今年は夫婦揃って走る!でも城にはたどり着けない、新展開の越後まつだい冬の陣【のっとれ!松代城2025】

僕の人生において、もっとも腐れ縁なイベントと場所は毎年3月に開催されているレース、「のっとれ!松代城」だ。

2014年にはじめて参加して以降、コロナ期のイベント中断を経て、毎年参戦している。

2020年、2021年、2022年がイベントがなかった年なので、かれこれ8回も新潟県十日町市に足を運んでいることになる。

東京からの参戦なので、もちろん費用も時間もかかって大変なのだが、止め時がわからなくなってしまい今に至る。

この間、僕は結婚し、子どもが生まれるという家庭環境の変化があった。それでも、「子どもの面倒は僕が見ているから、レースにはパートナーのいしが出る(2023年)」「その逆で、僕がレースに出るのでいしが子どもの面倒を見る(2024年)」などと執念でレースには出続けている。

もはや、昔のように景気よく「ハワイ遠島の刑・5名様が当たる!」などという抽選会はなくなった。今では抽選で一番の刑罰が「地元・松代にあるツリーハウス一泊/古民家旅館一泊」だ(それでも、これらの宿に泊まれるのは貴重なので、魅力的な刑罰ではある)。

それでも参加し続けるのは、過去8回も出ておきながら、一回も何も抽選会で刑罰に処せられていないからだ。一体どうなってるんだ、来年こそは・・・と毎年、思っているが、未だに夢がかなっていない。

コロナ以降、このレースの参加者は激減した。コロナ前は500名近い参加者となりものすごく盛況だったのだが、今ではその半分しか集まっていない。ルール変更や参加費の上昇など、いろいろな要因があるのだろうがこのギャップには驚かされる。

人数が少ないと、どうしてもイベントを豪華にすることは難しい。島流しが復活するためにも、昔のように大勢の人が会場に集って欲しいものだ。

さて今年だが、友人のよこさんが「私がタケちゃんの面倒を見ますよー」と言ってくれた。だから夫婦揃ってレースに出てらっしゃい、というわけだ。夫婦でレース参加か!それはありがたい。よこさんの貴重な申し出に、感謝しながらお世話になることにした。

そんなわけで、今年はレース参加する僕といし、そして会場でお留守番をするよこさんと弊息子タケという4名で新潟を目指すことになった。

ちなみによこさんは僕と同様、2014年から「のっとれ!松代城」の常連だった。しかし、スノーボード中の事故で半月板を痛めてしまい、雪道は歩けてもレース参加は無理という状況になっている。よこさんが出走できない分、僕らがなんとか抽選会で刑罰を引き当てなくちゃ。

2025年03月08日(土) 1日目

上野駅、朝8時。

つい数日前、走行中だったはやぶさとこまちの連結が外れるという技術的なトラブルが発生した影響で、秋田新幹線、山形新幹線の東京からの直通便が全便運休となっていた。

そっち方面に旅行を計画していた人は大変だ。

08:09ガーラ湯沢行き上越新幹線「たにがわ」に乗車予定。

チケットレス乗車ということで上野~越後湯沢の指定席特急券をよこさんSuicaに紐づけていた。昔は、僕が紙チケットをあらかじめ発券し、「のっとれ!」一週間前くらいに参加メンバーを全員集めて手渡ししていたものだ。ついでに「総決起集会」と称して飲み会をやっていた。

それが今では「新幹線eチケットサービス」で、同伴者のSuica番号が分かれば「チケットの現物を手渡し」しなくて済む。幹事としては楽だ。

ところが、よこさんは今日の出発駅が東京だと勘違いしていた。eチケットで東京駅の改札を通過しようとして、通過できないから大慌て、ということになっていた。発車時刻が迫っていたから、なおさら焦ったようだ。

「チケット確保しましたよ、チケット紐づけしておきましたよ」だけではだめで、ちゃんと乗車駅を念押ししておかなかった幹事の配慮不足だ。申し訳ない。

なお、よこさんは越後湯沢駅の改札で「東京~上野」間の乗車券代と特急券代を支払っていた。

9時半過ぎ、越後湯沢駅到着。

改札に、ものすごい数の人が向かっていく。

他にも、下車しないで終点のガーラ湯沢まで向かうお客さんも多かった。

ガーラ湯沢は、「東京から新幹線でダイレクトにアクセスできるスキー場」ということでインバウンドに人気なのだという。特に雪を見たことがない国の人たちからすると、インスタントに雪の体験が出来てとても良いのだとか。へえ、そういう展開になるとは思っていなかった。

ただ、そのせいでガーラ湯沢スキー場は結構危なっかしい場所にもなった、という噂がある。なにしろ雪を見たこともないような人が、いきなり「スキー初体験!」とゲレンデから滑走するからだ。ブレーキのかけかたもよくわかっていないような人が滑っているので、そういう人からもらい事故を受けないように気をつけなければならない。

なお、新幹線のチケット手配について。

僕は1ヶ月と7日前には往路・復路ともにチケットの手配をしていたが、それでも第1希望のチケットは確保できなかった。1か月前ジャストだとまだ便の選択はできたものの、3週間前ならもはや東京→越後湯沢、越後湯沢→東京両方とも指定席の確保が難しくなっていたはずだ。とにかく大人気。

毎年、越後湯沢駅の改札を出て、新潟の雪の積もり具合を確認する。

ここ最近ずっと日本海側は雪が降っていた印象だが、路面はしっかり融雪されていた。しかし、雪が積み上げられたところを見ると、なかなかなボリューム。

レンタカーを確保したのち、ぽん酒館に向かう。ここでよこさんといしはお買い物。

ぽん酒館の目玉施設、「唎酒番所」。

あれっ、今やすっかり「ぷらっと中を覗き見する」ような雰囲気じゃなくなっている。

中に入るためのレーンが作られていて、レーンの先はお会計のカウンターになっていた。これじゃ、お酒を飲まない人の入場がお断り、という雰囲気だ。

そういう主旨でレーンを作ったのではなく、単に来場者が多すぎるので行列を整列させるためのレーンだ。だけど、結果的に様子を伺うことができない構造になってしまった。

僕はお酒を飲まないものの、今はどんな銘柄が並んでいるのかなー?と見てみたかったのだが。残念。

ちなみに、未だに「500円を払えばメダル5枚と交換され、お酒の試飲はおちょこ1杯でメダル1枚から」という仕組みは変わっていなかった。もっとも、吟醸酒だのなんだので、おちょこ1杯でメダル2枚、3枚が必要なお酒もあるはずだ。

ぽん酒館でお買い物を済ませ、出発。

駅構内に「YUZAWA」の文字看板があったので、記念撮影。最近、本当にこの手の看板が増えたな。あんまり人気があるとは思えないんだが、増殖著しい。そういば、今日の旅の出発駅である上野にも「UENO」看板が出来ていたな。

よこさんは、ぽん酒館で「爆弾おにぎり」を購入してぱくついていた。デカい。

道の駅南魚沼に立ち寄り、山積みになった安いせんべい・あられをあれこれ買う。いしがここのせんべいは大好物だ。

「3袋500円」のものと、「2袋500円」のものがあるのだが、「2袋500円」のほうが明らかに美味い、というのが驚きだ。せんべいでも値段次第で味がこうも違うのか、と。

車を走らせ、「魚沼の里」にやってきた。ここも定番の場所。

ただ、今年は「みんなの社員食堂」でのお昼ごはんではなく、「猿倉山ビール醸造所」で食べることにしてみた。

駐車場は豪雪に埋まっていて、使えるスペースが限られている。かろうじて車を停める。

雪の奥に、三角屋根のビール醸造所。

雪がないときは階段で登っていける場所だけど、冬の間はジグザグのスロープを登っていくことになる。

車椅子用のバリアフリー用通路だと思っていたが、冬期通路の意味合いもあったのか。

階段をなんとか除雪して開通させても、お客さんが滑って怪我をする可能性がある。おとなしく、スロープを歩いてもらたほうが良い。

タケは、自分の身長よりも高い雪にどうやって接すればよいか、手探り中。触ると痛いくらいに冷たいし、でも面白そうだし。

彼にとって初めてつららを手にとることができ、嬉しそうにバキバキと折っていた。宝物にするかと思ったけど、破壊行為に出るのか。子どもって野蛮だ。

猿倉山ビール醸造所。

高い天井、大きなガラス窓でとても開放感のある空間。冬なのに、全然寒々しくない。

「丁寧な暮らし系」「意識高い系」に向かいがちな雰囲気だけど、そうはならないのがこの施設の特徴だ。かっこよさと清々しさと、謙虚さが揃っている気がする。「ちょうどいい」雰囲気。

これは「魚沼の里」内にあるあらゆる建物に言えることで、全体コンセプトが揃っていてすごいことだ。

ビアレストラン、といった感じで、ビールとあわせて軽食を頼むことができる。ハンバーガーやホットドッグなど。

ソーセージが大好物なタケは、「ソーセージ食べたい!」と叫んだ。メニューにソーセージの写真があったからだ。目ざとい。

ジビエバーガーと、魚沼ソーセージの盛り合わせ。

ジビエバーガーは猪肉100%のパティ。若干バサついた食感なのが特徴。

カメラに向かって笑顔で「おすすめです!」と言って自分がオーダーしたソーセージを自慢するタケ。

そりゃそうだ、僕が食べているジビエバーガーは1,280円、そっちのソーセージは1,820円だ。なんで3歳児が食べる料理のほうが高いんだよ。

いしは、この醸造所に併設されたパン屋、「1095 BAKERY」でパンを買ってきて食べていた。

このお店は、店頭に並ぶパンの数は少なめだ。お客さんがパンをトレイに取り、棚にパンがなくなってきたな・・・という頃に追加補充される。裏でどんどん焼いているのか、それともディスプレイする数を少なめにコントロールしているのかはわからない。

いし曰く、「さっき売り切れていたパンが補充されるのを見ると、どうしても欲しくなっちゃう」。

そんなわけで、彼女は都合3回も、買ってはテーブルに戻って、補充されたのを見てまた買いに行って戻ってきて、を繰り返していた。「あの売り方はずるい。つい買いたくなる」と嬉しそうに僕に語った。

階上から見下ろした、店内の様子。心地よい空間。

我々は明日の朝ご飯を入手しておく必要がある。今晩泊まる宿は昨年と同じ「こぐりやま山荘」なのだが、素泊まりにしてある。

朝ご飯は、同じ魚沼の里にある「Little M.」というお店に立ち寄って買うことになった。

お店は狭い。買い物は女性陣に任せ、僕とタケは外で待つことにした。

だんだん雪に慣れてきたタケは、行動が大胆になってきた。

大胆、というか雑、というか。

「濡れたらおしまいだよ。乾いたものが濡れたら、もとに戻るまで時間がかかるよ」

と彼には警告しているのだが、全然腹落ちしていない。

男の子ならではらしいのだが、とにかく親の忠告をまったく聞き入れない。1万回言っても理解して実践できないんじゃないか?というくらい、話を聞こうとしない。逆に女の子の場合、案外大人の忠告はすんなり受け入れる傾向にあるようだ。

ちなみに彼の右手の指に、絆創膏がいくつも貼られているのだが、これは一週間前に火傷を負ったものだ。

レストランで熱々のオニオングラタンスープが届けられた際、店員さんが「お熱いのでお気をつけください」と言った。僕ら夫婦も、「熱いから絶対器は触っちゃダメだよ」とタケに言った。・・・で、言ったその1秒後にはスープの取っ手部分をタケは触り、火傷したのだった。

「さわるな」と言った直後に触った、ということにびっくりした。これが3歳児の脳の限界なのか!とあっけに取られた。

話をもとに戻す。

写真を見ると、なにやら右足の長靴と彼のズボンの位置関係がおかしい。まるでヘタな合成写真を作ったかのようだ。もちろん長靴が裂けているなんてことはないので、「靴が脱げかかるような姿勢で、雪を踏みつけている」のだろう。

雪に蹴りをかますタケ。

ほら、これもズボンの裾の位置と長靴の位置が変だ。

その結果、靴の中に雪が入ってしまい、「冷たい!冷たいよぅ!」とべそをかいてジタバタしはじめたのだった。

一週間前は手の火傷で「痛い!痛い!」と泣いていたのに、今度は足が冷たくて泣くとは。忙しい。

「靴を脱いで靴下を脱げばいいじゃない」

と声をかけると、「脱げないよぅ」とまたべそをかく。濡れて摩擦が大きくなった靴下を、立ったままで脱ぐほど体幹が鍛えられていないのだった。結局、いしが助け船を出して、濡れた靴下を脱ぐことになった。

(つづく)

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