粟島[自称下見]旅行

宿からの光景

民宿に戻って、まったりとした時間を過ごす。ふと窓から外を見ると、そこは釜谷の港があった。真っ正面の岩山状の岬の向こうが、さっき見た釜谷キャンプ場になる。あれ、結構距離があるのだなあ。

潮風に当たろうと窓をガタピシやってみるが、どうやっても開かない。どうなってるんだろう、この建物は。転落防止でロックをかけているんだろうか。そういえば、この民宿は最近改修したらしく、外装内装共にちょっとまだ馴染み切っていない様子だったっけ。何かあったのだろうか。(とここで、縁起の悪い妄想)

民宿が立ち並ぶ

滞在した部屋は窓が二カ所にあり、もう一方を見るとこちらは集落の裏通りが見渡せた。隣の民宿の様子がよくわかる。今日は土曜日にも関わらず、どこの民宿もフルハウスってわけではないようだ。

粟島は宿を確保するのが大変、だとばかり思いこんでいたのでこの状況にはちょっと拍子抜けだ。誰だ、確保しにくいなんてデマ流したのは。・・・僕か?うーん。どこぞのwebでは、夏前に粟島に行こうとしたが宿が確保できず、秋までずれ込んだっていう記述を読んだ気がするんだがなあ。

でもまあ、これだけ狭くて不便な島にも関わらず、50近くも民宿があるのだ。夏になるときっと島が地盤沈下するくらい観光客が来るに違いない。

くつろぐ人々

風呂に入ってちょっとくつろいで、さていよいよお待ちかねの夕食だ。今回の旅行タイトルが「魚類死刑執行人、粟島に散る」と銘打っているだけあって、この夕食に対する期待感ってのは、凄まじいものがあった。この夕食の為にわざわざ「下見ツアー」を企画したといっても過言ではない。だから、腹を空かせた野犬のようにがっつくべし!べし!だ。

・・・とはいってもなあ・・・昼までにさんざん飲んできたビールが、まだ胃袋肝臓血液中に充満している感じ。あんまり心地よくはない。散歩して、風呂に入ればすっきり爽快になるかと思ったが、その程度では処理できないくらいビールを飲み過ぎたらしい。うぐ、もう1時間くらい夕食時間が遅ければいいのに・・・。時計を恨めしく見る。

食堂は3階だ、という話を宿のおばちゃんから聞いていた。しかし不思議なこともあるもんだ、今われわれが滞在しているのは「別館」。フロントがある「本館」と道路を挟んで向かい側にある建物なのだ。こんなところの3階にわざわざ食堂なんて、ご苦労様としか言いようがない。荷物運搬用エレベーターはないようだし、えっちらおっちら本館からこの別館3階まで料理を運んで来るのだろうか?

3人とも「本当にこの3階でええんか?」なんて言いながら階段を昇ってみたら、嗚呼、合点。なんと、本館と別館が3階部分で渡り廊下状に繋がっていたのだ。で、その「渡り廊下」の部分が大広間になっていたのだった。なるほど、これは全然気づかなかった。狭い敷地面積の有効活用だな、空中を広間にするとは想像できなかった。このすぐ真下は、道路だ。

夕食

「ああ」という納得の声が、「おお」という驚きの声に変わるのにそれほど時間はかからなかった。食卓に並ぶ料理が視界に入ったからに他ならないが、これが仰天せずにはいられない。

写真はちいさくてちょっとみにくいが、左から

・かわはぎの煮つけ
・笹団子(デザート)
・キウイフルーツ(デザート)
・ほうれん草のお浸し
・たくあん
・さざえ×2
・真鯛の塩焼き
・めかぶ
・なまこの酢の物
・お造り(はまち、ひらめ、まだい)

「おい・・・ここって、一泊二食付きで7,500円だったよな」
「うん、間違いない」
「でもよ、こりゃあちょっと豪勢すぎやしないか?」
「うーん」

そんな会話を、宿のおばちゃんに気づかれないようにこそこそと話さずにはいられなかった。高級温泉旅館の夕食みたいにばーんとハデさはなく、ただただ地味な料理ではあるが、それにしては鯛とかさざえとか、どさくさに紛れて凄い。お刺身だって、「お客さんたち、これがあった方がいいんでしょ?ええ?」なんて顔色伺いながら出てくるような安宿の夕食とちがって、「まあこんなもんじゃないですか?あまり多くても食べきれないでしょうし」って感じでどかんずばん、と鎮座しているのだ。これにはまいった。大サービスだ。

「まあ、とりあえず頂きましょうか」

とか何とか言いながら、ビールで乾杯をして夕食にありつく。しかし、どうも、威勢が悪い。

「宿ってのは旅情をいかに醸し出すか、ってのが重要なんだよな。」
「そうそう、その最たる例が料理。これが全然方向違いだったら、何のための旅行だったのかって気になるな。」
「どうして山奥の温泉宿なのに、刺身とか出て来るんじゃろう?」
「刺身至上主義。年寄りは刺身食べられれば幸せなんよ」
「あ、いや、わしもうまい刺身食べられれば幸せ」
「いやそりゃそうだけど、さ。山だったら大人しく山菜とか岩魚とか出せばいいのに。」
「そうじゃなけりゃ、囲炉裏がきってあって、そこにぐつぐつと煮えた鹿鍋、猪鍋。」
「おお、ええね。猪鍋にご飯があるだけでええわ。刺身いらん」
「うん、刺身いらんねえ」
「でしょ?だからね、勘違いしてるんだよなあ宿を生業にしている人達ってば。背伸びしなくて地のものを使ってれば、見た目は貧相かもしれないけど観光客は喜ぶって、絶対。空腹は最高のスパイスだ、なんてよく言うけどありゃ違うね、旅情は最高のスパイス、が正解だよ絶対。」

・・・という会話をしていたのだが、我らの渇望していた「宿における正しい料理」がそのものずばり眼前に存在しているのだから、どうも落ち着かない。あまりに完璧なのだ。

ほとんどの食材は地のものを使用している。しかも、われわれが「粟島」に期待していた新鮮な魚介類がてんこ盛り。さらに、一泊二食で7500円とはとても思えないボリューム。もう、言うこと無しだ。デザートのキウイくらいは外様の食材だろうと思っていたが、後で聞いてみたらこのキウイまでもが自分ところの畑で作ったものらしい。おいおい、この夕食、これだけ品数があるのに100%粟島内で自己完結してるよ。参った!

刺身盛り

3人とも「いやー」とか「うへー」なんてつぶやきながら、料理を眺めていたら真打ち登場。そうそう、オプションで5000円分の刺身盛り合わせを頼んでいたんだっけ。われわれがあぜんとしているのを後目に、テーブルの中央に天孫降臨とあいなった。

このお刺身盛り合わせ、刺身自体は各自の手元にあるお刺身と同じ3種類。それに加えて、サザエの刺身と、何かの白子がついていた。おばちゃんに「何の白子ですか?」と聞いてみたら、「鯛の白子なんですよぉ」とのこと。白子といえば、ふぐかタラしか知らなかったので、ちょっびっくりした。さすが粟島。

宴会中

さあ役者はそろった、ということであとはひたすら食べるのみ、ビールを飲むのみっていうところ。さっきまで「ビールがまだ抜けきっていない・・・」とぼやいていたのだけど、これだけ海の幸とれとれぴちぴち料理満載なのだ。どの料理をとってもビールがまずかろうはずがない。「ああ、もっと体がしゃっきりしていれば」と午前中の暴挙を恨みながらも、ぐいぐいと食べて、飲んだ。うまい。本当にうまい。

宿のおばちゃんが

「お客さんたち、一番いい時期にお越しになったですよぉ」

なんて言う。われわれは粟島といえば海水浴でありキャンプであるというイメージだったので、一番いい時期は夏かと思っていたのだが、違うらしい。理由を聞くと、

「ちょうど今だと一番魚の種類が多いんですよ、だから今日の料理も豊富にできたんです」

とのこと。

「えっ?でも、日本海の魚っていったら、冬っていうイメージが強いんですけど・・・」
「でもね、冬は海が荒れるから漁に出られないの。だから逆に魚が高くなる」

ふえー、勉強になりました。確かにそうだろうなあ。

おばちゃんはそのままわれわれしかいない大広間に残って、いろいろ話を聞かせてくれた。息子は宿を継がないで、新潟市で粟島料理の店をやってること。娘は今年から下関の大学に通学するようになったこと。おばあちゃんが作った笹団子が食べたいというから、さっき宅急便で下関に送ってあげたこと。もの凄くプライベートな家族話だったけど、聞いているこっちのほうがうれしくなってしまった。今時、自分の家族の話をこうも素朴に語れる人って都会じゃあんまりいないもんなあ。どうしても、親ばかべったりな子供自慢に始終したり、家族の話は非公開だったり。われわれもしばし食事の手をゆるめて、おばちゃんの話に相づちをうっていた。

そんなこんなで料理の皿数は徐々に減ってきたものの、刺身盛り合わせで相当苦戦。最高においしいんだけど、満腹でなかなか箸が進まないのだ。宿の食事で、「おかずいっぱいでおなかいっぱい」っていうシチュエーションに出会うことはなかなかない。しかも、その料理がおいしいとなると、過去に全く例がないと断言してもいい。しかし、もうそろそろ・・・おなかいっぱいだよ・・・

しかし、おばちゃんは容赦しなかった。「さざえが余っているから」と、5個も新たに壺焼きを追加してくれたのだ。うぐぅ。食い地獄だ。以前、熱海でさざえの壺焼きを買って食べたときは1個500円だったっけ。ってことはここにあるさざえ全部で2500円。うー、ぜいたく!こんなぜいたく品を邪険に扱ってはバチがあたる!

結局、「俺これだけ食べるから後はお前が」的な押し付け合いで解決を図ることとなってしまった。ああ、幸せすぎて怖い。

ご飯と荒汁

お酒を切り上げたところで、最後にご飯とお吸い物が出てきた。お酒が飲めないしぶちょおは先行してこの二品を食べていたのだけど、お吸い物を一口すすって「ぬおっ」と叫んでいた。なぜなのか不思議だったのだが、いざ自分で確かめてみて合点。しぶちょおと全く同じリアクションで「ぬおっ」と叫んでしまったくらいだ。

塩味のさっぱりしたお吸い物を想像していたのだけど、もの凄くだしが濃い。しかし、このだしは鰹節ではないし、昆布でもなさそうだし・・・あっ、そうだ。鶏肉だ。鶏鍋をやったときに汁がこんな味になるんだっけ。そういえばこのつゆ、表面にいかにも獣から出ました、っていう脂が浮いているもんなあ。なるほど、でも凄いねこれは。「いや、それは鶏じゃないんですよ」ん?おばちゃん、じゃこれは一体?「鯛の頭から取っただけです」えーっ。

確かに、吸い物椀の中には鯛のあらが神々しくも鎮座してらっしゃる。だけど、まさかこれを煮ただけでこんなに濃厚でコクのあるだしが出るとは全く予想できなかった。カルチャーショックである。

まあ考えてみればこの味を知らなくて当然だよなあ。鯛の頭を堂々と使ってお吸い物なんて作るぜいたくなシチュエーション、普段じゃ絶対にあり得るわけがない。これもまた、粟島ならではだな。いや、脱帽。

満腹になりながらも「いや参った参った」と粟島料理に圧倒され、われわれは神妙な顔つきで部屋に戻った。この後は、昼間に買った地酒「粟島」でも飲みながら・・・なんて思っていたのだが、とてもそんなものが入るスペースは胃袋になく断念。その代わり「覆面座談会:『こんな料理はイヤだ』」の収録を1時間ほど行った。

いや、企画した僕としてはバカな話をやってげらげら笑おう、という趣旨だったの本当は。「○○大学の学食が高くてまずいのは、▲▲の陰謀だ!」みたいな暴論吐いたりして。でも、覆面座談会に参加した面々は食い物に恨み辛みが多いようで、本当に「こんな料理はイヤだ!」という辛辣な料理批判が始まってしまった。 「あちゃー、こりゃよっぽど編集加工しなくちゃエンタテイメントとして使えない議論だなあ」なんてMDに録音しながら頭を抱えてしまった。

しかし、収録当時から調子の悪かったMDは帰京後完全故障。MDウォークマンの中に入っている収録済みMDを取り出すことすらできない状態になってしまった。ということで、この座談会は塩漬け状態。いつか日の目を見るときはくるだろうか?

粟島の夜は更けて行く・・・。

2000年06月04日(日曜日) 2日目

朝食は朝7時から、という話だった。そのときは「はあそうですか」と承っていたのだが、よく考えてみるとえらく早い時間だ。普通、宿の朝食って朝8時からだろう。さすが島時間、夜が早い代わりに朝も早いのか。

就寝環境が変わると、途端に眠れなくなる僕は、起床時間は必然的に早い。だからこの朝7時起床ってのでも全然問題はなかった。朝6時半には起き出して、体調万全。昨晩、100%の力を出し切って飲み食いできなかったという反省があるから、今朝こそは晴れやかなるスポーツマンシップをもって、食べまくらなくてはイカンのだ。

残りの二人は、僕がごそごそやっているのに気づいて「うみゅー」とか「むー」と、おおよそ人類の言葉とはほど遠い音声を発しながらしぶしぶ起床。相当お疲れのようだ。

7時ちょっと過ぎに、部屋のインターフォンが鳴る。「食事の準備ができましたので外に出てください」とのこと。「食事の用意ができた」という言葉の後には普通、「食堂においでください」という言葉が続くものだ。それが「外に出ろ」なんだから、痛快だ。そう、今朝の朝食はアウトドアで食事だ。わっぱ煮を食べるなら、やっぱ海が見える外で食べなくちゃ。

しかし、外に出ろっていわれてもどうすりゃいいのか・・・と思いながら玄関に出てみると、宿のおばちゃんが待ちかまえていた。「こっちです」と、指示されるままにしばらく海の方に向かうと、そこにはその名もずばり「わっぱ煮広場」なるスペースがあった。どうやらここで食事になるらしい。

「わっぱ煮広場」の隅には、それぞれの民宿の名前が記された荷物小屋が並んでいて、その前で各々の宿の人が火をおこしている。で、さらにその先にござが敷かれ、低いテーブルが用意されているという次第。みんなござに座って食事を頂くスタイルらしい。

わっぱ煮広場は相当広いのだけど、今日はその1/8もござが敷かれていない状態だった。中にはござが全くしかれていない民宿スペースもあるようで、この宿は本日宿泊客なし、ということなのだろう。日曜日だというのに、ちょっと寂しい気もするが、かといってこんな離れ小島の小さな集落に宿泊客がどちゃーっといる、というシチュエーションも薄気味悪いものがあるのでこれはこれでよいのかもしれない。ちなみに、我らが泊まった民宿のスペースは言うまでもなく僕ら3名分のござが敷かれているだけ。うふふ、「貸し切り」ってのは気持ちいいね。

わっぱ煮

さてこれが本日のメインイベント、「わっぱ煮」御大です。へへーっ。

「わっぱ」とは、漁師が使っていた漆塗りの木の弁当箱の事。で、その「わっぱ」に水と魚と野菜と味噌とを放り込んでおいて、おもむろに焼けた石をどぼん、どぼん。石に籠もっていた熱気は、いきなり行水させられて「わっ、わっ、びっくりした!」と仰天し、その勢いで一気にわっぱの水を沸騰させてしまう。で、そのあつあつのヤツをずずずっと頂いてしまおう、というなんとも野蛮で男臭くて原始人的料理といえよう。

わっぱ煮調理中

たき火で既に噴火寸前になっている石を火箸で取り出し、一度水にさらして灰を洗い流す。そしてそのままわっぱにどぼん。当然、中の水はぶしゃーっと豪快な音を立てて飛び散るんだけど、そんなのは一切お構いなしだ。水がたりなくなりゃ、やかんで補給するしそれで味がうすくなりゃ味噌を足す。ただそれだけ。その光景を、僕らはただ「ふえー」と眺めるしかなかった。いや、ほんと驚いた。事前知識をある程度仕込んでいたにもかかわらず、びっくりしてしまう。そんな料理ってなかなかありそうでないもんですぜ。とにかく、これほどまでに人間の五感に訴えかける料理はなかなかあるまい。ほらほら、あんまりわっぱの近くにいると、熱湯が飛び散るよ!

わっぱ煮の朝食

こうして、今朝の幸せな朝食と相成った。みよ、このもうもうと煙をあげているわっぱ煮を!まさに活火山。おみそ汁は煮立ててはイカン、ってのは料理の基本だけどもうそういうのを超越してる。思わず見とれてしまって、箸をつけるのがもったいないくらいだ。

えーっと。料理を紹介すると、左上から時計回りにわかめの酢の物、ほうれん草、トマト、ゆで卵、ふき、わさび漬け、??、たこのお刺身。わっぱ煮だけでもご飯2杯3杯は余裕だというのに、これだけおかずがあるのだからたまらない。ご飯をほおばる分量を注意しないと、すぐにご飯がなくなってしまう。

おかずのなかでも、たこの刺身が秀逸でございました。たこなんて、都会暮らしをしているとゆで蛸の刺身しか食べないもんだ。生のたこが食べられるだけで幸せでごぜーます。ああ、これだけでご飯が1杯食べられるよなあ。

わっぱ煮を食べる

さて肝心のわっぱ煮。中に何が入っていたかというと、正直あんまり記憶にない(わっぱ煮という存在そのもののインパクトが強すぎて・・・)。アイナメがまるごと入っていて、あと葱が入っていたのは覚えている。で、このアイナメの骨と格闘しながら身をほぐし、汁を飲む事になるのだがこれがめっぽうおいしい。魚を煮込まず、瞬間沸騰させているので出汁が出ているはずがないと思ったのだけど、いやいやどうしてちゃんとだしが効いていました。ただし、なにしろ相手はぐつぐつ沸騰している汁。気をつけて汁をすすらないと火傷する羽目になる。そーっと、そーっと。

日本海を見ながら

海を見ながらの朝食。3人、一列に並んで「いや海はいいですな」なんて言いながらご飯を頂く。なんとも質素なれどもぜいたくな瞬間だとは思いませんかみなさん。これから漁に出ていく漁船、戻ってきた漁船が港を行き交う。その光景を見ながら「何が釣れたのかなぁ」とか「おっ、これから出航ですか。大漁だといいですね」なんて蔭ながら応援してしまう。何しろ、漁師さんの頑張りがそのまんまわれわれの食卓に反映され、そしてこうやって喜ばせてくれるんだから。

結局、豊富なおかずに引きずられてご飯をたくさん食べてしまった。朝から満腹で「うう、食べ過ぎ・・・」とおなかをさすりながら「わっぱ煮広場」を退却することになった。

高台の神社へ

腹ごなしに、釜谷集落のすぐ裏山にある神社にお参りすることにした。結構急な階段をのぼっていくことしばし、到着。さすがに急斜面を登っただけあって、眺めは良い。でも、宿の2階の風景とほとんど変わらないような気もする。入り江に集落があるので、少々高度を稼いでも左右に岬があるため、視野が広がらないのだろう。

わっぱ煮が地面に

特にみどころもないので、神社の脇から伸びていた遊歩道を散歩することにした。この遊歩道、変わったことに何十メートルおきかに路面に絵がかかれていた。どうやら粟島の名物をいろいろ紹介しているらしい。鯛やらなにやら、いろいろな魚の絵が描かれている。どれも写実的とはほど遠い、漫画チックな絵ばかり。そんな中でも、より一層異彩を放っていたのが「わっぱ煮」の絵だった。なにやら赤い魚がわっぱの中で茹だっている。しかも、目が×の印になっており、「もう参りました」ってな顔をしているのだ。うーん、なかなか味がある絵だと、一同その写真にしばらくみとれてしまった。

内浦集落を歩く

9時過ぎにチェックアウトした。刺身盛りというオプションがあって、ビール飲んだというのに、税込みで1万円弱で収まってしまった(お酒をよけいに飲んでいた僕はちょっと1万円を超えることになったが)。なんたるお得感。「うーん、安い・・・」3人とも、お会計を済ませてついついうなり声を出してしまったくらいだ。

10時半の船にはまだ時間があったので、内浦地区の細道を散策することにした。旅情というのは、時には裏道に隠れていたりするものだ。ばばろあが「こういう本当に地元の人が住んどるようなところにずかずか入っちゃいかんと思うんじゃけど・・・」とたしなめるのを聞き流し、表通りから一本奥に入った道を散策した。

「おかしいなあ、こういう漁村にはかならずニャンがおるはずなんだけど・・・」
「そういや、ニャンおらんなあ。おかしいなあ」

という会話になり、いつしか「旅情満喫の散歩」は「猫探し」になってしまった。猫が居そうな隙間とかをのぞき込んで、「ここにも居ない」。どう見ても観光客のやる行為じゃない。

結局、猫を発見して「ああやっぱり漁村には猫は付き物なんだね」という、どうでもいいような結論を導き出してほっとして港に戻った。

高速船は55分の旅路。全席が座席になっていて、足を伸ばしてくつろぐことはできないんだけど、ちょうどいい塩梅に寝やすいシートで、気がついたらぐっすり眠ってしまった。目が覚めたら、そこはもう本州。ああ、さらば粟島。

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