釣り堀。
釣り堀の一角に人形の生首がいくつも並べられているのがなんとも不気味だ。どういう趣旨でこんなことをやっているのだろう?人影を魚に慣れさせるためだろうか。
不思議に思っていたら、釣り堀の入口に写真が掲げられており、それで理由が分かった。猿除けだ、こりゃ。猿が釣り堀にやってきて、魚を強奪していくのだった。写真では、ちょうどアライグマが食べ物を洗っているがごとく、猿が両手を釣り堀にざぶざぶ突っ込んでいた。
道理でこの釣り堀、高いフェンスに囲まれているわけだ。人間様が中に入り込んで勝手に釣りをするのを防ぐためではなく、お猿防止のためだったとは。
ワイルドなキャンプ場だな、これは。テントサイトが襲撃されることはないとは思うが、油断ならない。
釣竿と一緒に餌を渡される。
あれ・・・餌、うどんですか。うどんで魚が釣れるなんて、寡聞にして知らなかった。そりゃなんともお手頃な話でげすな。でも本当にこれで釣れるのか?魚を釣らせないため、あえてヘボい餌を支給しているんじゃあるまいか。
うどんを愛する魚。なんとも不思議だ。うどんなんて天然の環境では食べる機会がないだろうに。
さあ、アワレみオープンスタート。無尽蔵に釣りあげても始末に負えないので、3人で12匹を釣ることにした。その12匹のなか、早い者勝ちで何匹釣れるかで勝負をつけようというルール。
しかし、いざ始めてみたら勝負にならなかった。全然釣れないからではない。その逆で、餌を魚群に投げ込んだら1秒もしないうちに釣れてしまうからだった。
人生初の「入れ食い」状態。これはすごい。釣りの醍醐味(だいごみ)はほぼ皆無に等しいが、それでもばんばん釣れるのはうれしい。
うどん、すげー。うどんでも魚が釣れることがこれで証明された。なんたるお手頃な餌だ。「海老で鯛を釣る」ということわざがあるが、ここでは「うどんでイワナを釣る」だ。
アワレみ隊は過去に、氷上ワカサギ釣りをやったことがあるが、寒い中ほとんど釣れずさんざんな目に遭った。それに比べて今回の釣りの楽しいことよ。
あっという間に12匹釣れてしまった。所要時間は20分足らず。「釣る」というよりも「お昼ごはんの食材をかき集める」という表現の方があっているっぽい。
釣った12匹は、釣り堀のルール上リリース不可。ということで、釣った分だけおいしくいただく必要がある。もちろんこちらも願ったりだ、一人4匹、食べまくろうと思う。イワナを食べるなんて、山の旅館に泊まった時の夕食くらいしか機会がない。だから、一人4匹っていうのが多いのか少ないのかさっぱりわからない。まあ、余ったら夕食行きだな。
魚はもちろんテントに持ち帰ってもよいのだが、お金を払えばその場で捌いて串打ちしたのち、炭火であぶってくれるというサービスもある。もちろんわれわれはお金を払い、炭火焼をお願いした。
釣り上げた12匹は「これから調理されますよ」という目印の赤いバケツに移され、手の甲には順番待ちの目印がマジックで書かれた。
炭火でじっくり炙るため、調理に時間がかかる。われわれより先に釣っていた人たちの魚が今あぶられている最中なので、われわれのイワナが調理されるのは相当あとになる、という話を聞いた。
ならばこちらとしても本腰を入れてじっくりと待とうじゃないか、ということで、テントから酒を持参し持久戦の構えに入った。ちょうど偶然、今日午前中に酒屋でお酒を買ったんだっけ。「久保田」の「碧寿」と、「信濃錦」の「一瓢」。
じっくり待つには清酒がちょうどいい。ちびちび飲んで待っていられるからだ。これがビールだと、ついついぐいぐい飲んでしまって、トイレが近くなるやら、おなかいっぱいになるやら大変だ。
昼酒、というのはもう慣れてしまって新たな感動がないのだが、さすがに清酒で、アウトドアで一献やってると背徳感と高揚感が入り混じってたまらんです、ええ。
イワナがぐいぐいあぶられている。うまそうな焼き色がついてるぜ。
でも、今焼かれているのはわれわれより先に釣りをしていた人たちの分。アワレみイワナはまだ出番待ち。こりゃ相当時間がかかるぞ。
酒の肴をテントから持ってきた。どうせこのあと一人4匹、イワナがやってくる。あまり本格的に宴席を展開するのはやめておこう。
「とろり木綿の味噌まぶし」という豆腐があるのだが、これは常温保存していたら痛んでしまっていた。廃棄。
昼飯は出先だしコンパクトにしようと思っていたのだが、待ち時間が長期化してきたのでだんだん戦線拡大。テントサイトで「しぶちょおが自宅で作った燻製肉」ともやしを炒めたものを作り、フライパンごと釣り堀に持ち込んでみたりして。
だんだん酔っぱらってきた。昼酒は効くねぇ。
酒飲み宴会を初めて1時間15分経過、なかなかいい感じに仕上がってきた一同のところにイワナ塩焼き第一陣が到着した。よっ、待ってました大統領!(酔っているのでご機嫌)
イワナは、内臓を取られ、腹側からいくつもの切れ込みを入れられている。
丸かじりする一同。うん、うまい。やっぱりプロに調理を一切お任せした甲斐があったというものだ。
4匹なんて食べられるだろうか、と最初は懸念していたが、結局余裕でぺろりと平らげてしまった。ああ、ついでに4合瓶のお酒1本+2本目少々もカラになっちゃったけど。
テントサイトに戻って、めいめいが好きなことをして過ごす。
ばばろあは木の枝を拾ってきて、それでたき火を開始。おかでんは川に足を突っ込んで子供のように遊んだ。
酔いがさめた16時、アワレみオープン本日二回目。マレットゴルフ大会を開催することにした。
マレットゴルフの玉とスティックは一人100円でレンタル。
ルールが書かれている。
「ボールがコースの外に出て打てないときは、真近のコースに戻し、打数2を加えること」
となっているが、アワレみオープン公式ルールは別だ。どんなに苛酷なシチュエーションに陥っても、そこから脱出するまで延々と玉を打ち続けないといけない。
「各ホール、パーの3倍を限界打数として次に進むこと」
これも同じく。50打になろうが、100打になろうが、ひたすらゲームは続行される。
もちろん、前後に別のお客さんがいる場合は迷惑になるのでこの限りではないが、今回はマレットゴルフ場をわれわれだけで貸切にしている状態。心行くまでゲームを続行させようと思う。
森の中にこしらえたホールなので、ワイルドさ満点。フェアウェイを玉が転がる分には比較的問題ないのだが、少しでもコースアウトしたら復活が大変だ。横倒しになった木の下に潜り込んだり、茂みの中に入り込んでしまったり。それでもゲームをひたすら続行するのがアワレみオープンの掟。
なかなかに体力を使う競技だ。1ホールで20打くらいぶっ放してしまうのは決して珍しくない難コース。右へ行ったり左へいったり、きりがない。
コースから逸れると、コースに戻ろうと力いっぱいスティックを振り回すことになる。そのせいで球がフェアウェイを通り越して反対側の茂みに入ってしまう、といった展開多発。
2時間弱のプレイだったが、なかなかに楽しかった。あまり小きれいに整備されていないゴルフコースは楽しいものだ。
結局ここでの結果は、どのホールでも安定して低い打数で通過していったばばろあが1位。序盤あちこちの茂みやくぼみとコンニチハしていたしぶちょおが2位、まんべんなく雑なプレイが目立ったおかでんは3位という結果に終わった。
お金を掛けたりしないのがアワレみオープンの特徴。生臭い事は抜きにして、純粋にプレイ中笑えたから良かった。
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