は随分落ち着いてきた。新しく会場入りしてくる人の数が減ったからだろう。後はどんどん減っていくだけ。10時から15時、と短い時間のイベントだが、実際それで過不足ない客の流れだ。

「トレーラーハウスで手軽で楽しいキャンプはいかが?」

お手洗いついでに、会場内にあるサービスセンターに寄ってみる。この会場はもともとキャンプ場なので、普段はセンターハウスとして使われている施設だろう。

お手洗いの前では、どこのそば店にも負けない勢いで長蛇の列を作っている女性陣。なんとも殺気立っている。人出が見込まれる場所では、女性というのは圧倒的に不利だ。女性でも立ちションできるトイレをたくさん設置すべきだと思う。国立競技場の競技トラック地下には、女性アスリート用の立ちショントイレが実在するし。

冗談は兎も角、実は仮設トイレがサービスセンター外に設置されているのに気がついていない皆様ご苦労様です。よっぽどお伝えしようかと思ったが、「仮設トイレなんて汚くて使いたくない」という主義主張の方なのかもしれないので、そっとしておいた。

サービスセンターの壁面には、「トレーラーハウスで手軽で楽しいキャンプはいかが?」という掲示があった。そういえば、ここの蕎麦ブース、あちこちのトレーラーがあったり、キャンピングカーが停まっていたが、あの中で寝泊まりできるということなのか。なるほどー。それはちょっと面白い。

自家用車にテント詰め込んでオートキャンプするも良し、手ぶらでやってきてトレーラーやキャンピングカーに泊まるも良し、という事なのだな。

トレーラーの中には、冷蔵庫やテレビのほかにも、食器や鍋包丁まで全部そろっている。要するに、貸別荘のようなものだ。5人用で16,000円なので、安く素泊まりしたい、さらに自然の中で寝泊まりしたいという人には最適。翌日は朝から日光や鬼怒川方面に繰り出せるので、立地も良い。お奨めだ。

日光の紅葉1

日光の紅葉2

11月頭の日光はちょうど紅葉シーズン。

色づいた草木がとても奇麗だ。写真左の木なんて、絵で描いたかのような美しい色になっていた。

会場を歩いていると、道行く人から「蕎麦はもう食べたくない」「見るのもイヤだ」という声が漏れ聞こえてきた。みんな大変らしい。

おかでんはまだまだ食べる余裕があるのだが、とにかく喉が渇いてたまらん。しまった、自宅からお茶か水を持ってくれば良かった、と思ったが後の祭り。会場から出るのさえ一苦労な立地なので、会場内の飲料売りから飲み物を買うしかない。おかげで飲み物屋台は大繁盛、自販機はお茶や水が売り切れランプというありさまだった。500mlのお茶を買い求め、一気に飲み干した。それでもまだ飲み足りない感じ。塩分、摂りすぎだよなあ。

最後の一杯を探してうろつく。

行列ゼロのところが増えてきはじめたので、選択肢に困ることはない。

札幌手打ちそば愛好会をラスト1軒にしようとしたのだが、メニューをよく見ると使い捨て容器に盛られている写真だったので、やめた。使い捨て容器で提供されると、蕎麦が2割がた味が落ちて感じられるからだ。残念。

結局、ここにした。

[10軒目:分桜流・彩次郎蕎麦打ち会(埼玉) 13:35 十割そば 500円]

分桜流・彩次郎蕎麦打ち会

十割そば食券

カラー印刷、しかもミシン目が入っていて半券を分けることができる手の込んだ作り。

ここも十割そばだけど500円。先ほど、十割そばに700円を払って食べたのが勿体なく感じられてしまう。もちろん、どのような価格帯の蕎麦粉を使っているのかは店次第なので、単純に高い・安いと言えるものではないが。

十割そば

十割そばアップ

ゆで時間が短い麺なのか、どんどんゆで上げてばんばんお客さんに提供していた。そのおかげで客の回転が大変スムーズで快適。

蕎麦は十割とは思えないくらいの喉越し、歯ごたえ、麺の太さ長さで快適。つゆは相当辛く、後まで尾を引く辛さだった。

隣の韓国そば料理で、びしばし肉が焼かれているために煙がこちらまで到来。蕎麦食べていて、焼肉の濃厚な臭いはちょっと勘弁して欲しい。タバコではないけど、これは一種の煙害。でも、十杯目の蕎麦なので、気分転換も兼ねてこの香りを薬味に蕎麦を手繰るのは悪くないと思ったが。

十割でも長い蕎麦

十割でも長い蕎麦。

こういうのが結構あちこちで見られるようになったので、「十割だから短い蕎麦でも仕方がない」というのはちょっと苦しい言い分に感じられる。十割で短いのがこのご時世で許されるのは、「東京風に蕎麦を手繰るなんて粋がった事やってられっか」と我が道を行く、田舎蕎麦の世界だけなんじゃないか。

達磨ブース

最後、いわはし館の「祝言そば」でシメようかと思ったのだが、そこそこお客さんがいるのと、そこまでして食べる必要はあるまいと我に返ったので、やめた。今日はここまで!退却しよう。

第一会場に移動し、後回しにしていたこちらの物産ブースを見て回る。もちろん、おなかいっぱいなので今更何ら物欲はそそられないので、冷やかしに過ぎないのだが。

ブースの奥に、別格扱いで「達磨」がある。せっかくだから見ておこう。

時間が時間だけに、もう行列はいない。

早くも後片付け中

サインに応じる高橋氏

そば打ちをやっている場所を覗いてみると、高橋氏はお弟子さんと一緒に後片付けをしていた。朝早い分、15時ぎりぎりまでの営業はしないようだ。
高橋氏は随分と腰が曲がっていて、老婆のような姿勢だった。蕎麦を打ち続けたためになってしまった職業病だという。毎朝、起きたらまず腰のストレッチをしているそうだが、それでもくの字に曲がっているのだから、すごい職業魂だ。

片付けをお弟子さんに任せたら、裏に下がるのかと思ったら店頭に出てきてサイン会を始めた。蕎麦は売り切れでもファンサービスをするのだから、この人ホントに蕎麦馬鹿だ。つくづく凄い人だわ。本当なら、裏方に徹して銭ゲバにだってなれる立場なのに。

達磨の看板

達磨の看板だけは、高橋氏の似顔絵が描かれている凝りよう。

達磨の整理券と食べられる時間の目安表

ブースの片隅にホワイトボードが掲げられていた。

整理券と時刻の目安がそこには書かれていた。

どうやら、整理券配布は1,000枚、つまり1,000人分の蕎麦を提供するということだ。13時以降整理券無効、と書かれている。13時閉店なのだから、超特急だ。やっぱり、整理券をゲットしたければ相当早くに到着していないとダメだろう。昨年、10時時点で整理券切れだった事を考えれば、8時くらいには到着していないとアウトっぽい。なんとも凄い世界だ。

さらに、1,000人×700円ということで、一日の売上は70万円。4日で280万円なのだからすごい売上だ。とはいえ、常設店ではないので、こういう売上が見込めるのは月に数日だけだ。儲かっているように見えるが、案外大変だとは思う。

軽食売店

第一会場内にある軽食売店。ソフトクリームやポテトフライなどが売られている。

メニューの中には、天ざる蕎麦をはじめとする蕎麦の類もあった。

果たして今日、どれだけ蕎麦は売れたんだろう?

シャトルバス乗り場の案内

シャトルバスを待つ行列

さあ、帰ろう。

「さよーならー」とすぐに退却できるわけではない。まずは駐車場まで行かないと。その前には、シャトルバスに乗らないと。さらにその前には、バス待ちの大行列に並ばないと。やれ、面倒だ。

駐車場の車まで4kmほどなので、腹ごなしで歩いても良かったな。今日はどう考えてもカロリーオーバーだし。

すっかり車が減った駐車場

14時45分にもなると、さすがに駐車場は空いていた。ホント、立ち上がりが早くて退くのも早いイベントだ。さあ、ぱんぱんになったおなかをさすりながら、家に戻ろう。この時間から家に帰ると、帰宅後昼寝できる時間だ。蕎麦の夢でもみようじゃないか。