石臼挽き蕎麦香房 山の実(03)

2011年06月19日
【店舗数:291】【そば食:492】
長野県下高井郡山ノ内町北志賀竜王高原

山の実

山の実

竜王スキー場

初めて訪問した際、その立地条件と味に驚愕したお店、それが山の実。何でこんなところ(スキー場のゲレンデまっただ中)にぽつんと蕎麦屋があるの、というシチュエーションに激しく興奮し困惑したものだ。

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その衝撃の初訪問から中1日で第二回目の訪問。今度は同伴者(アワレみ隊:しぶちょお)を連れての訪問だった。スゲー美味い蕎麦やがあるぞ、というのを知らしめたかったのもあるが、とにもかくにもこの突拍子もないお店の場所に大いに驚いて貰いたかった、という方が強い。

その二回目の訪問で、改めて「あ、こりゃ美味いや。一回目が思い込みでも勘違いでもないぞ、美味いもんは美味い」と納得したのだった。シチュエーションがすごすぎるので、味の評価が2割増しくらいになっているんじゃないか、って疑心暗鬼になっていたのだった。

さて今回は三回目。今度はアワレみ隊のばばろあに山の実を紹介しようぜ、という話になり、しぶちょおともどもそろっての訪問となった。毎回一名ずつ訪問者が増えていく。良い店というのはそういうものなのだろう。

とはいえ、おかでんがしばらく疎遠にしていた間に、しぶちょおは何度もこのお店に通っていたらしい。なにせ初訪問からわずか一週間後にまた訪問していたというのだから筋金入りだ。で、ガッチリ体型でひげ面という目立つ風貌なのが時折店に現れるということで顔を覚えられ、お店のご主人とも懇意になってしまったという。ひげ面のメリットだ。

その彼が言うには、「開店直前に行った方がいいなあ。遅れて行ったら開店一回転目のお客さんを待たないといけないから」。何を言っているのか訳がわからない。

ただ、情報によると昔はいつ潰れるのか、はらはらどきどきなお店だったけど、今じゃ繁盛店になってしまったらしい。運が悪いと待たないといけないくらいにまでなったという。それを聞いて恐縮するおかでん。

このサイトが情報発信する力なんてのはたかがしれているが、でも見る人は見ている。「秘密にしておきたいよいお店」までガンガン絶賛しちゃうと、お客さんがたくさんやってきて店の質が下がる危険性がある。忙しくて料理や接客の質が下がるならまだしも、柄の悪いお客さんまで引き込んでしまい、そのせいでお店がすさんでしまうのは一番よくないパターン。「そういうこともあるから(文章を書くときは)気をつけろよ」と以前釘を刺された事があったんだっけ。

この「山の実」の繁盛っぷりはなるべくしてなったと思うが、2回に渡って大絶賛記事を掲載したおかでんとしてはちょっとだけ複雑な心境。

さて山の実に到着だが、さすがに3回目にもなると立地条件に驚きは感じない。とはいえ、スキーゲレンデ全体で開いているお店が殆どないなか、場違いな蕎麦屋が一軒ぽつんと開いているのは相変わらず奇妙な光景だ。

営業日のご案内

営業時間は相変わらず強気。一日三時間。まあ、夜営業なんてやったらたとえ繁盛店としてもお客さんがくる訳がない。そんな立地。だからこの時間が過不足ないのだろう。でも、16時くらいまでやってもバチはあたらんと思うのだが。・・・やめとけ、ご主人が過労で倒れる。

あれえ?営業日が以前と比べて変更になっとる。昔は金~月と祝祭日の営業だったのに。ご主人が「うちは週休三日ありますから」と笑っていたのをよく覚えている。それが今では週休5日になっちゃった。すげー。

東京の柴又に「日曜庵」というお店があるが、あそこでも金、土、日の3日営業だぞ。それを上回る営業日の少なさ。凄いぞ山の実。日本の蕎麦屋の中でも屈指だと思う。

とはいえ、「平日はご予約をお願いいたします」と書いてあるので、平日もやろうと思えばやれるらしい。やっぱり平日は客が来ないから、お店を敢えて開けることはしないんだろうなぁー。

店内

われわれは11時半ちょっと前に到着したのだが、その時点で先客2組。やれ、結構繁盛しとるぞ。開店前だけど席に案内してもらえた。注文とりはしばし待機。

その後あれよあれよとお客さんがやってきて、11時50分頃には店内満席。びっくりだ。あれだけガラガラだった店が・・・・。しぶちょおが言っていたのは本当だったのか。みんなこんな山奥によく来たなあ。どこからこのお店の情報を手に入れて来たんだ?

後で駐車場に停まっている車のナンバープレートを確認してみたが、他県ナンバーだらけ。関東、東海、果ては近畿まで。「たまたま通りすがりにこの蕎麦屋に立ち寄りました」という事は絶対にあり得ないお店の場所なので、「今日は山の実で蕎麦を食べます。決定。まる。」という覚悟でここまでやってきたことになる。みなさんお盛んですなあ。

で、しまいには順番待ちの行列までできるありさま。うそだろ?ここ、交通の便が悪い北志賀のスキーゲレンデだぞ?ありえん・・・。でもこれでしぶちょおが言っていたさっきの言葉の意味が分かった。うっかり12時過ぎなんぞにこの店に来ると、満席状態で待ちになる。そのため、開店と同時に入ったお客さんが出て行くまで待たないといけない、というわけだ。しかもこのお店の場合、「蕎麦だけ手繰ってさようなら」というお客さんは少なく、コース料理「山の実」を頼むお客さんが多い。だから、待つとなると結構待たなくてはならないのだった。こりゃ開店と同時に入店が正解だわ。または、13時以降に訪れるか。

そんな繁盛っぷりのせいで、以前はご主人と奥さんの二人三脚だったお店に一人職人が加わっていた。彼はピザ焼き専門で雇われているようで、ピザ釜を前に陣取っていた。何度も繰り返すが、この山の中で「繁盛に伴い雇用1名増」というのは凄いことだ。

野菜の盛り合わせ

おかでんは、過去2回同様「山の実」というコースを頼む。残りの二人は共同戦線を張り、単品料理を組み合わせた注文。このお店の場合、「山の実」コースが最強だとは思うが、二名で訪れた場合はそばがきやピザなど単品メニューを頼み、シェアした方がコストパフォーマンスがよろしくなる。三名になると一人当たりの割り当てが減るけど、どれも少しずつたべたい向きには最高のコストパフォーマンス。四名は・・・単品を二つずつ頼むのが良いと思う。

最初に野菜の盛り合わせが出てくるのは毎度おなじみ。これが美味いんだよなあ。どれも絶妙な堅さで、どうしてこの「堅すぎず、柔らかすぎず」の食感が生み出せるのか不思議でならない。山菜(こごみ?)なんてすぐにくたっとなりそうだけど、シャキッとしている。

豆が美味くてかなわんのです。家でビールのおともとしてこんな枝豆が食べられたら幸せです。でも、多分この豆は黒ずんでいるので普通の枝豆とは違うものなのだろう、そもそも。

【後注】この豆は長野県特産の「鞍掛豆(別名パンダ豆)」という豆なんだそうです。普通の枝豆が黒ずんだもの、というのとはちょっと違う。

根曲がり竹もいい色。和菓子のような色だ。これまたうまいうまい。そうか、今ちょうど志賀高原では根曲がり竹のシーズンだもんな。

そばがき

そばがきアップ

写真左、黒い器に入っているのが「山の実」コースのそばがき。右が単品のそばがき。2.5倍くらい単品の方が大きい。

超粗挽き、粗挽きの蕎麦粉がブレンドされて作られているそばがきで、超粗挽きに至っては蕎麦の実を1/3程度に割っただけじゃないか、というくらいの粗粗。これでよく団子状に固まるもんだと思うが、細かい粉も混ぜたりして粗挽きを強調しつつそばがきを成立させているのだろう。

食べたらもうね、むふふふと笑ってしまうんですよ。今まで食べて来たそばがきとはなんだったのかと。というか、これ、そばがきか?

あまりに粒子が粗いので、そばがきっぽくはない「別の食べ物」になってはいる。しかし、じゃあこれは何だと聞かれたらそばがきといわざるを得ない。しかしそんじょそこらで食べられるそばがきとは別次元の美味さであることは間違いない。

蕎麦

蕎麦アップ

そばがきが美味くて蕎麦がまずい、ということは普通あり得ないので、蕎麦も美味いんです。まる。

これは単品で頼んだ組と「山の実」コースの人とは同じ量が供される。

一口すすったら、もうね、蕎麦の香りがむせかえるんですよ。もうもうと蒸気が立ち上るかのように、蕎麦蕎麦蕎麦なんですよ。こんな蕎麦はちょっと他に例がない。うまい。麺はよく繋がっているし、端正に切ってあるし、つゆは蕎麦を邪魔しない最適な辛さだし。

しかし、食べていてふと一抹の寂しさを感じたのも事実。美味すぎるのですよ、これ。少しくらい欠点があった方が、寧ろ美味いんじゃないかと思うわけで。こんなに蕎麦蕎麦していると、なんだか蕎麦切り食っているというより蕎麦エキス食べているような気分になってしまう。「もうちょっと香りが強いといいんだけどな」とか、「つゆがかっらいなあ」とか、そういう欠点があった方が愛おしい。

こんな心境になったのは、「ふじおか」以来だ。ちなみにおかでんの中では、ふじおかは「別格」扱いになって、「オレ的お気に入り蕎麦店」からは除外されてしまっている。あれは蕎麦ではない、ふじおかという食べ物だという結論になったからだ。美味すぎた。

同じように、このお店も別格総本山を名乗っても良さそうだ。

そば湯

けしからん蕎麦を食べたあとは蕎麦湯が待っている。これがまたけしからんのだよな。そばがきがうまけりゃ蕎麦も美味い、というのが真理なら、蕎麦湯だって美味いに決まってら。とろっとろの蕎麦湯は蕎麦の香りが十分に残っており、単に「とろみがついてりゃお客さん喜ぶでしょ?」という内容ではない。ザ・これぞ蕎麦湯。

須賀川そばピッツァ

須賀川そばピッツァアップ

須賀川そばピッツァ。例のごとく左が「山の実コース」、右が単品オーダーのもの。

具がシンプル過ぎて、なんだか物足りないように見えるが、いやいやこれで十分過ぎるんだから恐ろしい。これ以上の具はむしろ邪魔。

そばピッツァは4種類あるのだが、以前訪問したときにあった「高原野菜のピッツァ」がなくなっていた。かわりに「B.L.T.ベーコン、レタス、トマト」がラインナップ。名前が変わっただけかもしれない。もしくは、自家農園が高原ではなくなったので「高原野菜」の看板を下ろしたとか。このお店、自家農園を持っていて野菜は自家栽培しているのだった。

粗い蕎麦粉が蕎麦生地にまぶしてある

この蕎麦ピザ、裏返してみると砂粒のように粗い蕎麦粉がまぶしてある。後で釜のところで製法を見たら、ピザを伸ばす台に敷く「打ち粉」がこの粗い蕎麦粉なのだった。台とのくっつき防止用なんだけど、粗い蕎麦粉で十分役割を果たすんだなと感心させられた。

で、この粗い蕎麦粉がまた食感を良くするんだわ。ここのご主人、粗挽きの良さを十分に理解して存分に披露してくれている。よく蕎麦屋で「粗挽きの蕎麦」なんてのをお目にかかるが、食べて見ても何がどう粗挽きなのかさっぱりわからないお店が多い。粗挽きとはこうだぁぁぁぁ、というのを知りたければ今すぐ山の実へ行くべし。

そばがき甘味 黒蜜きな粉

こちらは「そばがき甘味 黒蜜きな粉」700円。単品で頼んだ同行者が注文した。

こちらのそばがきは先ほどの超粗挽きとは異なり、目が細かい。試食させてもらったが、ふんわりしっとりとしていて、これはこれでそばがき単品で食べてみたい、と思わせるものだった。マシュマロのようだ、と形容すると一番近いかな。

ここのご主人はつくづく蕎麦粉を使いこなしていると思った。粗挽きと細挽きを緩急織り交ぜながら出すその技術はさすが。改めて凄い店だ。

ちなみにこのお店はピザがお持ち帰りできるのだが、同行者はピザをお持ち帰りしていた。まるで宅配ピザのような紙の容器に入れられたピザ。なにせ薄いクリスピー生地なので、家に持って帰る間にシナシナになってしまうか、それとも持ちこたえる事ができたか、結果が気になる。

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