常陸秋そばフェスティバル2010

2010年11月14日
【店舗数:—】【そば食:462】
茨城県常陸太田市金砂郷町

合計9杯+αの蕎麦づくしでおなかいっぱい

アドバルーン

5年ぶりの金砂郷。今回は「常陸秋そばフェスティバル2010」訪問の話を書く。

「平成の大合併」とやらで、「信長の野望」で領土を拡大するがごとく市町村が統廃合されていった。この金砂郷に以前訪れた2004年、2005年当時は「久慈郡金砂郷町」という地名だったが、今では「常陸太田市金砂郷町」になっている。なんだか嫁入りして名字が変わってしまった我が娘を見る気分だ。自分に娘なんていやしないけど。というかお前一生独身で過ごす気かね、と我が半生を遠い目で振り返る。

待て待て、どんどん陰湿な方向に話が行く。「フェスティバル」なんだから楽しくいかないと。

で、合併して「常陸太田市」となった金砂郷だが、その頃を前後して「常陸秋そば」というブランドを積極的に押し出すようになった。既にれっきとしたブランドが構築されていた金砂郷蕎麦の関係者からしたら、なんだよその名前は・・・と不愉快に思っただろうが、結果的に今に至る。

そんな「合併した側のパワーバランス」にものを言わせ、合併直後の秋は新蕎麦のイベントをやったものの、場所を金砂郷から別のところに移すわ、出店している蕎麦店がどう見ても素人に毛が生えたような同好会だらけだわ、で全然魅力が無かった。そんなわけでおかでんはすっかりこの地から遠ざかっていたのだった。

さすがに失策を認めたのか、今まで通り金砂郷の交流センターふじで開催するように改善され、昔と同じようなイベントに立て直しが図られていった。ひとまずはお慶び申し上げます。

ただおかでんの蕎麦へのモチベーションが下がっており、すっかり2008年~2009年くらいは蕎麦を食べていなかった。「もし自分に子供が産まれたら産湯は蕎麦湯でキメるぜ」くらいに思っていたのだが、いい加減結婚適齢期を過ぎてしまいそれは妄想であるということがうすうす判明し・・・あれれ、いかんな、またネガティブトークに。

冗談はさておき、「金砂郷に行けば美味い蕎麦が当たり前のように食べられる」。この判断に尽きた。どれも平均点以上に美味いんだもの。むしろ面白くないのだった。しかも、この手のイベントにこれまで参加してみて思ったのだが、どこも似たような蕎麦を作ってくる。飽きるっちゃあ飽きるんだわな。出店ブースは蕎麦同好会が多いため、どうしても江戸前の中細二八蕎麦が増えてしまう。もっと、梅庵のような幅広麺にするとか、皮ごとすり潰してやったぜーヒャッハーとばかりに真っ黒な蕎麦とか、そういう幅広さが欲しいところだ。

・・・とかなんとか出不精のいいわけをして、ここ数年ご無沙汰。でも今年は久々に行ってみますよ、常陸秋そばフェスティバル2010。

カーナビが壊れた車での移動なので、家を出る前にGoogleマップを数分間にらみつけて道路を暗記するところから始まる。新しいカーナビが欲しいところだが、もう8年になる車ゆえに追加投資する気になれず。記憶力がすべてだ。

幸い、アドバルーンがたかだかと上がっていたので助かったが、危なく果てしなく茨城の奥地へと進んでしまうところだった。

「常陸秋そばフェスティバル」・・・と書いてあるのだが、こちら側からみると表裏逆なため、「常陸焼きそばフェスティバル」に見えてしまう。横手や富士宮と対抗する気か、常陸太田市。

黄色いゲートがお出迎え
並ぶ屋台

素通りしてしまったため、えらく遠くの臨時駐車場に車を駐める羽目になった。送迎バスが運行しているらしいが、今日食べる蕎麦の数十分の一でもカロリーを消費しておきたいので、会場までてくてく歩く。

黄色い入場ゲート。昔は「金砂郷まつり」と記されていたのに、しっかり「常陸秋そばフェスティバル」に名前が書き換わっていた。それにしても、前回から5年ぶりだが、相変わらず同じゲートを使っているんだな。

ただ違う景色なのは、ゲートの前に屋台が並んでいたこと。蕎麦を食べに来た人たちに魔の道への誘い。売られているのが大判焼き、たこやき、広島風お好み焼き、肉巻きおにぎり、クレープ、もんじゃ・・・粉モノ中心。ここで粉モノの誘惑に負けて蕎麦食べられませんでしたー、という人も中にはいるだろう。おかでんはその点蕎麦のプロなので(今勝手に宣言)、この屋台の前を華麗にスルー。自分は鉄の意志を持っているぞ、というのを内外にピーアールするために再度スルー。やーい、二度スルーしてやったぜ。

遠くからパーク&ライド
シャトルバス

刈り取った蕎麦畑のはるか先に臨時駐車場。

いや、蕎麦畑かどうかはわからないけど、田んぼだと風情ないし。蕎麦畑、ということにしとおく。そんな刈り取った後の空き地が駐車場になっていた。

さすがにあの距離から歩いてくるのは難儀だ。送迎バスは欲しい。でも、昔は送迎バスなんてあったっけなあ?記憶にない。会場すぐ脇に車を駐めた印象があるのだが。

会場案内図
SOBA DOパンフ

ゲートくぐってすぐのところにある本部でパンフレットなどをもらう。

地図を見ると、会場となりの金砂郷小学校校庭は「出店者関係駐車場」になっていた。ああそうだ、昔はこの学校に駐めたんだっけ。道理で延々遠くの駐車場から歩いた記憶がないわけだ。でも、今やここは関係者限定。なんだなんだ、出店ブースの人たち、大名行列絵のように車を連ねてやってくるのがトレンドになったのか?

その謎は関係者以外分かりようがないので放置しておいて、ええと、何やら立派なカラーの冊子までもらっちゃったよ。「SOBA DO」だって。試される大地、だな。イヤ違う、それは「Air Do」だ。

中を見ると、常陸太田市にある蕎麦屋紹介冊子だった。立派すぎて笑った。42店舗ものお店がすべてカラーで紹介されていて、そのいずれもがそこそこ美味そうな蕎麦の写真入りときたもんだ。おかでんみたいな「スタンプラリャー(スタンプラリーをする人、の意)」からするとこういうのは目に毒だ。でも絶対やらんよ、42店舗も回ってられっか。

立派な冊子は素晴らしいんだけど、こういうのがあると共倒れになりそうな。もっと、「常陸太田市で蕎麦といえばこれ!」と絞った方が観光客としてはありがたいんだけどな。もっとも、そんなえこひいきは常陸太田市役所としてはできないけど。

ちなみに常陸太田市にある有名蕎麦店といえば、「慈久庵」というお店。これはdancyuなどを始め各グルメ誌によく出てくる。いずれ訪れてみたいと思うけど、今日ここでしこたま常陸秋そばを食べちゃったので、行くとすれば来年かなぁ。

会場1
会場2

「あれ?レイアウトが違う・・・」

おかでんが知っている2005年までのレイアウトだと、蕎麦ブースが会場敷地内をLの字で取り囲み、真ん中には巨大テントができていた。人々は巨大テント内の長机で食事をすることになる。

それが今年は、他のそばまつりと同じスタイル、すなわちお店ごとに喫食スペースが用意されているスタイルになっているのだった。こっちの方が会場設営と撤去が面倒だろうが、「大食堂スタイル」じゃ駄目だったのだろう。確かに、場所取りをしたまんまグループみんなが蕎麦の調達で席は不在、なんてのが散見され、空席あれど食べる席なし、なんて事象があった。あと、蕎麦湯のやかんを席に持ち出したまま返さないとか。今回のスタイルの方が結果的に都合が良さそうだ。

朝10時からの開店だが、過去この手のイベントに参加していて「フライングスタートは当然のようにある」ことは判っている。今回は9時半前に到着してみたら、案の定作戦大成功。

日光そばまつりはフライング前提で多くの客が早い時間から訪れていたが、この金砂郷では比較的順当な人の集まりだった。すなわち、11時過ぎから混み始めて、12時がピーク。

[1軒目 達磨(広島県)]

達磨カーは健在
達磨カーの後ろ

まず最初に訪れたのは「達磨」。

日光そばまつりでは早朝から整理券を狙わないと食べられない超人気店だが、ここ金砂郷では並びさえすれば食べることができる。とはいっても、9時半、つまり「公式なイベント開始時間」から30分前の時点で行列は60名近くだったが。蕎麦店で数十名の行列なんて、他を探してもここしかないのではないか。

全国を行脚するのに使われる、消防車のような車「達磨号」が店の前に横付けになっている。まるで店の存在を隠蔽するかのようだが、達磨号そのものが目立つのでむしろ目立っている。なんでこんなところに車を駐めたのか、不明。

達磨ブースだけ別格
忙しい厨房

既にブース内では食事をしている人がいることから、もっと早い時間から営業を開始していたようだ。それでもこの行列。さすがだ。
「滅多に食べられないお店」ではあるが、なんだかんだ言っておかでんは昨年も食べているし、累計では4度ほど食べたことがある。実はそんなに珍しいわけでもない。とはいえ、非常に美味いことには間違いがないので、今回は最初にここを食べて、他店との比較の際のベンチマークにしようと思う。

いやね、美味いってのがわかりきっている蕎麦を食べるってのは案外つまらないものですよ実は。この店当たりかな地雷かな、と逡巡しながらお店を選んで、もりにするかかけにするかも悩んだ末に食べる蕎麦の方が、楽しい。その点この店の場合はもりそばオンリーだもんなー。

高橋さん蕎麦打ち中

高橋名人は今日も健在。水回しと捏ねはお弟子さんに任せ、伸ばしと切りを担当していた。

高橋名人の前には、行列とは別のギャラリーが群れをなしていた。それだけ「一見の価値あり」な手さばき。確かに、この後他のブースの蕎麦打ちを見て回ったが、「手抜きしてるんじゃないか」という印象を受けてしまうくらい動作が鈍かった。いや、動作が鈍いんじゃない、高橋名人が唯一やたらと早いのだった。さすが「愛好会/同好会」クラスの人とは年期の入り方が違う。違いすぎる。

達磨の厨房
達磨グッズ

厨房、麺打ち、お会計あわせると総勢11名の達磨勢だったが、全員がきびきびと動くものだから行列はみるみるさばけていく。これはありがたい。行列の消化スピードも他店と比べものにならない程だった。

このお店の場合、どこがボトルネックになっているのか観察していたら、「麺をざるにもりつける」行程だった。他店は麺ゆでで行程がストップしてしまい行列が伸びてしまうのだが、達磨に関しては麺はどんどんゆで上がる。早ゆでの麺らしい。

もりそば、700円。これは昔から一貫して変わらず。かけそばや天ぷらなどは一切なし。潔い。このシンプルメニューがオペレーションの迅速化を実現しているとも言える。

ただそのかわり、お会計の机にはお土産の乾麺やつゆ、蕎麦打ち指南DVDやら書籍がたくさん。年々増えていってる。

広島にある「達磨」への行き方を記した案内図も置いてあったが、茨城のそばまつりに来ている人でわざわざ広島まで行く人が果たしてどれだけいるだろうか?

達磨のもりそば
もりそばアップ

もりそば 700円。

相変わらずいい色している。最近のおかでんとしては、粗挽きの蕎麦でメッシュを二段階に使い分けたような蕎麦が好きなのだが、いざこうやってつるりとした蕎麦を目の当たりにすると「これはこれで良いものだ」と感じ入ってしまう。

手繰ってみると、口に入れた瞬間に蕎麦の甘みがカーンと脳天に届き、ワンテンポ遅れて蕎麦の香りがブオーンと送風機の風力のごとく鼻へ、喉の奥へと広がる。ああ、こりゃ美味いわ。圧倒的だ。

これ、名人の蕎麦打ち技術云々よりも、蕎麦粉が明らかにドーピングされてる。多分日本有数の蕎麦職人である高橋氏のこと、独自の良い蕎麦粉入手ルートを持っているのだろう。蕎麦粉が普通のものと違う、としかこの美味さを形容できない。

「ほら見たことか、食べるまでもなく美味いんだよ」

思わず愚痴がこぼれる。予想通り、いや予想以上に美味いんだけど、予定調和すぎる美味さなのだった。死角がなさ過ぎるので、むしろつまらないくらいで。ぜいたくな不満だ。

つゆは2005年にこの地で食べた時と比べて明らかに傾向が変わってきている。これは昨年、豊平そばまつりで食べた時も感じたが、醤油が立った辛めのつゆになっている。昔はもっと「良い意味で特徴のない、丸みのある味」であり、個人的にはそちらの方が好きだったのだが。

この後何店舗も食べ歩いたが、さすがに達磨を超える蕎麦はなかった。圧倒的すぎる味の違いだった。

鍋一杯のそば湯

蕎麦湯を鍋に入れてセルフサービスをやっているのは相変わらず。

この蕎麦湯が美味いんだわ。打ち粉をわざと多く入れているのだろう、普通の蕎麦湯と比べて明らかに濃厚でどろりとしている。

一軒目でこんな蕎麦湯を頂いてしまったので、これ以降訪れたお店の蕎麦湯(ほとんど白湯)が面白みのないことったら。

白湯のような蕎麦湯ファンもいるわけで、むしろこういう「作為的な蕎麦湯」はインチキくせぇ、という意見もある。そういう意見を敢えて言える人はかっこいい、とさえ思うが、でもやっぱり濃厚蕎麦湯が好きです、こればっかりはどうにもならん。

[2軒目:常陸喜蕎の会(笠間市)]

常陸喜蕎の会
常陸喜蕎の会お会計

大行列の達磨のすぐ隣が、「常陸喜蕎の会」。これは今までのそばまつりで食べたことがないので、ぜひ食べていくことにする。

今回このフェスティバルに参加するにあたり、過去にたべたことがないブースを優先させようと考えていた。日光そばまつり、金砂郷そばまつり、信州松本そばまつりと食べ歩いてくると、どうしても重複があるし過去どこで食べたか記憶が曖昧になる。だから、事前に今回の出店ブースはこれでー、ええと、過去食べたことがあるのはこれだから優先順位低くしてー、と仕分けしておいたのだった。

すると、過去に食べたことがないお店は4軒。あとこれに「過去食べたことがあるけど、美味かったです」というお店(達磨など)を足したものが今回の訪問候補となる。全部で8店舗に膨らんでしまっており、全部食べられるとは思ってはいないが、まあとりあえず。おろしそばともりそばの2つのメニューでこのお店は勝負。

「昨日粉を挽きました 桜川産の新鮮な常陸秋そばです」という紙が貼ってある。常陸秋そば、と一言で言ってもいろいろな地域が含まれるのだな。

「笠間稲荷の弁天おろしそば 500円」というネーミングが気になったが、やはりもりそばでないと味の違いがわからん。おろしも魅力だなーと思いつつ、ここは男らしくもりそばを。いや、男らしいんだか女々しいんだかわからんけども。

もりそば
蕎麦アップ

常陸秋そば100%使用、と銘打ったもり蕎麦。

なにやら無駄に高さがある食器なのが面白い。実は二段重になっていて、もう一段下にも蕎麦が・・・なんてサプライズがありそうだ。実際はなかったけど。

常陸秋そば100%、という表現を見て、「あー、蕎麦も当然そういうのがあるよなー」と思った。よく言われるのが、「魚沼産コシヒカリ」がたくさん流通しているが、その流通総量はどう考えても魚沼での生産量を上回っているという事実。完全な産地偽装という悪質なものは無いと仮定すると、「魚沼産をちょっとブレンドした別の米」である可能性が高いわけだ。蕎麦でもそういうのがたくさんありそうだ。蕎麦って地味な穀物だが、美味い蕎麦粉は既にプレミアものになっており、やっすい蕎麦粉と比べて何倍もの価格差になっている。そりゃあ混ぜモノしたくなる輩もいるだろう。

このフェスティバルに出店しているどのお店・同好会においても、明らかに蕎麦打ちがへたくそというところは存在しなかった。みな一様にきれいに、そして長く繋がった蕎麦を提供している。僕が子供の頃なんて、「手打ち蕎麦=乱切りで、太さはバラバラ」みたいな風潮があったものだが、今や手打ちであっても機械打ち同様の精巧さが当然になっているのだな。

蕎麦の味はとてもおいしかった。あれっ、とむしろ意外に思ってしまったくらい、美味いんでやんの。達磨の隣、というのは立地条件として良かったような悪かったような、という場所だが、たくさんあるお店のうちの一店、として埋没させるには惜しい美味さだったことは特筆しとく。

やかんにそば湯

蕎麦湯はIHヒーターの上に乗ったやかんからどうぞ、と。

そうかー、IHはこういうとき便利だなー。

[3軒目:会津磐梯そば組合]

会津磐梯そば組合
会津磐梯そば組合お会計

そばまつりになると、大抵会津方面から蕎麦の出店がある。あまり会津といっても蕎麦のイメージが薄いが、ここまで執拗に各イベントに出撃しているところをみると、実は蕎麦の名産地として名高いようだ。

もちろん、「山都(やまと)」あたりの水そばなんぞが有名なのは知っているが、どうしても東北地方の蕎麦といえば盛岡のわんこそばであり、山形のそば街道となってしまう。福島県は一歩出遅れ状態。

むしろ、わんこそばであれだけ有名な盛岡がこういうイベントに出てこないのが不思議だ。多分、「腹いっぱい振る舞う蕎麦」と、こういうイベントで供される、いわゆる「趣味蕎麦」とでは世界が違うのだろう。落語家よろしくズルズルッと音を立てて手繰るのがよろしい、なんて講釈垂れるのがふさわしい蕎麦そろいのこのイベントにゃ、わんこそばは似合わない。

ただ、今こうやって文章を書いていて、じゃあ盛岡の蕎麦って味はワンランク落ちるものなのかどうなのか?というのが気になってきた。いずれ機会を見て盛岡蕎麦事情の探検をしてみなくちゃいけないな。でも、多分うっかりわんこそばチャレンジをやって、「うっぷす、もう蕎麦は見たくない」とか言いながらすごすご退却するオチになりそうだが。

厨房

現在10時10分。客足はまだまだこれから、というところで食べたい放題だ。待たずに食べられる今この瞬間を最大限活用しないと。休み無く3軒目の蕎麦。

まだ職人さんたちも暇を持てあましていて、大きな声を出して客引きをしていた。これが昼時になると大行列を前にてんてこ舞いになっていたが。

だいたい各ブースともに10名前後の人を配置している。10名いれば蕎麦打ちからゆで、盛りつけ、お会計、片付けなどひととおりこなせるので十分。昨年(2009年)の日光そばまつりで、行列が長いと思ったら人手不足でございましたというお店が数軒見かけられたが、そういうのがこのイベントではなかった。気持ち良く客がさばけていくので、来場者としてはうれしい。

湯気でものすごい水滴

テントの中に厨房をこしらえているので、釜から大量の湯気が吹き上がり、テントを濡らす。それが水滴となってぽたぽたしたたってくるので、要注意。うっかりすると「ひゃっ」と思わず声を出してしまう。

そんな湿気まみれなところでよく蕎麦が打てるものよ、と感心したが、ご安心を。蕎麦打ちスペースにはちゃんと透明のビニールカーテンが据え付けられているのだった。これはどこのブースも一緒。以前は「達磨」が独自アイディアとしてカーテンをつけていたが、今では主催者側がちゃんと用意するようになったのだな。インフルエンザとかそういうのを気にして、だろうか?

もりそば
もりそばアップ

かけそばともりそば、共に500円なり。

福島県の新品種「会津のかおり」を有機栽培で作っているんだと。会津のかおりは昨年の日光そばまつりでも食べたような気がする。

雑穀の蕎麦であっても有機栽培で丁寧に丁寧に育てられている。ご時世だな。いずれ、あわやヒエといったインコの餌になるような雑穀ももてはやされる時期がくるかもしれない。

提供された器はプラ容器。つゆだけ頂こうとするのには難ありな容器で、はたと困る。これで蕎麦湯を頂くのは無理だな。日光そばまつりが「リサイクル可能な食器でないと参加不可」としているので、このような食器を使っている同好会は参加できるそばまつりが限られる。でも、同好会側からしたら、わざわざイベント用に100セットくらい食器をそろえるなんてそんな金がかかることはしたくないはず。今後この手の同好会はどうするのか、動向が気になる。

[4軒目:金砂郷蕎麦愛好会(常陸太田市)]

金砂郷蕎麦愛好会
常陸秋そば使用

地元金砂郷はこのイベントに何店舗も出店してくる。さすが日本を代表するそば処だ。なにせ、小学校の授業で蕎麦打ちを習うようなところで、この日も交流センターではちびっこ蕎麦打ち大会が行われていた。こんな「英才教育しまくり」な地元故に、出店ブースが増えるのは当然のことだ。

とはいっても、どこのブースも大抵は40を過ぎたおっちゃん達がひしめいており、小学生が蕎麦を打ってる!すげえ!みたいなところはどこにもなかった。年功序列だろうか。

もりそば
もりそばアップ

このお店はもりそば500円のみで勝負。どうしても色気出して「せっかくだからかけそばもやろうか」となりがちだが、ここは潔くもりそば。

店頭には「常陸太田市産『常陸秋そば』を使用しています」の張り紙。ややこしいな、常陸秋そばって結構範囲が広いんだな。ひょっとして茨城県全域でとれた蕎麦のことを指すんじゃあるまいな。

なんか、金砂郷の蕎麦ブランドにあやかりまくっている気がするけど、肝心の金砂郷ブランドはどこへ行った?このイベント中、「金砂郷で作った蕎麦でござい」と謳っているところは一軒も無かった。お値段高すぎでこういう1杯500円の蕎麦には馴染まないのか、それとも金砂郷という名称が蕎麦の世界から消えてしまったのか。

ここの蕎麦は星が散っている蕎麦で見た目麗しい。こういう蕎麦、好きです。

でもどの店でも言えるんだが、つゆがいまいち過ぎるんだよなぁ。一度に大量に作らないといけないので、味のクオリティが下がってしまうのだろうか?つゆが美味い!すごい!というのはこの食べ歩き中ほとんど無かった。蕎麦は美味いんだけどねえ、つゆが・・・というアンバランスな店多し。

[5軒目:そば処 登喜和家]

 登喜和家

そば処登喜和家。この手のイベントでは数少ない「実店舗持ってます」ブース。こういうお店の場合、イベント期間中店の留守は誰が守っているんだろう?イベントブースにいる店員さんはそば打ち職人含めてバイト・・・なわけはないよな。全く謎だ。
そんな謎をあざ笑うように、こんな張り紙が。

本日テレビ「おはよう茨城」にて放送された当店登喜和家のけんちんそばはこの下の店で営業しています
「この下」ってどこだよ、と思わずテーブルの下を覗きたくなってしまう。実際、ちびっ子がこの張り紙の下をのぞき込んでいたのは偶然ではあるまい。

そういえばこの会場がある高台の麓にお店が一店あったな。あれがそれか。指示代名詞だらけだが、何となく分かった。

ということはだ、このブースも営業しているけどすぐ近くの本店でも営業やってるよ、という犯行宣言だ。ばかもーん、あれがルパンだ!追え!おのれルパンめ。

かきあげそばも500円

このお店、他店同様もりそばが500円なのだが、温かいそばとしてかきあげそばも500円で提供しているのがすごい。かきあげ単品が100円として、600円で売ればいいのに、お値段きっちり500円。その分蕎麦の量が少ないのだろうか?

単におつりが面倒なので、500円均一、という単純な理由かもしれん。

もりそば
もりそばアップ

どこも感心するのが、500円だからといって蕎麦の量に手抜きがないということだ。食べ歩きニーズに応えるべく、ハーフサイズの蕎麦を300円で売ってもいいくらいだ。値段が高い割には量が少ないラーメン・つけ麺イベントはぜひ見習って欲しい。

このお店でもりそばを頼むと、なにやら紙コップがついてくる。食べ歩きしている方の体調を気にして、検尿を・・・するわけないな、さすがに。蕎麦食べてたら蛋白出ました、とか尿酸値が、というのは多分あまりないと思う。

で、この紙コップだが、中には蕎麦湯。蕎麦湯準備万端、というスタイルは初めて見た。いやまあそりゃあこの容器で蕎麦湯を頂くのは無理だけどね、紙コップというのは意外だったな。

[6軒目:遊蕎塾(常陸太田市)]

遊蕎塾
遊蕎塾は大行列

長い行列ができている店が達磨の他に一つ。遊蕎塾。

遊蕎塾は十割蕎麦を出す
蕎麦打ち中

愛好会系のなかでもこの名前はすごい。「遊蕎塾」。塾っすか。

蕎麦好きの若い顧客を集めて開校した、蕎麦打ちテクニックの特訓教室。二八蕎麦流行の時代に逆行し、十割蕎麦だけを追求するガチンコの蕎麦屋集団。そこでは生徒達がセミプロ級のテクニックを競い合い、巷の愛好会とは一線を画すハイレベルなバトルが日夜展開されている

・・・なのかな?で、塾長の名前は「東堂」ね。「頭文字D」を知っている人じゃないとわからない冗談だけど。

遊蕎塾厨房

なぜここだけ突然変異的に行列ができたのかよくわからない。こういうのは、行列が行列を生むことがあるので、必ずしも旨い店とは限らない。単に手際が悪いだけ、という可能性も否定できない。

遊蕎塾のお品書き

今回のイベントでは十割蕎麦を出す店はここしか無いので、「せっかくだから生粉打ちを」という人たちを集めた、というのが正解のようだ。仮に胃袋のキャパが2杯だとしたら、じゃあ1杯は二八蕎麦、もう一杯は生粉打ち蕎麦にしてみっか、という心理が働きやすい。

行列の末端には客引き兼行列整理人のおっちゃんがいるのだが、「旨いよー、うそじゃないから!」と商売に余念がない。そんなおっちゃんに、通りすがりの客が「今達磨食べてきたけどさ、達磨よりこっちんがンまかったよ!」なんて声を掛けていた。「ほら聞いた?今の。やらせじゃないからね、ホントだからね」とおっちゃんますます口が滑らかに。

さすがに達磨より旨いってのはあんまりだと思うが・・・。

十割舞茸つけそば
十割舞茸つけそばアップ

このお店のお品書きは「十割もりそば」と「十割舞茸つけそば(温かい)」の二つ。

てっきり「もり」と「かけ」の構成なのかと思ったが、十割舞茸つけそばはあくまでも「つけそば」なので、両方とも「もり」ということになる。

今回は十割舞茸つけそばをチョイス。危なく、客引きおっちゃんの名台詞につられて、両方とも頼んでしまうところだった。それはいくらなんでも食べ過ぎなのでやめとけ。そのご自慢の十割蕎麦を、温かいのと冷たいので食べ比べたらどうなるんだろう、という気の迷い。

十割だからといって取り立てて風味がアップするとか、美味さ倍増ということはない。十割を食べるにつけ、コスト(二八よりも通常は割高)と味とのバランスがよくないな、と思ってしまう。今回も同じく。おいしかったんだけどね。

[7軒目:金砂郷湯けむりの郷 金砂庵]

金砂庵
けんちんの食券

金砂郷の蕎麦といえばけんちんそばが名物なのだという。さっき知った。ならば一発どこかでけんちんそばを食べておくか、と金砂郷湯けむりの郷・金砂庵へ。ここは以前訪れたことがあり、「旨い蕎麦を出す店」認定をおかでん内部でしている店。
ここは女性ばっかりの店員さんで、独特。

けんちんそば
けんちんそばアップ

具だくさんのけんちんそば。

話が脱線するが、けんちん汁で具が少ないと、暴れたくなりませんか。僕は幸いそういうのに出会ったことがないので、いい人生送っていると思う。具が少ない豚汁や薩摩汁は知っているけど、けんちん汁はせめて具だくさんであって欲しいものだ。なんだかそういう気がしてならない。

このお店のけんちんは、大根、椎茸、人参、ごぼう、葱など。いいですな。

んで、けんちんそばを食べてみたんだが、こりゃもう旨いわな。野菜の旨味ぎっしり。そのため蕎麦の味なんてどうでも良くなってしまっているのだった。これ、スーパーで売られている蒸し麺使っても同じようにおいしいと思う。敢えて蕎麦粉にこだわって作る料理じゃあないな。

こういう郷土食がある中で、日本有数のおいしい蕎麦粉が生産されたというのはある意味驚きに値する。

[8軒目:栃木のうまい蕎麦を食べる会]

栃木のうまいそばを食べる会

栃木のうまい蕎麦を食べる会。

過去、「これは栃木の旨い蕎麦を食べる会、じゃない。栃木の旨い蕎麦を食べさせる会だ!」と絶賛したブース。今回も訪れましたよ。

「栃木県益子町産 常陸秋そば 早刈り新そば」と書いてあるので、まだ11月中旬だと「早刈り」でぎりぎり間に合うという蕎麦事情なのだろう。それを踏まえると、幌加内などの北海道産はやたらと新蕎麦が早いな。さすが試される大地・北海道。

お品書き
あなご天そば!

おや、ここは二八もりそばの他に十割もりそばもやっているのか。気合い十分。

気合いといえばこのお店はメニュー数随一。なめこそば、野菜てんぷらそばまではわかるが、頑張りすぎて「あなご天そば」まで売っていた。お値段は全ブースの中で一番お高い800円。そりゃそうだ、穴子入れちゃったら値段あがるわ。

肝心の穴子、売れているようには見えなかった。店舗、行列を見渡してもこの高額商品を注文している人、皆無。ひょっとしたら不人気故に、揚げたてのあなごが提供されるかもしれない。

生産農家さんと蜜月関係

そういえば数年前にこのブースを訪れた時も、この生産者さんの写真があったな。あれから数年、仲むつまじく契約農家との取引が続いているらしい。

女性が蕎麦を打っている

蕎麦打ち職人が女性の方だった。女性が蕎麦を打つシーンって、よっぽど田舎で「嫁入りするには蕎麦打ちは覚えないと」というような地域の人のおばちゃん、というイメージがある。都会風の蕎麦屋で女性職人さんってほとんどいないはずだ。女性は蕎麦があまり好きではないのだろうか?

食券
洗濯バサミで食券管理

メニュー数で見て取れる気合いは他にも随所に現れる。

食券はラミネート加工ばっちり。

で、券売所から厨房へ注文を伝達するのは、一本ピンと張られた紐にぶら下げられた洗濯ばさみ。この洗濯ばさみに食券をはさみ、ついーっと厨房の方に投げるとあら不思議、一歩も歩かなくても厨房に注文が伝わっちゃったよ、という仕組み。これ、数年前にも既に実装されていた「装備」だったな。

もりそばと野菜天ぷら
もりそばアップ

もりそばと野菜天ぷら。合計700円。

さつまいもの天ぷらが、おさつスナックかというくらい薄いのはご愛敬。ほっくりと食べられるサイズのさつまいもを天ぷらにしようとすると、一体どれだけ時間がかかることか。

蕎麦は相変わらずのうまうまで、言うこと無しっすね。

地デジブース
新蕎麦販売中
たこ焼き
おでん

まだ胃袋には余裕があるけど、いったんここでストップ。行くべき店には既に行っているので、しばらくはいろいろなブースを見て物色することにした。そろそろ時刻は12時近く。さすがにあちこちで長い行列ができていた。

そんな中ガラガラだったのが地デジの相談窓口。地デジカがいないと客は集まらんでしょ。こういうのにかかる費用も国の税金が使われているのだろうか。無駄なような気が・・・。

物産店舗が軒を連ねるブロックでは、蕎麦打ち用品の店などが並ぶ。まな板・刃物研ぎのブース、なんてのがあるのもこういうイベントならではだ。そのまな板屋のところに人が何人か群がっているので、すわ何事ぞ、まな板が何か今アツいブームなのか、と気になった。

よーく見ると、まな板売る傍らでたこ焼き売りをやっていたのだった。なるほど。

そば団子を焼いている
そば団子

そば団子を売る店も。

イワナを焼くのに最適そうな炭火グリルでそば団子を炙りまくり。1串150円。

蕎麦はもういいけどせっかくだから蕎麦にちなんだデザートでも、と思っている人のニーズがあるらしく、完全に焼くのが追いついていない状態だった。やあ、繁盛してますな。

「そば団子」ということは、すなわち「そばがきを串に刺して炙ったもの」。ひょっとしたら水分が飛ぶ分、そばがきよりも味が濃厚になるかもしれん。今思えば食べてみるべきだったな。

ブース1
ブース2
ブース3
ブース4

今回ご縁がなかった蕎麦ブースをここで一挙紹介。

会津山都蕎麦 蕎邑、いばらき蕎麦の会、江戸流手打ち蕎麦 鵜の会 大江戸庵、西金砂そばの郷 そば工房。

翌週に開催される「日光そばまつり」でもお目にかかるだろうおなじみブースもあるので、そういうのはパスした。

[おやつ:日本そば打ち名人会]

日本そば打ち名人会
ホットプレートで何か作っている

日本そば打ち名人会。これもそばまつり行脚組なので「金砂郷に来たからには食べておかなければ!」ということはない。

サンルチン入り、なんてPRしている。ああ、そういえば2009年の信州松本そば祭りで、「ルチン含有量が通常の蕎麦の3倍!」とPRしていたっけ、と思い出す。さらに、「十八割蕎麦ですよー」と大きな声で客引きをやっているのを聞き、「二八蕎麦とそばがきのセットで十八割、って言ってたなあ。あれは日光そばまつりの時だ」とも思い出した。要するに「毎度おなじみすぎて珍しくも何ともない」ブースの一つ。
【後注】信州松本そば祭りでサンルチンを売っているのは別のグループだった(信州松本そば打ち美蕎楽交流会)
しかし、なにやら店頭で変なことやってるぞ。
スーパーの試食コーナーよろしく、ホットプレートでパンケーキのようなものを焼いている。

メニュー札を見ると、「石臼挽き、十割 そばやき」なんだそうだ。1枚200円。ふむ、面白い。せっかくだから買ってみるか。

十割 そばやき
十割 そばやき断面

包装紙のかわりにキッチンペーパーというのがいかにもイベント的。

きつね色に焼けた・・・というか、柴犬色に焼けた、そばやきを受け取る。

その場で頂く。

ふむ。ええとね、十割と謳っているのはごもっともだけど、ホットケーキの生地のように水で薄く溶いているので、それほど蕎麦の風味はない。軽く下味が付けられていて、そのままでも食べられるように工夫されているのだが、味が薄くて物足りない。田楽みたいに甘味噌つけた方がおいしいような気がする。

そうだ、思い出した、長野県美麻村の「美郷」でこれにそっくりな「そば薄焼き」を食べたっけ。あっちの方が失礼ながら旨かったような気がする。もさもさした食感になるので、厚みはあまり出さない方がおいしく食べられると思うけど、どうか。

[9軒目:常陸秋そば生パスタ ラ・フェリーチェ]

ラ・フェリーチェ

あと一軒立ち寄って食べるかな、それとももう帰ろうかな、と考え出していたとき、視界の片隅で発見された一つのブース。「常陸秋そば生パスタ ラ・フェリーチェ」。

物販ブースの中にあるので、その生パスタを売っている店なのかと最初は思った。それにしても店頭には何もなさ過ぎるし、店員さんも暇そうにしている。何なんだ、これは、とむしろ気になった。

がらんとした長机
食品サンプル

こういうブースは、興味があってもうかつに近づいたら駄目だ。暇を持てあましている店員さんの格好の餌食となり、いろいろセールストークを聞く羽目になるからだ。そこで「いや、いいです、見ているだけです(キリッ」と言えればたいしたものだが、そこは不肖おかでん、全然たいした事がない若輩者。ついついご高説に聞き入ってしまうのだった。ああ、気まずい。

そんなわけで、遠目でチラ見していたのだが、あれれ、どうやらここは実際に食べることができる「飲食ブース」らしいぞ。

A4の紙が2枚、目立ちにくく長机に張ってある。「生そばパスタヌードル400円」「もつ煮込み300円、生そばもつヌードル500円」とな。ええと、突っ込みどころ満載すぎてどうしたものか。

まず、このやる気のなさは何。あ、やる気がない、といったら失礼だな、ええと、そうだ、今流行りの「エコ」だな。メニューを大々的に掲げない「エコ」っぷりが素晴らしい(棒読み口調)。そりゃこれだと客は素通りするわな。少なくとも、見上げる位置くらいにメニューを張らないと、人混みの中じゃ見落とされる。

あとメニューだ。「生そばパスタヌードル」ってなんだ。パスタヌードルって意味が重複してるんじゃないか?でも、なんとなく蕎麦粉を配合した和伊合作麺を出しますよ、ということらしい。わかりにくぅ。もっとその辺もPRしなきゃ。

で、「生そばもつヌードル」というのも妖しすぎる。折衷すぎるだろ、それは。これは「単品でもつ煮が売れることで保険をかけておこう」という雰囲気がプンプンしとる。だったら店頭にもつが煮込まれている鍋を置いて、客に見せびらかさないと。

さらに突っ込みたいのがお値段。各メニュー、それぞれ既に100円(もつ煮は50円)のディスカウント。2日開催のこのイベント、既に2日目のお昼となっているがそれにしても弱気過ぎる。もっと頑張れ。

ええいもう見てられんわ。わかったわかった、ネタのつもりで「生そばパスタヌードル」お願いします。

シェフ?が調理中

突っ込みどころは常にこしらえてくれる。

お会計をしてくれた店員さんはコックコートを着ていたのだが、実際にパスタヌードルをこしらえるのは普通の服を着た男の人。おーい、立場逆じゃないんか?

さてその「私服」の店員さん、おもむろにタッパーから板状の生地を取り出し、なにやらごそごそ始めた。あ!パスタマシーンだ!さすが「生」を謳うだけあって、マシン使ってお手製麺なんだな。何度か生地をのばしたのち、麺としてにょろりーん、と。

イタリアンな見地からすれば至って普通のことをしたまでのことだが、なにせ周囲にゃ蕎麦を練ったりのしたり切ったり、ダイナミックなライブ感でやっている店だらけだ。非常にチープに見えてしまったのは仕方が無いところ。

待っている間、店のオーナー?とおぼしき人と少々雑談。

「うちのは珍しいよ!」
「なんなんですか、そばパスタって」
「蕎麦とね、パスタで使う粉を使っているの」

どうやら、小麦粉でもデュラム・セモリナ粉を使っていると思われる。確かに、これが普通の小麦粉だったら「蕎麦」になってしまう。伊太利亜風を気取るためには、小麦粉はそれ用のを使わないと。

そばパスタ
トマト風味の蕎麦とは珍しい

出てきたパスタヌードルは400円にしては彩り豊かな、ちょっと得した気分になれる品だった。挽きぐるみの蕎麦粉を使っているのか、ダークな色をした麺にトマトソースの赤。そして、海老、しめじ、ほうれん草。蕎麦の実がぱらぱらと彩りとして上にかかっていた。今日一日、つゆにしろ麺にしろ黒っぽいものばっかり見てきたので、こういう赤とか緑は大変映える。さすがイタリアン。

蕎麦を敢えて伊太利亜風に仕立てる必然性はほとんど無かったと思うが、これまで8軒、修行でもあるまいし同じような蕎麦ばっかり食べているのもよくない。最後のシメとしてなかなか良いパターンだったと思う。

今回食べ歩いてみて、「利き蕎麦」やってんじゃねーんだから何必死になって食べ歩いてるんだよ、と自分の行動に疑問を感じた。うまい蕎麦を思案の末、2軒程度食べ歩いて、はっはっはと笑いながら会場を後にするくらいがちょうどいいんじゃあるまいか。

来週は「日光そばまつり」が控えているが、行くこたぁないかな、という気がしてきた。蕎麦はいろいろあるけど皆旨い。なんだかそういう結論に落ち着きつつある2010年11月時点のおかでんであったよ。

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