稗田茶屋

2002年10月12日
【店舗数:136】【そば食:236】
長野県木曽郡木曽福島町

もりそば

稗田茶屋

水車家で十割そばを楽しんだあと、一路南乗鞍へと向かった。途中、蕎麦の名産地でもある開田高原を素通りしていく事になる。キャンプ企画の計画段階では「せっかくだから開田高原で蕎麦屋開拓してみるぅ?」なんて話も出ていた。

そんな経緯があって、開田高原の観光協会サイトで開田高原の蕎麦屋情報を探していたところ、なにやら怪しげな蕎麦屋があることを発見した。その名を稗田茶屋という。いろいろ情報収集をしてみると、

「いつ営業しているかわからない」
「注文してからそばが出てくるまで数時間待たされた」

など、ディープさ満点なんである。それで肝心の蕎麦がマズけりゃアウト・オブ・眼中なのだが、「絶品の蕎麦」と大絶賛されていたりするからますます怪しい。しかも、中には「言われている程旨かぁないねえ」という声もあったりするわけで、これはもう確認するしか!という訳だ。

ただし、いつ営業しているかわからんお店に構ってられるほどこちらも暇ではない。今回についていえば「くるまや本店」「水車家」と既に2軒も蕎麦屋をハシゴしていることもあって、「まあいつか機会があれば」という認識になっていた。

しかし、開田高原に向かっている途中に稗田茶屋の横を通り過ぎると、「営業中」の看板が。あれれ、営業しているのか。これはラッキーというべきなのか?

一号車のおかでんカーは「ほー、開いているねえ今日は」と言いながら素通りしていったが、しぶちょおが乗っている二号車がその場にストップしてしまった。慌てて、ストップしている二号車のところまで引き返す。

「え?だって、この峠道使って開田高原入りするってことは、稗田茶屋に行くつもりだったんだろ?」

ニヤリと笑うしぶちょお。しゃーない!ではこのお蕎麦屋の暖簾をくぐりましょうかね。

それにしてもこの外観はちょっと引く。聞きしにまさる怪しさだ。間違っても、「ここって蕎麦がおいしいらしいよ」とか言いながら、カップルで訪れてはイカン場所だろう。今回、アワレみ隊女性隊員も一名参加しているが、彼女は別格だ。こういうディープな店でも耐性があるので安心だ。

稗田茶屋お品書き短冊

中にはいると、土間のテーブル席とお座敷席がL字形に配置されていた。先客が10名ほどいる。われわれはお座敷に上がらせてもらう。

壁にメニューが貼ってあった。開田高原といえばすんきそばをぜひ頂きたいところだが、やはりここはもりそばを注文することにしよう。お値段は・・・うわぁ、1,100円だって。お店の外観からは想像できない、桁が一つ上のハイグレードなお値段!どうしてこんなに高くなってしまうのだろうか。

い、いかん、持病の心臓病が・・・

と、あまりのびっくり加減で胸がドキドキしてしまった。いやぁ、蕎麦は店の外観で決まらない、というのは水車家で勉強させてもらったけど、値段もその通りなんだな。また一つ勉強になった。

しかし、ここの蕎麦全部が高いのかといえばそうではなく、かけそば500円、すんきそば550円と温かい蕎麦は概ね安い。・・・あー、このパターンって、くるまや本店と同じだな。恐らく、ここのもりそばはせいろ二枚重ねのはずだ。で、温かい蕎麦の二倍の麺の量だから、価格も倍、というわけだろう。こういう価格設定というか量の設定って、木曽福島界隈ではごく一般的なのだろうか?とても特殊な気がするのだが。

メニューの上には、「開田で収穫したそば粉100%のおそばです」と書いてある。では、期待して待つことにしましょう・・・と、その前に。オーダーを通さないと。向こうのほうから聞きに来てはくれなかったので、厨房に顔を突っ込んで「すいませーん、もりそば、4つ!」と大声でオーダー。

さて、ここからが持久戦の始まりだ。回りを見渡すと、「ずいぶん前に注文したんですが、いまだに蕎麦が来ないんですけど」という顔をしたお客さんだらけだ。そういえば、店内で蕎麦を食べている人の数と、何もすることがなくて呆然としている人の数を比べると、ほとんどが後者だ。これは、われわれも相当覚悟を決めないと。4名で注文したのは蕎麦がでてくるまでの時間に悪影響を及ぼすかもしれないけど、雑談で時間つぶしができるのは強い。

中には、夫婦で訪れていたのだけど会話のネタが切れてしまい、間が持たなくなって「すいませーん、注文した蕎麦、まだですかねぇ?」と店員に確認を取るオッチャンがいた。「見ればわかるじゃん、まだだって事が。ああいう形で自らギブアップしちゃ、格好悪いよな。ひたすら平静を装って我慢しなくちゃ」とわれわれはひそひそ声で批評。

もりそば

ええーと、待つことしばし・・・どころか、1時間近く待った末にお蕎麦が到着いたしました。お待たせしました。これが、1,100円の蕎麦ですー。

考えてみれば、単体のもりそばとしては二番目に高い蕎麦になる。一番高かったのは、断然しもさかの1,600円。食後、アワレみ隊隊員の間で暴動が起きそうになった。その次は、本来であればふじおかの1,500円(後注:2003.08時点では2,000円に値上がりしている)となるのだが、あれは漬け物や野菜盛り合わせがセットになっているので対象外だ。

さ・ぞ・や・おいしいんでしょうなぁ?

ようやく届けられた蕎麦を見下ろす視線が、ちょっとあら探しの目つきになってしまっている。いかんいかん、蕎麦を待つときと同様、冷静でいないと。

しかしなあ、何となく食べる前にして、なんかイマイチ緊迫感ってのが無いんですわ。蕎麦猪口に既に入れられているつゆ、割り箸の箸袋、ペーパータオル、わさび。店の風情そのまんまの状態であり、そしてご本尊である蕎麦も、いかにも田舎蕎麦といった黒っぽいワイルドなやつ。とても、1,100円の貴族という感じはしないんである。

でも、わからんぞ。とんだ片田舎に、平家の落人で高貴なご婦人がいらっしゃるような事だってあるかもしれぬ。偏見はダメだ、蕎麦の味がすべてだ。それ、ココロを無にしてすすりあげろ。

蕎麦をたぐる

ずずずっ。

ふーん。

鼻に抜ける蕎麦の香り。あと、泥臭い印象すら受ける蕎麦の味。もちもちとした麺。

おいしい。

おいしいんだけど、何だろうこれは?ああ、思い出した、くるまやの蕎麦と系統が一緒なんだな。何となく「ほこりっぽい」とおかでんが印象を受けるこの蕎麦の味と香りは、まさに共通点だ。だから、ちょっと首を捻りながら「おいしい・・・けど」と言うのに留まってしまった。

二枚重ねなので、ボリュームがあるのかと思いきや1枚あたりの量はそれほどでもない。麺がしっかりとしているので、二枚食べきる頃にはそこそこの満足感が得られるのだが、値段の事を思い出してしまうとちょっと気分が滅入ってしまう。

食後、アワレみ隊のメンバーで議論されたのは以下のふたつの点。

・なぜこの蕎麦で1,100円もするのか?
・なぜこの蕎麦を提供するのに1時間もかかっているのか?

結局、そのいずれもこれだという回答は出なかった。謎は、謎のままでTo Be Continued。