そば屋 志な乃(04)

2020年11月13日
【店舗数:—】【そば食:730】
長野県北佐久郡軽井沢町

だし巻き玉子焼、蕎麦がき、おらが蕎麦、田舎蕎麦(挽きぐるみ)

GoToトラベル真っ盛りの2020年秋。週末は混むことがわかっていたので、金曜日に会社を休んで長野県にやってきた。

今回1泊2日の行程で、蕎麦屋を2~3軒巡る予定だ。蕎麦屋巡りなんて随分久しぶりだ。僕のパートナーのいしが、「長野で蕎麦を食べてみたい」と言ってくれたからだ。僕が蕎麦をよく食べていたけれど、最近はすっかり大人しくなってしまったことに対する気遣いでもある。

とはいっても、長野県で蕎麦食べ歩きをやっていたのは15年以上も前の話だ。最新の蕎麦屋事情、というのがさっぱりわからない。昔は、長野県のコンビニに行くとよく県内の蕎麦店が紹介されている雑誌が売られていたりしたけれど、最近はそういう本があるのかどうか、不明。さて、どうしよう?

次、いつ長野県に来られるかわからない。そして、蕎麦経験値がまだ浅いいしに、「ああ、これは美味しいですね」と言わせたい。「ふーん、まあ美味しいですね」程度の社交辞令な褒め言葉なんて、いらない。と、なると、全く新しいお店に行くというのは気が引けた。

そこで選んだのが、軽井沢にある「志な乃」だ。過去3回、訪れたことがある。

かなりの衝撃をもって、「美味かった!」と言わしめたお店だったと記憶している。でも、今確認してみると最後の訪問が2004年なんだな。かれこれ、16年間もご無沙汰していたことになる。

16年って・・・!

こういうところで、自分の歳を感じさせる。

なんだか、知識と経験を積み上げて自分がスキルアップしている気になっていても所詮こんなもんだ。つまり、若い人から言わせると「でもそれって、スゲー昔の話ッスよね?」ということ。僕も、気がついたら10年一昔といわず、20年前くらいの話を平気でするようになっていた。

なるほど、年寄りが若者をマウントするということはこういうことか。「ああそれ、知ってる」と偉そうに言うけれど、情報は昔のままで最新化されていないピント外れなもの。まさにそれを地でいっているのが現在の自分。

それじゃ駄目なので、このお店の2020年バージョンを体験しにいこう。夫婦で。

お久しぶりです、の「志な乃」。

「あれ?グルメロードがなくなっているぞ」

到着してすぐに気がついたのが、お店の周辺状況の変化だ。昔は、「志な乃」を取り囲むようにクルマが素通りできる道があり、そこに飲食店があった。とはいっても3軒しかないので、「グルメロードだなんて大げさな」と笑って見ていたものだ。

しかし2020年の今は、ドライブスルーできる道がない。

「駐車場のご案内」を見てみると、飲食店が並んでいるのはかわりないようだ。でも、「グルメロード」というくくりはやめてしまったらしい。

志な乃以外は、2004年当時にはなかった店名だ。16年もの歳月を経て、栄枯盛衰、入れ替わりがあったようだ。

一方で志な乃は現在も生き残り、駐車場はいっぱいの車だ。相変わらずの繁盛店らしい。しかも、地図を見ると「第3駐車場」まである。どれだけ人気があるというんだ、このお店?

昔はなかった壁。お店と隣の敷地との間に、木塀ができている。その間の軒下を歩いていくのが、2020年版グルメロードだ。

お店は、11月中旬にしてすでに暖炉に火がくべられていた。もう軽井沢は冬の気配だ。

平日の昼下がりだというのに、お客さんは結構いた。我々が食事を始めることには減っていったけれど、平日でこれならば休みの日はもっと多いだろう。

いしが「玉子焼きを食べたい」というので、だし巻き玉子焼きを注文。

大ぶりな玉子焼きで、500円なのは嬉しい。

2003年に食べたときと同じ器、同じ外観。すでに17年も前にこの料理は完成の域に達していた、というわけだ。確かに、こいつァうまい。

でも、酒を飲むわけじゃないんだし、せっかくだから「いかにも蕎麦屋!」な料理も頼んでおきたい。そこで、蕎麦がき。1,000円。

注ぎ口がついたボウルのような陶器で、もともとは酒器なのだろうか?そこに、ねっとりとしたそばがきがまるで泥水のように入っている。

このお店を訪問した2回目のとき、そばがきは食べたことがある。そのときと、器も料理そのものも装いが変わっている。

これが2003年当時の蕎麦がき↓

桶のような器に入っていて、表面がモコモコした蕎麦がきだった。

玉子焼きと違って、こちらは時を経て進化したというわけだ。

見た目からして水っぽいものかと思っていたが、れんげですくってみるとある程度形があった。

生ゆばを食べるような感覚だ。または、弾力が弱い「すいとん」。

「田舎蕎麦(挽きぐるみ)」、1,050円。

細く、エッジが立った歯ごたえがしっかりした蕎麦。食べた瞬間、蕎麦の香りや味よりも、「ああっ、四角いッ!」と思わず「形」を表現してしまう、そおんなシャッキリした蕎麦。

食べていて大変心地よい。

「田舎」といえば太く打った麺であることが世間一般としては多いけれど、このお店の田舎は細い。でも、細くても主張はガッチリある蕎麦で面白い。

「店主おすすめ」とお品書きに記されていた「石臼挽き蕎麦」1,150円は品切れだという。なので、「おらが蕎麦」1,100円を頼んでみた。

いわゆる二番粉を使って打った蕎麦で、これはバランスがよい。

先ほどの田舎もそうだけど、長くつながった蕎麦は手繰り甲斐があって良いものだ。ずるずるッと手繰っている間に、蕎麦の香りが鼻に抜けていく。

風味が強いけれど短い蕎麦をモグモグ噛んで、じわァと蕎麦の味わいを楽しむのも楽しいけれど、長い蕎麦を大量の空気とともにすすり上げるというのも楽しい。

・・・ああ、コロナ時代の昨今、こういう食べ方ってどうなんだろうね。人が大勢いるお店じゃ、「ずぞぞぞぞ」と音を立てて麺を食べないほうが良いのかもしれない。たとえば、肩を寄せ合って食べるような狭い立ち食い蕎麦店とか。

大きく手繰るためには、深呼吸が必要になる。コロナ時代を生き抜くためには、「蕎麦は特に三密を避けて」っていうことになるのかもしれない。

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