第三回夏季強化天幕合宿in粟島

タープ制作中

午前9時にして日差しが痛い。チリチリとしてくる。思わず、うぶ毛が発火したのではないかと腕をしげしげと眺めてしまうくらいだ。

神島、佐渡島とやってきたのでわかってはいる事象だが、それでもこれはキツい。

「ビニールシートで日差しよけを作ろう」

という話になって、即席のタープをこしらえはじめる一同。当時は「タープ」なんて言葉は知らなかったし、知っていたとしても「ブルジョアの持ち物、オートキャンパーがお気楽に使うけしからん文明の利器」という認識だっただろう。だから、あくまでもわれわれにとっては「日差し避け」なのだった。うむ、男らしい名前。

もともとは多目的用途で持ち込まれたブルーシートが日差し避けの本体となった。普段は夜、急な雨が降ったりして薪が濡れないように薪を覆うために使われているものだ。薪はノーガードになるけど、それよりも日差しを避ける場所の方が大切。

薪づくり

諦めて炎天下の中作業を進める一同。長袖を着ての作業は当たり前といえば当たり前だけど、これまで二回の離島砂浜合宿の経験のたまもの。

たくさん流木を拾ってきたはよいが、その分だけ処理する量が増えるので大変。必要以上に流木を拾ってこないことが肝心。

しかし、ナタとのこぎりは2組、合計4つある。四人が伐採作業をやっていると、今回のように6人合宿だと2人が余ってしまうのだった。・・・で、その2人がさらに流木を拾ってきて、作業がエンドレスになるという構図。なんてこったい。

ひびさんも、女性だからと優遇されることなく「一介の隊員」として作業を黙々とやっている。アワレみ隊の場合、良くも悪くも男女差別はない。それは裏を返せば「女性でも力仕事をやらにゃならん時がある」ということであり、ちょっとかわいそうな局面もある。

とはいえ、今回は人数が多いので、「その巨大な木を一人で運んできなさい」みたいな酷な話がひびさんに降って沸いてくることは無かった。

流木を持ち上げるしうめえ

で、その巨大な木がこれ。

しうめえが運搬する事を考えると無駄に高々と掲げて勝ち誇っている。

逃げ惑うアワレみ隊

「投げるぞ、うらー!」

突如現れた暴君を前に、逃げ惑う一同。

格闘!しうめえVSおかでん

そのしうめえから木を奪い取ったおかでん。するとさらにしうめえは丸太を取り出し応戦。

アワレみ隊内紛争勃発。

しばらく二人は流木を青竜刀のごとくぶんぶん振り回し、武力という名の共通言語で語りあっていた。戦争反対。

・・・という一連の写真でした。お疲れさまでしたー。

「ふー、重い」
「ひさびさにやったなあ、やらせ写真は」

集落に移動中

昼。われわれは全員で内浦集落へと向けて出発した。しばらくの間、天幕は無人でお留守番。

今回の天幕合宿は、「お昼ご飯は外食で済ませる」という話になっていたので、食事をしにでかけるのだ。もちろん、原理主義者おかでんとしては「昼も当然、テントサイトで作って食べる!苦労は厭わぬ!」という根性論を振りかざすのだが、現実問題としてものすごい灼熱の中で食事を作るのは大変な事だ。苦労は厭わぬ、といっても熱中症で人が倒れたらイヤだ。

さらに、お昼ご飯を作ろうとすると、午前中にちょっくら集落まで買いだしに行ってくらぁ・・・ということになるのもあまりおかでん的には好きではなかった。可能な限り、どっぷりと合宿会場に居座り、その間文明とは遮断した生活を送りたい。

そんなプラス要素とマイナス要素をてんびんに掛けた結果、「お昼は外食」ということにしたのだった。食事のついでに買いだしすれば、頻繁に集落に出る必要性も無くなる。

ばばろあがクーラーボックスを手にしているのは、そういうわけ。食料品をしこたま詰めて帰ろうというわけだ。

あわしま屋

お昼ご飯は「食堂あわしま屋」というところにした。内浦地区には食事ができるところが数軒しかないので、選択肢はあまりない。全部の店の外観を吟味してから、入る店を決めてもそう大変ではないコンパクトさ。

中華そばとビール

あまりに暑いので冷やし中華はじめました。たべました。やっぱり冷たいというだけでおいしさアップだね!

多分、氷の塊を与えられただけでも「うまいうまい」と言っていたに違いない。

一方割を食ったのが、いまだ粟島名物わっぱ煮を食べていない人達。このお店ではわっぱ煮定食がメニューにあるのだが、こうも暑いと食べようという気にならない。冷房が効いておらず、窓から吹き込むそよ風だけが頼りの冷気。こんな状態でぐつぐつわっぱが煮えているのを見るだけで暑苦しい。結局、一部の人は粟島に来ておきながらわっぱ煮を食べる機会なく島を去ってしまった。もったいない。

でも今考えたら、天幕食事のほうでわっぱ煮もどきを作っても良かったんだよな。そこら辺に転がっている石を洗って、薪にくべて、それを鍋に投げ込めば良いんだから。しまったな。思いつかなかったよ。

グラサンひびさん

まあ、それはともかく、確実に言える事はビール美味いのぅ、ということだ。天幕合宿やっておきながら昼から冷えた瓶ビールとはけしからん、と思うが、いやいやビールには栄養がいっぱい詰まっていてですね、夏ばて予防にとても良いんですよ先生信じてください。

マリンストアー

食事の後は、マリンストアーというお店へ。ここはJAと漁協を足して二で割ったようなところで、島では唯一、食料品購入ができるところだ。

神島に行った時は、「島の売店で俺らがあれこれ買ったら島の人に迷惑かかるんじゃないか?」という心配があり、そのために食料から酒まですべて名古屋から持ち込んだという経緯がある。しかし、このマリンストアーではそんな心配無用。品そろえはさすがに島なので制約があるものの、量は豊富にある。なにせ、この時期はキャンプ客が大勢この島にやってきている。お店もそれを見込んで、たくさん仕入れているのだった。

島の反対側、釜谷地区の人達もここに買いだしに来なくてはいけない。山一つ超えてこないといけないので、相当ヘビーだ。釜谷地区で合宿を張る人達はそれなりのエキスパートかもしれない。もしくは、船で島を半周して内浦までやってくることができるブルジョアか。

クーラーボックスを抱えて帰る

要冷蔵品はクーラーボックスの中へ、冷やさなくてよいものはめいめいが手に、と仕分け。ただ、この要冷蔵品がすこぶる重い。あまりに重く、一人で持てない。なにせ、食材を入れたあと、隙間がなくなるくらいまで氷を詰め込んでいる。クーラーボックスサイズの氷の塊を運ぼうというのと一緒だ。

あまりに重いので、ちょうどその辺に転がっていた竹の棒をクーラーボックスの取っ手にくくりつけ、お猿の駕籠屋よろしく二人がかりで運んでみることにした。これがえらく塩梅よろしく、運びやすくなった。

ただし、道行く人に「アレ何?」とくすくすと笑われたのは誤算だったが。

お手洗い

われわれの基地に戻った後は夕方の食事準備まで暇になった。薪の伐採や整理は午前中に済ませてある。

そんなわけで、おかでんが基地の周囲をご案内。えー、ここはテントが張られている砂浜から集落方向に2~3分歩いたところにあるお手洗い。水を汲むこともできる便利ステーション。テントを張る際、いくら水場があったり平らな場所があったって、トイレがないとどうにもならない。とくに女性がいる場合はなおさらだ。その点ここは完璧すぎる環境が整っていた。集落への買いだしだってものの15分もあれば行けるし。

素潜り部隊
アワレみ隊水着

せっかく目の前に海があるのだから、と全員で海水浴をすることにした。

おかでんが手にしているのは、モリ。こんなものが集落のあちこちで売られていたので、買ってみた。

普通、海辺のあちこちに「魚介類を勝手に採ってはいけません ●●漁協」なんていう看板が出ているものだ。しかし、この島にはそういう掲示が一切ないどころか、ご丁寧にモリまで売っているなんて。なんて寛容なんだ粟島の漁協は。

試しにモリを使ってみたが、確かに納得だわ。よっぽどの手練れでもない限り、このツールで大漁を狙うのは無理。だから、漁場を荒らされないためにも、素人にモリでも与えておいた方が良いのだろう。

その素人おかでんだが、わざわざ持参したシュノーケルを装着しながら悪戦苦闘、ベラを1匹捕まえるのがやっとだった。でも、捕獲したときの興奮はものすごい。釣り糸垂らして魚を釣るより、ワイルドかつエキサイティングかもしれん。

ただ、後になって困ったのがこのモリの取り扱い。家に持って帰ったとしても、二度目を使う機会があるかどうか非常に怪しい。一般的な海辺でこんなもの持っていたら、漁協の人に追いかけ回されるに違いない。

結局、新幹線に乗って帰る際、非常に邪魔だったので新潟駅のゴミ箱に捨てて帰った。新潟駅の人はびっくりししただろうな、ある意味凶器なわけであり、そんな物騒なものがゴミ箱に入っていた・・・いや、違うな、ゴミ箱に立てかけてあった!って。

シンクロナイズドアワレみ

全員でシンクロナイズドスイミング。

前にいるちぇるのぶとしぶちょおが非常にナイスフォーム。後の方になると、「やあ、元気?」みたいな感じになってしまっており、もうこれはシンクロもへったくれもない。

でもこれ、結構難しいんである。足がつかない深さの海のところで、セルフタイマーのデジカメで撮影。10秒きっちりのところで水面から飛び上がってきれいにポーズを決めないといけない。

サザエ

おかでんが見つけてきたサザエ。岩場をじっくり見ていたら、結構サザエさんはいるもんだ。とはいえ、たくさん採ってもそんなに数を食べられるものじゃない。適当なところでやめておいた。

ウニもあちこちにいたのだが、こちらは捕獲失敗。岩場の隙間にガッチリと挟まっていて、素手では捉まえることができなかった。あんな尖ったトゲだから、つつけばコロコロと転がるもんだと思っていたのに、意外。無理して引っ張ったらトゲが折れたので、諦めた。

リンボー中

即席の物干し竿。流木が豊富にあり、なおかつ長さがあるものが多かったのでこんなものも作る事ができた。

しかし、洗濯なんて天幕合宿中はしないので、「物干し」といってもあんまり干すものは無かった。せいぜい、タオルをひっかけたりする程度。

で、その結果、しぶちょおのリンボー練習器具となっていた。

調理中ばばろあ

日が傾いてきた。天幕基地は東側に向いた砂浜にあるので、日が西に傾いたら日陰がすーっと伸びてくる。ようやく快適な時間がやってくる。とはいえ、吹いてくる風は海の湿気を存分に含んだものであり、あまり快適とはいえない。天幕合宿二日目、この頃になると全員潮のせいで体がべたべたになってきている。

夕食の準備に取りかかるばばろあ。今日はカレーライスだ。カレーライスなんて小学校の林間学校じゃないんだからやってられっかよ、ケッ、と言いたいところだが、いやいや、こういう制約の多い場所においてなんと便利な料理であることよ。「カレーにはレタスが必須です」とか言われたら非常に困るが、必要な野菜はニンジンやジャガイモ、玉葱と腐る心配があまりないものばかり。少々雑に扱っても傷まないし、野外料理食材の王様やでほんま。

では肉はどうするの、というと、ばばろあは巨大なポークランチョンミートを買っていた。バケツプリンのミニ版とでもいおうか、相当でかい。写真が、まさにそのミートをさばこうとしているところ。

肉はマリンストアーで買えば良かったのだが、前回下見に訪れた時にマリンストアーが閉店していたか何かでチェックできていなかったので、持参となっている。

さざえとカレー

本日の夕食。カレーライスと、おかでん捕獲のさざえ、ベラ。さらになぜか椎茸。

炭火ではなく直火で炙っているので注意。うっかりすると、「炙る」ではなく「燃える」になる。

食事

夕食を食べる一同。というか、ビール飲んでる一同。クーラーボックスの威力に、マリンストアーという物資補給基地が交差した結果、冷たく冷えたビール(日本語が変)にありつくことができるとは。ビールはただでさえ美味い飲み物だが、キャンプというシチュエーション、夕方、暑い、砂浜、仲間、という要素が加わることで通常の数倍は美味いものになるのだった。

飯ごうは1つが4合炊き。2つあるので、合計8合炊くことができる。しかし、今日はご飯消費量がMAXにふくれあがるカレーが相手だ。ちょっとご飯が足りなくなってしまった。まだまだ20代後半のお年頃、食べたい盛りだ。

「でも、それがいい!」

おかでんはこれぞ幸い、とばかりにカレールウでビールを飲んでいた。うむ、うまいなあ。

踊るアワレみ隊

二日目夜、満を持してのたき火大会。

何せ、燃やす素材はいくらでもある。しかも、巨大なものが。燃やし甲斐があるが、さすがに大きな木に火が移るまで相当時間がかかり、一同をじれさせた。

いったん燃えるとあとはもう自然にお任せ。燃えろ燃えろ。林間学校で見た、巨大なキャンプファイヤーに匹敵するくらいの炎が立ち上り、一同興奮するとともに若干畏敬の念すら抱いた。「ああ、山火事ってこんな感じなんだな」みたいな。

ランタンに群がる虫

ふとランタンをみると、びっしりとふなむしが殺到していてびっくり!

写真でも分かるだろうか、ランタンの周囲の茶色いのはすべてふなむし。

「うわあ」

思わず声をあげてしまう。

「ふなむしもキャンプファイヤーを楽しんでいるんだなあ」

誰がうまいことを言えと。

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