ハクキンカイロはその強い火力で僕を温めてくれた。ただし間接的に。
これはこれで悪くないのだけれど、そのものズバリの痛いところに熱を加えたい。重だるい痛みが、左肩から肘の先・・・橈骨(とうこつ)のあたりまで伸びている。やっぱりなんとかして肩にダイレクトなアプローチをしたい。
さて、どうしたものか。

そこで「あっ、ひょっとしたらこれが使えるかも!」と、ミラーレス一眼カメラの保湿庫から引っ張り出したのがこれ。大きなマジックテープのようなものだ。

僕が持っているものは既にAmazonで取り扱いが終了になってしまったようなので、類似商品のリンクを張っておく。
これがなにかって?カメラレンズの結露防止用ヒーターだ。USBケーブルで給電し、リボン状態のマジックテープが発熱する。これを、レンズにぐるぐる巻きにすれば結露を解消・予防できるというわけだ。
雨の中での旅行や、山小屋やテントに泊まった翌朝は、レンズがひどい結露に見舞われるものだ。精密機器が壊れる心配もさることながら、せっかくのシャッターチャンスがレンズ構造内結露のせいで白く濁り、もやがかかった写真しか撮れなくなるのがイヤだ。
2018年から2020年にかけて、そういう体験が何度かあったので購入したのがこの商品。でも、実際には旅行に持参しそびれて、実戦配備に失敗することが多い。
で、これを肩にぐるっと巻き付ければ、なかなかいいヒーターになるのではないか?という期待が持てた。なにせ、エネルギーはモバイルバッテリーから供給される。使い捨てカイロのような軟弱さとは大違いだ。
安っぽい商品なので、「ほんのり温かい」程度だと舐めてかかってはいけない。案外これが、熱くなる。というのも、一旦結露したレンズを温めて、水滴を飛ばすというのが目的の商品だからだ。それなりに熱くならないと話にならない。
最初の目論見は、脇の下から肩の上まで、ぐるっと巻くというものだった。しかし、さすがにそれは無理だった。肩まわりほどの口径のレンズなんて使わねーよ。野鳥観察か、野球取材のプロカメラマンじゃないんだから。
なので、メンディングテープを使って、肩にたすき掛けするような角度で貼り付けてみた。
Tシャツの上から貼り付ける。もちろん素肌に直接は危険だ。そして、Tシャツが浮いてしまうと、肌に熱を加えられないので、Tシャツの上からパーカーを羽織って、少しだけ着圧をかける。うん、いいかんじだ。

ちなみに、このとき使っていたモバイルバッテリーはこれ。Anker PowerCore 20100。

以前紹介したロボット掃除機もAnker製だけど、Ankerといえばもともとはモバイルバッテリーで名を馳せた会社だ。
バッテリーというのは、笑っちゃうくらいいろいろな種類が売られていて、驚くくらい値段に差があるものだ。しかし、その値段というのはクオリティとも密接に絡んでいて、安物を買うと、使っているうちに膨張して形がいびつになったり、性能が落ちたりする。
特に、デジタルカメラのバッテリーというのはそうだ。カメラメーカーが売っている純正バッテリーは非常に高いので、互換品を買うと、純正品の半額以下、いや、1/4以下になったりする。ただし、そういうバッテリーを使うと、途中で電圧不足になってカメラが止まるとか、カメラの中でパンパンに膨らんでしまい、取り出せなくなってしまう。
安物買いの銭失いはしたくないものだが、その点Ankerは信頼ができる。
Ankerという会社は、もともとGoogleにいた社員が独立して起業したものだ。なので、米国起業なのだとばかり思っていたが・・・あれれ、Wikipediaで調べてみたら、中国の深センが本社だった。経緯はともあれ、これも中国企業。
玉石混交、特にAmazonで売られている中華製電化製品は怪しいものが満載だけど、Ankerは一応安心できると僕は思っている。
ちなみに、僕が毎日公私ともに使いまくっているイヤホンも、Anker製だ。

音質が良いかどうかはなんとも言えないけれど、ざっと見た限りノイズキャンセリング(発話のほうではなく、リスニングのほうで)が実装されているイヤホンでは当時一番安そうだったので買った。とても満足している。
仕事ではZoomやTeamsを使ったオンライン会議、プライベートではラジオや音楽を聴くために使っている。Bluetoothの接続がしっかりしているので、安物ワイヤレスイヤホンにありがちな「いざというとき、ペアリングしなくて腹が立つ」ということが少ない。

結露防止ヒーターを肩につけたまま寝ると、夜間痛にも効果があるようだった。五十肩は夜寝ているときに、肩が痛くなる。夜に限らず、昼寝でもなんでも、仰向けになったら痛いのだからひどい話だ。ちなみにうつ伏せでも10分もすれば痛くなる。どっちを向いても痛い。
もちろん、寝ているときも皮膚のすぐ近くに熱源を置いておく、なんてのは危険なのはわかりきっている。でも、そういう危ない橋を渡らないとやってられない、というのが五十肩の辛さだ。
で、だんだん危機意識が欠落していった結果がこれ。
肩のうえ、いわゆる「肩峰」と呼ばれる出っ張りの部分を低温やけどしてしまった。あー。
この日、肩に結露防止ヒーターを装着したまま、リュックを背負って外出していた。リュックを背負っていた時間はものの20分程度だったと思うが、ノートパソコンが入ったリュックが肩に食い込み、圧がかかった結果結露防止バンドの熱が皮膚にダメージを与えてしまったのだった。どうもヒリヒリするな、と思ってはいたのだけど、帰宅して鏡を見てびっくりだ。
低温やけどをしてしまった以上、結露防止ヒーターの利用は取り止めになった。
やけどが完治するまで二週間ほどは、「肩に熱を加える」ということができなかった。その間は、もっぱら低周波治療器を使った治療をやっていた。
オムロン 低周波治療器エレパルス HV-F128-T80(現在生産終了)
以前も同じ機種を持っていたのだが、行方不明になってしまったので再度購入。そうすると、後になってから行方不明になったものが見つかり、家に二台もある状態に。どうする、これ?ダブルエントリーシステム、とかいって両肩同時にマッサージでもやってみようか。いや、やめておこう、心臓発作を起こしそうだ。
この手の低周波治療器は、「凝りに効果的」なものと、「凝りと痛みに効果的」なものの二種類があるので注意が必要だ。それぞれに効く周波数帯は違っていて、オムロン曰く痛みに効くのは「1200Hz」なのだという。
安い低周波治療器は、凝りにしか対応していない。かといって、高額なものを選ぶと、

みたいに4万円超えになってくる。このツラさを一刻も早くなんとかしたいと思いつつも、4万円を出しちゃダメだと思う。そんな財力は、僕にはない。
低周波治療器は、粘着パッドを皮膚に貼り付ける。この粘着パッドが消耗品なので、粘着力が落ちたら買い替えなければならない。なので、追加費用が馬鹿にならないことも忘れちゃいけない。
でも、高い商品だと、「マイクロカレント」という独特の微弱な電波が出て、ダメージを受けた筋繊維の回復に効果的らしい。ゴクリ。気になる。でも、今回は買わなかったけど。
これ以降、もっぱらオムロンの低周波治療器で肩をブルブルさせつつ、空いた右手では以前肩こり用に購入したマッサージガンで左上腕をマッサージしつつ、という余暇を過ごすことになった。

マッサージガンは、もともと筋膜リリース用のものだ。

だから、五十肩から派生した、上腕二頭筋や腕撓骨筋あたりの凝り・痛みにはあまり意味がないかもしれない。しかし、気を紛らわせるにはちょうど良かった。少なくとも、腕がブルブルしている間は、痛みの感覚がわかりづらくなった。
あと、このマッサージガンは、ストレッチをやりながら、ぐーっと伸ばされた部分に押し当てると塩梅が良い、ということに気がついた。固くなった筋肉を、ストレッチ+超高速の振動で緩めるW攻撃。ストレッチ効果が捗りそうな気がする。

結露防止ヒーターに凝りた僕は、今更ながら「あずきのチカラ」に頼ってみたりもした。
我が家にはこの手のものがいっぱいあるのだよ。肩こりがキツくなって気が滅入るたびに、あれこれ打開策を模索した結果だ。
この商品を愛している人は多い。名前のとおり、あずきが袋の中に詰まっていて、そば殻枕のような音がする。で、それを電子レンジで温めて、首と肩の上に乗せると、ホカホカした状態に包まれる。
あずきにはそれなりの重さがあるし、一粒一粒が小さいので、首から肩にかけての複雑な人体フォルムに比較的ぴったりはまる。そして熱が皮膚の中に浸透していく。服の上から使い捨てカイロを貼る、なんてのとは段違いの満足感だ。
拍手ものの商品ではあるが、素晴らしい温熱は長続きしない。説明書上では、25分間温かい、と書かれている。実際はもう少し時間が短い気がするし、仮に25分だったとしても「凝りや痛みを緩和させたい」と痛切に願っている人にとって、あまりにも短い時間だ。
25分ごとに電子レンジに行って温め直す、というのは面倒すぎる。ポモドーロ・テクニックをやっているんじゃないんだから。
なので、もし「あずきのチカラ・モバイルバッテリーで駆動するバージョン」があったら、僕は1万円を出してでも買う。この商品は、25分という有効時間が本当に残念だ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
四十肩なり五十肩の男女差ですが、
女性の方が家事が多く、高い棚のものを取る動作を日常的にしているので、肩をよく動かしているから、という話を聞いたことがあります。
洗濯物を干す、にしても。
男性は痛風も尿路結石も、女性と比べて多いので激痛系は男ならではのお楽しみ。。。
かと思いましたが、女性には出産という最大の激痛があるし、膀胱炎にかかりやすいということもある。
結論として、「人間って、生きるのは大変ですね。」ということです。