天国と地獄、真実は霧の中に【表銀座縦走】

2003年09月05日(金) 2日目

燕山荘からの夜明け

朝5時。慣れない場所、慣れない寝具なので熟睡は無理だったが、山小屋泊をした中では最高の快適さで朝を迎えることができた。山小屋の朝で恒例の、外が薄明るくなって来だした頃からガサガサゴソゴソ、廊下をバタバタという音もそれほど大きくない。カイコだなの二階に寝ていたのと、一般料金の大部屋と違い人の数が少ないブロックに居たからかもしれない。

あと、ここに訪れる人は、比較的「燕岳往復」を目的とする人が多いようだ。だから、あんまり朝早くからバタバタする必要がないのだろう。

外に出てみると、フリースを着込んでも寒かった。まだ夜はあけてない。雲が多いので、ちょっと夜明けに手間取っているらしい。有明山のはるか向こうが明るい。

燕岳はガス

今日は結構風が強い。しかも、雲が分厚く出てきている。雨が降らないだけマシだが、眺めはあまりよくないかもしれない。

燕岳は、山頂付近が雲で覆われていた。振り返って槍ヶ岳を眺めようとしたら、完全にガスの中でその姿を確認することはできなかった。

テント場を見下ろすと、北鎌尾根チャレンジのお兄さんはもうテントの撤収をはじめていた。今日は北鎌独標でビバークするつもりらしい。

ようやくご来光

寒さをこらえるためにトントンと足踏みをしている回数が数え切れなくなったころ、ようやくご来光がやってきた。

ありがたやありがたや。

今日も一日、晴れてくれますように。

食堂

朝食の準備が進められている食堂。食堂の入り口には、既に行列ができはじめていた。食事が無くなるわけではないので、そんなに急ぐ必要はないのだが

食事を食べる→歯を磨く→トイレに行く

という一連の朝の行為はほぼ全員が行うわけで、必然的に洗面所が大混雑になる。それを嫌って早く早く、と気持ちが急くのかも知れない。

燕山荘の朝ごはん

本日の朝ご飯。

お魚が鎮座しているのだが、いつもおなじみ鮭大魔神が控えていなかったのがいい意味で予想を裏切ってくれた。ええと、このお魚はサワラかな?

そして、夕食に引き続いて朝食もデザートの小鉢がつくというのがうれしい。ああ、おいしい。

今まで食べてきた山小屋料理の中ではダントツのベスト1だと思った。御飯も圧力釜を使っているらしく、きっちりと炊けているのが好感度高いし。

ただ、困ったことにこうも御飯がおいしいと、ついついおかわりしてしまうのだよな。朝から大盛りで2杯頂きました。ごちそうさまでした。

ガスの中出発

さあ、今日は長丁場だ。大天井岳→常念岳→蝶ヶ岳と延々と表銀座の縦走となるわけだが、標準コースタイムだと8時間半くらいはかかる距離だ。朝6時に出ても、今日の宿泊場所蝶ヶ岳ヒュッテに到着するには4時半くらいになる。これは山の常識としては遅すぎる時間で、あとはわれわれの脚力でコースタイムを縮めていかないといけない。

朝6時10分、ガスって何も見えない裏銀座を背景にして、記念撮影後燕山荘を後にした。

ガスの中稜線歩き

夜明け時点ではまだ雲の位置が高かったのだが、じょじょに下に降りて来だした。また、飛騨側から猛烈な風が吹き上げてくるようになってきた。

どれくらい凄いかというと、風圧で右耳の鼓膜が圧迫され、中耳炎にでもなったのかと心配になったくらいだ。おかでんは鼻炎持ちである関係で中耳炎になりやすい体質なので、「あ、これはヤバイ 、中耳炎になったか!?」と真剣に焦った。

途中、休憩場所でコダマ青年も「右耳が痛ぇよ」と言っていたので、ああ自分だけの症状じゃなかったんだ、とまずは安心。

安曇野側の方が風が弱い

昨日が「天国」だとすると、今日はまさに「地獄」。昨日の燕山登山があれだけるんるんでハッピーでピースフルだったのに、今日は一転してこのありさま。

登山道が信州側になると、風は一気に穏やかになる。これはまさに「避難」だ。とてもじゃないが、飛騨側には居ることができない。風が強いので、息も詰まる。

信州側に逃げ込んで、一息入れているところ。山のアップダウンで疲れるのではなく、強風に体を持って行かれないよう、踏ん張るので疲れる。

霧雨

風だけではなく、ガスの粒子が大きくなってきて霧雨状になってきた。メガネや服がびっしょりと水滴でぬれてきだした。

今朝、燕山荘の売店で買ったバンダナもびっしょりだ。

歩き始めて1時間ちょっと、大天井岳直下の東鎌尾根経由槍ヶ岳行きの登山道と、常念岳方面の分岐に到着。

風で疲れる

ここでコダマ青年はレインウェアを装着。おかでんはもう少し今のままの格好で粘ることにした。

大天井直下の道

登山道は、一度大天井岳を信州側に回り込むかたちになっていた。これは格好の風よけになる・・・と期待したのだが、歩きながらどんどん高度を上げていくのでますます風はきつくなっていった。いきなり突風が吹くと、体が浮き上がるので危険。

われわれは大きなザックを背負っているため、風の影響を非常に受けやすい。風が吹くたびにふらーり、ふらーりと右へ左へと揺れた。

大天荘

ほうほうの体で歩いていると、ガスのなかから何やら人口建造物が見えてきた。大天荘だ。

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