たかばやしそば研究会@那須塩原市
屋台は主催者側が用意する画一なデザインのもの。看板もそう。なので、ノンポリの来場者を「おやっ?」と思わせ、「食べてみようかな」と決心させるためにはさまざまなPRをしないといけない。なにせ、移り気な来場者の胃袋は有限だ。普通の人なら、2杯程度食べればもう満足だろう。そのなかの1食をわがお店の蕎麦でぜひ!となると、かなりハードルが高い。
で、このお店は「里山の晩秋そば」という叙情的な言葉ののぼりを掲げ、客の目線を引いていた。いずれは、デジタルサイネージを店頭に設置するお店とか出てくるかもしれん。のぼり程度では他店もやっていてインパクトが薄い。
で、このお店の場合写真つきのメニューボードが店頭に出ていてとてもわかりやすかった。こういうひと手間が集客に大きな影響を与えると思う。「うちは味一本で勝負だ!わかる人にはわかる」なんてふんぞり返っていたって、「わかる人」が口にしてくれなければ意味がない。
で、「わからない人=おかでん」が目につけたのが、「そばとろ」だった。蕎麦をつけ汁がわりのとろろにくぐらせてから食べるタイプのもりそば、というのが「そばとろ」だと思っていたが(実際そういう提供の仕方をするお店がある)、ここはどうやら違うようだ。お値段が300円と手ごろだし。
写真を凝視してみると、蕎麦米を炊いたものにとろろが載っているちょっとした食べ物らしい。ほほう、それは珍しい。300円ならぜひ食べてみたい。
というわけで、そばとろの食券を購入。
卓上にはビニール製のテーブルクロス。そして、漬物が自由に食べられるようになっていた。容器には「ねぎ」と書いてあるので、「これは新手のねぎなのか?」とこわごわ手をつけてみたが、ねぎではなく大根だった。そりゃそうだ。
しょうゆが卓上においてある、というのがちょっと珍しい光景。
で、到着したのがこれ。そばとろ300円。
原型をとどめない程度までやわらかくなった蕎麦の実に、とろろ、わさび、刻みのりが乗っかっている。味付けはなにもないので、しょうゆをかけて召し上がれ。なるほど、卓上のしょうゆはこれに使うためにあるのだな。
そばとろは、野趣あふれる味・・・とでも言おうか。独特の風味だった。なぜか納豆のような香りと味がする。そういう蕎麦なのか、そもそもそばとろってそんな味のものなのか。
風変わりで面白いとは思うが、「納豆っぽい味」と思ってしまった時点でなんだか微妙。蕎麦食べ歩きの最中、いい加減味に飽きてきたらこれを食べるといい。
すでに円形道路の周回、二周目に入っている。ぐるぐる回りながらお店を眺め、「これだッ!」と思ったら直感を信じてお店に飛び込むスタンス。
蕎麦以外のものを売る屋台エリアに、「中国料理世界大会第三位の店」を標榜する屋台があった。ハオハオ、というお店だ。春巻きやから揚げ、餃子といった飲茶系の中華が売られているようだ。3パックで1,000円だから決して高くはない。しかも「世界大会第三位の店」だぞ?・・・それがどれくらいすごいのか、よくわからないけど。
「料理の鉄人三回出場」と横断幕には書いてある。えっ、まじで?それはすごい。・・・と思ったら、そのすぐ下に「周富徳の一番弟子」と書いてあった。料理の鉄人三回出場なのはあくまでも周富徳だった。
で、屋台の中にいる料理人は「世界大会第三位」の人なんだろうか?あくまでもこの屋台、「世界大会第三位の店」としか書いていない。「第三位」の人が料理長のお店で、そこのスタッフさんが屋台を出しているのかもしれない。
せっかくだから世界第三位のから揚げでも!と思ったが、さすがに蕎麦を食べている最中にその浮気はあんまりなのでやめておいた。
時期は11月中旬。紅葉も見ごろ。これで天気がよけりゃあ最高なんだけど。今はもう寒い寒い。なにせ気温が8度だ、真冬だよこれじゃあ。
へぎそば 浅野屋 茂兵衛@小山市
えーいもうやけくそだ、とばかりに手書きの横断幕を加えたダブル横断幕で客目を惹くお店、それが浅野屋。へぎそばを出すお店だ。
へぎそばといえば新潟県の蕎麦なので、このお店も新潟から出展かと思いきや栃木県小山市だった。
今年のそばまつりは「一風変わった蕎麦を中心に食べる」つもりなので、まさにへぎそばはうってつけ。独特の食感はまた違った風景を感じさせてくれるだろう。
へぎそば500円、肉汁そば650円、きのこ汁そば650円。暖かい蕎麦のメニューを多く用意しているのは、11月中旬の日光という「晴れていても結構寒い」時期を考えてのことだろう。
お会計カウンターの脇に、袋に入った布海苔(ふのり)が置いてあった。たしかこれを炊くと、ローションのような粘りが出て、それで蕎麦のつなぎにするんじゃなかったっけ。本当に蕎麦打ちっていうのは貪欲だ。あの手この手を思いつく。
一方蕎麦はというと、小麦粉自体がグルテンでよくつながるので、そんな工夫はさっぱりだ。「足で踏んでコシを出そう」とか「ヨモギを練りこんで緑色の麺にしよう」などと「プラスアルファ」の工夫に余念がない。蕎麦が「うまく麺としてつながらない・・・」と苦心しているのを尻目に、だ。
へぎそばを頼んだら、神社の紙袋がもらえた。中をあけてみると、5円玉が入っていた。おひねり、というか大入り袋、というか、そういうものなのだろう。
さてこの5円、どうしようか。さすがに普段のお買い物に使っちゃだめかな?
へぎそば。若干緑がかった蕎麦。
つるんと、というかぬるんと、といった風情の麺アップ。へぎそばだったら麺同士は時間が経ってもくっつかないんじゃないか?という雰囲気。
このつるんとした食感は、僕にとっては「すべすべしすぎている」印象を持つが、蕎麦って食べ物はゴワゴワからツルツルまでいろいろあって楽しいものだ。そういえば今回はゴワゴワで食べ応えがあるヤツに出会っていないな。
ああそうか、こういう大勢のお客さんがくるイベントだと、茹で時間がかかる太麺なんて提供しづらいか。
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