短期集中食べ歩きマニアックス(その9)
かき氷がブームだという。「かき氷女子」と呼ばれるフリークまで出現してる、というマスコミの報道には驚かされる。
「外出するときは、外出先の近くにかき氷を出す店がないか事前にチェックする」
「一日に二軒とかかき氷屋をハシゴすることもある」
なんていうインタビューを聞くと、異性人の言葉だとしか思えない。
・・・はずだった。今年の8月までは。
おかでんがお酒をやめたのが2013年3月。それまで全く甘いものを寄せ付けず、辛いものしか食べてこなかったライフスタイルが変わるのには数カ月の時を要した。
あれほどまでに甘いもの、間食を毛嫌いしていたというのに、じわりじわりとそういったものが好きになってきた。楽しくなってきた。あれ?気がついたら俺、甘いもの、食べてるぞ?
そうなると、無限に広がる「自分が知らない世界」。
何しろ、物心ついてから甘いものには背を向けてきたのだ。いざ、「甘いものもいいよね」と宗旨替えしちゃうと、知らない事だらけだ。いろいろ、見て聞いて食べて体験してみたくなった。
しかし、そうはいってもカロリーが高いのはイヤだ。甘いものをこれまで食べなかったのは、酒好きということもあるがカロリーを気にしてのことでもあった。カロリーが低くて、甘いものなんて都合の良いものはあるだろうか?
そこでひらめいたのが、今流行りのかき氷だった。
氷をガリガリかじってりゃ、少しは罪の意識を感じずに甘いものを食べられるだろう。
うん、いいんじゃないか。
そんなことを考えながら、ある縁日で食べた屋台のかき氷。コーラシロップがかかったものだった。300円。暑い真昼間に食べたこともあり、なんだか妙に美味かった。
それにしても、コーラ味があるなんて知らなかった。最近のかき氷っていろいろあるんだな。なら、ちょっと本格的にかき氷に取り組んでみっか。
というわけで、一念発起した。これから先、一週間に一度はかき氷を食べよう、と。
これ、とターゲットを見つけたら深堀したくなるのがおかでんの性格。かき氷もそう。だから、短期集中で食べることにした。
・・・というのを決めたのが、8月下旬になってから。遅い。かき氷を食べ歩こうと決めるには決定的に遅い時期だった。なにしろ、8月末でかき氷終了、というお店はあちこちにある。9月に入れば、ばたばたとかき氷の取り扱いは終わるだろう。「冷やし中華」よりも寿命が短いのがかき氷。ちょっと急いで食べ歩こう。
とりあえず、いつまでもダラダラ続けるのは性分にあわないので、企画の終了を「今年の9月末まで」と決めた。それまでせいぜい、6,7回かき氷を食べられればいいかな、と思っている。
【01軒目】銀座 三徳堂(東京都中央区銀座) 2013年8月20日
そもそも、かき氷ってどこで食べられるんだっけ。それすらよくわかっていなかった。縁日の屋台で売られているもの、というイメージしかない。あと、喫茶店でも扱っているところがあるのかな・・・?
銀座界隈でかき氷が食べられる店、を調べていて見つけたお店がこちら。
もともとプーアル茶専門店らしいのだが、二階のカフェスペースで提供されるかき氷が美味いのだとか。台湾風かき氷が名物らしく、初夏にはマンゴーの果実がたっぷり乗ったマンゴーかき氷が名物らしい。
豆豆氷(1,000円)。
甘く煮た豆がたくさんかき氷の上に載っている。豆を甘く煮るのか、うへえと思うが、日本だって小豆をそうしているのだからなんら不思議なことはない。
1,000円なのは銀座だからだよね、と斜に構えていたが、なんか納得感のある内容と美味さだった。この企画全体を振り返ってみて、もっとも印象に残るかき氷といえばこれだ。
【02軒目】みはし 東京駅店(東京都千代田区丸の内) 2013年8月22日
東京駅一番街地下一階にある洋菓子店「ヨックモック」の喫茶スペースで、天然氷を使ったかき氷が提供されているという。天然氷はキーンとならない、とか味わいが違う、とかいろいろいいうわさを聞いていたので、ぜひ食べてみることにする。
しかし行ってみたら、既に天然氷は底を尽いており提供終了だった。「なくなり次第終了」ということはあらかじめ聞いていたが、やはり8月末ともなれば仕方がない。
代わりの店がないか、ということで探し当てたのが、ヨックモックすぐ近くの甘味処「みはし」。チェーン店らしい。あんみつが名物らしく、客のほとんどがあんみつを笑顔で食べていた。
氷宇治(630円)。
かき氷はノーマルの400円から各種ラインナップがあるのだが、その最高峰が宇治になるらしい。あんこや白玉がつくからだな。
緑が鮮やか。氷の透明とシロップの色とのコントラストがかき氷の魅力だと思っていたが、こうも緑が占めているのは初めて見た。
白玉は早く食べるように、さもないと固くなる、といわれた。なるほど。いちいちオーダーが入ってから白玉はゆでているのだろう。こういうのも、一つ一つが新しい体験と経験だ。
【03軒目】北の綿雪@激辛グルメ祭り2013(東京都新宿区歌舞伎町) 2013年8月24日
激辛グルメ祭り2013の中で唯一の辛くない料理として咲いた一輪の花。
期間中に敷地内の9店舗を全部巡った暁には、ご褒美として食べることにしていた。
で、この日9軒すべて食べ終わったので、その功績をたたえてレッツかき氷タイム。
ホワイトミルク綿雪 マンゴー(600円)。
氷の中にあらかじめ練乳が仕込んである?
氷が白っぽく、甘い。
かき氷の種類を選ぶとき、「いちご」「チョコレート」「マンゴー」とメニューが並ぶ中で「プレーン」というのがあって不思議だったんだ。
プレーン?それって、単に味がついていない氷をガリガリ食べろ、ということ?って。
でも、氷自体に味がついているというわけね。
プレーンとその他のフレーバーが同じ値段というのはとても不平等だが、300円刻みの金券でしかモノが買えないイベントなので、細かい値段調整はできなかった模様。
店員さんに聞いたら、マンゴーが一番人気だということなので、マンゴーにした。マンゴー、ここ最近急激に日本で市民権を得てきたな。
【04軒目】ジャパニーズアイス櫻花(東京都渋谷区恵比寿) 2013年08月29日
恵比寿駅近くにあるアイスクリーム屋。
夏の間はかき氷も扱っている。
アイスクリーム屋なんだから、かき氷も通年で売ればいいのに。やっぱり冬だと氷ってのは売れないのだろう。アイスと似て非なるものなんだろうな。
白くま君(580円)。
丸くかたどられた氷にアイスやフルーツをくっつけて、白熊を模したデザインになっている。かわいい。まさかこんなものを食べるときが来るとは・・・。自分の変わり身の早さに驚く。
このお店のアイスは相当にいいお値段がする高級品だが、かき氷はお手ごろ価格。これで580円は安いと思う。
早く食べないと、鼻っ柱のアイスがぼとりと丸ごと落ちる。「上から順番に」なんて悠長なことを言わず、とっとと食べなくちゃ。
【05軒目】四代目徳次郎 恵比寿三越店(東京都渋谷区恵比寿) 2013年08月29日
ジャパニーズアイス櫻花から引き続いての訪問。
本当はこの先にある東京都写真美術館に用事があったのだが、同伴者のドタキャンのためそっちの用件は延期。替わりにかき氷のハシゴとなった。
ここは日光の天然氷をかき氷にして出す「四代目徳次郎」が8月末までの期間限定で出店している。売り切れじまいで閉店とは聞いていたが、順調に営業していてほっとした。
りんごとか面白そうな選択肢もあったが、名前に惹かれて秘伝黒糖蜜(840円)。
氷がふわっふわだ。なんだこれ?
天然氷だからこうなのか、それともかき氷マシンが違うからこうなのか、よくわからない。わたあめを食べているような感覚。
天然氷のかき氷を食べると、頭がキーンとならないという。その原理がよくわからなかったのだが、調べてみたら「普通の氷よりも融点が高いから」なんだそうだ。つまり、氷の温度が少し上がっても解けにくい。結果的に、ひえっひえではない氷を食べることができるので、体に負担が少ないというわけ。
おかでんはこのかき氷食べ歩きの間、一度も頭が痛くなったことはなかった。天然氷だろうが人工氷だろうが関係なかったようだ。でも、この氷がなんであれ美味かったのは間違いない。ただし蜜は甘すぎた。
【06軒目】遊食豚彩いちにいさん (東京都千代田区有楽町) 2013年09月01日
アワレみ隊企画「東京居ながら全国行脚」にて立ち寄った、鹿児島県のアンテナショップ。この二階が鹿児島の食を提供するレストランになっていて、そこではかき氷が名物だという。鹿児島といえば、「しろくま」と呼ばれる、フルーツがいくつも散りばめられたかき氷が有名。それがこのお店で食べられるのだから気になるじゃねぇかこの野郎。
中に入ると、店員さんに「お食事ですか?」と聞かれる。ええと、この場合なんて答えれば良いのかよく分からない。何を期待してこういう質問をしてきているのか、背景が理解できない。とりあえず「かき氷を食べに来ました」と伝えてみる。すると、
「かき氷は大変に人気で、30分以上お待ち頂くことになりますが、それでもよろしいですか?」
と聞かれた。何それ。そんなに人気なの?30分も待たせるの?
でも、ここまできて「30分なんて待てるか!帰る!」っていうのも面倒臭いので、大人しく待つ事にする。
入口のところで待つ事10分、そのあと客席に通されて、注文してから待つ事さらに20分。本当に30分待たされたのでびっくりだ。席に通されたのが案外早かったので、きっと「30分」というのはオーバーな表現をしただけなんだろうと思ったのだが、違った。
黒豚のとんかつを食べている人などを観察しつつ待っていたら、白くま到着。
サイズは2種類あったが、大きい方を選んだ。店員さんから「かなり大きいですよ」と、暗に小さい方を薦められたのだが、30分待って小さいのは残念すぎる。「いや、大きいのでいいです」と押し通した。その結果が、これ。確かにかなりでかい。
はなからきれいに食べさせる気はないです、と宣言しているような作り。このような造形のものを、全くこぼさずに食べきる事ができる人はよっぽどお上品な人だと思う。僕にゃ、むりだ。大人しく、白くまに添えられて出てきた取り皿に取り分けながら食べるのがよさそうだ。
それでも崩れたり手がべたついたり。いやあ、大変な食べ物だこれは。おしぼり必須。
屋台のかき氷のような、人工的な味がするシロップだけじゃこれだけの氷を食べるのはうんざりだ。でも、このようにいろいろ果物が載っていると最後までおいしく食べられる。おいしかった。
【07軒目】虎屋菓寮 (東京都中央区銀座) 2013年09月02日
銀座中央通りに面している、和菓子の有名店「虎屋」。ここの二階には喫茶があり、夏はかき氷も提供しているのだという。
「氷」の表示と、食品サンプルが店頭に飾ってあるのでわかりやすい。9月に入ったことだし、いつ「かき氷はもう終了しました」と言われてもおかしくはない。だから、お店に入ってメニュー見て途方に暮れる、なんてことが起きかねない。その点、店頭に「氷」の旗がぶら下がっていれば、安心して入店できるというものだ。
でも安心できないのがこの氷の値段。
銀座店限定メニュー、とされている「苺みぞれ」は1,260円だった。うお、1,000円を軽く超えているではないか。
さらにこれに「抹茶グラッセ付き」を選べば、1,953円。白玉とか練乳のトッピングを追加すれば、2,000円オーバーのかき氷の完成だ。さすが虎屋、さすが銀座価格。「たかが氷」と言う事なかれ、されど氷だ。
さすがにこれは頼めない。「小サイズ」というのが840円で用意されていたので、そちらを頼む事にした。
苺みぞれ(小)。840円。
小といってもそこそこ量はあるので、普通ならこれで十分。
苺のシロップとは別に、苺羹が載っている。
食べてみたが、うーん、これは確かにおいしい。悔しいけど、値段が高いだけのことはある。なんなんだ、これは。みつの美味さが際立っている。
しかも、氷を掘り進めていくと、中から白小倉あんが出てきた。やっぱり芸が細かい。
「うまいなあ」となんだか悔しがりながら、おいしくかき氷を平らげた。
【08軒目】京・茶房 TSURU (東京都豊島区南池袋) 2013年09月03日
池袋にある西武百貨店の地下一階、隅っこにある甘味処。
このあと予定が詰まっていたため、慌てて食べたのであまり味に記憶がない。
甘味処って、一息ついてゆっくりする場所のはずなんだけど、慌ただしいってのはちょっと場違いだった。
【09軒目】うおがし銘茶 (東京都中央区銀座) 2013年09月08日
銀座にある、「うおがし銘茶」というお店。お茶屋さんだ。
お茶屋さんがかき氷を出している、という例は結構あるようだ。意外感があるけど、宇治金時とか抹茶を使ったかき氷がある以上、当たり前なのかもしれない。
中に入るとスタイリッシュなお茶屋さん。勝手がわからずまごまごしてしまったが、一階奧でかき氷のチケットを購入して3階に上がるのが正解。2階も喫茶スペースになっているが、こちらはかき氷は出していないようだ。仕切りとしては、「2階は煎茶、3階は抹茶」という事になっているらしい。で、夏の間は3階でかき氷がでるよ、と。
3階は、屋根が透明になっているため天然光がさんさんと差し込むスペース・・・であるが故に、夏場は温室状態となりやたらと蒸し暑い・・・。
最初に冷茶をいただく。さすがお茶屋さんが出すお茶だけあって、きりっとしてやたらうまい。水出しだという。
一息ついたところで、かき氷。500円でこれが食べられるというのはうれしい。お口直しまで用意されているし。
お茶の旨味が凝縮された抹茶シロップ。甘さは相当控えめにされていて、それがむしろおいしさを引き立てている。
「来週にはもうかき氷は終わりになります」とのことだったので、このタイミングで食べられて良かった。
【10軒目】上島珈琲店 八重洲一丁目店 (東京都中央区八重洲) 2013年09月11日
上島珈琲店といえば、ささやかながらもチェーン展開しているお店だ。その名前からして、UCCが営業しているものと思われる。
そんなお店で、夏場にはかき氷が提供されるのだという。しかも、ビジュアル的に結構インパクトがあるものを。早速行ってみた。
店頭にはかき氷の表記は一切無し。レジカウンターに進んでメニューを見ても、見当たらない。これは既に終了してしまったのか、それともこの店舗では扱っていなかったのか、と観念したとき、メニューの片隅にしれっとかき氷があることに気がついた。夏限定!ぜひ!みたいな売り方はしていないのだった。
「黒焙じ茶のかき氷」500円。
真っ黒。
ほうじ茶をかき氷にする、というアイディアも面白いし、色も面白い。
「上島珈琲店」という店名も相まって、なんだかコーヒー的な苦味があるような印象を受ける見てくれだが、実際はもちろんそんなことはない。甘さがちゃんとある、かき氷だ。ほうじ茶っぽいかと言われると、うーん、よくわからなかった。
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