せっかくだから、出店したご当地かき氷19種類を全部紹介してみよう。どのお店も独創的だ。人気投票があるので、ありきたりな「いちご」「レモン」「ブルーハワイ」なんて出すわけにはいかない。しかも、ベースとなる氷は全店舗一緒なのだし。
1.北海道幌加内町 和~そば金時~
抹茶に見える緑色は熊笹の色で、蕎麦クレープが乗っかって、アクセントに蕎麦の実。さすが蕎麦の一大産地・幌加内だけある。かなり斬新だ。
2.北海道鷹栖町 ハスカップかき氷
てっぺんに刺さっているのはハスカップの葉っぱ。
3.宮城県女川町 ハッピーブルーかき氷
石巻の海水を煮詰めて作った天然塩が入った塩アイス付き。
「ほとんどの塩が黒潮系海水で作っているけど、うちのは親潮(寒流)で作った珍しいものだよ」
という、地味ながら面白いPRポイントを誇る。味が違うまではいかないと思うけど。
4.茨城県筑西市 黒こだますいかカキ氷
みたまんま、「こだますいか」を使ったかき氷。種に見立てている部分は柿の種チョコレート。「おすすめふるさとカレーグランプリ」での惜敗のリベンジだそうだ。カレーの仇をかき氷で討つ、という不思議な構図。
5.栃木県足利市 足利トマトのかき氷
「それって、氷がいっぱい入ったトマトジュースなのでは?」と一瞬思ったが、それは違うらしい。とちおとめ(いちご)や南国フルーツを加えていて、仕上げに練乳をかけているので、かき氷の体を成しているようだ。
味噌汁の中に麺を入れれば味噌ラーメンになるのか?というとそうではない。やっぱり味噌ラーメンにするためには、油分とかいろいろな要素をたさないといけない。それと同じで、かき氷として成立させるためには、それなりの「何か」が必要なのだろう。
6.静岡県浜松市 うなぎいも かき氷
こんなんずるいわ、名前の勝利だ。「えっ、なにそれ?」と思わせる名前。
うなぎを肥料にして栽培したサツマイモを「うなぎいも」というらしい。贅沢な身分だ。いずれ「うなぎ豚」とか「うなぎ鳥」って出てくるぞ。あと、「ブリーダーがうなぎを食べさせて育てました」という「ウナギイヌ」とか。あ、それは赤塚不二夫の漫画か。
うなぎいもをブロック状に切ったものが乗り、そこに練乳などをかけたもの。
7.愛知県豊橋市・東三河 種無し巨峰&チーズ
おーい、なにかすごい組み合わせがきたぞー。
これくらい奇抜でないと、ライバルから出し抜けないのだろう。だとしても、巨峰とチーズというのはすごい組み合わせだ。巨峰は地元の特産で、ぜひPRしたいものだろう。だとしても、チーズって一体どこから出てきた?カマンベールチーズと書いてあるぞ。巨峰の噛ませ犬だとしても、かなりインパクトが大きい。むしろ巨峰が霞んでしまっているぜ。
8.兵庫県養父市 朝倉山椒かき氷
いいねえ。さっきのチーズに続いて、いい攻めっぷりだねぇ。山椒を使ったの?
特産の「朝倉山椒」を使ったシロップと、練乳代わりに甘酒シロップをかけたのだそうな。山椒の風味と練乳のねっとり、どっちが勝つんだ?という世紀の一戦。
スパイシーなものは好きなので、楽しみだ。しかし、冷えてしまうと山椒の風味ってどうなるんだろう?
9.兵庫県姫路市・播磨圏域 播磨みたらしパフェ氷~うますぎでしょうが~
「ちょっぴり大人な和テイストのかき氷」と銘打っている。えーと、敢えて「和テイスト」というからには、洋テイストのかき氷が一般的であるかのような言い方だ。でも、一般的なかき氷って、ジャパニーズ料理な気がするけど、どうなんだろう?
しょうがを混ぜた醤油シロップを上からかけていて、団子もあるのでみたらしだんご風だ。でもさりげなくたけのこを混ぜたあんこが使われているなど、いろいろ工夫している。
10.兵庫県淡路島 淡路島の枇杷ヨーグルトかき氷
ビワがごろんと氷の横に添えられているのがインパクト大。「淡路島といったら、玉ねぎのイメージしかなかっただろう?違うんだぜ、ビワだって穫れるんだぜ」と言わんばかりだ。こういうのが、かき氷グランプリの狙いなのだろう。なるほど、先ほどの「うなぎいも」もそうだけど、知られざる特産品を今日はいろいろ学んでいる。
11.備後圏域(広島県福山市) ばらからろーず
なんか、氷の上に変な赤いものがパラパラかかっているんですけどー。
見栄えは正直あまりよろしくない。なんでも、食用バラの花びらを散らしてるのだそうだ。福山市はバラの街として有名。広島から福山に向かう高速バスの名前が「ローズライナー」というくらいだ。
バラのピンク色と香りを楽しめるようにと、大学と共同開発したものなのだそうで。氷の中にジャムが埋まっているということなので、見た目の殺風景さとは別に風味は期待できそうだ。とはいえ、ライバル多数の中でこの外観はちょっと苦戦を強いられそうだ。
12.広島県呉市 呉氷~麺(くれひょーめん)
ちょっとお前待て、そこに正座しなさい。
すいません、広島県出身者の端くれとしてお詫びします、これは調子にのってます、はい。なんじゃこりゃあ。
きゅうり、プチトマト、レモンが乗っているだけでもどうかと思うのに、氷のてっぺんにはちりめんがもっこりと盛られている。よくぞこのメニューを開発したものだ。まさに人気投票向けのメニュー。これくらいインパクトがないと、ライバルかき氷に埋没してしまって選んでもらえない。まずは食べてもらわないと、一票を入れてもらないので、注目をあつめることは大事だ。
・・・とはいえ、これはなんだいったい。
古くから軍港として栄えた呉は、知名度が低いもののB級グルメがあれこれある土地だ。呉冷麺もその一つ。そこまではいい。でも、それをかき氷にしようというのはかなり強引で、二度見してしまうレベル。
面白いとは思うが、食べたいか?と言われると正直、ちょっと。
13.山口県萩市 萩夏みかんかき氷
夏みかんと甘夏を使ったかき氷。平凡に見えるけど、氷砂糖に漬け込みました、とか蜂蜜ヨーグルトソースを使ってます、とかあれこれ芸が細かい。多分かなりうまいと思うが、いかんせん呉の変態的かき氷を見た後だとインパクトが薄い。
「私は奇抜なものが食べたいんじゃないの。美味しいのが食べたいの!」という人向け。でも僕は性格上こういうのは選ばない。「美味しいんだろうなぁ。いいなあ」とかいいながら、選べない。
14.高知県高知市 黒蜜ジンジャーかき氷
このサンプル写真、どうやって撮影したんだ!?というくらい白玉団子が氷にへばりついている。まるでクリスマスツリーの飾り付けのようだ。
ここも、どこぞの自治体と同じくしょうがを使っている。でも、単なるしょうがシロップを使っているだけでなく、「エディブルフラワー」という謎の植物も使っているのだそうだ。なんだそれ?
15.愛媛県伊方町 甘夏みかんのかき氷
「シンプルですが、味には自信あります!」とガッツポーズでおすすめする人の写真付き。その売り文句通り、甘夏みかんを丸ごと使ってます、というかき氷。お好みで練乳を使うのそうだ。
愛媛といえばみかんですよね、ということでみかんを上に乗っけているようじゃ、この「かき氷グランプリ」に出る意味がないのだろう。みかんはもう誰もが知ってる。だから、敢えて甘夏だ、というわけか。
16.北九州都市圏域 あまおう苺かき氷
「あまおう苺」って、「甘い王様」を略して「あまおう」だと思っていたけど違うんだな。「あかい・まるい・おおきい・うまい」の略であまおう、なんだそうだ。へー。「あまい」ことは売りにしていないんだな。それよりも「赤い」ほうを売りにしている、というのがちょっとおもしろい。
17.福岡県柳川市 さらさら濃厚あまおう果肉かき氷
おっと、こっちもあまおうを使っている。こっちは「果肉」を使っていることを売りにしていて、写真で見るとさきほどのあまおうとくらべてベチャッとした外観になっているしかしそれがむしろ「濃厚そう」な印象をあたえ、うまそうだ。
18.熊本県菊池市 ゴロっとメロンに生ハムを添えて
でたぞオイ、また変なのが。先ほどの「巨峰にチーズ」と同じパターンだ。今度はメロンに生ハム?・・・うーん、確かに生ハムとメロンというのは相性が良いとされているけど、かき氷にわざわざ載せる必要はあるのだろうか。
「おっ、生ハムが食べられるやんけ!」
と思わずそっちの方に惹かれてしまうが、多分菊池市として売りたいのは「メロン」なんだと思う。生ハムはおまけ。でも、これを食べた人の記憶は「ほら、あの生ハムが乗ってたかき氷」っていうものになるのだろう。
それ以前に、もう「かき氷」である必然性がどこかへ行っている気がするけど、むしろそのアンバランスさ、強引さが楽しい。いいぞもっとやれ。
19.長崎県壱岐島 柚子
「ナントカかき氷」みたいな名前にすらなっていない。ただシンプルに「柚 子」と名乗っている。なんじゃこりゃ。
解説文も、地味に他とは一線を画している。
平均年齢77歳のゆず加工所で作られているゆずシロップ。
生産者の高齢化でいつまで続けられるかわからない。
今年が最後かもしれない。
そう言われるとキュンとしてしまいます。
そして、生産者紹介のところに顔写真を掲載している女性の方の肩書には、「最後かもしれない商店店主」と書かれている。なんだこの世界観は。
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