手打ちそば 一榮

2013年01月13日
【店舗数:342】【そば食:572】
東京都杉並区阿佐谷北

からすみ、三色、熱燗

高円寺の「信濃」で蕎麦を手繰った後は、隣駅の阿佐ヶ谷にある「すが原」にハシゴすることに決めていた。降り止む気配が全く感じられない雪に辟易しながらも、一駅分歩く。

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ナビの指示に従って到着した場所は、確かに「すが原」という看板が出ていた。しかし、営業している気配無し。あっれぇ、おかしいな、定休日は今日じゃないはずなんだが。

でも、人の気配が無いのは事実。雪のせいで臨時休業にしたのかな?こんな天気じゃ、営業してもやってくるお客さんの数は少ないだろうし。

寒風吹きすさぶ中、途方に暮れるおかでん。ここまで歩いて来て、これからどうすりゃいいのよ。

東京は珍しく大雪

しばらくその場に立ち尽くして考えた後、あることに気がついた。そういえば、中村橋の「野中」から南阿佐ヶ谷の「ふるやま」まで徒歩で蕎麦食べ歩きをやった際、阿佐ヶ谷北のあたりで手打ち蕎麦屋を見かけたな、ということに。我ながらよくそんな事を覚えていたな、と感心する。その記憶が正しいかどうか大いに怪しいところだが、阿佐ヶ谷までやってきて何も食べないで帰るのはあまりに惜しい。せっかくだから記憶を頼りに行ってみることにする。

一榮

一榮看板

足下が相当に悪い中、阿佐ヶ谷駅から北に向けて歩く。この地はおかでんが幼稚園と小学1年生の頃に過ごしていた場所。父親の転勤の都合で2年半しかいなかったが、思わず「阿佐ヶ谷か・・・。何もかも皆懐かしい」と沖田艦長ばりの発言をしてしまった。

目指しているお店の場所も、店名も、覚えちゃいない。僅かな記憶を頼りに、中杉通りを北に向かう。

スタックしまくっている車を横目に歩く。すると、おお、我が記憶に一片のミス無し、蕎麦屋発見!最近、蕎麦屋の直近まで来ておきながらお店をなかなか発見できない、という失態を頻発しているおかでん。老化現象ではあるまいか、と衆人から囁かれる状態であったが、この店舗外観なら見過ごすことはない。シンプルだけど、蕎麦屋だと分かる。

お店の名前は「一榮」というらしい。

一榮店内

中に入ると、先ほどの「信濃」同様先客はゼロだった。やっぱり、この大雪の中では普通の人は引きこもるよな。客席は多分16席。

店内は暖房が効いていて、ほっと一息つける。その代わり、眼鏡が曇るやら、デジカメは結露してしばらく使い物にならないわで着席後はしばらくの間はゴソゴソしていた。手はすっかりかじかんでしまい、まともに動かないし。

BGMはピアノ。ジャズをBGMに採用する店が多い中、ピアノ曲を使うというのはちょっと珍しくて良いと思う。

熱燗

まずは熱燗をお願いする。420円とお求めやすい価格。おつまみとして、からすみも頼む。これも420円。蕎麦屋でからすみを食べるのって、初めてだ。

熱燗には蕎麦味噌がついてきた。これだけあれば、お酒二合は飲めるな。

やっぱり、お通しが何なのかを見極めてからおつまみを頼んだ方がよさそうだ。つまり、席についたらおもむろに「お酒ください。熱燗で」と一発ぶちかます。そして、お酒が出てくるまでの間にお品書きを吟味し、頼むべき酒肴を検討。お酒が出てきたところでお通しを確認し、「あ、これではお酒を一合飲むには物足りないな」と思ったらおつまみを頼む、と。

・・・わかっちゃいるけど、やっぱり蕎麦屋にやってきておつまみを頼まないと物足りないんだよな。結局、お酒とお通しのバランスが悪かったとしてもついついおつまみを頼みそうな予感。

さて、熱燗で出てきたお酒だが、一口飲んでみたがあまり美味いもんじゃない。値段はもう少し高くてもいいから、美味い酒を仕入れて欲しいものだ。とかなんとか考えているうちに二口目飲んだら、「これはこれで有りだな。」とついさっきの考えから180度異なる見解になった。なんなんだよ、一体。結局このお酒は美味い、という結論になった。

熱燗で暖を取っていると、手や耳がじんじんしてきた。そして頭もぼんやりと。早々に酔っ払ってしまったのか?と思ったが、いやいや、これは店内の暖房の影響だ。そんなに早くは酔っ払わないっすよ。

おかでんより後になってお客さんがやってきた。女性一人客だ。おかでんは厨房側を向いて座っているので、そのお客さんのご尊顔を拝見する機会には恵まれなかったのだが、その人がいい音を立てて蕎麦を食べてるんだわこれが。注文したのは鴨南蛮そば(1,300円)だったのだが、食べる前の「ふーふー」と冷ます音、そして「ちゅるちゅるっ」とすすり上げる音。ああ、温かいってこういう事だよな。外は雪。こういう時こそ、温かい蕎麦を美味そうに食うのは正義。何度も振り返りたいと思ったが、あまりに不自然な動きなのでやめておいた。

熱燗を楽しんでいる間に、もう一人女性単独客がやっていた。このお店は「女性一人でも入れるお店」として定着しているのかな。確かに、内装はきれいなので、女性一人でも抵抗感無く入る事ができそうだ。

その新手の女性客は、殆どお品書きを見ずに「ゆずきり」(1,100円)を頼んでいた。おっ、変わり蕎麦を頼むとはなかなかやるな。この人も美味そうに蕎麦をすすっていた。いいねえいいねえ、おかでん自身が蕎麦を食べる前にこういうパフォーマンスを見せつけられたら、俄然自分の番が楽しみになってくるじゃあないか。

三食

外は大雪、やはりここは先ほどの女性同様鴨南蛮かなあ、という気がする。しかし、壁に張ってある「薬膳韃靼そば」(800円)や「納豆そば」(1,050円)も気になる。特に納豆そばは、数カ月前から気になっている一品だ。扱っているお店があったらぜひ一度食べてみよう、と思っていたくらいだ。納豆とカレーを合わせても美味いくらいだから、納豆って案外万能選手なのかもしれない。蕎麦に納豆を混ぜたってきっと美味いに違いない。

とはいえ、どうしても頼みたかったのが他にあった。それは「三食」(1.100円)。やっぱり、二色そばとか三食そばというのがお品書きにあったら、気になる。お得感があるというか、一期一会の蕎麦屋との邂逅において、二種類ないし三種類の蕎麦と同時に出会えるのはありがたい限りだ。うん、三食にしよう。体が冷えそうだけど、そんなの関係ねぇ。

ちなみにこのお店には「五色」(1,680円)というのも存在する。さすがにここまでくると一つ一つの個性が埋没してしまいそうだし、お値段も結構する。やっぱり二色ないし三色程度が一番いいや。

というわけで出てきました、三色。このお店には「せいろ」「田舎」「しらゆき」「けしぎり」「ゆずきり」「だったん」の6種類の蕎麦がラインナップされているのだが、三色の場合、「せいろ」「田舎」「しらゆき」という構成になっているようだ。三色の時点で既にざるがいっぱいいっぱいなわけだが、これが五色になったらそれぞれの蕎麦が陣取り合戦を始めて大変なことになりそうだ。それはそれで見てみたかった気もする。

それにしても三色そばって、どうやってゆでているんだろうな。一度に釜に麺を投入するわけにはさすがにいかないだろうから、一色ずつゆでているんだと思われる。でもそれだと、三色がそろうまでに最初にゆでた麺がのびてしまいそうだが、大丈夫なんだろうか?まだまだ蕎麦の事について知らないことばかりだ。

写真は左から「せいろ」、「しらゆき」、「田舎」。・・・だと思う。特にお店からの説明は無かったので。

蕎麦はなかなかよろしかったが、特徴に欠けていた気がする。無難に美味い。ただ、「しらゆき」が良くなかった。先客が頼んだ「ゆずきり」の味がしらゆきに乗り移っていていたからだ。ちょっと残念。同じ釜でゆでるから、味が混ざることもあるんだな。

冷たい蕎麦を食べて体が冷えちゃうでしょう?何もこんな寒い時に頼まなくっても・・・と思えるが、いやいや、冷たい蕎麦を食べた後はお楽しみがあるのですよ。それはもちろん「蕎麦湯」。これをたっぷり飲めば、体が十二分に温まるのだった。

さて、予定外のお店訪問になったが、満足したことだし、この雪の中自宅に退却しますか。どうもごちそうさま。

しかしこの後、首都圏の交通網は大雪の影響でずたずたになっているのに巻き込まれてしまった。バスに乗ったり、歩いたりしてなんとか帰宅できるまで、通常の4倍近い時間の4時間強を要した。やっぱり雪の日は家に籠もっていた方が正解だったかもしれない。

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