二八そば あずみ 西船橋店

2015年04月06日
【店舗数:391】【そば食:648】
千葉県船橋市西船

特選乱切り牛肉つけそば

あずみ外観

「めとろ庵」の後、改札をいったん出てコンコース内にある「二八そばあずみ」に向かう。JEFB(ジェイアール東日本フードビジネス)が展開するお店だ。首都圏では、JEFBが展開する「あずみ」と、NRE(日本レストランエンタプライズ)が展開する「あじさい茶屋系列のお店」が混在している。両方ともJR東日本の子会社なので、ややこしい。特に、NREの「あじさい茶屋」はこれまでの悪評高き美味しくない蕎麦のイメージを払拭すべく、駅ごとに店名が違っているのでますますややこしい。僕はそれを「隠蔽工作」と呼んでいるのだが、それは単なる冗談なので許して。で、この「あずみ」も「あじさい茶屋の残党が改名したのか!」と思わず疑ってしまうが、それは誤解だ。全く別物の蕎麦屋だ。

僕は、「あずみ」に対しては悪くない印象を持っている。今回西船橋立ち食い蕎麦屋行脚を計画したのも、「あずみ」があったからだ。このお店がなかったら、食べ歩こうだなんて微塵も思いつかなかったはずだ。

食品サンプルがある店

自動食券機の脇に、食品サンプルがあるのが面白い。このお店は昨年(2014年)夏にリニューアルしたばかりだという。新しいお店なので、取り組みも新しい。やっぱり、駅でも飲食店でもショッピングモールでもなんでもそうだけど、新しいって面白いよな。新しい提案がそこにはある。「古いものもいいもんだよ」というのは全くの同意だが、最新の施設ってのもいいもんだ。

そういえば、赤羽駅の蕎麦屋もこういう蕎麦のディスプレイがあったよな。あれはなんて名前のお店だっけ。・・・えーと、「そばいち」か。「あずみ」と同じ系列なのかな?

違った。調べてみたら、「そばいち」はNREのお店だった。ほら!紛らわしい!NREとJEFBじゃ、全然違う!

食券機

このお店は、乱切りそばを提供している。どこの「あずみ」でも乱切りを提供しているわけではなく、限られた店舗だけだ。以前、両国の「あずみ」で食べたことがあるが、なかなか良い印象を持ったような記憶があるんだが、どうだっけ?

本来の「乱切り」は、手打ち蕎麦で生地を切る際にへたくそであるが故に麺の太さにばらつきがある状態を指す。本来太さにムラがあるのは、茹で上がりがばらつくので良くないのだが、「それもまた楽しい」と詫び寂びの境地で楽しむことができる。

さすがにこの「あずみ」は手打ちではないので、本来の乱切りは再現できないのだが、太さが違う二種類の麺を混ぜ込んでいるものを「乱切り」と呼んでいる。駅の立ち食い蕎麦屋にしてはオツな取り組みで面白い。今回も、折角だからこの「乱切り」を食べたいところだ。日によっては売り切れていることもあるのだが、今日はまだ健在。

自動食券機を眺めていたら、「特選乱切り肉そば」というボタンを発見した。特選、というのが立ち食い蕎麦のジャンルにも存在することにまず驚くが、肉そばってあの港屋インスパイアか?それもまたすごいな。立ち食いの世界でもそっち系のメニューが進出していたのか。

お値段は780円と、さすがに相当お高い。でも、乱切りであの手の蕎麦をガッツリ食べられるんだと思うと、ちょっと楽しそうだ。駅ナカの蕎麦屋で780円はちょっとねぇ、とぼやきつつボタンをポチリと。Suicaで決済できると、ついついこういうときに財布の紐が緩むよな。

あずみ厨房

さすがにリニューアルして1年未満のお店だけあって、お店は綺麗だし広い。やっぱり、「狭い、汚い、ゴチャゴチャしてる、まずい」蕎麦屋ってのは淘汰されていくんだろう。格差社会が拡大しているとかいろいろ言われているけど、日本においてはたとえ格安店舗であっても、駅ナカ店舗であっても、一定水準のクオリティをクリアしていないと客はやってこない。「安かろうまずかろう」では通用しない。

店内は、ちょっとしたカフェのような雰囲気。立ち食い、と僕はさっきから連呼しているけど、本当に立ち食いをするスペースはどこにもない。全部、スツールまたは椅子席だ。これもまたご時世。

ネット社会の今、人々はギスギスしているかのような言い方をするコメンテイターがいる。人との触れ合いが減り、世知辛い世の中だ、と。でも、駅ナカの蕎麦においては、少なくとも昔の方がもっと殺伐としていただろう。今はゆるやかになってきている。

厨房も広々している。カウンター席に取り囲まれるかたちのオープンキッチンではない。厨房の中で何が行われているのかは、うかがい知れない。聞くと、ここでは自家製麺を提供しているのだという。「あずみ」の中でもまだ新しい取り組みで、実験店舗的な意味合いもあるらしい。

自家製麺、といっても、ところてん式に麺を押し出すものなんだろう。そのスタイルだと特に味がよろしいと感じたことは一度もないが、まあいいんじゃないでしょうか。

ちょい飲みセットもある

5分ほどお時間をいただきます、と言われたので「おっ!」と思った。スピード重視の運営じゃないよ、ということだ。さすが自家製麺、注文が入り次第生蕎麦から茹でるので茹で時間がまるごとかかるのだろう。駅ナカ、といってもここは改札の外。だからこそ許されるのかもしれない。

待っている間、カウンター席の卓上においてあった広告を眺める。「ちょい飲みセット」が宣伝されているのだが、お値段980円。回転率ばかりを追い求めてきた駅蕎麦業界だけど、客単価を上げるということにも注力しているということだ。しかし、お店としては「ちょい飲み」で留めて欲しいだろうな。がっつり居酒屋利用されたら、それはそれで困るだろう。

その証拠に、いくらこれだけ駅ナカビジネスが発展してきているとはいえ、「駅ナカ居酒屋」というのが非常に少ないという事実がある。もちろん居酒屋がある駅は存在するのだが、圧倒的に少ないと思う。名古屋とか大阪にいけば、ホームの立ち食いうどん・きしめん屋が既に居酒屋状態なんだけど、東京界隈ではそういう事例はほぼない。酔っ払いを相手にすると、鉄道事業者としては面倒臭いからだろうか?

港屋インスパイア

そんなことを思案していたら、肉そば登場。特選ですよ、奥さん!どうですか、惚れ直しましたか。

名前の通り、やはり見た目は港屋インスパイア。つゆに油膜が張ってあるところも一緒。蕎麦に、甘辛く煮た肉、ネギ、刻み海苔、天かす。

しかし、真っ先に感じた印象は「量が少ないな」ということだった。この手のお店は最近結構あるが、そのどこよりも割高感がある。これぞ、駅ナカという一等地をせしめているお店の余裕というやつなのだろう。高くても買う奴がいるかぎり、お店は安くする必然性なんてないのだから。しまった、この注文そのものが「割高価格」を助長してしまっているぞ。

肉そば

蕎麦アップ

乱切り蕎麦だからうまいのか、というとあんまりそういう印象はない。ぱっと見、二種類の麺が入っていることすらわからない。しかしよーく見ていくと、なるほど太さというより厚みが違う麺が混じっていることに気がつく。

悪くないんだけど、本来この手の肉蕎麦が打ち出すワイルドさ、ガッツリさがスポイルされてしまっているのが残念。でも、場所柄万人ウケするようなメニューにしておかないといけないので、仕方がないということなんだろう。

七味唐辛子をどかどか入れて、せめてもの抵抗をしてみたけど、あんまり変化は無かった。そういえば、生玉子は付いてこないんだな。サルモネラ菌を警戒してのことかもしれない。こういうのも、駅ナカビジネスならではの腰の引け気味なのだろうか?

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