
アンチ急性アルコール中毒
(1)未成年者には売りません。
(2)イッキ飲みはやめさせます。
(3)酩酊者には販売をお断りします。
(4)アルコールの売り歩きはしません。
ご協力お願いします。
真っ赤なトルコ国旗の下に何やら謹告が張り出されていたので、注視してみた。
アンチ急性アルコール中毒、ということだそうな。
まさか店頭でイッキ飲みをする輩はいないと思うので、志の高さたるや絶賛に値するもののあまり実効性は無いような気がする。
未成年者には売りません、しかし売っているのは未成年者ですというのもちょっと面白い事象だ。外語祭の場合、お店を切り盛りするのは大抵が1年生と相場が決まっているらしい(ポルトガル語学科だけは違う)。

カウンターの中は、まるで「よーし今日は家族友人集めてバーベキューパーティーやるぞぉ」感漂う感じだった。よくホームセンターなどで見かける、アウトドア用炭火焼き器で串焼きのケバブが焼かれている。これが3台並び、串がびっしりと並んでいるのだがそれでもお客のニーズに応え切れていなかった。一家4人でバーベキューするくらいだったら、このコンロ1つで十分だが、さすがに商用でやろうとすると大量に調理する環境が無いとダメなようだ。

待つことしばしで仕上がった、ケバブ(ラム)とエフェスビール。
聞き慣れないビールだが、トルコでは圧倒的シェアを誇るビールなんだそうで。
串焼きになっているケバブをかじりながら、ビールを飲む。うん、おいしいんだが・・・
今ふと気が付いたぞ。
一国の料理を食べる都度、ビールを新たに購入していたんではきりがないではないか。おなかがだぶんだぶんしちゃうし、すぐに満腹になってしまうし、へべれけになってしまう。
よく考えろ、今のペースはおかしいぞ。
2カ国の料理に対してビール1本、もしくは3カ国に1本でもいいくらいだ。
こんな小さなケバブ食べるだけにビール1本ってアンタ。どうもバランスが悪いなあ、とさっきのラオス料理食べながら思っていたんだけどさぁ。

ってなわけで、きょろきょろとあたりを見渡し、ポルトガル語学科が運営している「ぼんじー屋」が比較的空いていそうなので食べかけのケバブとビールを両手に抱えながら移動してみた。
ポルトガル料理だけでなく、同じ言語を母国語とするブラジルの料理もだしているようだ。
それにしてもこの看板、何だか怖い。サッカーについて疎いので、誰なのかは判らないのだが・・・右の人、首が曲がってはいけない方向に曲がっているように見える。「ぐきっ」という効果音がぴったり、な感じ。

看板をじっと見ていたら食欲が落ちそうなので、メニューに目線を移す。
リングィッサ(ブラジル風ソーセージ) 250円
タコのリゾット 200円
パステウ(揚げギョウザ) 220円
コシーニャ(鶏肉のコロッケ) 150円
エッグタルト 150円
ココナッツマドレーヌ 150円
カステラ 150円
コーヒー 100円
(酒)カイピリーニャ 300円
ガラナ(炭酸飲料) 100円

ブラジル風ソーセージが気になったので、注文しようとしたら「只今焼き上がりまで30分お待ち頂くことになります」と言われてしまった。大人気ではないか。すごいな。
さすがに30分後の自分の胃袋状況が全く読めないので、断念。その代わりに、パステウという聞き慣れない揚げギョウザを注文してみた。
寒いのでタコのリゾットなんぞ良いですなあ、とココロの片隅では思うのだが、ビールを飲んでいる以上メシ系に行くわけにはいかん。スープ系もダメだ。しょーもないところで、自分を律してやまないのであった。
レジカウンターに山積みになっている緑色の缶はガラナ。

パステウなる揚げギョウザ到着。
既に両手にケバブとビールを持っているため、精算及び料理引き取りにえらく苦労しつつ、ゲット。
おお、やけにこんがりと良い揚がり具合ではないか。揚げムラもなく、見事。これはおいしそうだ。では、食べかけのケバブをそっちのけにして、がぶりと。

おや。
中は偉大なる空洞が広がっていた。なるほど、膨らんでいる中にぎっしりと具が詰まっていたらそれはそれで超満腹宣言なわけだが、さにあらず。安いカレーパンにありがちな、「中は空洞で、具は少々」というパターンでござんした。
いや、違うな。このパステウ、それなりに具は入っている。ただし、外の皮自体が相当大きいし、ぷわーんと膨らんでいるので、具が申し訳なさそうに隅っこに固まっているかのように見えるのだった。
まあ、同上の余地はあるものの、なんだか油を吸った皮を食べてます的な風情になってしまうのはちょっと。・・・ビールには良く合いますが。

こちらが30分待ちと言われたリングィッサ。
煙をもうもうと上げて、炭火で焼かれている。なかなか太いソーセージだ。これだと、ちゃんと火を通すのにはそれなりに時間を要するだろう。
同時8本しか焼けないので、そりゃあ確かにお客さんが殺到したらすぐに30分待ちくらいにはなってしまうだろう。
焼き担当の人、一生懸命焼いているのが印象的だった。頑張れ、そして焼き続けろ!

パステウとケバブを交互に食べながら、エフェスビールを飲み干す。
んー。
うまいんだけどど、やっぱり何だか効率が悪いような。もっと、料理をどばっと一同に集めて、それで飲み食いした方がいいよな。
とはいっても外はこの寒さ。そしてお店の行列。お店をハシゴして料理を集めている間に、全部の料理が冷え冷えになってしまう。ビールが冷えているの、Good。料理が冷えてるの、No Good。
やっぱり複数人数での参加の方が良いんだよなあ、手分けして料理をそろえることができるから。うん、決めた。今週末もう一度オフ会の募集をかけよう。今度は2名しかそろわなくても、開催しよう。とにかく人数だ。人数が必要なのですよ。
携帯からアワレみ隊BBSに書き込みをし、3日後の日曜日に再度外語祭に行くが、誰か行く人いますか?というか、誰か来て!という募集をかけた。
さて、そんなことをしつつ、次はモンゴル語学科のお店に行く。
昨年はかなりの行列を抱えており、興味はあったけどお邪魔できなかったお店だ。モンゴル料理って何だろう。馬乳酒、羊肉といったキーワードしか思いあたらない。モンゴルを連想しようとするとどうしても横綱朝青龍を思い出してしまい、朝青龍関を思い出すと、ちゃんこを想像してしまう。モンゴル料理=ちゃんこ??いや、それは違う。全然違う。ちょっと待て。

モンゴル料理といえば岩塩を使った塩味の効いたものだ、というのは知っていたのだが、なるほどこのお店では「どうだ!この塩を使っているぞ!」と塩が入っていた袋をカウンターに貼り付けてPRしていた。
モンゴル大自然の岩塩 ジャムツダウス
名前が何やら難解だ。ジャンヌダルク、じゃないんですよね?ジャムツダウス。

モンゴルの料理ってどんなのがあるのだろう。
ボーズ 3コ200円
ホーショール 1コ100円
串焼き 1本150円
カルピス 150ml50円
カルピスサワー 1本100円
アミールS 1本100円
馬乳酒 90ml300円
アルヒ 30ml200円
アルヒコーラ割り 100ml200円
何だかよくわからない料理が並んでいます。何でしょう。あと、なぜかカルピスやアミールSといった見るからに日本産の飲み物が置いてあります。不思議だ。あ、わかった。乳酸菌発酵された飲み物ってモンゴルで一般的に飲まれているから、その類似商品としてカルピスを用意したわけか。
それにしてもアミールSが1本100円っていうのは安い。血圧が高い人は買い占めても良いんじゃないか。

「ええと、よくわからないんですがアルヒっていうのはどんなお酒ですか?」
接客をしている店員さんに聞いてみた。
「モンゴルのウォッカなんですよ」
「ウォッカ!モンゴルでもそんなものがあったんですか!ああなるほど、ロシアに接していますもんね。・・・で?この目の前に並んでいる瓶がアルヒなんですか」
カウンターの前には、バーの棚のようにずらりといろいろな瓶が並んでいた。
「そうなんですよ。で、今お出ししているのはこちらなんです」
見ると、何やらいかつい顔をしたひげ面のオッサンの箱が。「・・・本能寺海造?」
「チンギス、っていうお酒なんですけど」
「あ、チンギスハンのチンギスか。なるほど」
「モンゴルじゃ、政府高官なんかが飲んでいるみたいですよ」
「なるほど、じゃそれください」

食べ物の方は、ボーズを選んだ。ボーズが蒸し餃子、ホーショールが揚げ餃子に相当するらしい。中身は同じ物か?と聞いたところ、微妙に違っているんだという。うむ、どっちを選べばいいんだ。
「店員さん個人の意見としてどっちが好き?」
「そうですねー、ボーズの方が好きです」
「あ、じゃそれください」
それから、気になっていた串焼きも購入。串焼きは行列に並んでくれという。それほど長くない行列だったので、待ちながらボーズとアルヒを頂くことにした。
それにしてもアルヒ・・・。この小さな紙コップサイズが、何やら恐怖感をあおる。見るからに「度数強いぞ、覚悟しておけよ」感満点なわけであり、わくわくすると同時に「ここで僕潰れちゃうかも」という気もする。

まずはボーズを。
小籠包のようにふんわりした皮かと思ったのだが、比較的しっかりした状態。そして中には羊肉のあんが。塩味がしっかり効いていて、やや塩辛い。しかし、羊肉の旨みがずばんと全面に出てきて、これはうまい。相当気に入ってしまった。
一口ボーズを食べたのち、おもむろにアルヒを。
おー。
これは体が暖まりそうな気がする。が、危険な香りもする。さっきまでビールをぐいぐい飲んでいたので、その調子でこれまでぐいっと飲んでしまったら、確実に昇天できそうだ。気を付けないと。

今年もゲルが建てられていました。
「ゲルを見て、ボーズを食べて、モンゴルの草原を感じよう!」
なんて楽しい事が書いてある。
その下には、
「モンゴル料理店はすぐそこ」
とお店の宣伝をすることも忘れない。

モンゴルの串焼きはなかなかな行列っぷり。
どうも肉を切らしていたようで、奥では一生懸命羊肉を切り刻み、串に刺していた。

ここは炭火焼きではなく、ガスで焼いていた。
この円形広場、羊肉を扱っているお店は案外多いのだが、こういう「羊肉そのもの」をあぶって食べさせるお店はここだけだった。他は、ケバブなどのように挽き肉にされている。そういう点では貴重なお店だ。
15分ほど待って受け取った焼きたての羊肉串焼きは、羊の味が濃厚で大変においしゅうございました。この癖の強さが、病みつきになるんだよねぇ。おかげで、翌日の昼くらいまで息が羊肉臭かった。

ボーズができあがり、保温器の中に格納されているところ。
ボーズは「蒸し餃子」なのだが、蒸し器があるわけではないのでフライパンにクッキングシートを敷いて、その上に生ボーズを並べて調理していた。
保温器の脇にはアルコールスプレーが置いてある。
食中毒を出してはまずいので、こういうところは徹底されているようだ。下手なプロの屋台よりもこちらの方が衛生面では優れているかもしれない。

食べ歩いているうちに満腹感が・・・となるどころか、アルヒのせいでますます活気づいてしまった。さあもう少し行くぞぉ。
次に目指したのはアラビア語学科。
アラビア語といっても範囲が広いだろうに、一体どこの国の料理を食べさせてくれるのだろうか。
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