2014年03月07日
【店舗数:369】【そば食:607】
東京都中央区日本橋堀留町
肉南蛮そば多め、太麺
アワレみ隊OnTheFacebookの企画として、珍しい料理を出す洋食屋めぐりを始めている。そのお店でしか食べられない料理ってのが洋食屋には存在することがあるので、それを食べ歩こうというわけだ。
今回、人形町の「小春軒」という洋食屋で、「洋風カツ丼」なる変わったメニューを食べるつもりだった。その際、周囲のお店もついでにざっと調べてみたところ、見つかったのが「堀留屋」だった。
この蕎麦屋、全メニュー麺の量を調整できるのだが、最大800グラムまで増やせるのだという。
800グラム?ボリュームが多いことで知られるラーメン二郎が300グラムだとか350グラムといった世界だ。そして世の中一般のつけ麺大盛は400グラム程度か。800グラムというのは、ちょっと想像ができない。
つまり、想像できないくらい量が多い、ってことなのだろう。
過去、それだけ量が多い蕎麦を食べたのは、岩手で食べたわんこそばと、奥会津、そして刀屋くらいだ。どちらとも、途中で体が冷えるやら、うんざりするやら、食後満腹感で随分苦しめられるやら、あまりいい思い出がない。ネタのつもりでない限り、蕎麦なんてしこたま食べるべきじゃない。
でも、800グラムというのはなんだか絶妙に食べられそうだ。これは一度食べてみたいものだ。しかも、もりそばで食え、といわれたらイヤだけど、肉南蛮そばとかいろいろメニューがあるようだし。
いうわけで、早速その日のうちにいってみることにした。ちょうどこの日、お昼休みに歯科医院に通院ということもあって、朝ごはんも昼ごはんも食べ損ねていた。うってつけのタイミングだった。

地下鉄人形町駅から徒歩5分くらいだろうか。この界隈はぽつりぽつりと小粋な店があるようだ。沿線住人でもない限り立ち寄らない場所で、おかでん自身も地理感がない場所だが、探索しがいがありそうなエリアの予感。
そんな中に、目指す堀留屋はあった。
お上品な外観ではない。ざっくばらん感のある見てくれ。個人経営の立ち食い蕎麦屋、といった感じ。実際このお店はカウンター席のみであり、さっと食べてさっと立ち去るのがよさそうな感じだ。
店頭には、「いっぱいで満足!満腹!そば」と書かれてあった。大盛りを食らえ、ということらしい。よし、食らうぞ。40歳になっても、体がスリムになっても食うときゃ食うってのを見せ付けないと。

壁には、メニューの下にボリュームの選択肢が掲示されていた。
「少なめ」が400グラム、「少し少なめ」が500グラム、「普通盛」が600グラム、「少し多め」が700グラム、「多め」が800グラムとなっている。
「少なめ」でも400グラム(一般そば店のもりそばの2つぐらい、とのこと)というのが豪快だ。一体何を基準にこの数値とネーミングが設定されたのか、謎過ぎる。
ちなみにどの量にしてもお値段は一緒だ。400グラムも麺が増えても同一金額というのも豪快。
逆に言うと、400グラムしか食べない人は、800グラム食べる人分のコストも含まれた料金を払うことになるわけだ。胃袋に余裕がある人は、ぜひ大いに食べまくっていただきたい。

メニューはいろいろあるが、トップに書かれている「肉南蛮そば」がお店の売りっぽい。ならば、とそれを頼むことにする。お値段、1000円。
少量しか食べない人にとっては割高な蕎麦だろう。でも、800グラム食べる人にとっては、むしろ安い部類だ。
このお店を好むかどうかは、食欲と密接にリンクすると思われる。
ご主人に注文をしたら、「大丈夫ですか?食べられますか?」と聞かれた。蕎麦屋でこんな質問を受けるとは。
ここで余計な心配をかけさせたくないので、にっこりと微笑み、深く大きくゆっくりとうなずいてみせた。

10分ほど待っただろうか、でき上がった肉南蛮そば。
丼がとにかくでかい。こんな丼、見たことないぞ?というサイズだ。ラーメン丼なら見たことがあるが、うどんや蕎麦を入れるようなデザインの丼で、このでかさは見たことがない。そもそも、こんなサイズに一体どんなニーズがあるのか、作った人に聞いてみたいくらいだ。
あまりにでかいので、麺800グラムのインパクトは写真では伝わらないと思う。

大きさを伝えるために、手で丼を持ってみたところ。
・・・やっぱり、あまり大きさはわからないか。
でも、こんなサイズ感。たぶん、立ち食い蕎麦のように手で丼をつかんで食べるのはつらいと思う。相当重たいから。

麺は、ノーマルのほかに「太麺(平打麺)」を選ぶことができる。平打ちの蕎麦は好きなので、そちらにしてもらった。
写真の通り、中にはみっちりと蕎麦、また蕎麦。それに負けないくらい、上にはどっさりとネギと豚肉。つゆも量が多いし、やっぱり相変わらずスケール感がよく伝わらない蕎麦だ。
でも、箸でつかめばすぐ分かる、どっしりとした持ちごたえ。そして、少々つまんだ程度では、丼の水位がちっとも減らないという現実。
お上品な蕎麦屋の場合、箸で蕎麦をひとすくいしたら、もう1/3くらい量が減っちゃった、ということがある。ここはそれとは全く違う。
量重視なだけの、B級な蕎麦ではない。最後まで飽きることなく、おいしく食べることができたのは見事。
つゆも、安っぽい立ち食い系のものではなく、きりっとした味わいのものだった。絶品とは言わないが、このつゆで大量の蕎麦を食べられる、というのは良い話だった。
最後まで食べきり、満足してお店を後にした。こういうお店って、ありそうでないよな。今後も、機会があれば利用したいお店の一つとなった。
なお、この後しばらく、お店の前で「このまま家に帰ろうか、それとも洋風カツ丼を食べに行こうか」で悩んだのは内緒だ。
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