ふるまい蕎麦 ふる井

2012年11月23日
【店舗数:315】【そば食:536】
東京都練馬区豊玉中

鴨汁の揚げ蕎麦がき、ふるまいランチ、鷹来屋、武勇

ふる井

豊玉の町

練馬区の豊玉といえば、環状七号線(通称環七)と目白通りが交差する「豊玉陸橋」がドライバーの間では知られている場所だ。このあたりは結構渋滞が激しい。しかしその周辺は住宅街であり、環七の喧噪から一歩道を外れると静かな街が広がっている。

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そんな街の中に、なかなかイカす蕎麦屋が2軒あるという情報を手に入れた。2軒もあるなら、それらをハシゴすることは余裕で可能だろう。それはいい事を聞いた、さっそく行ってみることにしよう。わざわざ自宅から遠方にある、何の変哲もない住宅街まで遠征するのだ。ハシゴしないと勿体ない。

で、住所を調べてみてびびった。その蕎麦屋2軒だが、1ブロックしか離れていなかったからだ。この町は蕎麦屋激戦区か!ますます興味が湧いた。

文化の日、特に用事が無かったのでこの2軒の蕎麦屋に行ってみる事にした。お昼に行こうと思ったので、時間配分がとても難しい。何しろ、こちらは言うまでもなく昼酒をやるつもりでいる。しかし、お昼のピーク時に居座って酒を飲んでいたらお店に迷惑だ。できるだけお客が少ない時間に行くのが蕎麦喰い人種の礼儀というもんだ。とはいえ、営業時間が14時まで、なんてお店には一体いつ行けばいいの。非常に塩梅が難しい。

高円寺から赤羽行きのバスに乗って、「豊玉中二丁目」で下車。時刻は13時15分、少しピーク時間をずらしつつも、お店が閉店する時間には退店できるギリギリを狙ったつもりだ。

そこから徒歩2分程度で、一軒目の蕎麦屋が見えてきた。その名は「ふる井」。こちらは後回しにする。なぜなら、15時までお昼の営業をやっているからだ。時間の余裕はまだある。

ふる井を横目に、住宅街を歩く。

法師人(ほうしと)

法師人(ほうしと)看板

本当にすぐ蕎麦にお店が、いや、すぐ側にお店があった!目指す一軒目、「法師人(ほうしと)」は「ふる井」から徒歩一分足らずのところに存在した。事前に分かっていたとはいえ、びっくりだ。お互い競合しないのか、ここ?

法師人は、普通の民家だった。一階を改装して蕎麦屋にしたらしい。さっそく中に入ってみたら、お座敷を流用したものと思われる客間があった。お昼の営業時間は14時まで、うん、狙い通りの時間に到着。

すると、中から店員さんが出てきて「今日は予約でいっぱいなんですよ。また今度、予約してお越しください」と申し訳なさそうに言う。えー、そうなんだ。住宅地の中にある蕎麦屋だというのに、予約しないと入れないとは。

手元の情報によると、このお店は20席あるということだが、それが予約で満席とな。いやはや、隠れた繁盛店とはこのことだ。二度目のびっくりだ。でも、おかでんはこことはもうご縁が無いだろうな、と思う。わざわざ予約してまで訪れるにしては、家から遠すぎる。あと、そんな繁盛店(かつ、席数が少ない)ところに、「一名」で予約するのは申し訳がない。さようなら、法師人。ちょっと残念。

改めてふる井

ふる井看板

気を取り直して「ふる井」に戻る。「ふるまい蕎麦」を名乗るお店だ。

入口のところに、メニューの抜粋版が掲示されていたので、事前学習しておく。

うわあ、「今だけ秋の味覚」だけで19種類もあるぞ。これにレギュラーメニューが加わったら、一体いくつの料理がこのお店のメニューになるんだろう。優柔不断のおかでんにとっては、非常に(良い意味で)困ったお店だ。面倒くせぇなあ、酒肴になる料理なんて数品あればいいんだ、「蓮玉庵」を見習え!と言いたい。あ、ごめんなさいそれはうそです。冗談です。たくさんのメニューを取りそろえるお店のたゆまない努力は素晴らしいと思う。でも本当にどうしよう。以前、「吉法師」で相当悩んだからなぁ。で、悩んだ結果、あれもこれもと頼んでしまい、お会計が相当いってしまうというのがオチだ。

店内

店内はテーブル席のみ。ジャズがBGMで流れている。客席は20席ちょっとかな。それにしても、ジャズを流す蕎麦屋がとても多いな。「無難なBGM」なんだろうか。アンビエントな曲を流すとか、鳥のさえずりとか川のせせらぎといった自然の音を流すといった工夫の余地があると思うのだが、何でみんなジャズを好むのだろう?

酒器はお好みで選ぶ
案の定、店内のお品書きはボリュームがありすぎる。悩ましいので、とりあえずお酒を先に注文することにした。

麦酒飲み人種であるおかでんは、ほぼ常に「とりあえずビール!」と言うのだが、なぜか蕎麦屋だけは清酒を頼む事が増えてきた。特に最近の傾向としては、酒肴とセットで注文するのではなく、お酒だけ先行して注文することが増えた。少しでも料理のセレクトに時間稼ぎをしたいからだ。そりゃそうだ、ここ一カ月二カ月はよく蕎麦屋に通っているけど、その都度5,000円だの6,000円だの飲み食いしまくっているんだから。慎重にならないと、破産してしまう。

お酒は、燗酒が2種類用意されていた。燗酒が選べるというお店はそれほど多くはないと思うので、今日みたいに雨が降って寒い時にはありがたい。それでは、ということで大分の「鷹来屋(たかきや)」純米を注文する。一合650円。値段がお手頃でうれしい。

すると、しばらくして店員さんが「お猪口は選べますから」とお猪口がたくさん入ったかごを持ってきてくれた。おおう、どうしようかな。いくつか吟味したが、竹製のお猪口をセレクト。

ちなみに冷酒は5種類。獺祭(だっさい)の純米大吟醸が750円で飲めるなど、値段はやっぱりお手頃。さらに、「3種類の利き酒」が800円でできるというユーザーフレンドリーっぷりを発揮。やるな、このお店。

不思議な徳利

徳利は二重構造

しばらくして、厨房から「ピー、ピー、ピー」という音がした。電子レンジの音だ。それからお酒が出てきたので、どうやら燗酒を提供するときは、電子レンジで加熱するらしい。今風ですな。いちいち湯煎でお燗をつけるなんて面倒な事はさすがにしない。

さて、出てきた徳利を見てびっくりだ。なんだかすごいでかいんですけど。しかも、なみなみとお酒が入っている。これ、二合以上確実に入っているぞ?どういうことだ?

不思議な顔をしていたら、店員さんが徳利を手にとって説明してくれた。「お酒を注ぐ時はこうやって持ち上げてください」。あらら、徳利が分離して、中からもう一つ徳利が出てきた。中に入っていた実際の徳利は、もちろん一合徳利だった。誇大広告だ!JAROに訴えるぞ!あれ?「広告」じゃないか、これ。

なんでこんな面倒な事をやっているの?と思ったら、大きいパーツの中にお湯が入っているからだった。すなわち、この中にお酒が入っているホンモノ徳利を入れておけば、お酒が冷める事が無いというわけだ。よく考えてあるなー。初めて見た、こういうの。

お通しは、昆布と椎茸の煮しめ。

この時点ではまだ料理の注文はしていない。お通しのボリュームと内容を確認することは、料理を選ぶ上で重要なヒントになる。

ランチメニュー

ランチコース

うんうんうなり続けてお品書きを凝視するおかでん。鷹来屋をちびちび飲みながら数えてみたら、レギュラーメニューの一品料理が30種類もあった。それにさっき店頭でみた19種類を足すと、なんと49種類も「酒の肴候補」があることになる。その中から1品を選べ、って言われても、どうすりゃいいの。

すいません、このメニュー、右から順に全部持ってきてください!

待て、早まるな、そんなことをしてはいかん。

いや分かっちゃいるんですけどね、ハアハア。

さらにややこしくしているのが、やたらとお得なランチメニューがあったり、ランチコースがあったりするということだ。このお店のせいろそばは600円なのだが、ランチメニューの「ふるまいランチ」を頼むと、

季節の野菜天ぷら+小鉢+そば+デザートが出てきて1,000円。

400円の追加でこれはちょっとやり過ぎじゃありませんか。あと、ランチコース1,800円を選ぶと、

蕎麦豆腐+だし巻き玉子+海老と旬の野菜の天ぷら+そば+デザートになる。

なんだか「ぐらの」の「そば膳」を思い出すお得感。どうしようどうしよう。

鴨汁の揚げ蕎麦がき

鴨肉アップ

結局、本当に面倒臭くなって、レギュラーメニューの「鴨汁の揚げ蕎麦がき」1,000円を注文した。このお店は鴨料理だけでも5品扱っているのだが、そのうちの一つ。そろそろ寒くなってきたし、鴨がおいしくなってくる頃だろう。そばがきはもともと好きだが、揚げそばがきは旨味が凝縮された感じがして、さらに好きな一品だ。といっても、実際に揚げそばがきを食べたのは「蕎麦善」で食べた一回っきりかもしれない。機会があればもっと食べたい料理。そんな鴨と揚げそばがきがドッキングしたのだ、まずかろうはずがない。

出てきた料理は、揚げそばがきがごろんと2個、鴨ロースが2切れ、鴨つくねが2個、ねぎ、三つ葉で構成されている。うまそう。ここで、「揚げそばがきが、鍋を調理した時のアクに見える」なんて言ってはいかん。轢きぐるみの蕎麦粉で作ったそばがきだからこうなるんだ。

つゆは、「鴨汁」を名乗るほど鴨の旨味が出ている感じはしなかったが、おいしい。いつもおかでんは蕎麦屋でもりそばばかりを食し、かけそば系の温かい蕎麦を食べない。だから、ごくたまにこうやって温かいそばつゆをいただくと何ともありがたい気持ちになる。ああ、これは良い料理だ。料理に添えられていた山椒の粉を振りかけて食べると、とても華やかな風味になり、はっとさせられる。また、卓上にある黒七味を鴨にかけるのもこれまた乙なものだ。

蓮根と人参のきんぴら

このままそばでシメても良かったのだが、どうしても先ほどの「ふるまいランチ」が気になってしまった。1,000円でどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのか、確認してくなってしまったからだ。

そこで、「ふるまいランチ」を注文。天ぷらと小鉢はお蕎麦より先に持ってきてくれるか?と確認したらOKとのことだったので、お酒を追加注文。今度も熱燗で、茨城の「武勇(ぶゆう)」辛口純米。「お猪口を変えますか?」と聞かれたので、せっかくなのでお願いする。今度は備前の猪口にした。

小鉢は何が出てくるのかな?と思ったら、蓮根と人参のきんぴらだった。これはこれで酒の友として良い関係を構築できそうだ。

季節の野菜天ぷら

季節の野菜天ぷらがしばらくして到着した。

れんこん、椎茸、なす、かぼちゃ、ねぎで構成されている。1,000円のセットメニューにこれが組み込まれているとはうれしい驚き。

店員さんからは「抹茶塩でお召し上がりください」と言われた。抹茶塩というのは不肖おかでん、初めての体験。粒子が細かく、塩っ辛さがあまり強く感じられないので天ぷらと相性が良いと思った。よくあるパターンが、天ぷらに塩をつけてかじってみたら、塩をつけた一カ所だけが異常にしょっぱくて、それ以外のところが味がなくて、ちぐはぐ・・・というもの。それが防げているのだから、いい塩ですよ奥さん。

蕎麦粉の表示

ふと壁を見ると、蕎麦粉の表示があった。現在は北海道の摩周産のものが使われているらしい。北海道というと、どうしても幌加内に代表される雨竜郡のものを想像するが、摩周のような道東でも蕎麦の栽培が盛んなのだな。

ちなみにこのお店は変わり蕎麦も打っていて、今日はけし切りだそうだ。

蕎麦

蕎麦アップ

通し言葉で言うところの「お声がけ」で、蕎麦が出てきた。蕎麦のゆで時間は1分くらいか。

蕎麦はよく冷水で締められていた。堅い蕎麦が好みの人にはたまらないかもしれないが、おかでんにとってはちょっと堅すぎた。せっかくの蕎麦が凍えてしまい、蕎麦の風味が奥深くに閉じこもってしまった印象。勿体ない。でも、その分のどごしはとても良かった。また、蕎麦はよく繋がっており、手繰り甲斐があるってぇものだった。ちょっと盛りつけが雑かな、せいろからはみ出してしまっているのはお行儀が悪い。

つゆについてはおいしかった、としか言いようがない。つゆのコメントって非常に難しい。醤油の辛さと、砂糖の甘さが混然一体としているので、辛いような甘いようなそうでないような、訳がわからないからだ。それに、いろいろな節が入っていたりすると、もう何がなんだか。12年蕎麦喰い人種やっているが、いまだにつゆについては(も?)分かっていない未熟者だ。

ダッタン蕎麦茶プリン

蕎麦湯を飲んでほっこりしていると、「デザートです」といって店員さんがお皿をテーブルに持ってきた。おっと、忘れていた、まだデザートがあるんだった。

ダッタン蕎麦茶プリン。やっぱりこのランチメニューは素晴らしい。よくぞここまでやったもんだ。デザートなんて小鉢にちみっと盛られているのかと思ったが、結構な量ありますぜこれ。

これが結構おいしかった。ダッタン蕎麦茶の風味はよく分からなかったが、炒った蕎麦の実がぱりぱりと食感にアクセントをつけて、柔らかくぷるぷるしているプリンとコントラストを作っていてとてもよかった。これ、お土産として売っていたら思わず買って帰るほどだった。

お会計3,300円。まあ、お酒2合飲んだのだから、納得の価格だ。このお店は酒肴になるメニューが豊富にあり、比較的コストパフォーマンスに優れている。夜に訪れて、居酒屋風に使うとよさそうだ。で、シメに蕎麦食べて、さらにそのシメにダッタン蕎麦茶プリンでフィニッシュ。いいじゃないか。

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