ふくいそば打ち愛好会@福井県福井市
越前おろしそば。毎回このイベントでは定位置に陣取っている気がする。奥まった場所に屋台があることをいいことに、テントのずいぶん手前に横断幕を掲げている。おかげでこのお店はかなり広いスペースを確保している。エントランスが長い。
おろしそば、というのはかつおぶしやら大根おろしやらつゆをぶっかけているやら、で蕎麦そのものの味がわからなくなる!とこれまでの僕は敬遠してきた。でも、蕎麦求道者ではなくなった今、むしろこういう「蕎麦をあれこれ楽しむ食べ方」というのは好きだ。こういうのこそ、食べたいものだ。というわけで、ここのお世話になろうと思う。
以前から、「次なる蕎麦食べ歩きの地は福井だ。」と思っているのだけど、さすがに東京からは遠い。かれこれ15年以上、その思いは果たせていない。早くいかなくちゃ・・・。でもまずその前に、このお店で一杯手繰ってみよう。
おろしそばのほかににしんそばもある。
おろしそばであっても500円というのは安いと思う。いろいろな蕎麦が、手ごろな値段で食べられるのがこういうそばイベントの特徴。量はほどほどなので、食べ歩きに向いている。昔の僕は1日で10軒ハシゴなんてやっていたけど、決して大食いなのではなく、それくらいは余裕で食べられる。ただ、財力が必要となるけれど。
「おろせ!もっとおろせ!大根が足りねぇぞォォォォ!」
「おろしてます!すごい勢いでおろしてます!」
「馬鹿野郎!そんなのはおろしているうちに入んねぇんだよ!もっと力入れろォ!」
という怒号が飛び交う厨房。
いや、妄想だけど。
いずれにせよ、厨房は人アンド人。蕎麦なんて、茹でて、盛り付けておしまいでしょう?なんて安易に考えてはダメだ。そりゃあ、会席料理の盛り付けよりははるかに簡単な料理だけれど、とにかく猛烈なスピードで蕎麦を提供し続けないといけない。おのずと、人海戦術になる。
人がいてこそ、こういうイベントに出店できる。蕎麦同好会や教室がそばまつりに多いのは納得だ。もし実店舗があったら、とてもじゃないがこんな人を雇えない。
そんなドタバタのおかげで提供されるおろしそば。ありがたくいただこう。500円。
量は少なめ。つるつるっと食べたらあっという間に終わってしまうくらいだ。しかし、あれだけ大量の人で成り立っているこのお蕎麦。これ以上安かったらばちがあたるってぇもんだ。
つるつるっ
あっ、いかん、もう食べ終わってしまった。チクショウ、もう少しほしい。
おろしそばは、大根おろしとねぎが口をリフレッシュしてくれて、とてもすっきりする。この期に及んで、まだ食欲が湧いてくるから困ったものだ。福井の人たちは、おろしそばを1杯食べて満足できるんだろうか?大根に含まれる消化酵素の効果もあって、ついつい食べ過ぎてしまいそうだが。
クーリルージュ@宇都宮市
このイベントに出店しているお店の一覧を眺めた際、真っ先に「あれっ?」と気になったお店。なにせ、カタカナだ。しかも、「ソバ○○」みたいな和のテイストを残した店名ではなく、なぞの言語だ。なんだこれ?
洋食屋さんの名前みたいだな、と思ったが、さすがに洋食で蕎麦はないだろう。ずるずるっと食事中に音を立てたら怒られそうだ。・・・と思ったら、本当に洋食屋だった。宇都宮の店舗だ。えー、実店舗があるお店が出店するだけでも驚きなのに、しかも洋食屋か。そりゃ珍しい。
お店の一言コメントに、
焙煎玄米粉使用の変わりソバ”黒麺”とそば粉のガレットをどうぞ!
と記されていた。黒麺?玄米粉?ずいぶん変わっている。変わりすぎて、ちょっとイメージできない。そば粉のガレット、というのはなるほどそりゃ洋食屋ならありえるよね、と思うけど。
「もうこれで蕎麦食べ歩きは打ち止め」というタイミングで、シメにこのお店を訪れよう・・・と思っていた。まさに今がその時。ええと、ガレット500円、黒麺の蕎麦が500円。ええいこの際だ、両方頼んじゃえ。
厨房は、その他の蕎麦屋台とは様相が異なっていた。まず、わっしょいわっしょいと蕎麦を茹でるような大騒ぎ感がない。広い厨房に、お店の人が数名。そして、目に留まるのは鉄板。焼きそば屋台にあるようなやつだ。何をするのかというと、もちろんガレット製作。
オーダーが入ってから、そば粉を溶いたものを鉄板に流し込み、熱を加えていた。メニューによると、「ハム&チーズ」味だという。なんかコンビニで売られているブリトーみたいだな。
クレープ同様、オーダーが入ってから焼くので出来上がるまでちょっと時間がかかる。
片や、蕎麦のほうも現在茹でている真っ最中。
で、焙煎玄米で作ったという黒麺の蕎麦。あれ?玄米?蕎麦粉は?と気になるが、おそらくブレンドなのだろう。
つゆは「田舎風スープ」ということだ。
挽きぐるみの蕎麦っぽい黒さ。でも、「黒麺」と謳うからにはもっと黒くてもよい気がする。ええいこの際だ、イカ墨を入れるというのはどうか?
いや、どうか?じゃねぇよ。これでいいじゃないか。
味は、食べた瞬間の印象がすべて。「あっ、玄米茶の味がする!」
蕎麦の味もするような気がするけど、焙煎玄米の香ばしさが目立つ。これはこれでおいしいが、「これじゃない感」があるのも事実。蕎麦を食べにきて、わざわざこいつを食べたいかというと疑問。うまいんだけどね。
なにせ人間には有限の胃袋と財布があるもので・・・。
一方、ガレットも出来上がった。
ガレットといえば、四角く折りたたんでお皿に盛られるイメージがあるけど、ここのお店のものはテイクアウトを前提としたスタイル。まさにクレープ状になっている。これなら、お尻をボリボリかきながらでも片手で食べることができる。ワオ、クール。
しかし、正直言って食べにくかった。中のチーズがはみ出て、包装紙にくっついたからだ。あと、さすがにハム&チーズは味が強く、蕎麦の味を楽しみたいと思っている人には不向き。蕎麦の味はほぼ伝わらなかった。まあ、シメで食べるものだからこういう変化球は歓迎だ。
食後、第一会場に戻り屋台を見て回る。団子や岩魚を売る屋台が並ぶ。
そろそろ引き上げよう。シャトルバス乗り場に向かう。
乗り場は1番から7番まであるすごさ。果ては鬼怒川温泉駅まで結んでいる路線があるのだからすごい。片道何分かかるんだ?
並ぶバス。
人の運搬だけでものすごいプロジェクトとなるイベントだ。
シャトルバスにのって会場をあとに。今回はややおとなしかったものの、それなりに蕎麦を食べることができて満足だ。やはり蕎麦っていいもんだな、今後も時折そばまつりに顔を出したいものだ。
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