日光そばまつり2008

2008年11月01日
【店舗数:—】【そば食:404】
栃木県日光市瀬川

合計11杯のもりそばでおなかいっぱい

スペーシア
特急券自動券売機

新蕎麦の季節到来。最近めっきり蕎麦喰い人種らしくない日常生活を送っているので、今年こそはとフンキするところがある。とはいっても、新蕎麦シーズン立ち上がりの10月はほぼ「見逃し三振」で終わってしまい、今年も蕎麦がうまい時期をまんまと見過ごす恐れ大。危機感は感じていつつも、「とはいってもやっぱり今年も蕎麦食べ歩きはしないんだろうなあ」と思うと少し寂しい。

そんなわけで、今年こそはせめてそばまつりに行こうじゃないか、と思った。何軒もの蕎麦屋巡りができないであろう分を、一回のそばまつりでまとめて償うつもり。目指せ、10枚の蕎麦喰い。

そこで真っ先に思い出すのが、過去2回お邪魔した金砂郷まつり。しかし今年はここには行く気が起きなかった。というのも、金砂郷町が「平成の市町村合併」で常陸太田市となった年の内容がなんとなくお粗末だったからだ。場所も全く変更になっていたし。高い品質の蕎麦が栽培されている金砂郷で開催してこそ、味があるというのに。実際に行っていないので本当にお粗末だったかは断言できないが、なんとも食指が動かないイベントだった。

そんなわけで、最初から金砂郷は除外した状態で、関東近縁のそばまつりを調べてみた。すると、真っ先に出てきたのが「日光そばまつり」。そういえば、この存在は知っていたけど行ったこともないし、行こうと思った事もなかった。ちょうど金砂郷まつりの一週間前に開催されるのが定番行事で、高橋名人率いる広島の「達磨」はこの二つのそばまつりをハシゴしている事だけ知っている。
達磨のオフィシャルサイトには、高橋一派の行動スケジュールが掲載されていて興味深いのだが、それを見てみると日光そばまつり後、いったん広島に車で戻ってから、その後体勢を整え直して金砂郷に出陣という予定になっていた。すげぇ。新幹線移動ならともかく、車での北関東と広島の往復連続は相当きつい。

で、あらためて日光そばまつりについて情報収集してみて、ぶったまげた。金曜日+3連休を利用して都合4日の開催、と外枠だけでもスケールがでかいが、出店しているそば店の数が最大24店舗ときたもんだ。おい、金砂郷の倍あるぞ。何てぇ規模だ。「全店食べ歩き」なんてとてもできた状態ではないぞ。

こんな巨大な規模のそばまつりを今まで見逃してきたというのは非常に悔やまれる、というか自分の無知を恥じろ。24店舗の蕎麦店(含む同好会)が一堂に会して「おいでおいで」と手招きしているのだ、その招待に応えないわけにはいくまい。

ただ、どのお店に行くなんてことは全く考えなかった。せいぜい、「10時のイベント開始時間ちょうどには達磨に行こう」程度の考えだ。ずらりと並んだお店一覧を見て、とてもじゃないがどれにしようと事前情報収集する気力と体力が無かった。敵の数は多すです。検討する意欲がなくなります。とりあえず、達磨だけはきっちり押さえておいて、残りは店の様子と腹具合をみつつ決める事にした。

最寄り駅に9時45分くらいにつければ良いかなあ、と思って時刻表を調べた。最短なのはJR東日本と東武鉄道が共同乗り入れしている「特急・日光」。新宿始発であら不思議、気がついたら鬼怒川に着いちゃってますというお便利列車。最近登場したやつだ。しかし、これが結構良いお値段しやがります。検討の結果、ちと面倒臭いが大宮まで埼京線で出て、東武野田線で春日部に行き、そこから「特急・スペーシア」に乗る事にした。東武野田線なんてこんな機会がないと乗ることはないだろうから、ちょうど良かった。

春日部駅のホームでは、当日特急券の販売機があったが「満席」の表示。悪いね、昨日最後の1枚をおかでんが東武トラベルでせしめたのですよ。3連休初日なので、事前手配しておいて良かった。

上今市駅
上今市駅のホーム

日光そばまつりの会場は「日光だいや川公園オートキャンプ場」。地図で調べてみたところ、最寄りは東武日光線の上今市駅ということが分かった。ただし、今乗っているスペーシアはあくまでも鬼怒川行きなので、一駅手前の下今市でさようならだ。ここから各駅停車に乗り換え、上今市駅に到着。

上今市駅は小さな駅で、こんなところでそばまつりが、と若干不安になる。何もない。駅前にロータリーもない。今日はそばまつりの日ということもあって有人改札だったが、普段は無人駅っぽい。

本当にここかな、と思ったが、ちゃんと「日光そばまつり」ののぼりが駅前にはためいていたので頼もしく思った。さあここから現地まで歩くぞ。地図も何も持参していないが、産まれもって地理感は良いほうなので多分たどり着くと思う。

下今市駅から会場までは臨時シャトルバスが運行されているというのはオフィシャルサイトで読んだ。しかし、その臨時シャトルバスがどれくらいの頻度で来て、運送能力がどの程度あるのかが全くの未知数。やけに待たされたりするのはイヤだし、10時達磨必着の目標の前に、不確定要素を入れるのはイヤだった。だから、一番確実な「最寄り駅から徒歩」を選んだ。

日光そばまつり会場への道

それにしてもなーんもないわ。

いや、あるんだけどね、家とかなんとか。でも商店はない。そして、真っ直ぐに伸びる道。関東平野の最果てだな、正面に見える山は日光の山々。

てくてく歩く。一人で歩く。会場の気配は全くしないけど、なんとなく覚えている地図をトレースしつつ歩く。

歩いている間に、オフィシャルサイトに書かれていた情報をもう少し深掘りしておこう。

このサイト、一般来場者向けに公開しているのは当然として、出店希望者に対しても情報公開をする場であるというのが面白い。だから、出店における裏事情、財布の中身まで見える仕組み。

出店費用は歩合制なのだと思っていたのだがそうではなく、完全定額制だった。蕎麦店出店の場合、土日は1日3万円、平日は1日2万円。つまり、4日間通して出店しようと思ったら、総額11万円の場所代ということになる。思ったより安いな、というのが印象だ。

そして、ご丁寧にも出店要項までもがサイトに掲載されているのだった。面白い内容だらけなので、順を追って紹介していきたい。

まず蕎麦の値段が「原則として500円」と指定されているのが興味深い。金砂郷まつりに行ったとき、達磨を除き全ての店が500円だったことに偶然性を感じたものだが、多分あれは主催者意向によるものだったんだろう。やはり、蕎麦というのは生産地だの製粉だのにこだわりだすと値段がどうしても高くなってしまう。そばまつりというイベントをやる以上、来場者には気軽に食べ歩いて欲しい、というのが主催者の願いだろう。だから、500円というワンコイン設定が行われたと思われる。ただ、「達磨」だけは恐らく日光においても特例で700円だと思われる。この店だけは治外法権。ゴッドハンドが生み出す蕎麦は高くても許すんだろう。他店より高くても他店より行列できるもんね、この店の場合。

値段が決められているなら量を減らして質で勝負、という発想をしてくる店も当然あるだろう。「量が少なくてめっぽう高い蕎麦店」というのは江戸前蕎麦を中心に探せばいくらでもある。しかし、その点も主催者は抜かりがない。「1食生麺で120g程度とする」と明記してあった。量を固定するだけでなく、「生麺で」という明確な基準を作るあたり、相当手練れな主催者だ。ここで「生麺」という指定がなければ、「ゆでた状態で120g」を出す店が出かねない。そういう抜け道をちゃんと塞いである。

主催者側が各店舗に用意してくれるものがなかなかご丁寧だ。ざっと列挙すると、
テント、業務用ゆで釜、角丸シンク、カマド、大鍋、三重コンロ、流し台、調理用机2台、販売用机2台、物置台用机4台、食事用机3台、椅子18脚、ガスボンベ2本
なるほど、ゆで釜とかシンクは全部手配してくれるのか。各自が持ち込んだりレンタルするのは大変だろうなあと思っていたが、さすがにそんな事は無かったわけだ。各店舗バラバラにレンタル業者と契約して、バラバラに設備搬入なんてしていたら大騒ぎになってしまう。

あと、ガス水道は無料。まあ、これはそうだろう。でも、蕎麦の場合水道を非常に多く使う、というかほとんど出しっぱなし状態になるので結構大きなサポートになる。といっても、水道は当然日光市が管轄しているわけで、たくさん使われたからといって懐が直接痛むわけではないが。でもガスは財布からお金がでていく。

これだけモノを提供し、光熱料を負担し、会場整備やシャトルバスなど大がかりな運営体制を敷いて、実入りが1店舗あたり上限3万円というのはちょっと驚きだ。日光市は慈善活動でもやってるのか。歩合制なら、来場者が多いほど日光市の懐にお金が入って、運営費の足しになるのだがそういう制度はとっていない。あのー、すいませんが、ボクそばまつりで蕎麦食べまくったら、そのまま帰りますよ?日光市に一円も落とさないですけど、それでよろしかったでしょうか?(今風の言い方)

会場警備や交通整理など、バイトを雇うことができるという小規模な景気対策の公共事業なのだろうか。それは考え過ぎか。

まあ、日光市の思惑をここで詮索しても結論はでないのでやめておく。

最後にもう一点だけ、気になった事を挙げておく。「そば容器:使い捨て容器は不可とする」と書かれていた。最近のエコロジーな流れに沿って、使い捨て禁止ということだ。恐らくこれは2008年現在の他のそばまつりでも同様の施策が行われているだろう。2005年に金砂郷のそばまつりに行った時は、まだ使い捨て容器での提供店はあった。

この「使い捨て容器不可」というのは、出店の大きなハードルとなる。器を洗う人員を用意しなくちゃいかんという要員の問題もさることながら、容器を少なくとも数十用意しなければならないからだ。お店を独自に構えていて、そこから持ってくることができるならば問題はない。でも、「お店とそばまつりを同時並行で営業」するならそういうわけにもいかないので、そばまつり用に用意しなければいけない。また、そばまつりには蕎麦同好会の類の出店があるわけで、彼らは年中蕎麦で食べているわけではない。蕎麦容器一式そろえる出費はバカにならない。となると、「松本そばまつり」で出店していた「飯田女子高校」なんてのは多分日光そばまつりでは無理だろうな。

日光そば祭り会場

そんなことを考えながら、大通りに合流してさらに歩いていくと、前方にたくさんの「日光そばまつり」ののぼりが並んでいるのが見えた。どうやらあそこが会場らしい。

会場は第一と第二に別れていて、右側が第二、左側が第一だ。第一会場は主に物産店で構成されており、イベントステージもある。そんな中、唯一ぽつんと「達磨」だけが蕎麦ブースとして出店しているのが異様だ。

やはり、達磨だけは行列が違うということなのだろう。他店と同列に並べてしまうと、なにかと行列さばきが面倒なことになると主催者は踏んだのだろう。その結果の隔離プレイ。

達磨カー

蕎麦屋密集地帯である第二会場には背を向け、まずはお目当ての第一会場の達磨を目指す。ちょうど時刻は10時。我ながらナイスな時間配分だ。

柵を乗り越えて会場裏から入ったので、ちょうど達磨ブースの裏手に出た。そこには、真っ赤ないかつい車が停まっていて、大いに目を引いた。消防車のようだが、そうではない。「達磨」の字とダルマのロゴが。これが通称「達磨号」で、高橋氏とそのお弟子さん御一行はこの車に機材一式人員全員乗って全国を行脚する。何しろ、「どこへいっても同じ味を提供したい」という氏のこと、蕎麦打ち用の水まで持ち込んでいるくらいだ。そりゃこれだけ巨大な車になるわな。

それにしても、一歩間違えるとDQNな車に見えてしまうデザイン。これは高橋氏のセンスなのか。特に変な飾りをつけたりしているわけではなく、これをDQN車と言われると心外だとは思うだろうが、許せ。現にそう思った。

達磨ブースの裏手

達磨ブースの裏手。

たくさんの職人さんが働いている。やけに人が多い。テントもその分大きい。10人じゃきかない人数がこのテント内でひしめいている。一体どういう役割分担になっているんだ。

高橋氏の蕎麦を食べたいと思ってお客は詰めかけるわけであって、それが故に「おい弟子ども、君たち頑張って蕎麦を打ちたまえ」と左うちわでいるわけにはいかない。高橋氏が陣頭で蕎麦を打ち続ける。もちろん高橋氏は蕎麦マシーンではないので、一人で打てる数には自ずと限界がある。その分、分業したり分担してお弟子さん達も蕎麦は打っているとは思う。それにしてもこのテント、人らだけだな。このイベントが終わったら、広島の山奥に全員引きこもるのだろうか?謎だ。

達磨の行列

テントの表側にきてびっくり。うわあ、もの凄い数だ。行列は50名程度だろうか。行列は予想済み、ということで整列させるためのトラロープが張ってあるのがにくいところだ。

まだイベント開始時点でこの行列とは、呆れる。でも、これから昼に向けて来場者はますます増えるわけで、今食べておかないと後はない。ここで大きく時間を取られ、2軒目以降がちょうど昼時のピークにかぶってしまうのはイヤだが、仕方があるまい。達磨は並んででも食べる価値がある。

行列の末端あたりには、並んでいるような、並んでいないような、漠然とした人だかりができていた。この人達はなんだろう。行列に加わるべきかどうか思案しているところだろうか。そんな事やってたら全然蕎麦にありつけませんよ、さっさと並ぶが吉。最後尾にへばりついた。

すると、その「漠然としていた」おばさん連中の一人がやってきて、おかでんに話しかけた。

「今、何番くらいまで進んでますか?」
「へ?何番?」

一瞬わけがわからなかったが、すぐに「あっ、コノヤロー整理券配ってたんだな」ということに気付いた。そこまでしないとさばききれない来客ですかそうですか。

整理券、どうやって貰うんだろ・・・と店のほうに視線を送ったところで、店からスタッフがやってきた。「整理券番号360番台の方、お並びください!」と「漠然な人々」に声をかけている。なにぃ、360番台だぁ?一体どういうことだ。今、そばまつり開始時刻直後なんですけど。360番がこれから行列に並ぶ、ということは行列先頭は300番くらいということになる。もっと言えば、まつり開始時間の時点で、既に300人もさばいてしまったということになる。一体何時から前倒し営業してたんだ、このお店。

スタッフの方に、「整理券はどこで貰えますか?」と聞いてみたところ、「今日の分はもう終わっちゃったんですよー」と言われてしまった。ショック。10時に来てもう整理券無しか。ショックと同時に興味深かったので、「何時くらいに来ていれば整理券って手に入るモノなんスかね?」と聞いてみた。すると、「さあ・・・なんともいえませんが、今朝は5時15分くらいにはもういらっしゃっていた方がいましたよ」という回答。なんという執念。朝5時とは、想像の範囲をはるかに超えたありえへん世界だ。「5時かぁ・・・」と唸っていると、スタッフの方は「あ、でも5時過ぎにわれわれが来た時点で既にいらっしゃってた、ということであって、もっと前には来ていたと思いますけど」と補足。ひょっとして徹夜組か?何をやっとるんだ、蕎麦一杯のために。達磨、恐るべし。

この直後に録音したICレコーダーには、「そこまでして蕎麦喰いたいとは思わねーよバーカバーカ」という罵詈雑言が残されていた。明らかに悔し紛れだ。めっちゃ食いたいんじゃん。

多分、おかでん同様達磨を食べようとのこのことやってきた客が、この後数百人、数千人というオーダーではじき返されたのだろう。ご愁傷様です。達磨食べたかったら、まだ金砂郷常陸秋そばフェスティバルの方が空いていると思う。規模が小さいし、交通の便が悪いので来場者数が限られる。いや、でもわからんな、日光でこれだけの繁盛ぶりなら、金砂郷でも整理券になっているかもしれない。

少なくとも分かったこととしては、来年以降このそばまつりに行く事があっても、達磨を食べるのははなから諦めなさいということだ。朝早く整理券待ちをするほどのガッツはない。

物産ブース

達磨を本堂だとすると、仲見世通りの様相で物産ブースが並んでいた。いろいろ見て回りたいところだが、時間が惜しいので第二会場へと移動する。

第二会場へと向かう

陸橋を渡り、第二会場へと向かう。林の中に会場はあるようだ。そういえばオートキャンプ場って書いてあったな。

第二会場へと急ぐのは、来場者がピークになり、かつその来場者全員が「お昼ご飯食べたい」と思っている昼飯時は混む、ということを体験上知っているからだ。

多くのお店を回るためには、午前中にどれだけ行くことができるかが重要。

蕎麦打ち実演中

木立の間を歩いていると、野外で蕎麦を打っているのが見えてきた。蕎麦打ちのパフォーマンスか、それともブースを持たないゲリラ店舗か。

周囲を見ると、どうやらここはお店の裏手にあたる場所らしい。オートキャンプ場であるが故に、広さには制限がある。テントがそれほど大きくないので、厨房スペースと客席で既に満杯。結果、そば打ちは屋外で行っているという次第だ。これはその他のブースでも良く見受けられた。もちろん、デモンストレーションの意味をこめて店先で行うパターンが多いが、それだけでは供給が追いつかないので、裏手でひっそりとそば打ちをしている光景も多々見受けられた。

このお店は幸い、「店の裏手」が第一会場と第二会場を繋ぐ通路に面していたので、デモンストレーションが裏手でできたわけだ。

第二会場

第二会場メインストリートに到着。わおおう、自然の中に溶け込むように蕎麦屋が軒を連ねている。・・・いや、店の間に木々があるので「軒を連ねている」という表現は正しくないか。

なるほど、オートキャンプ場をそばまつり会場にした訳がよくわかった。一番手っ取り早いのは、金砂郷まつりのように小学校かどこかにテントを並べ、そこにお店を配置することだ。しかし、ここのようにオートキャンプ場だと、自然を愛でつつ蕎麦を食べることができる。蕎麦店同士も少しずつ間隔があいているので、行列が入り交じって大混乱ということがない。これを最初に企画した人、偉いな。

ただ、お店そのものはオートキャンプサイトの奥に引っ込んでいるので、どこに店があるのかがわかりにくい。それを考慮して、各店舗の前には木製の看板が掲げられていた。各店舗ごとに、オリジナルのロゴやフォントが採用されている本格的なもの。どのお店も同一サイズなので、主催者側が用意したのだろう。そこまでやるか、日光市。この看板作るだけで、出店料1日3万円をオーバーしちゃうぞ。

毎年恒例で参加している店舗がそれなりに多いだろうから、使い回しができるとはいえこれは結構豪快な施策だ。近づいて看板をしげしげと見上げてみたら、シールを貼ったものではなく、ちゃんとしたロゴの形に切り抜いた板を立体的に張り付ける作業が施されていた。感心することしきり。

会場案内の看板

第二会場入ってすぐのところにある、そばまつり会場案内。今日は、第二会場には22店舗が出店している。あらためてざっと店の名前と配置を眺めてみたが、結論としては「よくわからん。」というものだった。店の数が多すぎて、どこから食べて回ろうかなんて判断がつかない。

ええい面倒だ、とりあえす順番に片っ端から食べていき、おなかいっぱいになったらストップということにしよう。

どうせ、お店をのぞき込んだくらいでその蕎麦がうまいかどうかなんてわかりっこない。実際に食べてみるしかないのだよキミィ。

[1軒目:枡田屋(日光市) 10:12 二八もり 500円]

升田屋
升田屋厨房


ということで、「栄えある第一軒目」・・・というより「すぐそこにあったので選ばれた一軒目」となった枡田屋。日光市、しかも先ほど電車を降りた上今市駅の近くにお店を構える蕎麦店だ。そばまつりに出店している間、お店の営業はどうなっているんだろう?と思ったが、そばまつり会場案内を見ると10月31日と11月1日の2日だけ出店のようだ。さすがに4日もお店を留守にするわけにはいかん、と思ったのだろうか。

そばは「二八もり」。他に、山菜、きのこ、天ぷらなどの蕎麦類をメニューとして用意していた。天ぷらそばでも650円だからとても廉価だ。面白いのは、メニューの中にどさくさにまぎれて「おでん300円」があったこと。これ、誰が食べるんだ。

讃岐地方のうどん店にいくとおでんが置いてある事が多い。これは「(ゆで時間が相当長い)うどんを待つ間の場つなぎ」的意味合いがあるので、とても合理的だ。しかし、蕎麦店、しかもどんどんやってくる客に備えてびしばし麺をゆでまくっている状況において、おでんの出番ってあるのか。

・・・まあ、焼肉バイキングのお店に行って、ついついカレーライスに惹かれてしまいお皿によそってしまうようなものか。食べたい人は蕎麦そっちのけで食べたいかもしれん。おかでんの場合、今日の目標は10軒程度なのでおでんを食べている場合じゃない。

ココロを清らかにして、二八もり500円を購入。番号札31番。さすがに達磨とは違う。

厨房では既に慌ただしく職人さん、お手伝いさんが奮闘中。これだけの蕎麦店が腕を競い合う以上、店のプライドを掛けて「暇なときに大量にゆでおきを作っておこう」なんて手抜きは断じて許されない。製造業の受発注システムのように、在庫と製造がリアルタイムで連動していないといけない。需要予測エンジンの精度が、そのお店の蕎麦の味の1割から2割程度を決めてしまうといっても過言ではない。

そばまつり事務局から支給されているゆで釜やシンクを見る。相当にでかい。大きなゆで釜は常に沸騰しており、蕎麦を投入してもびくともしない熱量を誇る。そして、その横にはゆで上がった蕎麦を即座に締めることができるように流水で満ちあふれたシンクが。こうやってみると相当にガスと水道を消費する食べ物なのね、蕎麦って。

二八もり
二八もりアップ


おめでとうございます一軒目の蕎麦にいよいよご対面です。この日31人目のこのお店の蕎麦。

見た目とてもよろし。星が散っていて、食欲をそそる。麺の色合いと表面のざらざら感もおいしそうだ。

早速食べてみる。麺は細打ちだけど、しっかりしたコシがあり手繰りがいあり。好きです、こういう食感。挽きぐるみの蕎麦ということもあって、野趣溢れる蕎麦の風味が楽しい。後半、つゆに浸して食べると急に蕎麦の風味が分からなくなってしまい失敗。蕎麦って難しい食べ物だ。はかない風味を楽しむ食べ物なので、時には仲間であるはずのそばつゆに味を消されてしまう。

つゆは甘さと辛さのバランスがおかでんにとってちょうど良かった。ある意味「平凡なつゆ」とも言えるが、往々にしてそばつゆは何かの風味がが突出して尖った印象を与えるものであり、案外難しい。その点ここのつゆは満足でした。

いやあ、一軒目にして満足ですな。いいねいいね。

[2軒目:江戸流手打ち蕎麦 鵜の会(東京都) 10:16 せいろ 500円]

江戸流手打ち蕎麦 鵜の会
江戸流手打ち蕎麦 鵜の会厨房


二軒目は、枡田屋のお隣、「鵜の会」。東京は神田から来たということだ。「粋な江戸」というのぼりを掲げているが、自分で「粋」と名乗っちゃァ駄目でしょうと思うがどうか。

「会」という名前が付くとおり、お店を持っているわけではない。早い話そば打ち同好会だ。ただし、単に蕎麦打ち好きが集まっているだけではなく、結構本格的に「研鑽会」と称して練習や合宿を繰り返している模様。なによりも、この会の最高顧問が「上野藪蕎麦」の主人、鵜飼氏だ。あ、なるほど、鵜飼さんが最高顧問だから「鵜の会」という名前になったんだな。今頃気がついた。

店先では恐らく本職は別なんであろう人が、一生懸命蕎麦打ちをしていた。慣れた手つきだ。やっぱり、客の目に付くところで蕎麦を打つのは会の中でも特に上手い人、というルールでもあるのだろうか。客寄せパンダの役割を担わないといけないので、下手な人を前面に出すわけにはいくまい。

その「客寄せパンダ(花形スターとも言う)職人」の後ろにももう一人蕎麦を打つ職人さん有り。さらに、厨房奥でも数名が蕎麦を打っていた。先ほど、第二会場入りする直前に見えた蕎麦職人が、それだ。

とにかく猛烈にお客さんは押し寄せてくるわけであり、人海戦術で蕎麦を打って打って打ちまくらないと間に合わない。朝早くから仕込みは開始しているのだろうが、そんなものはあっという間にはけてしまうので、在庫切れになる前に先行逃げ切りしないと。職人さん大変だ。腰が痛くなりそう。

厨房の方も大忙し。多分、こういう蕎麦同好会は蕎麦打ちの鍛錬は日々怠りないとは思うが、客さばきなどの店舗運営はあまり経験が無いはず。だから、こういうそばまつりの時は慣れない作業でてんやわんやになると思う。逆に、だからこそ「僕は蕎麦打つよりも厨房に専念するよ」という人だっているかもしれない。

せいろ
せいろアップ


番号札101番で「せいろ」をいただく。「新そば」という張り紙がしてあったので、これは期待できそうだ。

一軒目の枡田屋と系統が似ているな、という最初の印象。蕎麦の味の方向性が似ている。あと、麺の太さもほぼ同じ。ただ、麺としてしっかりとした感じをより強く出しているのはこちらの蕎麦。ゆで加減は大差ないと思うので、こちらの蕎麦の方が粉をこねる際に水分を少なめにしているのかもしれない。

つゆとの相性はとても良かった。よく馴染んだ。反目しあうこともなく、つゆが蕎麦の味を殺すこともなく、これぞまさに「良い塩梅」だった。ただ、江戸蕎麦ということだけあって、辛さは強めに仕上がったつゆではある。とはいっても、辛くてたまらんというレベルではない。ああ、「上野藪」をお師匠さんにしているから、当然つゆは辛くなるよな。そりゃそうだ。

蕎麦湯

蕎麦湯。ポットで卓上に置いてあった。蕎麦店らしからぬ緑のポップなデザイン。

蕎麦湯が気軽に頂けるのはありがたいことだ。今回、いろいろなお店を巡ったが、蕎麦湯を用意してあるお店が大半だった。やっぱね、蕎麦の締めは蕎麦湯で決まりだ。

とはいっても、食べ歩きをしようとしている身分にとって、蕎麦湯はタブー。これ飲むとおなかいっぱいになっちゃうのよね。鵜の会の辛汁は蕎麦湯ととてもマッチしそうな気がしたが、飲むのはやめておいた。

※後注:執筆した後になって気がついたのだが、このお店は「大江戸めん祭り2005」に出店しており、既に食べた事があることが判明。

[3軒目:分桜流・彩次郎蕎麦打ち会(埼玉県) 10:24 十割蕎麦 500円]

分桜流・彩次郎蕎麦打ち会
十割そば食券


引き続き3軒目だ。デジカメ写真のタイムスタンプを見ると、数分おきに隣の店へとハシゴしていることがわかる。結構なハイペースだ。

鵜の会の隣は、今度は埼玉県の蕎麦同好会「分桜(わけさくら)流・彩次郎蕎麦打ち会」だ。ここも鵜の会同様、蕎麦愛好家が集って日々蕎麦打ちの研鑽を行っているようだ。そして、打つのが難しいとされる十割そばを今回は提供しようってぇんだから大した技術だ。

ここは結構混んでいた。他店とは違う「十割」という売り文句が、集客力につながっているのだろう。自分が購入した食券は169番。この時点で140番台の客が客席に呼び込まれていたので、約20人の行列。大した繁盛だ。

十割蕎麦
十割蕎麦アップ

でてきました。

先ほど二軒と違い、太めの蕎麦。十割だから細くしづらかったのか。蕎麦の太さはほぼ均一でお見事なので、職人さんはこの太さを狙って切ったと思われる。ただ、先ほど二軒で細麺をつるつるッと気持ちよく手繰った後なので、この太めの麺はややもっさりした印象になってしまった。

蕎麦の味はとってもクリアな感じ。挽きぐるみではないこともあって、雑味がない。中には、雑味をもって「これが蕎麦の風味でござい」という麺もあるが、おかでんはそういうのはあまり好きではない。蕎麦そのものの風味があってこそ、雑味も一興だと思う。まあ、これは個人の好みの世界だが。

ただ、クリアな味わいであるが故にか、突出した楽しさがない麺であるのも事実。お上品に終わってしまっている。この系統なら、もっとぱーんと華やかに蕎麦の香りがして欲しかった。

つゆは惜しい、自分の趣味に合わなかった。味がこなれておらず、いがいがした感じ。そして、蕎麦をつけて手繰ると、なにか生臭い香りがする。出汁を取る際の問題だと思われる。でもこれは仕方がないところではあるよな。常時営業している蕎麦店だったら、秘伝のつゆを継ぎ足し継ぎ足しして熟成させてまろやかにすることができる。しかし、時々しかつゆを使用しない同好会の場合、角がとれた熟成のつゆを作ることは難しいと思う。ましてや、今回のそばまつりのように、期間中数千人が訪れるであろう大規模作戦の場合はなおさらだ。

[4軒目:千葉手打ち蕎麦の会(千葉県) 10:52 野呂在来そば 500円]

20081101-036
野呂在来とは


「野呂在来」というのぼりが高々と掲げられているブース。野呂在来、という店の名前かと思ったら、あくまでもブース名は「千葉手打ち蕎麦の会」だ。蕎麦同好会、あちこちにあるもんだなと感心することしきり。まあ、実店舗を持っていたら、なかなかこのようなそばまつりに出店するのは難しいからな。

この千葉手打ち蕎麦の会は、四街道あたりを活動拠点とする蕎麦打ち同好会。他の同好会同様、そばまつりに出店したり、ボランティアで各種施設を巡って蕎麦打ちの実演をしたりしているらしい。

では、この謎の四文字熟語「野呂在来」とは何か。国語の試験で「次の言葉で四文字熟語を作りなさい。野○在○」と出題されても、絶対誰も答えられないと思う。「焼肉定食」みたいなうまい切り返しすら思いつかない。

どうも、のぼりの下で三味線を弾いている人が怪しい。あの人の名前が野呂 在来さん・・・なわけないよな。

券売を担当しているおばちゃんに聞いてみたら、野呂在来という蕎麦の品種なんだという。千葉県若葉区野呂町で明治時代から栽培されていた地元限定の在来蕎麦なのだが、今や絶滅の危機だとか。ただ、風味が強くて魅力的なので、千葉手打ち蕎麦の会が積極的に復興の音頭を取った次第。今回日光そばまつりに乗り込んだのは、その幻になりつつあった「野呂在来」を広く知らしめようという期待があってのことだ。後日新聞記事で調べてみたら、今回は800食限定での提供となるという。よって、4日間通しての営業は当然無理であり、2日間の短縮営業だ。

野呂在来のそば
蕎麦アップ


実はここの蕎麦を食べる前に、食券を買った後に向かいの「幌加内そば」に浮気しとりました。千葉手打ち蕎麦の会は行列が結構できていたのに対し、幌加内そばは比較的まだ空いていたからだ。

このお店で購入した食券は番号札になっていて、おかでんの番号は「88番」。まあ、他店で油を売って戻ってきた時点で既に88番は過ぎていても、問題はあるまいと判断した。仮に100番くらいまで番号が進んでいたとしても、番号が若い自分が優先的に行列に並べるだろう、という判断だ。

しかしこれが見当違いだった。このお店、番号札を食券売り場で発券した時点で、その番号(と、蕎麦の数量)が厨房に伝えられる仕組みになっていた。で、食券購入後並んだお客さんは、空席ができ次第店員さんに案内されて席に座る。その後しばらくすると、「○○番のお客様ー」と蕎麦を持った店員さんが客席を回り、該当者に蕎麦を渡すというオペレーションだった。

すなわち、多くの店が採用している「厨房の前で並び、蕎麦が載ったトレイを受け取ってどこか空いた席に着席する」というスタイルではなかった。要するに、「食券を買った人はすぐに行列に並ぶはずである」という前提条件ありきでのオペレーションだったというわけだ。

おかでんのように、食券購入後他店に浮気していたらどうなるか。行列後、席には通されたが全く蕎麦が届かない。どんどん後からきたお客さんに先を越されていく。おかしい、と思い店員さんを呼び止めたところ、「何遍も番号を読んだんですけどねえ」と言われた。そこで、ああ、そういうことかと気が付いた次第。道理で、席に通される際に番号札の番号をチェックしなかった訳だ。「88番」はとっくの昔に行列に並び、着席している前提で店舗運営は進められていたわけだ。しかしその88番は行方不明となり、お店側としては仕方なく90番台の人に蕎麦を提供したのだろう。

「なるほどそういう事でしたか、忘れられていたのかと思いましたが、見識の違いでしたね」と納得したのだが、やりとりの間中「何遍も呼んだんですよ」としつこく何度も言われた。クレーマーによるイチャモンと思われて自己弁護しているのか、それともおかでんをなじるつもりなのか、どっちなのかは不明。いやすんません、店の運用ルールまでは把握しとりませんで、失礼しやした。でもそんなに何度も言わなくっても。

食券を買った後にトイレに行く人だっているだろうし、おかでんのような事例は幾度となく発生していると思われるが、どうなんだろう。店側のオペレーションが混乱するので、「食券を買った人はすぐに行列に並ぶはずである」という性善説に基づいた運営はややこしくなると思うんだが。

まあ、彼らはこの手のそばまつりには何度も出店しているはずであり、試行錯誤は繰り返しているはずだ。これが一番良いという結論に落ち着いたのだろう。客席まで蕎麦を運んでくれるあたり、ユーザーフレンドリーだし、行列を少しでも短くできるし。ただ、時にはおかでんみたいな跳ねっ返りな行動に出る人もいますよ、って事は覚えておいて欲しい。

そんな蕎麦がまずくなるような前振りがあったものの、肝心の蕎麦はとてもおいしかった。蕎麦の味が濃厚。固めにゆでられた蕎麦は、一気に飲み込むのではなく噛みしめると美味さが引き立つ。さすが、わざわざ絶滅の危機の品種を復活させようとしているだけある。これは香り、味ともに良い蕎麦だと思う。

蕎麦の外観は、白っぽくてあまり蕎麦らしくはない。でもその中に潜んだ味わいは大いに魅力的。今後野呂在来が発展することを願ってやまない。

つゆは・・・うーん、甘さと辛さが噛み合っておらず、いがいがする。市販のめんつゆのように妙に甘ったるくこなれた感じのものよりははるかにこっちの方がマシだが、蕎麦のできが良いだけにつゆの惜しさが目立ってしまった。ただ、おかでんが蕎麦を食べる際は、蕎麦の半分くらいはつゆをつけずに食べるので、あんまりつゆの味には拘りはないのだが。

食べ終わったのが11時頃だったのだが、店を後にする際に食券売り場のおばちゃんの話を聞くと、既に完売近し、という事だった。限定生産品なので、売り切れ必至というわけだな。相変わらず行列が長く伸び繁盛しているお店だった。

転じて、一軒目に訪れた枡田屋を見やると、行列は無かった。お昼のピーク時が近づいているが、店によって差が出つつあるようだ。枡田屋も美味かったけどなあ。第二会場入口にあるお店なので、「とりあえずぐるっと一周会場を回ってからどの店に行くか決めよう」と思っている人からは敬遠される立地なのかもしれない。惜しいところだ。

なお、完売間近とされていたこのお店の蕎麦だが、会場を後にする14時過ぎの時点でもまだ売ってた。「完売間近」はどうしたんだ?

[5軒目:北海道 幌加内そば(北海道) 10:42 もりそば 500円]

北海道 幌加内そば
天ぷらそば1,000円

千葉手打ち蕎麦の会の食券を買った後、浮気したお店がこちら。だから、掲載順は「千葉手打ち蕎麦の会」が先になっているが、実際に食べた順番としてはこちら、「幌加内そば」のほうが先となる。

幌加内といえば日本を代表する蕎麦の一大生産地。品質の良さも評価が高い。しかし、10年くらい前までは蕎麦の生産こそ盛んなれど、蕎麦店が無かったらしい。で、観光客が「蕎麦の産地だから」と幌加内を訪れるのだが、肝心の蕎麦店がないので「なんで蕎麦が食べられないのか?」と残念がることしきりだったと聞く。その結果、町が積極的に蕎麦職人候補を有名店に修行に出させ、修行ののちに幌加内で蕎麦店を開くことの助成を行ったらしい。そういう施策をしてます、というところまでは聞いたことがあるが、その後どうなったのかまでは知らない。ただ、こうやってそばまつりに出店できるまでに成長したし、幌加内自身もそばまつりを開催するようになって毎年5万人を集めているという。名実ともに蕎麦の里として定着してきたということなのだろう。

肝心のこの「幌加内そば」だが、ネットで検索しても該当するそば同好会やお店の類は見つからなかった。どこが運営母体なのだろう。

まず店を見て目立つのが、「鮮度抜群 かに」「えび」というのぼり。ここは海鮮市場か。

やっぱり北海道で蕎麦、といっちゃあ海の幸をぜひ添えてぇもんだよな、という事なんだな。シンプルに蕎麦で勝負するのも良いが、こうやって地元特産品とのコラボレーションも蕎麦の楽しみだ。邪道だとは思わない。蕎麦の世界にはカレー南蛮なんてのがあるように、どうやって加工したって構わない。ウマけりゃいいのよ。

その点、えびとかには非常に魅力的であるよ。さすがにそろそろ、蕎麦とめんつゆ以外の何かを口にしたくなってきた。油ものなんて最適だ。

お品書きを見ると、もりそばとかけそばが500円なのに対し、天せいろと天ぷらそばが1,000円。うーん、ちょっと高いな。食べ歩きする立場としては1,000円は躊躇する値段だ。ここは大人しくもりそばを食べるか。
本当はかけそばにもちょっとばかり惹かれる。しかし、かけそばにしてしまうと蕎麦の風味がわからなくなってしまうので、遠慮してしまう。評論家じゃあるまいし、無理してもりそばばっかり食べ比べしなくてもいいのに。

石臼製粉機

どのお店もそうであるように、ここでも店頭で蕎麦打ちのデモンストレーションが行われていた。その職人さんの横には、なんと自動石臼製粉機が設置され、まさに製粉を行っている真っ最中だった。これには驚いた。

そりゃ蕎麦は挽きたてが美味いに決まっているが、だからといってこんな重くてごついものをわざわざ運んできましたか。すごいな。幌加内から日光まで持参?それとも、日光界隈でレンタル?どっちにせよ、これだけ来場者があるそばまつりで、製粉からやりますというのは相当な度胸だ。すごいと思う。

期間中雨が降らなかったから良かったものの、天候に恵まれなかったら大変だよな。店頭に置いてあるこの石臼を動かすだけでも大変だし、テント内に待避させても、湿気のせいで粉の具合が変わってくるだろうし。

並ぶ天ぷら

ここは、食券を買う→カウンターに並ぶ→食券と引き替えに蕎麦が載ったお盆を受け取る→着席、というスタイル。だから、先ほどの千葉のお店のように気をつけなくても良い。どうしても店によって運営スタイルは異なるし、こちらとしては「一見さん」なわけだし、店の状況を瞬時に判断し、適切な行動をとらないといけない。お店に迷惑かけるし、自分にとっても損だ。

さて、その蕎麦引き渡しカウンターに並べられた発砲スチロールのお皿。ここに、のぼりに意気揚々と記されていた海老と蟹が載っていた。海老、蟹、そして南瓜で構成されている。たった3つの天ぷらで500円かよ、と見た目のショボさと値段のギャップに驚くが、それこそがかにとえびをつかってるゆえん。かにはどうしても高くつくのですよ。芋とかイカとか茄子とは違うのです。

もりそば
もりそばアップ


こちらの食券も通番管理されているが、特にこの番号は客にとっては関係はない。店側がどれだけ売れたかを計る上での目安として使われている。こういう店が多いから、千葉の店ではチョンボしてしまったわけだ。

それは兎も角、もりそばの番号が508番だった。やあ、開場してまだ40分程度なのに猛烈な売上だな。ちなみにかけそばは120番台だったので、売れ方の差は歴然だった。

盛られている器は、すのこがない状態。水気が下に溜まって味が薄まるのではないかと危惧されたが、ちゃんと水切りされていて何ら問題はなかった。逆に、すのこが水っぽくてなんか気持ち悪いお店もあるくらいだから、これはこれで良いと思う。

蕎麦は美味い。雑味が少なく、すっきりくっきりとした蕎麦の味わい。特に何かうまい形容表現があるわけではないが、とりあえず美味い。満足度高し。先ほど食べた十割蕎麦と系統が似ている味わい。だったら、わざわざ十割でなくても、二八で十分だなあという気がした。

つゆは相当辛い。うっかり浸けすぎるとよろしくないので、蕎麦を浸すバランスは要注意だ。

そば湯をどうぞ

店の傍らに、「そば湯をどうぞ」と、ジャーが置いてあった。
ポットで卓上に置いてあるのは手軽で良いけど、味気ないのも事実。ジャーだったら色気があるというわけでもないが、それでもなんだか見ていて楽しかった。実際には蕎麦喰いを優先させるために、蕎麦湯は頂かなかったけど。

茶そばの店 やぶ定

順番からいったら、次のお店は「茶そばの店 やぶ定」ということになる。

しかし、この店はスルー。

おかでんの経験不足からか、茶そばでおいしいものを食べた事が一度もないからだ。せっかくの蕎麦の風味を、お茶で消してどうするの、というのがこちらの主張。更科そばや変わり蕎麦でさえ好まない性分なので、茶そばは遠慮願いたい。

まだ他にもお店はいっぱいある。茶そばで腹を膨らませてはもったいない、という判断に至った。

実際、メチャ美味かったかもしれないが、胃袋と財布は有限なので取捨選択が必要。ごめん、やぶ定。

ちなみにこのお店は全23店のうちで一番空いていた。茶そばは人気がないのだろうか。そういえば、以前「大江戸めん祭り」に行った時も、茶そばのお店だけは行列が無かったっけ。

後日ネットで調べてみたら、地元・今市市にある創業100年の老舗だとか。しかし、検索でひっかかるのは「蕎麦屋だけどラーメンがうまい」という情報ばっかり。蕎麦屋のラーメンか。それはそれで大変気になる。

[6軒目:会津磐梯そば道場(福島県) 11:21 高遠そば 600円]

会津磐梯そば道場

やぶ定をスルーさせていただいて、6軒目はお隣の「会津磐梯そば道場」。名前だけ聞くとここも蕎麦同好会の体をなしているのかと思ったが、店舗としても営業しているようだ。もちろん、名前の通りそば打ち指南もやっている。

この手のそばまつりがあると、必ず会津界隈のそば店が出店しているのを見かける。それだけ蕎麦が盛んな地なのだろう。一度、あの辺りを重点的に食べ歩いてみたいものだ。途中で喜多方ラーメンにエスケープしてしまう恐れがあるが。

食券のかわりに色つきの割り箸

このお店の面白いところは、食券のかわりに色つきの割り箸が手渡されるということだ。箸の頭の部分に、マジックで色が塗られている。その色で、厨房は蕎麦を選択してスタンバイするという仕組みだ。

こういう色つき割り箸を見て、一昔前「環七ラーメン戦争」の火付け役となった名店、板橋区常盤台にあった「土佐っ子ラーメン」を思い出した。もう伝説の域に達するくらい古い話だけど。

このお店、カウンターのみの立ち食いスタイルで、同時に16人がカウンターに立つ。そして、1ロット16人で提供される。同時に16人前も麺をゆで、配膳するなんて今から考えればむちゃ苦茶だが、昔はそれでも良かった。で、16人全員が食べ終わったら、一斉に次の16人がカウンターに並ぶ。「一人食べ終わったから、行列の一人がその場所に収まる」ということはない。16人の連帯責任でロットは回る。だから、食べるのが遅い人は相当なプレッシャーだ。

そして、このお店で「16名1ロット」を管理するのに使っていたのが、色つき割り箸だった。色無しの割り箸の人と、赤色の割り箸の人がいて、それで識別していたのだった。
「背脂ちゃっちゃ系」というジャンルを作ったきっかけとなった名店だったが、すったもんだの末今はもう存在していない。

そんな昔話は兎も角、このお店は「ざるそば」「かけそば」「高遠そば」「山菜そば」の4種類が用意されていた。高遠そばがあるあたり、いかにも会津っぽい。せっかくなので、100円追加の600円とはなるが高遠そばを選んだ。

高遠そばは、その名の通り発祥が高遠(長野県伊那地方)だ。彼の地では(辛味)大根の絞り汁を味噌や醤油に溶いたものをつけ汁として使っていたが、高遠の殿様が会津に転勤となった際、その文化が会津にも伝わって今に至っている。だから、なぜか会津なのに、高遠そばなのだった。

大根の絞り汁

厨房では高遠そばのオーダーが入ると、ペットボトルを取り出し、中のものを辛汁に投入して対応していた。ペットボトルの中身は白濁している。ああ、大根の絞り汁だな。ペットボトルいっぱいに絞り汁を作り置いて、必要に応じてびしばし投入しまくっているのだろう。効率がとても良い。ただし、あんまり風情がある光景ではないので、見ない方が良かったかもしれない。

高遠そば
高遠そばアップ

高遠そば600円。この蕎麦のレビュー文章を書こうとして、当時ICレコーダーに録音吹き込んだ音声を確認してみたのだが、何が何だかよくわからん表現をしていた。お前それはレビューになってないぞこの味覚音痴。あまりに酷いので、そのまま掲載する。編集して要約する気力すらおきん。

蕎麦・・・とても、うん、蕎麦の風味が活きていていいですね。あの、ピュアな蕎麦という感じでもなくて、かといって雑味がある感じでもなくて、で、うん、いかにも蕎麦食べました、という感じがして満足感が高い蕎麦でした。さすがに5杯目かな・・・いち、にい、さん、しい、ご、ろく?六杯目か。もう、ここまで食べていると一口二口食べた時点で蕎麦の味がわけわかんなくなってきて、えー、一口目の感動が二口目では既に薄れている状況に陥っています。ただ、救われたのは、高遠そば、大根のしぼり汁、これがさっぱりしていてつゆがとてもおいしかったですね。うん、つゆがおいしい。です。でー、薬味として大根・・・大根おろしが添えられているので、鬼おろしですりおろしたと思われる大根おろしがついているので、これを入れると、とてもまろやかでおいしいつゆになって、良かったですねえ。あの、これは、そのまま食べても良い蕎麦だし、ざぶんとつゆにつけて食べてもおいしい蕎麦です。あと、今まで食べてきた中では初めて、つるつる・・・つやつやした蕎麦ではなく、ごわごわした蕎麦でしたね。時間が経って伸びたわけじゃないんですが、麺同士がくっつくかのようなごわつき。雰囲気が変わって良かったと思います。いい蕎麦でした。以上。

後半なんとか持ち直しているが、前半は何だこれ。「ピュアな蕎麦という感じでもなくて、かといって雑味がある感じでもなくて、いかにも蕎麦食べました、という感じ」って全くの意味不明だ。お前の蕎麦の定義は何だ。

さすがに6軒も回っていると、語彙力の限界が露呈。情けない。

※後注:執筆した後になって気がついたのだが、このお店は「大江戸めん祭り2005」に出店しており、既に食べた事があることが判明。

[7軒目:北海道そば研究会(北海道) 11:30 もりそば 500円]

北海道そば研究会

七軒目は、またもや北海道から参戦、「北海道そば研究会」。遠路お疲れさまです。

看板には「お米はコシヒカリ そばはボタンそば」というキャッチフレーズが書かれている。北海道なのにコシヒカリとはこれいかに。北海道ではコシヒカリは生育できない。そのかわりに、「ほしのゆめ」「きらら397」などの寒冷地仕様の米が栽培されている。

恐らく、お米の日本一といやぁコシヒカリでしょ。それと同じで、そばの日本一はボタンそばだ、といいたいのだろう。で、そのボタンそばを使用しているのがこのお店、というわけだ。

ボタンそばとは全く知らなかったのだが、ネットで調べてみたら「最近蕎麦通の間で注目を集めている品種」なんだそうで。在来種で、品種改良されていないが故に収穫量は少ないものの、風味が高いので再評価されているらしい。先ほど食べた千葉の「野呂在来」と似たような境遇なんだろう。

お品書き

もりそば500円、かけそば500円、そして天ぷら300円。やっぱり北海道から来ましたー、となるとごあいさつがわりにかにの天ぷらをせにゃならんのかね。

先ほどのお店(幌加内そば)が天ぷら500円なのに対し、こちらは300円と安い。

かき揚げ

次から次へと揚げられ、ストックされていく天ぷら。あ、なるほど、かき揚げなのか。だから300円と安く抑えることができたんだな。とはいっても、かにとホタテ、北海道産玉ねぎを使用したそれなりにゴージャスなかき揚げだ。

しかし謎なのが、かき揚げを入れているトロ箱。箱の横には「養殖活け締め・香川県漁連」の文字が。カニは香川県産?いや、瀬戸内海ではワタリガニが主流で、ずわいのようなカニとれんだろ。恐らく何かで使ったトロ箱をたまたま転用しただけだと思うが、少々紛らわしい。

しかも、箱の側面には「養殖地:鹿児島県」なんて書いてあるからますます謎だ。明らかに、カニでもホタテでもない別のものが入っていたことは分かるが、これは何だろう。気になる。

荷物庫としてテント

ここで迂闊にもデジカメのバッテリがあがってしまった。絶望の淵に立たされたが、ふと「そういや、携帯にカメラが付いてたな」ということに気がついた。

「ふと気がつく」くらい、おかでんは全く写メールは使わない。そんなものが出回る以前から、ずっとデジカメを持ち歩いているからだ。だから、「そうだ写メールでこれ以降は撮影しよう」と思い直し気が楽になった反面、使い方がわからなくて難儀した。

結局、この写真のように妙に横長な写真になってしまった。一番高画質なやつにしよう、ということで「フルHD」というモードを選んだのだが、これ、16:9の縦横比率で撮影するモードだったのね。無駄に横長になった。

あと、レンズ部分を拭いた後に撮影、ということをする発想がなかったので、画像がぼやけたりにじんだりして汚い。案外奥が深いな、写メール。

それはそうと、この北海道そば研究会、厨房の横にコールマンのテントがあり、そこを荷物庫として利用していた。そういや主催者が無償で貸してくれる物品一覧の中にテントがあったな。なんだこれは、夜泊まるのに使うのか?と思っていたが、こういう使い方があったか。

そば
蕎麦アップ

非常においしい蕎麦。ちょっとごわごわした感じがしたのはゆで加減の影響か。アルデンテ、という表現が当てはまり、麺の芯に若干の堅さが残る状態。大量の客をさばくために慌ててしまい、ゆで時間が短くなった・・・とは考えたくない。これはこれで十分においしいので、計算ずくだと思いたい。

つゆは辛味が相当強い。口にしたあとしばらくは尾を引く醤油辛さ。これは、「麺をつゆにドボンと浸けて食べる」タイプの人にとっては辛いだろうな。「蕎麦の1/3ほどをつゆにつけて、そのままぐいっと手繰る」というお作法が、通ぶりやがって気色悪いぜ、たかが蕎麦ごときで何を偉そうに気取ってるんだ、と思っている人はこのつゆで痛い目に遭うだろう。

栃木県特用林産協会日光支部

蕎麦店に紛れて物産店もあった。写真のブースは「栃木県特用林産協会日光支部」のもので、かごに入ったきのこ各種山盛りで1,000円。大変魅力。

今回の日光遠征は全然事前情報収集をしていないため、どこに・何があるのかほとんど予備知識がない。だから、こういうのを見ると「おお」と純粋に驚くし、楽しい。

スーパーではみかけないきのこの山に大層惹かれたのだが、なんだかうれしく楽しくなっちゃってあれこれ買い始めるときりがないので、今回は手を出すのをやめておいた。よく考えろ、蕎麦食べ歩きだけで5,000円くらいの出費だ。往復運賃まで入れると、今日一日で1万円以上の出費。「蕎麦1枚500円!安い!」と目先の値段に浮かれていないで、トータルで支出を考えないと。

あと忘れちゃいけないのが、この後会社に直行なのよね、実は。休日出勤。きのこ抱えて会社に行くというのはいまいち冴えないシチュエーションだ。

そばまつり会場は今まさにピーク時間。広い敷地なのに、どこもかしこも人で溢れかえっている。そして、ひっきりなしに場内放送で「駐車場に停めてる車でハザードランプが付きっぱなしです」だとか「車を移動させてください」といったアナウンスが流れていた。

[8軒目:水無そば処湧水庵(日光市) 11:42 もりそば 500円]

水無そば処湧水庵
紹介された雑誌の切り抜き

8軒目は水無そば処・湧水庵というお店。水が無いのにわき水とはこれいかに、と思ったが、「水無」は地名だという。なるほど、それだったら合点がいく・・・と一瞬思ったが、待て待て、やっぱりわき水があるのに水無という地名は何でだ。地震か噴火か何かで急にわき水がでるようになったのだろうか。

ここは蕎麦同好会ではなく、れっきとした日光街道脇に店を構えているブース。さすがに店の事もあってか、出店は今日限りの1日というイレギュラー営業。準備と撤収で大忙しだったと思う。

なんでも結構な繁盛店らしく、週末昼は大抵行列ができているんだとか。行列ができるラーメン屋はざらだが、行列ができる蕎麦店というのはそれほど多くはない。それを考えれば凄いことだ。まあ、栃木県って一種独特で、餃子専門店に行列ができるお国柄だけど。

そんな本店に倣ってか、この出店も結構な行列。通行人が「凄い行列ねー、きっとここおいしいのよ」なんて噂をしながら歩いていく。

いや、実際のところどうなんかねえ。美味い店だと列が長くなる、というのは真なのか偽なのかわからない。来場者がどれだけお店の事前情報を仕入れているかというと、正直疑問だ。おかでんがそうであったように、「よくわからんから、良さげな店に並んじゃえ」という人が多いのではないか。その結果美味けりゃもうけモン。

ただ、このお店に限って言えばどうやら本店の人気を知る人が一本釣り状態で行列を作っている可能性がある。

マスコミにも取り上げられているらしく、紹介記事のコピーが店頭に誇らしげに飾ってあった。ただ、今ここで記事を読んでしまうと先入観を持ってしまうので、敢えて読むのは避けておく。

お品書きは4種類

お品書きは4種類、冷たい蕎麦は「ざる」と「もり」、温かい蕎麦は「天ぷら」と「かけ」。「ざる」と「もり」、要するに海苔の有無でメニューを分けているのがちょっと珍しかった。普通のそば店なら当たり前なメニューだけど、やっぱり強豪蕎麦店がひしめくそばまつり。海苔で蕎麦の風味が紛れてしまう「ざる」を用意していないお店が多かった。というか、おかでんが食べ歩いた店のなかではここだけだった。

食券は非常に独特。というか、単純。なんとポストイットが食券になっていた。温かい蕎麦はピンクのポストイット、冷たい蕎麦は黄色のポストイット。そこにメニュー名とお客さんの名字を記載し、厨房に回す。客は着席してしばらく待っていると、名字が呼ばれるので「はーい」と応じると、注文の品が届けられるという仕組み。

1日限りの臨時出店のために、わざわざ立派な食券や番号札を作る必要はないと判断したのだろう。カネ出さずに知恵は出す、ということだ。こういうやり方も有りだと思う。

ただ、ポストイット食券故にトラブルもあった。「俺の頼んだのが全然こねーじゃねーか」と文句を言う客が出現。どうやら、ポストイット故に、風で飛んだか何かでオーダーが厨房及び接客スタッフに伝わらなかったようだ。店員さん、謝罪。しかし、このオッサンは柄の悪いクレーマーで、割り箸で耳をほじりながら店をうろうろしつつ、ずっと店員さんに「ふざけんじゃねえよこの野郎」などと罵声を浴びせ続けていた。店員さん、何度も謝罪した上で「お名前と注文した品をお教えいただけないでしょうか」とお願いしていたが、クレーマーは「俺さっきちゃんと名前言ったよ、覚えてねーのかよ、冗談じゃねーよ」などと文句ばっかり言う。「申し訳ありません、失念してしまいまして、よろしければ再度お教え頂けないでしょうか」と言っても、「ふざけんな」などと言いながらまたふらふらと店内を歩き回る。こっちのメシがまずくなるから辞めて欲しい。周囲の客も、ひそひそ声で「迷惑よね」と言っていた。このクレーマー対処が延々5分以上。つくづく接客業は辛い。とはいっても、紛失しやすいポストイットを食券に選んだ店側にも落ち度があるのは事実。

そんなメシマズ状態のクレームショーを延々5分も見続ける事ができたのは、ひとえにこのお店のオペレーションが非常に遅いからだった。店員がきびきび動いていない、とか厨房が混乱している、という性質のものではない。どうやら純粋にゆで時間が長いようだ。同時にゆでる蕎麦の量も他店と比べて少ないのかもしれない。店によっては、流れる水のごとく行列が店に吸い込まれ、そして食べ終えた人が退店していくのだが、このお店の場合「蕎麦ができ上がるのを待っている」人が店内にたくさんいる。蕎麦がゆで上がり、数名に蕎麦が行き渡ると、また数分は沈黙の時間に突入。厨房での蕎麦ストックがゼロの状態が慢性化していた。

もりそば
もりそばアップ

天ぷらそばが600円。かけそばの値段+100円で天ぷら(かき揚げ)が乗っかるのだからお得だ。ちょっと惹かれたが、温かい蕎麦を食べるのはいよいよ満腹で何食べても同じ味にしか思えねぇ、となったときに温存しておく。

でもよく考えると微妙な値付けだよな。もりそばに+100円で海苔が載った「ざるそば」になる。刻み海苔とかき揚げが同値段か。そうなるとざるそば、ちと高く感じてしまうな。

蕎麦は一種独特。麺の色は他店と比べて灰色が強い。スーパーで売られているような蕎麦の色だ。殻の配合比率を高くしているのだろう。そのせいでか、非常にキシキシした食感。噛んでキシキシ、飲み込んだ際に喉でもキシキシ。好みは分かれるだろうが、こういう蕎麦もおいしいと思う。香りはそれほど強くなかったが、味は強い。

つゆも独特。醤油の勝ち、という味付け。そばつゆは「甘辛い」味付けにするわけだが、このつゆは明らかに「辛さを追求しました」という風情。ビール業界における「スーパードライ」のような位置づけだ。じゃあ圧倒的に醤油的なのかといえば、よくよく考えてみるとそこまで醤油臭くない。醤油の辛さを活かしつつも、出汁やみりんなどの微妙な配合でとげとげしさを押さえている。これはよく計算されたつゆだと思った。

蕎麦以外の飲食ブース

湧水庵の先は、物販ゾーンが並んでいた。人だかりができているので何かと思ったら、蕎麦打ち用ののし棒やこね鉢を売っているお店。こういう渋いお店に人が集まるのはそばまつりならではだ。

でも、それ以上に人が集まり、行列を作っていたのが「足利食肉事業協同組合」。何に並んでおるのかと思ったら、お目当ての品はなんと「手作りコロッケ」。その場でばんばん揚げられていくコロッケだが、揚げていくそばから売れていく。行列はざっと20名。大変な繁盛ぶりだった。有名なコロッケなのか、そばを食べた後は誰しもコロッケを無性に食べたくなるのか、どっちなのかは不明。でも、おかでん自身コロッケがちょっと食べたくなった。そろそろお口直ししたい。蕎麦ばっかり食べていると、さすがに味に飽きてきた。油モノいいなあ。

目移りしてしまうブースの数

お店がずらりと並ぶ。いろいろあって、楽しい。しかし、この後出社を控えていてあまり時間の余裕がなかったので、細かく見て回れなかったのが残念。

カレー販売中

「蕎麦屋のカレーライス」を売る店があった。なるほど、こういう形で蕎麦と絡んでくる手があったか。「鰹ダシがうまい!」という売り文句。

カレーも大いにそそられるのだが、おなかいっぱいになってしまうのでこれ食べたらゲームオーバーだ。そばまつりにきてカレーライスで終了、というわけにはいくまい。このカレーを食べる場合は気をつけないと。

珈琲も売ってる

いろいろあるもんだなあ、と感心したのが、コーヒーをドリップして提供するお店があったこと。単に「ホットコーヒーあります」で売るとつまらないが、口が細長い独特のやかんでコーヒー豆にお湯を注いでいるので風情がある。シンプルな細工だけど、これで魅力増。絶え間なくお客さんがコーヒーを頼んでいた。

けんちん汁まで売ってる

あと、ドラム缶?をコンロにし、その上に巨大鍋を載せてけんちん汁を煮ているお店もあった。いっぱい200円。ううむ、これまた魅力。

どれもこれも、ありがちな「縁日の出店」ではない一工夫がされていて面白かった。蕎麦に興味がなくても、こういうお店目当てでこの地を訪れる価値はある。

他に目に付いたのは、「栃木しゃも」の店、「塩もつ」の店、「杏仁豆腐」の店・・・。おっと、こういうイベントでは定番だぞ、の郵便局も出店していた。時節柄、年賀ハガキの販売に力を入れていた。

[9軒目:北海道美幌そば 日曜庵(埼玉県) 12:29 田舎600円、天ぷら300円]

北海道美幌そば 日曜庵
北海道美幌そば 日曜庵のお品書き

胃袋はほぼいっぱい、味覚も麻痺気味の状態だったので、一度この第二会場をぐるっと一回りしてみることにした。今までのように端から順に食べ歩くのは無理だ、有限の胃袋に何を手繰りこめば一番ハッピーか下調べしておかないと。場合によってはコロッケなどの味覚チェンジで舌を一端リセットする事もあり得る。ただ、コロッケ食べたら満腹感が強く出るので多分その時点でアウト。

そもそも、最初にぐるっと一周しとけよ、と今更ながら思うが、焦ってたんだねえ。

というわけで一周してきました。結論。よくわからん。風変わりなものとしてはダッタン蕎麦を出すお店とへぎそばを出すお店があったが、それ以外はどう違うのか店の看板だけでは判断がつかない。実際に食べてみるまでは味の善し悪しなんてわからない。

と、いうわけで、結局引き続き「端から順番に店を回る」を再開。そこで登場したのが「北海道美幌そば 日曜庵」。何で日曜庵というのかというと、お会計担当の人曰く「日曜日だけ営業しているお店だから」なんだそうだ。そりゃ風変わりだな。というか非常に端的なネーミングだな。

お品書きは板もり、かけそば、田舎、天ぷら。ここは当然十割蕎麦である田舎を選びたい。しかし、いい加減おなかがいっぱいになっているところであり、やや食券購入にためらいがあるのも事実。そんな心境を店員さんに吐露していたら、後ろにいたおとっつあんから「じゃあ僕とシェアしますか?」と話しかけられた。なるほど、シェアか。それはなかなかにナイスな提案であり、お声かけして頂いて有り難かったのだが丁重にお断りした。おっさん同士で一つの蕎麦をつつきたくねぇ、というのが一つの理由としてあるが、蕎麦が1/2しか食べられなかったら味がよくわからないままで終わってしまいそうだからだ。

結局、あれだけ食券の購入をためらっていたのに、田舎に加えて「味変」用として天ぷらの食券まで購入。食べる気満々じゃないか。

このお店を選んだ理由の一つとしては、行列が少ないという事もあった。ただいま昼時真っ盛り。どのお店も大層な行列だ。行列に並ぶのは時間が惜しいので、列が短くて、なおかつ美味そうな雰囲気の店にしたい。その結果がここだったというわけだ。

しかし、店の中に入ってみると、おや、行列が二列。田舎と二八で行列を分けていたのだった。二列の行列だから、行列が店の外に溢れないわけだ。

何でわざわざ列を分けるんだろう、と思って厨房のオペレーションを眺めていたら納得がいった。そりゃそうだ、ゆで釜は一つしかないので、一度に二種類の麺をゆでるのは無理。「板そば」と「かけ」の二種類に使われる二八そばは量と頻度高めにゆで、その合間にオーダーの少ない田舎をゆでているのだった。だから、二八の行列がどどどーっと5名程度さばけたら、そこで一端大休止。しばらくすると、田舎の列がどどーっと流れ出す。これはシンプルながらよく考えられたオペレーションだと思った。ゆで置きされてしまった田舎蕎麦を素早く提供されるのはイヤだ。

それにしても気になったのが、厨房にいる人全員の白衣に「さいたま蕎麦打ち倶楽部」とプリントされていることだった。おい、「北海道美幌そば」じゃないのか?なぜ埼玉?「さいたま蕎麦打ち倶楽部」の人が応援に駆けつけたんだろうか?謎だ、謎すぎる。

そういえば、入口のお品書き一覧の横に、「全麺協 五段:安部、加藤」と掲げられてあったな。要するに素人蕎麦打ち名人五段の有段者がここにいますよ、ということだ。あっれえ?営業しているお店だったんじゃないのか?ここも蕎麦同好会のブース?ますますわからん。

田舎蕎麦
田舎蕎麦アップ

待つことしばし、田舎蕎麦を受け取ることができた。下駄のような板の上に載せられた、板盛り蕎麦だ。あれっ、この板にも「さいたま蕎麦打ち倶楽部」の文字が。こりゃ本当にこの蕎麦打ち倶楽部が運営しているんだな。「北海道美幌そば」というのは、あくまでも蕎麦粉の産地であって、「北海道美幌からわざわざやってきましたー」という意味では無かったようだ。大変に紛らわしい。

紛らわしいついでに言うと、これは帰宅後ネットで調べて分かったのだが、確かに「日曜庵」というお店は存在した。さいたま新都心。この「さいたま蕎麦打ち倶楽部」が運営している実店舗であり、日曜日だけ限定150食でお店を開いていることが判明。なるほど。

もっと紛らわしいことに、「日曜庵」という蕎麦店は葛飾柴又にもある。しかも結構な有名店らしい。こちらは金・土・日・祝日のみの営業だそうで。偶然名前がバッティングしてしまった様子。

それは兎も角蕎麦だが、固めにゆでられており蕎麦のエッジがくっきりとしている。喉を通過するときとても心地よいし、噛んでも楽しい。噛むと蕎麦の味わいが広がり、「蕎麦は噛むもんじゃない、飲むもんだ」というのはあながち正しいとは言えないと思った。

香りもとても良し。

日曜庵の天ぷら

日曜庵の天ぷら300円。海老2本にししとう2本の構成。

あれ、今気がついたが、サイドメニューを盛りつける器は使い捨てでも構わないんだな。そういえば別のお店でも、天ぷらは使い捨てのプラ容器を使ってた。

あんまりエコが徹底されていないな、というのは容易いが、じゃあ天ぷら盛る器までちゃんと用意しなさいとなると店側の負担は相当なものだ。さすがにそれは可哀想、という主催者側の配慮なのだろう。

店としては、蕎麦はできるだけいい粉使って原価率高くしているはずだ。他店に負けるわけにはいかんからだ。その分、この天ぷらのようなサイドメニューで利益を生む構図になっている。だからこそ、ここはぜひ安価なプラ容器を使いたいところだ。

ついでに言うと、全店割り箸採用だったな。箸を捨てるのはもったいない野で塗り箸、というお店は無かった。もともと、塗り箸だと蕎麦がつかみにくいので割り箸の方が都合がよいという事情もあるが。

「蕎麦の容器は使い捨て駄目」というのは、エコの観点だと思っていたが、ひょっとしたら使い捨て容器だと膨大なゴミが発生して処分が大変だから・・・という実務的な理由なのかもしれない。

蕎麦屋だらけ

このあたりは右も左も、手前も奥も、蕎麦店だらけのありさまだ。蕎麦の楽園と言える。日帰りで行程組むんじゃなかったな、一泊二日で全店舗食べ歩きたいところだ。

あ、ひょっとして日光市はそれを狙ってるのかも。格安な出店料でたくさんのそば店を誘致し、その結果「一日じゃ食べきれないよー」という来場者が日光市内に泊まる。そしてお金を落としていく。そういう狙いっすか。

蕎邑のトラック

蕎邑のトラックが停まっていた。

蕎邑は結構おなじみのお店。金砂郷まつりに出店しているし、松本そば祭りにも出店していた。おそらくこのシーズンはあちこちに遠征しているのだろう。故にこのような専用トラックがある。

先ほど見かけた「達磨号」と比べてこちらは業務トラックっぽく地味。ほとんど目立たない。あらためて、達磨号がいかにど派手だったかが分かる。

トレーラーハウス

腹を落ち着かせるためとお店の混雑状況調査のため、もう一周第二会場を回る。

北海道幌加内そばのお店の裏手で、ひっそりと蕎麦を打っている人を発見した。オートキャンプ場だけど、テントサイトにトレーラーハウスが併設されているところがある。そしてそのトレーラーハウスにはウッドデッキが併設されており、その場を使っての蕎麦打ちだった。表からは、見えない場所。

この北海道幌加内そば、当然人目に付く表でもそば打ちの実演をやっていた。しかしそれじゃ全然供給が追いつかない、ということで別の職人さんが蕎麦を打ちまくっているわけだ。ただ、良い場所は客席と厨房に占領されているので、人目に付かない地味な場所で黙々と蕎麦を打つ。ご苦労様です。

この場所、太陽が照りつけてくるので生地が乾燥しやすく、やりにくいと思う。辛い環境で蕎麦を打つのもこれまた修行。

[10軒目:猪苗代蕎麦の里 いわはし館(福島県) 13:09 祝言そば 500円]

猪苗代蕎麦の里 いわはし館
猪苗代蕎麦の里 いわはし館のメニュー

ぐるっと回ってみて、混んでいる店は相変わらず混み続けてますなあという実感。特に、こちらとしてもロックオンしているダッタン蕎麦の店が混んでいるのが大変気になる。時間と共に行列、空いてくれないかな。やはりダッタン蕎麦、他店と毛色が違う蕎麦を出すということで人気が高いようだ。個人的には、ダッタン蕎麦そのものは大しておいしいと思わないのだが、それでもおかでん自身、食してみたいくらいだ。

行列が短くて、なおかつ美味い店。そういう穴場を見つけたいところだ。絶対にあるはずだ。

とはいっても、まずはお品書きを吟味しないことには始まらない。一軒一軒、お品書きを見て回ることにした。まずは、日曜庵の正面にあった「いわはし館」。「猪苗代蕎麦の里」というサブタイトルがついているので、福島県のお店だ。後で調べてみると、実在する店舗であり、猪苗代町振興公社が運営する蕎麦施設だった。

客足はそれほど芳しくない。いや、そこそこ混んではいるので、繁盛しているのは間違いないのだけど、行列が短い分見劣りする。すごいな、行列が短ければ繁盛していないように見えるなんて。行列は存在するのに。もう、この人だらけのそばまつり会場、感覚が麻痺してきた。

お品書きは一風変わっている。定番である「もりそば 500円」は当然として、そのおとなりに「いわはしそば」なるものがある。なんスか、いわはしって。人の名前っすか。

解説によると、「焼き味噌入りのつゆと大根おろしで食べる高遠風のさっぱりとしたオリジナルそば」なんだそうだ。というか、まさに高遠そばじゃん。先ほど、すでに高遠そばは食べている。なので今更感はある。とはいっても、焼き味噌を使った高遠そばは食べたことがないのでちょっと気になる。

それよりももっと気になったのが、「祝言(しゅうげん)そば」だ。なんと目出度い名前なことよ。

写真をみると単なるかけそばに見えるのだが、解説によると「会津地鶏とゴボウのだし!」とされていた。会津地鶏とは聞き慣れない鶏だが、ゴボウと鶏肉でダシとってまずかろうはずがない。けんちん汁っぽい味だな、きっと。

ああ。急に惹かれてしまった。さっき「味変」で天ぷらを食べて味覚をリセットさせたのだが、それでもまだ蕎麦に対する飽きは残っていた。でも蕎麦をもっと食べたい。ちょうど良いじゃないか、ここいら辺で温かい蕎麦を食べるのもこれまた一興。栄えある10軒目はこのお店に決めた。

まあ、祝言そばに惹かれた、というのが直接的動機ではあるが、実のところ、食券販売カウンターの正面でメニューをデジカメで撮影し、そのままさようならするのは店の人がっかりだろうな、と思ったからでもある。

祝言そば

祝言そば。

会津地鶏でダシをとったので、鶏の油膜が表面に浮いている。いい加減9軒も蕎麦を食べ歩いていると体が冷えてくるので、このタイミングで油が浮いたつゆを食することができるのは大変にありがたい。あたたまりそうだ。

暖がとれて幸せ、というだけでなく、味わい自体も幸せ感に満ちあふれていた。うん、とてもおいしいです。まあ、早い話想像通り「けんちん汁に蕎麦が入ったもの」なわけだけど、味付けがちょうど良い塩梅。みりん系のくどい甘みが控えられていて、鶏の旨みがとても良く出ていた。

これだけつゆが美味いと、蕎麦は二の次になってしまう。正直言って、このお店の蕎麦については記憶が全く残っていない。食べ終えて1分後に録音したICレコーダーにさえ、「記憶がない」というコメントを残しているくらいだ。これ、わざわざ手打ち蕎麦で出す必要ないよな。機械打ちのものでも、乾麺でも十分に美味いいっぱいに仕上がると思う。

つゆの中には、会津地鶏がほぐされた状態で結構な量、入っていた。これで500円は非常に安い。他店がかけそばを500円で供していることを考えれば、これは600円とっても全く問題ないと思う。美味くて、お得。素晴らしい蕎麦でした。ごちそうさまでした。

ただし、ここで「美味い美味い」とつゆを飲んでしまったので、ますますおなかいっぱいに。次がラストだな、多分。

越前そば道場

越前そば道場。

海老天ぷらそば700円、おろしそば500円。

福井県のそばといえばやっぱり越前そば、と呼ばれる「おろしそば」が名物だ。蕎麦の上に大根おろしを載せ、そこにつゆをかけて頂くというぶっかけそばスタイル。過去、「大江戸めん祭り2005」でおろしそばを食べた事はあったが、それ以降はご無沙汰だ。せっかくだからラストいっぱいは毛色の違うモノが食べたいので、ここも選択肢の一つとなる。しかし、ぶっかけそばだと味がわからなくなるんじゃないか、という懸念もあって、とりあえずスルー。

札幌 長命庵
ダッタンそば

札幌 長命庵。

韃靼蕎麦を提供している、そばまつり唯一の店。札幌にお店を構えていて、美味い韃靼蕎麦を食べさせる店として有名らしい。

お品書きはダッタンもりそば、ダッタンかけそば、ダッタンにしんそば(温・冷)、辛味大根おろしそば、ダッタンえび天そば、ダッタンえび天セイロ。

にしんそばがあるのが面白い。北海道ならではだねえ、と思うが、よく考えるとにしんそばが名物なのは京都なんだったっけ。

このお店は蕎麦湯を店頭で無料試飲させるという一風変わったパフォーマンスをしていた。韃靼蕎麦独特の風味を味わって貰おうということだろう。興味があったが、おなかいっぱいなのでやめておいた。

ラスト1のお店として、ここが最有力候補だ。しかし、その意志をくじく長い行列。相当に繁盛している。満腹になるとがぜん面倒な事はしたくなくなるので、並ぶ気力が起きず。とりあえずいったん他の店を見て回り、その後この店に戻って行列の長さを確認しよう。行列次第だな。

NPO越前みやまそば元気の会

NPO越前みやまそば元気の会。

NPOという形で法人格をもっている蕎麦同好会は珍しい。わざわざ認証を受け、設立登記をしているのだから本格的だ。NPO法人であるということで、活動資金において税制面で若干の優遇があると思われるので、その関係だろう。

客席の奥には蕎麦を手繰っている人が少数いたが、ほとんど開店休業状態。どうしちゃったのだろう。とはいっても、職人さんが店頭で蕎麦を打っていた。まさか明日の分、というわけではないだろうから、「弾切れ」になってしまい現在補給中といったところか。ただ、その割には談笑しつつ手が休みがちだったので、大あわてで蕎麦を打っているというわけではなさそうだ。謎。

謎といえば、食券売り場がどこにあるのかがぱっと見分からない。ひょっとしたら、そのせいで客足が伸びない→客が少ない→このお店、おいしくないんじゃないかと疑われる→ますます客足が伸びない、の悪循環なのかもしれない。

まあそれは推測の域を超えないが、隣も同じ福井県の「越前そば道場」というのは立地としてあまり良くなかったと思う。お互い、おろしそばを看板に掲げることになるので客を食い合ってしまう。

おろしそば500円、にしんそば700円。越前蕎麦だけどにしんそばが売られていた。北前船で北海道からにしんが運ばれ、越前に立ち寄り、最終的に京に運ばれていたんだなあと歴史を感じさせる。

でもこのにしんそばもねぇ、真向かいの「札幌長命庵」で取り扱っているのよ。隣近所と完全にメニューがだぶってしまっている。惜しい店の配置だ。

栃木のうまい蕎麦を食べる会

栃木のうまい蕎麦を食べる会。

金砂郷まつりに過去2回訪問した際、2回とも食べた事がある定番の同好会だ。金砂郷まつりのレポートでは、「栃木の美味いそばを食べさせる会、に改名した方が良いのではないか」とまで褒めた蕎麦を出す。今年も気合い十分、「益子産の早刈り新そば」をひっさげての参戦だ。

ここも行列が長い。お品書きそのものには強い特徴があるわけではないので、やはり来場者はどの店が美味いかどうかというのを知っているのだろう。並ぶところは長い行列だ。
ここのお品書きは二八もりそば500円、十割もりそば600円、なめこそば600円、野菜天ぷらそば600円、野菜天ぷら盛合わせ200円。

3年前の金砂郷でこのお店を見かけた時は、十割蕎麦は提供していなかった。鍛錬を積んで、十割を出せるようになったのだろうか。大きな進歩だ。

このお店に入れば、きっと美味い蕎麦を食べることができるだろう。でも、美味いと分かっているが故に今回はパス。食べるまでもなく美味いだろうから。

日本そば打ち名人会
十八割蕎麦


日本そば打ち名人会。東京都は銀座からの出店。

「名人会」と名乗るから、名人ばっかりが集っている野球でいうところの「名球会」のようなものかと思ったが、蕎麦打ち研修をやっている組織のようだ。「生徒募集中」の案内があった。

あとでwebで確認してみると、なかなか面白い。初級コースは全8回で、一回目は400gの6割蕎麦を打つところからスタート。途中、韃靼蕎麦を打ったり二八の1kgを打ったりと緩急織り交ぜつつ、最終第八回では500gを30分以内で仕上げる、ということを目標に設定してある。おかでん自身も年に一回だけだけど、年越し蕎麦を打つ。1kgの蕎麦を2時間くらいかけて打ってるかなあ。しかも長さが短いぼろぼろの蕎麦。ちょっと真面目に受講を考えてしまった。

ちなみに最上位クラスである「准教授コース」の目標は、2kgを30分で仕上げるというのだから相当なもんだ。ここまで来れば、お店を開くことだってあながち無理ではないレベルだろう。多分。

それは兎も角、目に付くのが「十八割蕎麦」と書かれたのぼり。要するに180%ということだ。なんなんだ、これは。濃縮還元みたいなものか。そんな馬鹿な。果物ジュースに180%のものがないように、蕎麦だって十八割などあるわけがない。

謎の答はあっけなかった。店のおばちゃん曰く、「蕎麦(二八)とそばがき(十割)のセットだから十八割」なんだって。うわあ、そう来ましたか。足し算だったとは。それが許されるなら、僕の胃袋の中は既に九十割蕎麦くらいにはなっているんですが。

時刻は既に13時40分。そばまつりの終了が15時なので(早いなあと思う)、この時間になると蕎麦打ちをストップするブースが増えてきた。実際、客足も落ち着きはじめたようだ。さすがにおかでんのように二桁の軒数を一度に巡るような人はいないか。

小代行川庵そば組合

小代行川庵そば組合。

読み方が分かりにくい名前だが、「こしろなめがわあん」が正解。読める人なかなか居ないぞ、これ。

地元日光市からの出店で、小代行川そば組合が村おこし事業として運営しているお店だ。蕎麦の栽培から製粉、そしてそば打ちと販売を行っている製販一体型ビジネスモデル。蕎麦界のユニクロみたいなものだ。

1,000円、という値札が見えたのでぎょっとしたが、これはお持ち帰り用の生そば。1パック1,000円也。

蕎麦打ちは既にストップしており、行列も無し。並ばずに食べられるのでチャンスだが、とにかく満腹だ。眺めるだけにしておこう。

いばらき蕎麦の会
いばらき蕎麦の会看板

いばらき蕎麦の会。

敢えて「茨城」を「いばらき」とひらがなで表記しているのは、「いばらぎ、じゃねーぞ、いばら『き』だぞ」という無言のPRだろうか。

それは兎も角、このブースも何度かお目にかかったことがある。金砂郷でも見たし、松本でも見たな。精力的に遠征しているようだ。

店頭では、もう閉店まで1時間ちょっとだというのにまだ蕎麦打ちが続けられていた。その後ろには「全日本素人そば打ち大会第六代名人 河原井雄」という立て看板が。その効果もあってか、河原井さんの手さばきに見とれる人多数。

以前金砂郷でこの蕎麦の会を見たとき(2005年)は、「第四代」の名人が蕎麦を打っていた。代替わりしているようだ。しかし、3年が経過しているので、毎年一人ずつ名人が誕生しているわけではなさそうだ。ディフェンディングチャンピオンという制度もあるんだろうか。

さらに過去の記憶を辿ると、2005年松本そば祭りの時は「第二代」だった。もっとも、こちらは「生粉打ち名人大会」のほうだったが。

お品書きは2品で勝負。でも、「もり」と「かけ」という定番ではなく、「もり」と「つけ鴨せいろ」という変則技。鴨もいいなあ。鴨を扱っているのは全店舗中ここだけだった。

へぎそば浅野屋茂兵衛

へぎそば浅野屋茂兵衛。

へぎそばといえば新潟の名産。小麦粉のかわりに布海苔(ふのり)という海草を繋ぎとして打った蕎麦のことだ。独特のコシが出る。「へぎ」と呼ばれる木の箱に入れられて出てくるので、その名前がついている。そのため、外観は山形の「板そば」と類似しているが、全くの別物だ。

もりそば500円、きのこそば600円。

一風変わったへぎそば、これをラストにしても良いかな・・・と思う。行列も既にいなくなっているし。とはいっても、歩いているうちに満腹感がさらに膨張してきて、もう何もいらない気持ち。

つちやそば店

手打ちそば つちやそば店。地元日光市。

このお店は既に客がおらず、どうやら完売御礼となった様子。

品そろえは豊富で、ちょっと独特。、もりそば、かけそば、かきあげ天そば、山菜そば、並木のしずくそば、十割そば。

「並木のしずくそば」とはなんぞや、と思って調べてみたら、基本はぶっかけそばなのだが、蕎麦の上に大根おろしとなめこが載っているというものだった。ああ、類似商品がコンビニで売られているな。あれか。

6種類もの蕎麦を出して、さらに、甘味としてそばがきしるこまで用意している。厨房が混乱しそうだが、大丈夫だったんだろうか。しかも、他店にはない「大盛り100円増し」まであるではないか。大盛り頼む人、いたのかなあ。大盛り頼むよりも、他店で味比べしたいと思うんじゃないかな。

それにしてもこの店のフットワークの軽さたるや驚きだ。どさくさに紛れて「うどんもできます」の文字が。この店、典型的な「そば・うどん」の店ではないか。他ブースが蕎麦一辺倒なのに対し、ここは普通の町のそば・うどん屋さん、といった感じ。webで検索してみると、このお店、出前も受け付けているような気さくな立ち位置だった。

「厨房どうなってるんだ?」という驚きと疑問がすごく湧いた。入り乱れるオーダー、ゆで時間が長いうどん。普通のオペレーションじゃ行き詰まるはずだ。昼のピーク時のこのお店を見てみたかった。残念。
ところで、うどんと蕎麦はやっぱり同じ釜でゆでているのだろうか。生うどんの場合、塩分が含まれているのでゆで汁がしょっぱくなってしまうのだが・・・。釜をわざわざ別に用意したのだろうか?謎だ。

足利おりひめ茶屋 蕎遊庵

足利おりひめ茶屋 蕎遊庵。

「おせいろ」500円。

蕎麦打ちはすでに終了しており、こね鉢がごろんと店前に無言で鎮座していた。店の奥には客がいるので、まだ品切れ閉店というわけではなさそうだが、よくわからない。

一度客足が引くと、「もう営業していないのかもしれない」と思われるし、「このお店、おいしくないんじゃないか」と思われるのでこの時間帯は客引きが重要。客引きが無いと、閉店しているようみえる。

この「蕎遊庵」だが、後で調べてみたら足利で特に著名な蕎麦屋の一つだった。「おりひめ茶屋」というメルヘンな名前は、織姫神社の境内脇に店を構えていることからきている。ご主人は一茶庵の片倉氏の元で修行をしたということで、店内には片倉氏の写真が遺影のごとく飾ってあるようだ。

一茶庵系のお店は食べたことがないので(「達磨」も一茶庵の流れを汲むのだが、あそこはもう別の世界に突入しちゃっているので除外)、一度お手合わせ願いたいところだ。今回は食べなかったが、次回お目にかかる機会があったらぜひ食べてみたい。

それよりも先に、一茶庵本店に行くべきか。そうなると、「足利蕎麦食べ歩き」を今度実行しないとな。ああそうか、この「蕎遊庵」、せいろのことを「おせいろ」と呼んでいるのは一茶庵系だからなんだな。今頃になって気がついた。

会津山都そば蕎邑

会津山都そば蕎邑。

何度もそば祭り会場ではお目にかかる「定番」なお店。今はどうなっているか知らないが、以前はフリスビー型(悪く言えば犬の餌を入れる器型)のせいろだったので、とても記憶に残っているお店だ。

客足は他店同様落ち着いてきているが、店先ではまだ二人の職人さんが一生懸命蕎麦打ちを実演していた。そばまつり終了まであと1時間15分。ちゃんと売り切れるんだろうか。それとも、あれは自分たちのまかない分も含んでいるんだろうか。

蕎麦の生地の色を見る限り、他店にはない鮮やかな色。見ただけで「あ、これは美味い蕎麦だ」と分かる色をしていた。とても魅力的だ。

「まあ既に食べたことがあるお店だから」と今回は無条件でパスしたが、きっと美味かったに違いない。
このお店、そばまつりに積極出店していることから、同好会なのかと思っていた。しかし、調べてみたられっきとした店舗だったので驚いた。秋は蕎麦がうまい時期、蕎麦屋稼業だけでも忙しいだろうに、こうやってそばまつりを転戦するとなると大変な労力だ。凄いこっちゃ。

さて、これで全店舗見て回り、写真を撮ることもできた。ラストいっぱい、このそばまつりのシメを決めようじゃないか。

布海苔

シメは韃靼蕎麦、というつもりだった。もう今更、少々美味い普通の蕎麦を食べても味覚が麻痺して善し悪しがわからないからだ。風変わりの方が良かろう。

ただ、その野望虚しく、圧倒的な行列の前に計画は崩れ去った。時は既に13時50分、既に人通りが減少し始め、各店舗もリラックスムードになりつつあった。そんな中、この店だけえらい行列だ。どういうことだ。客席にもお客さんはいっぱいいて、まるで肩を寄せ合うジュウシマツ状態。ということで、オペレーションがもたついていて蕎麦を提供できていないというわけではないことが分かった。単純にこの店、人気があるんだわ。すごいな。
あと、行列と呼ぶほど長い列はできていなかったが、「栃木のうまい蕎麦を食べる会」は相変わらずの繁盛。この時間でも、4名の職人さんが蕎麦打ちを続行しているから繁盛ぶりが伺える。蕎麦の場合、「明日の分を作り置きしているんです」というわけにはいかないので、今日中に売れる分だけ作っているわけだが、それで4人がかりか。他店がウィニングラン状態に入りつつあるのに、この店だけは手綱を最後まで緩めないつもりらしい。

結局最後の一軒、として選んだのはへぎそばを提供する「浅野屋」。

韃靼が駄目ならへぎ、というわけだ。

幸い、さほど待たずに食べられそうだったのも背中を押した。

店先では、「これが布海苔です」と布海苔を見せるというパフォーマンスで客引きをやっていたのが面白かった。「へぎそばとは、布海苔を小麦粉の代わりに繋ぎとして使った蕎麦です。」というのは教養としてあったが、肝心のフノリなるものを見たことが無かった。やはり実学が重要ですな。見ると、赤い海草だ。刺身の舟盛りなんぞのツマに添えられていそうな感じ。こんなものを蕎麦に混ぜ込もうと思いついた先人の知恵たるや相当なものだ。そばつゆにクルミを混ぜるという上田・小諸地方の食べ方もアイディア賞ものだが、フノリで蕎麦粉を繋ぐというのはちょっと奇想天外だ。

全く知識が無かったので、「えっ、これが布海苔なんですか?これ、そのまま粉末にして蕎麦に混ぜちゃうんですか?」と聞いてしまった。アホ言え、こんな赤いものを蕎麦に混ぜたら、蕎麦が赤くなってなんだか気持ち悪いぞ。聞くと、この布海苔を煮出した汁で蕎麦をこねるのだという。布海苔を煮て溶かすと、糊状のドロドロした液体になるんだって。もともと、糊用に使っていたというから納得だ。海苔が糊になるとはしらんかった。

へぎそば
へぎそばアップ

さあ最後のいっぱい、ということだったのだが、結論を先に述べると「失敗したぁー」だった。まずい、というわけではない、最後に食べるにはちょっとタイミングが悪かったな、という性質の蕎麦だったからだ。

まず最初の印象は、「人工物っぽい」というものだった。切り方がとても均一であるが故にそう見えるのもあるが、加えてへぎそば独特なのだろう、若干緑・・・青みがかった色あい。よくある蕎麦の色とは異なっている。

そして、いざ食べてみると食感が全然違う。こんにゃくのようだ。どこかで食べた事がある食感だぞ、と思ったら、ダイエット食品である「こんにゃくラーメン」に行き着いた。ああ、あの食感に似ている。おかでんは、テンション高い時にANAの機内誌で読み、これは良いと一箱衝動買いしたことがあるのよね。おかげで一時の食卓はこんにゃくラーメンだらけだった。1年以上経つけど、まだたくさん残っている。それに近いな。

固い、とか柔らかい、という表現はあわない。グミグミした食感で、噛んだら、歯が押し返される感じ。すごいぞ、布海苔。

なるほどいろいろな蕎麦があるねえ、と感心するのだが、蕎麦の異端児という印象も受ける。一応、「十割蕎麦」なんだけどね。不思議な蕎麦だ。

最後に食べるにゃちょっと負担感あった。食べ応えある食感なので、満腹状態で手繰るには少々しんどい相手だった。もう少し早い段階で食べていたら、「ダイエット用こんにゃくラーメン」なんていうけしからん例えをされずに済んだのかもしれない。つゆはおいしかった。薬味のネギを入れてもおいしさは持続するし、蕎麦湯を入れるとこれまたおいし。最後にほっこり幸せになれた。ただもう、満腹。

このお店は、実店舗で使われている伝票を使って客さばきをしていた。お店の名前がプリントされた紙。住所を見ると・・・あれれ、栃木県小山市?驚いた、てっきりへぎそばだから新潟県十日町市あたりのお店だとばかり思っていたのだが。まあ、布海苔自体は全国各地で採れるものなので、どこで作っても何らおかしくはないんだけど。・・・って、待て、栃木は海がない県だ。

最後の最後でちょっとした驚きがありつつ、全11軒、胃袋の限界まで食べ尽くしました。もうやめておこう。ただいまの時刻、14時05分。14時35分下今市発の特急スペーシアに乗ることができれば良いのだが・・・さて、どうなるか。周囲は「そろそろ帰ろう」としている人だらけだし、シャトルバスがどれくらいの頻度で来るかわからないし。

シャトルバス乗り場

行きは徒歩で来たので、シャトルバス乗り場がどこにあるのかさえわからなかった。ただ、人の流れに任せてそのまま進むと、そこには大行列が。達磨の行列を越えた。今日一番の繁盛はシャトルバスだったか。

「3番にご乗車の方はこちらが最後尾ですー」なんてスタッフが叫んでいる。シャトルバスはあちこちの駅(東武/JR日光、東武下今市、JR今市駅)と結んでいる他、パーク&ライドで別の場所にある駐車場から人を運搬している。そのため、乗り場がたくさんあってややこしい。もっとも、会場入りする時点で自分が何番のバスに乗ってきたかは皆知っているので、帰りの際にもたつくことはないのだが。おかでんのように、「行きは徒歩、帰りはシャトルバス」の場合は少々まごついた。スタッフの方に聞いたら、下今市行きは9番乗り場だと教えてくれた。良かった、この大行列を成している3番乗り場ではなかった。

ちなみに3番乗り場は、公園西駐車場行きだった。この3番線は大型の観光バスがひっきりなしにやってきて、客を運搬していた。車で来た人、多いのだな。

マイクロバス

一方、下今市行きのバスはマイクロバスだった。小さい。公共交通機関で訪れる人は少ないのだろうか。

輸送スタッフは無線で連絡を取り合い、非常に慣れたオペレーションだったので、経験に裏打ちされた機材配置になっているはず。小さいバスということは、つまりそれだけしか乗る人が居ないということだろう。

バスが満員になったので出発となったが、添乗員席に座ったスタッフの方は常に回りに気を配り、無線で別のバスを呼び出し、「まだ駐車場に数名乗れなかった方がいます、駅でお客様を下ろしたらすぐに会場に戻ってきてください」などとてきぱきと指示を出していた。

駅に向かう途中、いろんな方面から戻ってきたシャトルバスとすれ違った。栃木中のバスがかき集められた感じ。そして、件の公園西駐車場の横を通り過ぎたが、ここにも整理のためのスタッフが多数。各シャトルバスに1名ずつスタッフが乗り込み、各駐車場に何名も誘導スタッフが居て、そしてシャトルバス乗り場にもたくさんスタッフがいる。輸送班だけで相当な規模だ。つくづく、その規模の大きさに驚かされる。

下今市駅

14時32分、下今市駅到着。ギリギリセーフで、乗車券特急券を購入の上特急スペーシアに乗車。そのまま東京へと戻った。自宅に、とはいかず、仕事場直行だけど。

今回あれこれ蕎麦を食べて回り、つくづく「蕎麦ってええもんやねえ」と思い直した。さすがに数軒食べ続けると味覚が麻痺してくるのであまり賢いやり方ではなかったが、それでも大満足だ。来年もできれば参加したいし、こうなったら一泊二日で全店舗食べ歩きをしてみたいとまで思った。よいそばまつりです、主催した日光市には心からお礼申し上げたい。

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