神田 尾張屋 本店

2012年11月24日
【店舗数:317】【そば食:538】
東京都千代田区神田須田町

山菜、もりそば、菊正宗

神田 尾張屋 本店
尾張屋あんどん


「眠庵」を後にして、もう一軒蕎麦屋に行ってみることにした。ちょうど眠庵から1ブロック隣にある「神田尾張屋本店」というお店が、それだ。「1ブロック隣に蕎麦屋が。」という構図は、前日も練馬の「法師人」と「ふる井」であったばかりだが、偶然だ。おかでんが意図的に「1ブロック離れたお店探訪」をしているわけではない。

お店に行く前にはできるだけ事前情報を収集しないようにしているのだが、そのせいもあってお店の外観を見てびっくりした。わ。自社ビル、しかも5階建てだぞ。金ぴかの文字で「そば処 尾張屋本店」とビルに書かれていて、威圧感がある。こんな大きな店だったとは思わなかった。ついさっきまで滞在していた「眠庵」が隠れ家的だったのに対して、この偉容。ギャップが大きすぎて、ちょっと体が馴染むのに時間がかかる。

店頭にサンプル

店頭には料理のサンプルが並ぶ。このお店、結構古くからやっているらしい。サンプルは埃が積もっていたり、太陽光で色あせたりしていることはなく、ちゃんとメンテナンスされているのが好印象。

このお店、いわゆる「趣味蕎麦」の世界ではなく、誰でも気軽に入れる、庶民的蕎麦をやっているっぽいぞ。さあてどうしたもんかな、おかでんは「趣味蕎麦」の方がお好みなんですけど。まあいいか、たまにはこういうお店も面白い。サンプルを見ても目移りするだけなので、とっとと店内に入ろう。通し営業で昼下がりでも営業をしているのが非常にありがたい。

二階に客席がある

お店に入ってちょっとびっくりしたのは、一階に客席が無かったということだ。中二階と半地下にそれぞれ客席がある。おかでんは中二階に通された。この後やってきたお客さんの動向を観察していたら、次のお客さんは半地下、その次は中二階・・・と、交代交代にお客さんを誘導しているらしい。

喫煙は全席OK。古いお店らしいので、たばこに関しては扱いが緩いようだ。3席離れたお客さん二人がたばこを吸い出したので困ったな、と思ったが、幸い煙はこちらに流れて来なかったので良かった。煙被害がないのであれば、別に禁煙でも喫煙可でもどっちでもいいや。

その二人だが、けんちんと鴨せいろを頼んでいた。すると「けんちんはもう終わってしまったんですよ」と店員さんから言われ、「じゃあ・・・天ぷらそば」と修正していた。けんちん、そんなに人気なのか?

おかでんがこのお店に滞在している間、けんちんを頼んだ人の数、3名。お客さんにおけるけんちんの注文率は50%を超えていたと思う。この店のスペシャリテなのかもしれない。お値段945円。

おっと、鴨せいろを頼んだお客さん(まだ20代。どうやらムーンライトながらで今朝上京してきたらしい)が、店員さんを呼び止め、「すいません、葱多めで!」というむちゃな注文をしていた。店員さん、了解。なんと、葱多めなんて事ができるのかこのお店は?すげーな。

で、店員さん、厨房にかけあってみたが、すでに鴨せいろができあがっている状態だったので、葱の追加はできなかった。「もうできあがっちゃってるので・・・。その代わり、薬味の葱を増やしておきますね」という機転の利かせっぷり。ナイス機転。それを聞いた天ぷらそばの兄ちゃん、「あ、僕も!僕も葱お願いします!」と便乗注文。最近の若者は遠慮を知らんな、いいぞもっとやれ。おかでん感心することしきり。

菊正宗の燗酒
山菜

お品書きにはいろいろ書いてあるのだが、なぜか飲物について一言も触れられていない。店員さんに「お酒のメニューってありますか?」と聞いたら、持ってきてくれた。このお店、お酒を出すのは本意ではないのだろうか?各テーブルにお酒のメニューを置かないとは。蕎麦屋なのに。

その割には一品料理はそこそこ品そろえがあるというのがちょっと不思議。

燗酒は二種類あったが、菊正宗を選択。樽酒ではない、ノーマル菊正宗。ノーマル菊正宗を飲むのは久しぶりだ。

あとは酒肴の選択だが、ええと、何にしようかな。メニューには「山菜 350円」というのと「山芋の千切り 550円」というのがあって、何がどう違うのかわからず、思わず「これとこれはどう違うんですか?」と店員さんに聞いてしまった。どっちも「さんさい」に見えてしまったからだ。「こっちはヤマイモです」と言われて、初めてその間違いに気がついた。ありゃ、視力が落ちてきたかな。

この日二軒目の蕎麦屋、ということもあってあまり一品料理でガツンと注文する気にはならなかった。だから、安いしおかでんの嗜好に合う「山菜」を注文した。

届けられた山菜は、値段のわりにどっさり。あー、深大寺「玉乃屋」の「つまみ山菜」を思い出すな。あれも300円なのに量が多かった。山菜って案外安い食べ物なんだな、と理解する。

お酒は「熱燗にしますか、ぬる燗にしますか、それともア・タ・シ?」と聞かれたので、熱燗にした。すると、容赦なく熱いお酒が出てきた。いいねえ、たまにはこういう熱湯風呂な状態の酒もいいもんだ。ただ、徳利とお猪口があまりに色気が無いのが残念。これも老舗故の素っ気なさだろうか?そう思えばこれはこれで良いと思えてきた。

お酒と一緒に、味噌がついてきた。これは・・・蕎麦味噌?いや待て、味噌に練り込まれている粒を見ると・・・胡麻に見えるんだが・・・。でも、蕎麦屋で、蕎麦味噌ではなく胡麻味噌なんて聞いたことがないぞ。慎重に食べてみる。うーん、分からない。甘い味噌の味が強くて、蕎麦の実なんだか胡麻なんだか、分からない。でも、見た目はどう見ても胡麻なので、多分この料理は胡麻味噌なんだろう、と勝手に結論づけておく。へー、なるほど。

特盛さくらせいろ

特盛さくらせいろ、というのがあるらしい。そば400グラムとボリュームがある(だいたい二人前程度)だけでなく、桜海老といかのかき揚げが付くようだ。これでお値段900円は安すぎる。このお店におけるもりそばは525円とそもそもが廉価なのだが、だとしても900円はすごい企業努力だ。さすがに1日20組限定だったが。

聞いてみたらもう今日は終わってしまったとのこと。そりゃそうだわな、もう時刻は14時を回って15時近い。この時間まで売れ残っているはずがない。残念。そこで、ここは大人しくもりそばを注文。

もりそば
もりそばアップ

もりそば525円到着。

メニューには「大盛り」ができると書いてあるし、それでも足りない人用に「重ねせいろ」というのも用意されている。だからよっぽど量が少ないのかと思ったが、そんなことはなかった。趣味蕎麦の世界に慣れていると、これくらいは標準量だ。ただ、蕎麦だけでおなかいっぱいになりたい、「蕎麦は趣味ではないです。普通の食事です」という人にとってはちょっと物足りないかもしれない。そういう方はぜひ大盛りをどうぞ。

蕎麦を手繰ってみて、まず思ったこと。うん、水がまずいんだと思う。なんだこれは。いや、最近は東京の水道水は品質が良くなったと聞いている。だから水のせいではないと思うのだが・・・だとしたら、やっぱり、なんだこりゃ。おいしくない。水切りが悪いからだろうか?

蕎麦はよく繋がっていて、つるつるとのどごし良く食べられるんだが、そのつるつるがむしろ面白味に欠けてあんまり楽しくなかった。

つゆも口に合わず。いろいろ言いたい事はあるけど、省略。蕎麦がそんな感じなので、蕎麦湯も以下同文。おかでんとは全くそりが合わなかった。

ただ、お店の名誉のために言っておくが、2012年11月時点の「食べログ」においては、平均点以上の評価が出ているお店だ。おかでんと相性が悪かったのは特例であり、一般的ではない。

木鉢会ポスター

壁には、「木鉢會」のポスターが貼ってあった。あ、このお店、木鉢会の会員なんだ。ずらりと並んだ蕎麦屋の店名には、室町砂場、かんだやぶそば、茅場町長寿庵、更科堀井、巴町砂場、更科布屋・・・と著名なものばかりが並ぶ。その中に「神田尾張屋」の名前も。へー、凄いな。凄いけど、それと蕎麦の味が美味いかどうかはまた別の話。今回は相性がとても悪かったな。残念。

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