2000年09月15日(金) 3日目
[行程]
09:00知床第一ホテル→10:00薬局→11:15摩周湖→11:55硫黄岳→12:40コタン温泉→13:10砂場(昼食)→14:10美幌峠→15:10双湖台→15:40阿寒湖畔温泉→16:30アイヌコタン→17:05阿寒の森ホテル花ゆう香(泊)

コダマ「おっ、今日はちょっと良くなったんじゃないの?食べられるようになったじゃん」
おかでん「普段の僕からしてみりゃ、こんなの前菜だよ」
コダマ「だよなあ、おかゆなんて食べているんだもんな、やっぱらしくないよ」
おかでん「違った意味でバイキング形式のレストランで良かったよ。普段だったら『好きなものを好きなだけ食べまくる』なのに、今回だけは『食べられそうなものをごくごく少量だけつまむ』だもんな」
ちなみに、写真では分かりにくいので料理を説明すると、トマトジュースから時計回りにコンソメスープ、温泉玉子、キャベツの千切り、スクランブルエッグとウィンナ、おかゆ、大根下ろし。見た目、皿数が多いのでたくさん食べているようだけど中身は大したことない。

コダマ「あー、朝飯もうまいなあ」
おかでん「旅館の朝飯。本当は優雅な時間なんだよな。でも・・・」
あとはひたすら、恨み節。
コダマ「日頃の行いの善し悪しがこういうときに如実に出るよな」
おかでん「ちぇっ、返す言葉がないよ、まったく」

ホテルの部屋から臨む、ウトロの街。
おかでん「相変わらず天気悪いぞ」
コダマ「本当だったらオホーツク海がばーんと見えるはずなんだけどな」
おかでん「どこまでが空でどこまでが海だかわからんね、これだと」
コダマ「今日はせっかく一日、観光に充てるのに残念だなあ・・・」

おかでん「うむ。初日来た道を戻る」
コダマ「ひたすらまっすぐだな、相変わらず」
おかでん「しかし、天気が悪いと北海道もつまらんもんだ」
コダマ「だなあ。行きの時は晴れていたから、遠くに斜里岳が見えて、その風景が徐々に近づいてくる・・・っていかにも北海道な雄大さがあったんだけど」
おかでん「雨が降ってしまうと、単調なまっすぐな道、以上、って感じ」
コダマ「観光ガイドが全部晴天の時の写真だもんな、印象が違いすぎるよ」
でも、道が単調なのに反発したのか、おかでんは体調が急変。前日までの極度の便秘状態から、一気に極度の下痢状態になってしまったのであった。
おかでん「と、と、と、とりあえず薬局だ!観光もいいけど、とりあえず薬局で胃薬と正露丸!」
結局、斜里の薬局に立ち寄り。

摩周湖第一展望台着。
おかでん「おっ、何とか見えた。途中が霧だったから、見えないかと思った」
コダマ「うーん、確かに神秘的だなあ、神の湖ってのもわかるな」
おかでん「それにしても雲が近い、水面のすぐ上に雲があるような印象があるな」

おかでん「記念写真撮っておこう」
かしゃ。
おかでん「・・・って、おいコダマ青年、傘さしているからバックが全然写っていないではないか」
コダマ「あら、ホントだ。これでは何のための記念撮影だかわからんな、どうする?撮り直す?」
おかでん「まあいいや、摩周湖の看板が写っているから」
コダマ「こんなものいくらでも偽造できるぞ」
おかでん「そんなことやっても空しいだけだろうが」
コダマ「ま、確かに・・・」
この数分後、ふうっと雲が舞い降りてきて、摩周湖は完全にホワイトアウトしてしまった。われわれは運が良かったのかもしれない。

硫黄山。今でも無数の噴気孔から煙を上げている活火山だ。
コダマ「はーっ!来る途中から硫黄臭いと思ったら、こらまた豪快に噴いてますな」
おかでん「柵とか何もないのだな、ってことは人間温泉玉子とかできるのだろうか」
コダマ「おっ、温泉玉子売りがいるぞ。買う?」
おかでん「やめとく。温泉玉子とか硫黄とか、臭うだけで気持ち悪いや」

コダマ「ホントに噴気孔のすぐ横にまで来られるんだな」
おかでん「熱くないのか?」
コダマ「いや、そんなに熱くない。ほら、手をかざしても・・・あちッ」
おかでん「おお、ベタな展開」
この後、コダマ青年は温泉玉子売りから玉子を買い、おかでんはトイレへ。
おかでん「お待たせ、悪いねえ毎回毎回」
コダマ「観光地に着くたびだもんな」
おかでん「ああっ、これじゃ観光で北海道に来た!というよりもトイレを視察しに来たみたいではないか!」
コダマ「後に残る思い出はトイレの事ばっか、とか」
おかでん「トイレにスタンプカードとかあったら、すぐに欄がいっぱいになるぞ、絶対。何しに来てるんだろうな、全く」

屈斜路湖畔にある、コタン温泉。
コダマ「おおおっ、本当に湖に面しているぞ」
おかでん「すごいな、どっちが湖でどっちが温泉だかわからんぞキミイ!」
コダマ「明らかに分かるだろうが」

コダマ「どうやら、建前上は男湯と女湯を分けているらしいな」
おかでん「このデカい岩で、か?ついたての役にもたってないじゃないか、大体脱衣所が野ざらしだし。」
コダマ「まあ、最低限の仕切りはしましたという事なんだろう」
おかでん「うーん、欲情した男どもがどどどっと女湯に雪崩れ込まないようにするくらいの効き目はあるかもしれないけど・・・」
コダマ「さっき、夫婦でこの風呂見に来ていたのが居たけど、諦めて帰っていってたぜ。そりゃそうだよなあ、これじゃあ」
おかでん「ああ、男に産まれてきて良かった!って思うのが、こういう温泉だよなあ」
ちなみにこの温泉、見晴らしはいいし旅の土産話には最適な場所ではあるんだけど・・・いかんせん、湯がぬるい。温泉そのものとしてはちょっと物足りない場所ではあるよ。

とりあえず昼飯を求めに、屈斜路湖畔をさまよっていて砂湯なる場所に到着。
おかでん「知らない人がこの写真を見たら、奥の島は対岸に見えるだろうな」
コダマ「手こぎボート借りて、軽い気持ちで島一周して戻ってこようとしたらえらい目に遭いそうだな」
記念撮影してから、すぐそばの土産物屋に併設されたレストランでお昼ご飯を食べることにした。
コダマ「サッポロクラシックの樽生ってのぼりがさっきから気になってるんだけど・・・どうしようかなあ」
おかでん「うぐぅ、ビール飲めない。どうぞお好きなようにやってください、僕は横で見てます」

店員「はい、クッシーラーメンお待たせしました」
おかでん「・・・?」
コダマ「これがクッシーラーメンか」
おかでん「あのすいません、クッシーラーメンってくっしーの肉が入っているワケじゃないんですか」
店員「ははは、違います、クッシーをかたどった、その緑のヤツが入っているからクッシーラーメンなんです」
おかでん「おいコダマ青年聞いたか。チャーシューメンはチャーシューが入っているからチャーシューメンなわけで、ワンタンメンはワンタンが入っているからこそ、だ。で、何でクッシーラーメンはクッシーが入っておらんのだ。詐欺ではないのか」
コダマ「幻の恐竜がこんなところで食用にされていたらまずいだろー」
おかでん「まあな、それはそれで非常に胡散臭いし・・・」
結局、おかでんはこのラーメンを1/3程度しか食べられなかったが、それは体調が悪いからであって決してクッシー肉が食べられなくて失望したからではない。

美幌峠到着。
おかでん「ぎゃー。予想した通りだけど、やっぱり霧の中だ」
コダマ「何も見えないなあ。とりあえず、展望台に行って来るけどおかでんは?行く?」
おかでん「トイレ行って来る。どうせ展望台に行っても何も見えないだろうし・・・」
(数分後)
コダマ「見てきた」
おかでん「どうだった?」
コダマ「心の目で屈斜路湖を見てきたよ、多分あそこら辺にあるんだろうなあって。まあ、美幌峠に来たという事実が重要なワケで」
おかでん「見えるか見えないかは二の次、というわけね」

阿寒湖の東側に、パンケトーとペンケトーという二つの小さな湖がある。その両方を一度にゲットできるナイスな観光ポイントが、この双湖台なのである。
おかでん「・・・といっても、やっぱり霧が邪魔してら」
コダマ「パンケトーしか見えないじゃん」
おかでん「看板に偽り有りだな、かたっぽだけじゃあなあ」
コダマ「ところで、パンケトーとペンケトーってどういう意味だ?」
おかでん「男と女って意味だろ、多分」
コダマ「おい、それってオシンコシンの滝の時も同じ事言ってなかったか?」
おかでん「あれっ。ええと、アイヌでもいろいろ方言があって、言い方が微妙に違うんだよ多分」
コダマ「苦しいな、言い訳が」

阿寒湖畔にあるアイヌコタン。
コダマ「あれっ、土産物屋じゃんこれーッ」
おかでん「観光俗化著しいな」
コダマ「確かおかでんのガイドブック、北海道で一番大きなアイヌの集落だ、って書いてあったよな」
おかでん「これはちょっと予想外だったぞ」
コダマ「おい、店の前に酋長見たいな格好した人が立ってる!」
おかでん「すごい、これがアイヌなのか。でも、どこまでが観光客相手でどこまでが日常なのかわからん」
コダマ「あんな格好してるんだから、観光客相手に決まってるだろ」

おかでん「木彫りだらけだな」
コダマ「お土産にちょうど良い木彫りがいっぱいあるよ」
おかでん「うーん、確かに置物とかキーホルダーとかいろいろあるんだよなあ、ついつい買ってしまいたくなるのが。でも、家に持って帰ってどうするの、って感じではある」
コダマ「俺はいくつか買って帰るよ、お土産にする」
おかでん「もらう人がいるってのはいいことだよ。ウチなんて、何かにつけて旅行のお土産がキーホルダーなもんだから、もうこれ以上あっても邪魔なだけなんだよなぁ」
そんな事を言いながらアイヌコタンを歩いていると、なにやらべぃんぼょんと怪しげな音が。近づいてみると、なにやら木の板を口にくわえてはじいている人がいる。アイヌの口琴、ムックリらしい。
おかでん「へぇーっ、シンプルだけど面白そうだなあ」
店員「これはネ、世界大会が開かれるくらいすごい楽器なんだから」
コダマ「えッ、世界大会、ですか?」
店員「(誇らしげに)ああ、世界から口琴ひく人が集まって世界大会やってるんだから。お兄さんたちもどうだい?」
おかでん「うーん、世界大会、目指してみようかな・・・」
結局、ムックリ(大)を購入。600円也。

コダマ「さすがに摩周湖と違ってガスってないな」
おかでん「ホントのホントの湖畔だからな」
コダマ「じゃ、ここでも記念撮影を」
おかでん「おお、いかにも観光旅行!って写真に仕上がった」

本日のお宿、「阿寒の宿花ゆう香」。女性を意識した宿らしく、野郎二人だとちょっとだけ恥ずかしい。
チェックインカウンターの横には、ウェディングドレスが何着も飾ってある。試着して写真撮影ができるらしい。
おかでん「うーん、何か凄いところに来てしまったな」
コダマ「ウェルカムドリンクでコーヒーが出るってのも昨日の宿とはひと味もふた味も違う」
おかでん「くくく、こういう接待に慣れていないから、どうも間が持たないや、早く飲み終わって部屋に行こう」
ちなみに1階のラウンジを「春のベンチ」といい、2階には何とコスメティックルーム「恋のおとずれ」がある。他にも、夜食コーナー「しゃれっ気」、併設お土産屋「ハートの贈り物」と、まあすごいんである。声にすると、こっちが照れてしまいそうだ。
あと、全部屋ウォッシュレット付きとかミル付きコーヒーメーカー完備とか、もう細かいところに気配りがされた宿なんである。すごい。

夕食。今晩もバイキング形式なんである。レストランの名前は「森のレストラン・ハーモニー」だったりする。
ここでは、ホテルとしては珍しくフリードリンクチケットがある。60分限定だけど、1000円の破格値でソフトドリンク、お酒共にフリーとなる。
コダマ「まあ、でもおかでん体調悪い事だし、やめとくか」
おかでん「いや、遠慮されるとこっちも気後れするんで、飲んでくれ。お金はその分ちゃんと出すから」
コダマ「そうか、悪いね・・・」
おかでん「うう、これ以上はもう無理」
コダマ「うわっ、病院食じゃねーかこれっ。何?茶碗蒸しにスープにカレーのルーだけにワカメサラダをほんの少し。信じられんな」

コダマ「昨日よりも品数は少ないけど、料理の質ははるかにいいよ」
おかでん「あ、そうなの?」
コダマ「十勝牛ステーキがうめぇ!」
おかでん「そりゃうらやましい限り」
コダマ「もういっぱいビールをもらってこよう、時間もあんまり無いことだし」
おかでん「じゃ、僕は烏龍茶お代わり」

部屋に戻ると、ちょうどシドニーオリンピックの開会式を放送していた。ぼんやりとテレビを眺める。
途中、日本選手団の登場で謎のマント姿を見て「なんじゃそらーっ」と二人とも叫んでしまった。
おかでん「ああ、こんな格好をさせられるとは選手達は夢にも思っていなかっただろうに。おいたわしゅうございます・・・」

おかでん「どうだ、ムックリ、うまくなっただろう。べぃんぼよん。世界大会に出られそうになっただろ。ぼわんぺろん」
コダマ「さっき練習始めたばっかだろ。それで世界大会に出られるんだとしたらえらくレベルが低い大会だな」
おかでん「うーん!どんな音が鳴れば良いのか悪いのかさえ、わからん。奥が深いんだか浅いんだか・・・」

このホテルには、レストラン以外でもフリードリンク制がある。これは、チェックインから夜の11時までの間飲み放題1000円なのだ。1階ラウンジ、2階夜食コーナーで使うことが可能。驚き以外の何物でもない。(レストランのフリードリンクとは別)
当然われわれはフリードリンク券を用意し、1階ラウンジに突撃なのであった。
おかでん「しかし、剛気だよな」
コダマ「やっぱり女性をメインターゲットにした宿だからできるんだろうな」
おかでん「だろうな、でないと、チェックイン早々からお酒飲んでへべれけになる親父がいっぱい出てくる」
コダマ「しかも、1000円だぜ?普通、元は取れないよな」
おかでん「宿泊してもらえればいい、という考えなんだろうね、フリードリンクでもうけようなんてとてもじゃないけどできるわけがない」
店員「お待たせしました、ご注文はおきまりでしょうか」
コダマ「あ、僕はジントニックで」
おかでん「僕は生ビール・・・半分だけ注いでください」
店員「はい?すいません何ですか?」
おかでん「グラスの半分だけ、生ビールを注いで欲しいんですよ」
店員「はあ・・・それでよろしければ。かしこまりました」
コダマ「おい、今の店員一瞬理解できてなかったぞ」
おかでん「前代未聞だろうな、生ビールをグラス半分、なんて」
コダマ「普通、なんだこのジョッキは量が少ないぞ、って量をもっと増やせという要望はあるんだろうけど」
(お酒を前にしばし談笑)
コダマ「もう一杯ジントニックお願いします」
おかでん「えー、僕は・・・ココアで」
コダマ「ココア!驚いたねえ、おかでん!何てオーダーするんだ!」
おかでん「いやもう、アルコールはいいやと。甘くて体を包み込んでくれるようなドリンクが欲しくなって」
コダマ「君はそれでいいのか、そんな後ろ向きな姿勢で良いのか!?」
おかでん「うう、責めないでくれぇ、こっちも飲めるものなら飲みたいんだから」
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