自作手打ち蕎麦(15)

2012年12月31日
【店舗数:—】【そば食:567】
岡山県某所

鴨南蛮

削り節でダシをとる

今年もあと僅か。いやいやどうも皆さん、一年お世話になりました。来年もよろしくお願いしますよっと。社交辞令でご挨拶だけはしておきます。

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子供の頃は、お年玉で何を買おうかわくわくし、年末になると毎日おもちゃ屋に行っては「獲物」を物色することを繰り返していたものだ。で、買うのは任天堂の「ゲームウォッチ」だったりする。もう30年近くも前の話だけど。

時は流れて2012年、ここ10年は年末となると蕎麦打ちを行うのが定番行事になっている。今年ももちろん、蕎麦を打つ。いつしか、使命感に燃えて蕎麦を打つ事はなくなり、最近はもっぱら「すんません、毎度毎度ですけど僕のへたくそな蕎麦におつきあいください」と下手に出るようになった。あまりのできの悪さに自己嫌悪してしまったので、なんだか申し訳なくなっちゃって。

ただ、今年は違う。9月12月と2回蕎麦打ち教室に通い、即席とはいえ蕎麦打ちを一から習い直したからだ。この実践的な教室のお世話になったことで、確実に蕎麦打ちのスキルはアップしたはずだ。今年こそ、美味い蕎麦をおかでん家全員にお見舞いしてやるぜ。まあ見とけ。・・・とはいっても、蕎麦打ち教室で打った蕎麦はあんまり良いできではなかったんだよな。まだまだ不安要素はいっぱい。

12月開催の蕎麦打ち教室では、「もり汁のとり方」も習った。毎年、つゆをどうするかで悩んでしまうのだが、今年は出汁と返しを別々に仕込むところから始めようと思う。

大晦日はおせちの制作やらでキッチンがバタバタするので、12月30日のうちに出汁と返しの仕込みを行うことにする。まずは出汁から取りかかろう。えーと、よく考えてみたら、出汁なんてまともに作ったこと、殆どないぞ。人生38年間、出汁が必要となる局面においてはほぼ必ず「だしの素」の類を使っていたんだった。もしくは、後始末が楽ないりこや昆布で出汁を取ったり。鰹節、まともに使うのは初めてに近い。ナイストゥーミーチュー。

手順は既に習っているので特に困る事はない。「1.2リットルの水に対してかつお節50グラムを入れ、弱火で1分煮出して、漉したらでき上がり」。なんだ、拍子抜けするくらい簡単だな。でも、上記レシピは「もり汁」用であり、鴨南蛮を作ろうとしている今回は「かけ汁」用にレシピを読み替えないといけない。んー、どうすりゃいいんだ。

本返しと出汁の割合は、もり汁の場合「出汁100に対して本返し35~40」とレシピには記されている。で、かけ汁にする場合は「出汁100に対して本返しは7程度」になるというのは教室の先生に確認している。相当出汁で希釈しちゃうんだな、かけ汁ってのは。

感心ばっかりしていないで、早く作らなくちゃ。結局どうすりゃいいんだ。

今回は5名+子供1名が食べるということもあって、出汁1.2リットルでは到底足りない。もっと水を多くしないと。となると、かつおをもっと多く入れて・・・ところで「鰹節50グラム」ってどれくらいだ?キッチンにははかりが無かったので、全てが目分量。こうなると、厳密に計算するのが馬鹿馬鹿しくなってきた。最終的には、水を5リットルくらい鍋にぶちこみ、鰹節も適当に、フィーリングでふぁっさーと鍋に投入したった。まあいい、後になってもこの辺は微調整できるだろ。

母親から、「鰹節はもらい物があってたくさん余っているので、どんどん使ってくれてよい」というお達しがあった。いや、どんどん使おうにも、どうすりゃいいんだ。二番出汁を取ろうと思っていたが、鰹節が余っているというのならオール一番出汁で行く事にする。ちょっとぜいたく。

本返しをしこむ

出汁を取ったあと、本返しを仕込む。

「濃口醤油1リットル、みりん200ml、白ザラメ133グラム」を混ぜるんだそうだ。

ザラメは無かったので、普通の砂糖で代用。なんでも、ザラメを使うとまろやかな甘さになるんだそうだ。

醤油をどばどば鍋に入れていたら、なんだか不安になってきた。あっ、そうだ、かけ汁には本返しはあまり使わないので、レシピ通りに1リットルも本返しを作ったら余っちゃうんだった。800ミリリットルほど鍋に注ぎ込んだところでそれに気づき、慌ててストップ。やべえやべえ、作りすぎて困ってしまうところだった。でもまあ、余ったら余ったでお雑煮に転用すれば良いのだけど。

ここでもいい加減さを発揮。みりんと醤油の量は計量カップを使えば正確にわかるが、砂糖の重さがさっぱりわからん。ええい、いいや、適当に入れちゃえ。

心配になって、砂糖を煮溶かした後舐めてみた。うっわ、辛い!「スープ」の味見をする感覚でずずずっと飲んでしまったので、醤油辛くて悶絶してしまった。何やってるの、俺。

そうかー、この「本返し」の段階では、味が濃いのか薄いのか、根本的に間違っているのかがさっぱりわからないや。出汁と合わせてみないと。

うーん、よくわからないけどとりあえず良いということにしておこう。

なお、使った醤油は「とら醤油」。岡山県倉敷市の醤油。ラベルに勇ましい虎の絵が描かれているのが印象深い。

古川製粉の蕎麦粉

さて、蕎麦粉が届きましたよ。

今年も、千葉県銚子市の製粉会社、「古川製粉所」から蕎麦粉を仕入れた。毎年、最上級の蕎麦粉を仕入れていたのだが、今年はランクを一つ落としての挑戦。蕎麦の風味がストレートに食べ手に伝わる「もりそば」を作るわけではないので、値の張るいい蕎麦粉を使う必要がないのではないか、という判断があったからだ。蕎麦粉に凝るよりも、蕎麦打ちの技術向上を頑張った方がよっぽど美味い蕎麦ができあがるに違いない。

ちなみに蕎麦粉は既に二八の割合で蕎麦粉と割粉がブレンドされてパック詰めされたもの。1袋300g。それが5袋+打ち粉500g付き。お値段はいくらだったかな、2,175円。

蕎麦を練る

蕎麦打ちを2回習った「築地そばアカデミー」においては、蕎麦粉に含ませる水の分量について非常に細かかった。日によって加水率を調整するのだが、40%~45%くらいの間で微調整をする。最後は大さじ一杯足らずの水を入れるか入れないか、くらいの調整の仕方をするから凄いものだ。実際、そんな一滴の水であっても生地の様子ががらりと変わるのを自ら実感したので、気は抜けない。

その教えに従い、加水率40%で蕎麦を打ってみる。すると、いっくら水回しをしても全然蕎麦粉がまとまってくれない。サラサラしたままだ。ありゃ、水分が少なすぎたか。

慎重に慎重に、少しずつ水を加えていく。結果的に43%くらいでなんとかまとまったので、そのまま練りに入る。しかし生地が硬いのなんの。手首が痛くなってしまった。・・・ちなみに、「43%『くらい』と言っているあたり、やっぱりいい加減な性格が露呈してしまっている。大さじいっぱいの水で微調整するって話はどこへ行った。適当だなあ、もう。

今回は合計1.2キロの蕎麦粉を打つ事にしていたので、600グラムを2回打った。2回目は1回目の教訓を踏まえて、46%くらいの加水率にしてみたら、表面につやのある、でも硬めの良い生地になった。水回し、本当に難しいわ。

硬い生地を伸ばす

1回目の激硬生地をのばす。あまりに硬くて、麺棒をいくら右往左往させても伸びていかないのには参った。体重を相当のせて伸ばすのだが、はじき返される。

結局、写真のように「600グラム分打ったとは思えない、小さな生地」の段階でギブアップ。目標としている「厚さ1.5ミリ」になる前に放棄してしまった。今回はごつい麺になるけど、許してくださいおかでん家の皆様。

その代わり、今まで一度たりともできたことがない「角出し」が比較的うまく行ったのは朗報。お金払って教室で習った甲斐があったというものだ。今まで、一度たりとも角出しができた事は無かったからな。

麺

1回目の生地を包丁で切る。これがまた硬いんだわ、もう。包丁でさえはじき返されそうになる。汗だくになって生地を切るなんて、初めての経験だ。手が痛いったらありゃしない。

そんなわけで、均一な太さをキープするなんて到底無理。太さがまちまちないい加減な麺のでき上がりと相成った。あー。

二回目の生地を切る

一方、二回目に打った生地の方は非常に素直。生地をのばすのもそれほど抵抗はなかったし、切って麺にする段階でもすっと刃先が中に入る。やっぱり一回目、水の量が少なすぎたんだな。それにしても20ml弱程度の水の差でこれだけ生地が変化してしまうのは驚きだった。

つゆを作る

蕎麦打ちが終わったので、引き続いてつゆの作成にかかる。

前日のうちに作っておいた出汁と本返しを合わせる。「出汁100に対して本返し7」だったな。えーと、ということはどういうことだってばよ?

よく分からなくなったので、面倒だとばかりい鍋に出汁をだばー、そこに本返しを適当にどばー。後は味見しながら微調整だ。もともと適当にこしらえた出汁と本返しなので、最後の配合だけ厳密にやっても意味がない。ノリで作ってしまおう。

京合鴨

さて、今回は鴨南蛮ということなので、鴨肉を買っておいた。蕎麦に自信が無いから、旨味が強い鴨肉を客に食わせることでうやむやにしちゃおう、という作戦は今年も健在。

購入したのは、鴨肉の小間切れと鴨肉つくねがセットになったもの。一パック398円を3つ購入。

鴨と葱を煮る

鴨肉をつゆに投入。併せて、葱も3本分投入。

本来の鴨南蛮なら、葱や鴨を炒めてからつゆの中に入れるのだろう。しかし、それは面倒なので、つゆに最初から入れておくというやり方を取った。

鴨南蛮

というわけで、アイアンシェフおかでんの2012年度年越し蕎麦、完成。

今回は水分を控えた生地で作った麺なので、麺がぶちぶち切れることなくしっかりと繋がっていたのは大正解だった。また、比較的エッジが立った蕎麦であり、食感も良かったと自画自賛したい。

ただ、つゆは味が薄くてやや物足りない。もう少し本返しを入れても良かったな。それから麺はやっぱり太さがまちまちなので、半煮えのようなところもあったし、ゆですぎのところもあった。駄目だなー。

あと、葱を早い段階から鍋に入れていたので、せっかくの青い色が台無しに。なんだか体調悪い人みたいな色になってしまったのは残念。

蕎麦を食べながら、既に2013年の大晦日に思いを馳せる。2013年になってからも何回か築地そばアカデミーに通い、もっと蕎麦打ちの技術を高めていきたい。来年こそは「これぞ!」という蕎麦を打ちたいものだ。まだまだ現状では相当ハードルが高いが、決して登れないハードルではないという気はしてきた2012年の年の瀬だった。

元旦蕎麦

おまけ:

元旦のお昼ご飯に、余った蕎麦を食べた。つゆは昨晩の教訓を踏まえて濃いめにしたので、味はまあまあ良かった。おかげで、全体的に比較的美味い蕎麦に仕上がったと思う。やっぱり蕎麦が長く繋がっているのは良いな。

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