粟島[自称下見]旅行

本州に戻ったはいいが、何をするかはまだ決めていなかった。当初の予定としては「2泊目を粟島にするか、それ以外の場所にするかは1日目の状況で判断しよう」ということにしていたからだ。結局、2泊目も粟島にすることは辞退したのだが、これは半分粟島から逃げ出したという表現が近いかもしれない。

まず、粟島でやり残した事が島一周サイクリングしかないという事がある。でも、これは観光船で一周して島の概要は既に理解しているので、どうしてもやらなければならないというわけではない。あと、泳ぐのは季節が早いし、釣りはそれなりの道具を持参していないので駄目。ということで、粟島はもういいだろうという判断が下されたわけだ。

でも、もっと内面的かつ根本的には、粟島での料理から逃げ出したという要素もあった。あれだけ感動して食べまくった食事だけど、あまりに魚づくしだったものだからちょっとうんざりしてしまったのだ。肉が食べたい!というほど日頃アメリカンな食生活に染まっているわけじゃないんだけど、それでもここまで海産物責めにあうと、ちょっと食傷気味になってしまう。

昨晩、夕食を食べ終わった後に3人で翌日の行動を相談したとき、一致した意見だったのが

「今晩の料理、すごくおいしかったけどなんか全ての力を出し切った、って感じだね」
「そうだね、出尽くしたって印象がある」
「もう一泊しても同じものが出てきそうだなあ」
「それはちょっと・・・」

結局、そんなこんなで粟島には1泊滞在でおしまいとなった。まあいい、今度の本番には3泊するんだし。お楽しみは後にとっておかないと。

さて、とりあえず岩船港の近くには瀬波温泉という温泉街があるので、僕らはそこに向かうことにした。ちょうど、日帰り温泉「龍泉」なる施設がどーんとあったので、そこにお世話になることにした。入湯料、800円也。

瀬波温泉

入り口の豪華さにちょっとびびってしまったが、中もそこそこ豪華な作り。広々としていて、気持ちいい。そして、この温泉の売りは大きな露天風呂。さあて、露天風呂に行きますか・・・

すまん。露天風呂は却下だ。しばらく浸かってみたんだけど、どうも気持ち悪い。ゴミが相当ぷかぷか浮いていて、それが気になってしょうがないのだ。しかも、どうも水道水で湯温を調整しているようで、お湯のにおいが薄い。内湯の方が濃いにおいがした。結局、内湯にとんぼ返りとなってしまった。

ただ、ここの風呂の秀逸なところは脱衣場の片隅に「人間乾燥機」が設置されていたこと。食品工場の入り口に着衣の埃を吹き飛ばす為に設置されている強風吹き出し室みたいなものだ。この中に人間が入るとびゅんびゅん風が吹いて雫を吹き飛ばしてくれる。ついつい、体はもう乾いているにもかかわらずきゃっきゃっ言いながら乾燥室に長居してしまった。

ビールの自販機

風呂から上がったところには、当然のごとくビールやジュースの自販機がおいてあるのだが、ここのビール自販機はなんと生ビール自販機だった。なんじゃ、こりゃ。

生ビールそのものを自販機で提供するってのは特に突飛な発想じゃない。しかし、よく考えてみると「ビールをじゃーっと注ぐと、泡が出てこぼれてしまうのではないか?」という大問題に気づく。これ、単純そうにみえてもの凄く大変な技術だ。大学に入ったばかりの学生は、まずサークルやら何やらのコンパで「ビールの注ぎ方」を教わるように、ものすごくベーシックかつ難易度の高い技術であると言えよう。

「よーし、見極めてやろうじゃないのそのテクニックを!」と、必要以上にやる気になって、500円投入してボタンをぽちっ。受け口にカップがぽとんと落ちてきた。ここまでは、普通のカップジュース自販機と一緒。しかし、ここからが冴えていた。カップが、ぐぐーっと斜めに持ち上げられたのだ。その角度、30度くらいか。頃合いや良し、となってからビールがちょろろろと流れ出てくる。おおお、これはまさしく普段われわれがお酌をやっているのと同じムーブメントではないか!

激しく感動しているうちに、ビール注入完了。そのでき映えは写真の通りで、見事な比率でビールと泡が形成されている。素晴らしいの一言だ。いやー、科学技術の進歩ですな。しかし、一つ苦言を言わせてもらうと、この量で500円はちょっと高すぎやしませんかねえ?

ランチ1

温泉で潮っけを抜いた僕らは、またもや岩船港鮮魚センターにやってきていた。今度は、昼ご飯を食べるために。「せっかくだから魚以外のものでも・・・」なんて3人とも考えていたんだけど、結局なんだかんだ言って魚食べることに落ち着いてしまったのだ。

ばばろあとしぶちょおは、牡蠣フライ定食を注文。

「わしら広島人は牡蠣いうたら冬、ってイメージあるじゃろ。じゃけど、日本海におる奴らに言わせると牡蠣は夏らしいんよ。」

とばばろあは力説。確かに、メニューには牡蠣フライ定食という記述の横に「夏季限定」と書かれている。牡蠣だから夏期限定なんじゃないか、という駄しゃれを口にしたかったが、あまりにレベルが低いので頭の中にとどめておくことにした。

ランチ2

僕は、名前は忘れたがえらく高い定食を食べた。下のフロアで相当安くお魚が手に入るにもかかわらず、こうやって料理に化けると結局高くなってしまうのは悲しい限りだ。料理を作る時にかかる人件費ってのが一番高くつくからなのかな。うーむ。

と、高い高いと文句いいながらも食べてしまうから、こういう「観光地物価」ってのは是正されないんだよな。高くて不満なら食べなければいい。需要と供給のバランスが崩れるから、きっと値段は安くなる。それをやらないから、値段は高値安定してしまう。そういう僕も観光地物価を下支えしている一員なんだろう。

鮭餃子

おまけとして、「鮭餃子」なるものをメニューにあったので注文。なるほど、中に鮭が入っていました。以上。

さて、今後の身の振り方を相談した結果、愛知神戸からやってきた2名の帰路も鑑みて草津温泉に行くこととなった。大移動の開始だ。

草津温泉

夕方6時前になって、ようやく草津に到着。まだ宿は確保していなかったので、街道沿いにあった「旅館案内所」にて宿の確保をお願いする。結局、時間的に夕食は宿では用意できないということだったが、朝食付き7000円で確保してもらった。

宿の入り口には、「歓迎・御得意様ご一行」と書かれた黒板がぶら下がっていた。具体的なお客様の名前が書けないということは、今日はお客が少ないのだろうか?

中に入ってみると、えらく暗い。最初は風情なのかと思っていたのだが、単に暗いだけのようだ。入り口はオートライトになっていて、入館したとき明かりが灯るのだが、それ以外のところは真っ暗に近い。おいおい、大丈夫かこの旅館。しかし、玄関には靴がそこそこ並べられていたので、宿泊客はいるようだ。

部屋に案内されてみると、既に布団が敷かれていた。ありゃ、気が早いのね。なんかこの旅館、立派な外見と中身に乖離があるような。

草津温泉湯畑

気を取り直して、われわれは浴衣に着替え、外出することにした。別に浴衣を着る必要は無かったんだけど、「やっぱり温泉街といえば浴衣でしょう!」という訳の分からない論理に基づいて、全員浴衣に丹前姿となった。しかも、はき慣れない下駄を履いて。うむ、これもまた旅情なり。

草津の街は、いかにも温泉街だった。下水道のあちこちから湯煙が吹き出ている。惜しげもなく湯が捨てられているということに他ならない。湯量の少ない温泉ではこうは行かない。

湯量豊富といえば、草津の象徴湯畑なんてその典型例だ。温泉街の中心だというのに、お湯が滝になって流れている。この草津においては、温泉なんてのはあまりにありふれた光景のようだ。多くの温泉が、山奥の源泉からパイプを引っ張ってきて大切に大切に給湯している中、この地ではかくもぜいたくにじゃーじゃー温泉が流れている。うーん、さすが草津だ。

われわれは、そのままてくてくと歩いて賽の河原にある温泉に浸かることにした。ここは、湯船がべらぼうにでかくて端から端まで軽く50mはある。小学校のプールなんてメじゃない大きさだ。湯量が豊富で、かつ湯温が高い温泉だからこそできる芸当。こりゃ、子供なんか連れてきた日には大変だろうな。大はしゃぎして、泳ぐのを「こらっ!泳いじゃ駄目でしょッ!」って注意しなくちゃいかんから。

焼肉吾妻

夕食をまだ食べていなかったので、湯畑すぐそばの焼き肉屋にお邪魔することにした。お酒の飲めないしぶちょおはカルビ定食、お酒を飲みたい僕とばばろあは焼き鳥と餃子でお酒。

焼肉を食べる

ああ、久々に食べる肉の味。しみじみとおいしかった。「久々」っていうレベルでもないんだけど、あれほど魚地獄だったのは過去例を見ないだけに、肉がほんとしみじみとうまい。肉・・・といっても、しょせんは安い焼き鳥なんだけど。ついついビールのピッチもあがってしまった。ばばろあは、どぶろくをちびりちびり。

こういう時って、豪華な料理よりもチープな料理であればあるほど、しみじみとうまい。何でだろう?普段ロクなものを食べていないから?いや、そういう卑屈な次元ではない何かが、チープな料理を欲する原因としてありそうだが・・・。多分、チープな料理を食べることによって、「よそ行きの自分」から「普段着の自分」に戻れるから、ではなかろうか。うむむ。

食事中しぶちょお

食事中おかでん

最後に、各自ビビンバもしくはクッパを食べて夕食をフィニッシュ。つい先日まで「海に行けば海のものを、山にいけば山のものを」なんて熱く語っていたというのに、なぜか草津では韓国料理を食べているという矛盾。

部屋でくつろぐ

旅館に戻ってみると、相変わらず真っ暗だった。うーん、薄気味悪い。しかも、あちこち旅館内を散策してみると、いろいろ薄気味悪い建物だった。増改築を重ねたらしく、変なところに階段があったり、人一人やっと通れるような狭い廊下が真っ暗な建物の奥に続いていて、そこにまた部屋があったり。「開かずの部屋」になっているっぽいところもあるし。

こういう宿でうろちょろしていると幽霊さんコンバンハって事になりかねないので部屋で大人しくお酒を飲むことにした。幸い、昨日買ったまま飲まれなかった「粟島」なるお酒がある。ではでは、頂きます。

結論から言うと、「粟島」はあんまり口に合わないお酒だった。地元のお酒ということ、ラベルに真鯛が描かれていて縁起が良いことから買ったのだけど、味はいまいちだったなあ。

2000年06月05日(月曜日) 3日目

朝はけだるい

朝食は朝8時からだ。昨日が朝7時だったため、えらく遅く感じる。おかげで、早起きした僕は寝ている残り二人の寝姿を激写なんてしてみたりする。

7時過ぎ、朝風呂に浸かろうと1階ロビーに降りてみたが人の気配は皆無。朝8時に朝食だったら、いい加減この時間は人の気配があっても良いはずだが。不思議だ。結局、人の気配がしだしたのは7時40分を過ぎてからだった。

僕は旅館内にある風呂に浸かったのだが、後から起きてきた残り二人は町中にある外湯に浸かりにいったらしい。あまりの熱湯で皮膚をひりひりさせながら戻ってきた。拷問を受けたあとみたいだった。温泉に行って体を悪くしちゃ、何のための温泉だかわからなくなってしまう。

8時をしばらく過ぎたところで、朝食ができたとの一報が入った。早速朝食を頂きに1階に降りたが、このときようやくこの宿に宿泊しているのは僕ら3名だけだったということに気づいた。道理で全てが薄暗かったわけだ。ということは、玄関にあった靴はここの従業員家族のものだったのか・・・。

奇しくも、2泊とも宿が貸し切り状態だったわけだ。こんなこともあるもんだな。でも、草津という温泉街に宿泊する以上、他にも宿泊客がいっぱいいてわいわいやっている方が風情があってうれしかったかな。まあ、日曜日夜宿泊だったから、観光客が少ないのは仕方がないところだが。

朝食会場

粟島の豪華朝食から一転して、本日の朝食は至ってシンプルだった。粟島での覆面座談会「こんな食事はイヤだ!」に出てきた「おざなりな温泉旅館料理」に全てが合致する内容。鮭の塩焼き、固形燃料で暖められている湯豆腐、申し訳程度の野菜。あと、ハムが数枚。いたって正調だ。

朝食中

「・・・確か、この宿って板前さんがいる、って旅館案内所のおっさんは言ってたよな」
「うん、言ってた。板前さんがいる宿だから、きっちりした料理を作るって。」
「だから、夕方ぎりぎりに到着しても食事は用意できない、って説明だったっけ」
「で、この朝食はその板前さんが作ったもの?」
「・・・・。」
「・・・・。」

まあ、こうやって文章にすると、この宿のことをめちゃめちゃけなしているようだけど、決してそういうわけじゃないです。前日の粟島と相対的に比較して、見栄えが悪かったというだけの事で、決してイタい旅館っていうわけじゃないです。これだけは強調しておきます。(さもないと、この旅行記が単なる駄目旅館糾弾企画に成り下がってしまう)

大滝乃湯

チェックアウトを済ませて、われわれは近くにある「大滝乃湯」に行った。朝風呂に浸かってからまだそれほど時間が経過しているわけじゃないんだけど、草津という温泉に来たからには体に鞭打ってお湯に浸からないと駄目でしょう。

ここの温泉の売りは、「合わせ湯」があること。湯船から壁から天井まで全て木材で作られている室内に、その「合わせ湯」がある。ここには、浄水場みたいに小さめの湯船がいくつも並んでいて、それぞれ温度が異なっている。入湯者は、まず一番ぬるい湯船に浸かってから、じょじょに熱い湯船に移動していく。一番熱い湯は、3分と居られない温度で2分も経つと指先がびりびりと熱さでしびれてくる。しかし、こういう熱い湯に浸かってこそ温泉ってのは効果がでるんじゃなかろうか、と勝手に思いこんで無理をして浸かりまくった。

結局1時間以上温泉に浸かっていたが、湯あたりしたのか逆に体調が悪くなってしまった気がする。疲れ果てて、いつもなら風呂上がりにビールでもぐいっと、という気分になるのだけど、とてもそういう気にもなれずポカリスウェットでのどを潤す始末。

草津白根山

この後、僕らは草津白根山へ。水色のキテレツな色をしたお釜を眺め、感心することしきり。

一茶庵かしはや外観

そして、そのまま万座温泉を経由して長野市街地に降り立ったわれわれは、「長野に来たからにゃそばを食べていこう」ということになり、そば屋でそばをたぐった。

このそば屋についてのコメントはまた別途「そば食い人種」の方で取り上げることにしたい。

とまあ、そんなこんなで何をしに行ったのかよくわからん「思いつき」旅行は幕を閉じた。そばを食べ終わったわれわれのうち、僕は長野新幹線で東京へ。しぶちょおとばばろあは車で名古屋へ。それぞれの帰路についた。非常に楽しかった旅行ではあったが、あまりに充実しすぎているために本番のキャンプへのモチベーションが続くかどうか、が不安ではある。なんか、粟島はもうおなかいっぱい・・・って気もするし。

さあ、本番は7月20日から23日のキャンプだ。一体今度はどんなドラマが勃発するのやら。乞うご期待!だ。

タイトルとURLをコピーしました