高知に来たからには、桂浜に行くしかあるまい。
宿の人にしこたま謝ったのち、一行は桂浜に向かった。まだ前日の酒が抜けきっていないしうめえは運転を断念、そのかわりにおかでんがハンドルを握った。同じ酒を酌み交わした仲だが、明暗が分かれた形。
写真は駐車場から浜辺に向かう途中のちぇるのぶとしうめえ。しうめえの顔が、つい今さっきお酒を飲んだかのように真っ赤だ。翌日になっても酒の余韻が顔色に出るなんて、なんて血行がいい奴なんだしうめえは。
桂浜の坂本龍馬像の前で記念撮影。
桂浜。
「太平洋だー」
「おおー」
一同、押し寄せる波に歓声を上げる。あと、アワレみ隊隊員のほとんどが瀬戸内の内海育ちなので、「海に島がない」のを見ると、それだけでも興奮ものだ。
「島がないねえ」
と、広島出身ならではの声が聞かれた。
「心はいつも太平洋ぜよ」とかいいつつ、ばばろあが太平洋へと脚を踏み出す。そのまま帰ってこなくてよいぞ。
きれいな桂浜だが、白い紙ふぶきのようなものが散らばっている場所があった。ゴミで汚すとはけしからんことだ。
何の気無しに拾い上げてみたら、これは破り捨てられた履歴書であることが判った。
「ここに散らばっているのを全部集めたら、履歴書が復元できるぞ!」
その声とともに、一同目の色を変えて集め出すありさま。しかも履歴書が女性のものだと判明したので、なおさら。
「それにしてもどうしてここで破り捨てたんだろう?」
「自分の人生に絶望して入水自殺をしていなければよいのだけど」
ちょっと心配になる。
土産物屋で、ばばろあがうんうん唸っている。
カツオの形をしたクッションというか人形というか、それが妙に気になっているのだった。
「ここでないと買えんと思うんよ。買っとくべきかなあ」
小脇に抱えるとちょうど良いサイズ。抱き枕にするにしては小さいが、ちょっと車の後部座席なんぞに飾っておく分にはちょうどよい。
しばらく悩んだ末、「別んところでも売ってたら買う」と態度保留し、その場を立ち去った。結局、この後鰹クッション人形に出会うことはなく、ばばろあは一期一会をモノにできなかった。
一方、おかでんは土産物屋の前にミニ坂本龍馬像があることを発見し、鼻息が荒い。
「『坂本龍馬とわたし』というテーマで各自写真を一枚ずつ撮るぞ」。
この頃おかでんはよくこの手の企画をやっており、その一環。
ちぇるのぶ作。
坂本龍馬にキスをしている。相思相愛感が全く無く、無理矢理ちぇるのぶが龍馬さんにキスを迫っている感がありありでそこはかとなく哀愁が漂う。
ばばろあ作。
土下座をしているのではなく、はかまの下からパンツ(当時だからふんどし?)を覗こうとしているの図。
しうめえ作。
龍馬にチョークスリーパーを仕掛けているところ。寺田屋で暗殺されるまで待ってられん、オレが肉弾戦で息の根を止めてやると息巻く尊王攘夷派。
ひびさん作。
ラブリー!龍馬とあたし。
この80年代を彷彿とさせるような、後から抱きついている様は「さすが女性!」と男性アワレみ隊隊員一同を感嘆させた。それに、うれしそうなひびさんに対して無表情でそっぽを向いている龍馬さんの対比がとってもシュール。
「いや、実は懐に手をやっている龍馬の右手は、実は懐からさらに下に降りて、股間をいじっているのではないか」
なんて事を考えるんだ、おかでん。
しぶちょお作。
ちょんまげに食らいつく男。
江戸時代日本にやってきた南蛮人は、日本人のちょんまげスタイルにそうとうびっくりしたと思う。「たくあんが頭の上に載っている!」って。
あ、たくあんそのものを南蛮人は知らないか。
ばばろあ作(2)。
ばばろあが先ほどのできに納得できず、「もう一度やらせてくれ!」と言ってチャレンジしたもの。
靴磨き。
「旦那、最近の景気はどうすか」
なんて言いながら磨いていそうな感じ。遠い目をしている龍馬、その質問に何を思う。
これはこれで結構様になっている構図。
<写真掲載自粛>
全員のトライアルの最後に、多数決で「もっとも素晴らしかったもの」を決めたのだが、もっとも票を集めたのがこれ。
おかでん作。
・・・解説はやめときます。なんというお下劣。破廉恥な。
駐車場に戻り、車の中でのびているしうめえ。
まだ酒が抜けていないらしい。
それにしても、彼は相当二日酔いのはずなのに、桂浜に行くし、この後の龍河洞にも行くし、「車の中でわし、休んでるわ」が無かった。酒飲みの鏡だ。
あっ、ひょっとしたら「二日酔い」なのではなく、単に今現在も酔っているだけなのかもしれない。
地図を見ると、高知市の隣の南国市に「龍河洞」という鍾乳洞があるらしい。
初めて聞く名前だが、目的地に飢えていたわれわれは龍河洞を目指す事にした。
駐車場から鍾乳洞の入口まではお土産物屋が並び、目を楽しませてくれる。
鍾乳洞入口で記念撮影。鍾乳洞内部から出てくる冷気と湿気でカメラのレンズが曇り、何度もレンズを拭かないといけなかった。
龍河洞内部。
いろいろ見どころがあるけど、詳しくは各自Googleなどで調べてくださいませ。
外が暑かったので、鍾乳洞のひんやり感はご馳走。暑い夏は鍾乳洞に限るな。
途中、ものすごく狭い箇所があった。
相撲取りは通過できない、という場所だという。
ためしにおかでんが通過してみる。うん、おなかをすらずに通過できたぞ。ちょうどおあつらえ向けだ。
しぶちょおも試してみる。彼も問題無く通過できた。
「ここで通過できない奴がいたら、すごすごと入口までUターンしないといけないわけだよな。それを見てみたかったなあ」
ちょっと残念。
華奢な体のちぇるのぶが通過。
なんだぁ?
なんと、彼は体の向きを変えることなく、そのままずずずいと通過してしまった。
「ふぃー、なんとか通過できたぁ」と言っていたおかでん、しぶちょおは顔を見合わせてしまった。なんだこの違いは。
ちなみにちぇるのぶだが、華奢であるとはいえ身長は人並み以上ある。それでありながらここを通過できるとは。
「ええのぅ」
何がエエんだかわからんが、とりあえずうらやましく感じた。
気がつかないうちに、随分と高いところまで登ってしまったらしい。
龍河洞の自然美に感嘆しているうちに、位置エネルギーを相当稼いでしまった。
出口からは、ひたすらつづら折れで降りていく階段が伸びていた。
「涼風街道?」
その階段には、涼風街道、という看板が掲げられていた。
ご丁寧にひさしがついていて、雨の日も濡れないで歩ける親切設計。しかし、涼風とはこれいかに。きっと、山の下の方から涼しい風がふわん、と吹き上がってくるのだろう。
さっきまで涼しい鍾乳洞の中にいたわれわれにとって、7月の外気温は暑すぎる。気温差にくらくらする。そんなときに、涼風とは。いいねえ。歓迎したい。
・・・しかし、そりゃそりゃと階段を下りていっても、一向に涼風はわれわれを包み込んでくれない。むしろ、ますます暑くなったような気がする。なんなんだ、涼風街道って。
このひさしが太陽の日差しを遮ってくれるから?いや、それだと「涼風」じゃないよな。
あー!
一気に、アワレみ隊全員が納得した。激しく腑に落ちた。
ひさしのところに、扇風機が設置されていたのだった。
「なるほど!これで涼風だったのか!」
この龍河洞、ひさしを作ったり扇風機を設置したり、ユーザーフレンドリーすぎ。よくやるなあ。でも、これなら「涼風街道」の名にふさわしい。
・・・ただし、実際に扇風機が動いていれば、の話だけど。
残念ながら扇風機はぴくりとも動いていなかった。7月の暑い最中、今動かさないでいつ動かすんだねキミイ、という状況なんだが、涼風はまったく無かった。何だ、これ。
お昼時ということで、お昼ご飯を龍河洞の近くで食べることにする。
「山=蕎麦!」
という変な思い込みがあり、蕎麦を食べようということにした。
山だから蕎麦がおいしい、なんてのは完全な思い込みに過ぎないのだが、おかでんが「蕎麦喰い人種」になる2000年の半年前ということもあって、「山ならば蕎麦だ。しかも山菜蕎麦なんて美味いだろうな」という発想なのだった。
めいめいが蕎麦を注文して食べる。
しうめえは「食事はいらない」といって、一人先行して車に戻った。けなげに龍河洞散策などしていたけど、やはりまだダメージが残っていたらしい。
今回の旅行サブタイトル「食い地獄で三途の川を見た。」に則って、おかでんはかけそばに親子丼。結構なボリュームだ。確かセットメニューだったと思う。
でもそれよりもすごいのがばばろあで、ざるそばにオムライスをつけていた。なんだその組み合わせ。ありえない和洋折衷ではないか。
こういうメニューを用意しているお店もお店だが、それをセレクトするばばろあもばばろあだ。ナイスすぎる。ケチャップの味で蕎麦がわけわかんなくなりそうだが、いやいや、それがまたいいのですよ。きっと。多分。
近くに「龍河温泉」という日帰り入浴施設があることが判ったので、そこに立ち寄る。
アルカリ性のお湯で、ぬるぬるするお湯に一同ほっこり。昨晩の惨劇があったので、お湯に浸かるとさっぱりする。
この温泉の前には巨大なタヌキ像が立っているので、記念撮影なりなんなりどうぞ。
ただし、ボディのでかさに比例して、キャンタマも相当でかいので注意。
松山界隈をターゲットにして宿を探し、一軒の宿を確保した。さて、高知県から愛媛県は松山市に移動ですよ。
お遍路ルートで海沿いをぐるっと回るととんでもない距離になるが、高速を使えば四国ってそんなに遠くはない。さあ、移動。
途中、馬立PAに立ち寄る。たこ焼きが妙に気になったので、買って食べる。「食い地獄」という程ではないけど、よく食うなあ。
おかでんがたこ焼きを食べている右隣に、誰かが同じくたこ焼きを食べているのが写真でわかる。つまり、みんなでたこ焼きをシェアしたのではなく、一人一人前をきっちり食べていたということになる。ツアータイトルにふさわしい食べっぷりだ。これが、1年前まで「ダイエット!?日記」をやっていたとは思えない。
松山市街でやや道に迷う。
今回選んだ宿はお値頃感がある宿であるが故に、住宅地の中にあるこじんまりとした建物だった。探しあてるのに若干難儀。ロードマップでは宿のありかまでは探せない。
ようやく宿を探し当て、駐車場に車を駐める。
すると、そこは野良猫の集会場になっているらしく、猫ちゃんたちがわらわらと現れた。
「ほれほれ」
といいながら猫をなでるしぶちょお。彼は猫の扱いがうまい。あれれ、あっという間に猫はごろんと横になっておなかを丸出しにしちゃったよ。
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