天丼一杯六万円也【仙台旅行】

2005年03月19日(土)

カーナビ画面

この旅行の模様は、「美貌の盛り」「蕎麦喰い人種行動観察」の両コーナーで既に取り上げられている。今回は、その仙台一泊二日ぶらり一人旅の模様を簡単に紹介しようと思う。

今更そんな「行間」部分を記事にするこたぁ無いよなあ、と思うのだが、この「へべれけ紀行」トップページに、既にナンバリングされた状態で「近日公開」扱いの記述があったので、まぁお気楽に当時の模様をつづることにする。

なぜ仙台までこの日わざわざ出かけようと思ったのかは、「美貌の盛り」「大漁」の回に詳しい。今回の目的は3つあって、

(1)松島にある「大漁」というお店で美貌の天丼を食らう。
(2)仙台市街にある「元祖炉ばた」というお店で一献傾ける。
(3)福島県の大内宿名物である「ねぎを箸がわりにして食べる蕎麦」を体験してみる。

であった。まずは、一路松島に向かう。

松島

途中、大絶賛スピード違反中の某県警覆面パトに呼び止められ、スピード違反のきっぷを切られた。食わせ物の警察官と30分近くやりあったが、全く話がかみ合わず、こちらがバカ負けしてしまい大笑いして記名捺印してきた。あまりに頭が悪い(ふりをして、こっちの話をはぐらかす)態度は、さすがとしか言いようがない。高級テクニックと言えるが、警察不信を招くからああいうのはやめた方が良いと思う。3点の違反で、青色の切符を25,000円の振り込み用紙とセットで頂戴した。いやー、良いお土産ができました。ちぇっ。

もやもやした気分のまま、松島に到着。片道9,000円近い交通費。ガス代も入れると、既にここまでくるのに4万円近い出費をしたことになる。すげー。俺すげー。その目的が「単に天丼を食べたかったから」っていうのがもっとすげー。

ただし、ここで言う「すげー」というのは「すげー馬鹿」の略だが。

松島ビューホテルの看板

路上にあった松島ビューホテルの看板。

仲居さんと思われる女性の絵が、非常に気持ち悪くてびびる。

色あせた看板も相まって、何だかお化け屋敷の案内みたいだ。新しい看板を作った方が良いと思いますが、どうか。恐らく、フォントや文体からして20年以上前のものと推測されるが・・・。

大漁外観

「大漁」に到着。

ここで、遅くなった昼食を16時過ぎに頂く。

本来この時間は営業時間外らしいのだが、外に「営業中」の看板が出ていたので中に入ってしまった。

店主さんは良い人で、「えっ、営業中になってましたか」と驚いた後、観念して「じゃあどうぞ」と僕を中に導き入れてくれた。

天丼(小)・・・。

そして食べた天丼(小)。840円也。

詳細は「美貌の盛り」「大漁」を参照。

つかの間の大満足。

秋保温泉共同浴場

松島海岸を満喫したことがなかったので、せっかくなので楽しもうと思っていたのだが、16時を過ぎれば見どころとなる場所はすでに営業終了しているところが多かった。諦めて、仙台市に戻る。

天丼を食べるためだけに松島にやってきて、そのまま帰る。んー、無駄だ。

何しろ思い立ったのが前日のこと。入念に周囲の見どころなどは調べて居なかった。事前に調べておけば、いろいろ行くところがあったんだろうが。

結局仙台市街を素通りし、以前「奥州三大名湯巡り」の時に訪問した秋保温泉の共同浴場に出かけた。

いつ行っても混んでいるイメージがある。地元民に愛されているのだろう。今回も熱めのお湯を満喫。

仙台ヒルサイドアウトレット

特に後は何もアイディアが無かったので、本日のお宿に向かうことにした。

市街に向かう途中、新興団地の横を通ったのだが、何だかえらく立派な建物が並んでいる。茶色い建物は、さながら北海道のスキーリゾート地のようだ。

カーナビによると、錦ヶ丘という団地だった。

リゾート施設のように見えるのは、「仙台ヒルサイドアウトレット」という商業施設であることが判明。

ホテルレオパレス仙台の館内

この日宿泊先に選んだのは、仙台市街にある「ホテルレオパレス仙台」。レオパレス21が運営するホテルだ。

レオパレス?あそこって、賃貸マンション運営じゃなかったっけ?と不思議に思ったので、泊まってみることにした。

ホテルに到着してみると、「レオパレス21」という電飾が建物の上で光っていた。そして、ガラス張りの1階には・・・あれれ、ホテルのフロントじゃなくて、なにやらレオパレスの営業所があるんですけど。

不思議不思議、と思って建物に入ってみたら、右半分がレオパレス21仙台支社、左半分がホテルフロントになっていた。なるほど。ホテルの一角を自社オフィスとして利用するとは斬新なり。

驚いたのは、自分の部屋があるフロアにエレベータで降り立った時。

ん?えらく殺風景だが、何だ。エレベータホール左側はなにやら自動ドアが閉まっている。右側は・・・あ、ドアが少し開いてる。あそこが客室かな?

空いているドアから中をのぞき込んだらびっくりした。わ、完璧にオフィスじゃないですかここは。

このフロアも、正面から右側がレオパレス21のオフィスなのだった。

あれっ、あれれれっ。

客室棟と書かれた自動ドア

足を踏み入れかかっていたオフィスからあわてて退出し、閉まっている自動ドアの方に向かう。

あー、自動ドアをよく見ると「客室棟」と書かれているぞ。この奥がホテルになるのか。ちょっとわかりにくい。

フロア案内図

フロア案内図を確認すると、確かにそのとおり。

エレベータホール右手がオフィス、左側がみっちりとシングルの客室が並んでいる。面白い作りだなぁ。

それにしてもこのフロア案内図を見ると、素晴らしく客室が狭く見えるんですが、これは図の縮尺の問題でしょうか?

客室棟の廊下

自動ドアを抜け、直角に曲がるとそこは確かに客室棟だった。

レオパレスの仙台支社で働いている人、残業で終電を逃してもこれで安心。そのままオフィスから歩いて0分のところにホテルがある。仮眠施設、なんてケチくさいことは言わない、どうぞホテルの一室に泊まっていってくれ、という感じだ。

・・・そのかわり、死ぬまで働け、なんてことになりそうでイヤだが。実際のところどうなんだろう?

シングルルームは足の踏み場がないくらい狭い

部屋の中に入る。

おおう、狭い。フロアガイドで感じた「あれ、部屋が狭いんじゃないか?」という印象は実物を見てなるほど納得した。非常に狭い。

ドアから入って、向かい側の窓までの距離、約3m。その間にバスルームがあるため、縦置きでベッドを置くことができない。その結果、こんな変な作りの部屋になっていた。

ベッドの奥に、机と椅子。

椅子に座ろうと思うと、ベッドと冷蔵庫の隙間わずか数十センチのところを、体を横に向けつつすり抜けないといけない。最大限床面積を有効活用しました、という感じだ。

1階フロントでLANケーブルを借りてくれば、持参PCで無料でインターネット接続が可能。椅子も、この手のホテルにしては良いものだ。カンヅメになって原稿を書いたりするには良いかもしれない。体操するようなスペースすら確保されていないので、原稿執筆に集中できそうだ。

ビデオオンデマンドの案内

いや、待て。

何か卓上にガイドブックが置いてあるぞ。何だこれは。

ぺらぺらめくってみる。CS放送の番組ガイドのように見えるそれは、よく見ると館内放送のガイドだった。このホテル、ビデオオンデマンド方式で、たくさんの映像を提供しているのであった。しかも、3本までは無料で見る事ができる、というのだから驚きだ。

ビデオオンデマンドなので、早送り・巻き戻し・一時停止などは自由自在。

おおお。日頃、ビジネスホテルの有料放送(いわゆるアダルトチャンネル)にご不満の貴方、そうそこの貴方です、朗報ですよ。余計なシーンは早送りできるとは!

LEO-NETの起動画面

映像コンテンツは色とりどり。正確な数は覚えていないが、100種類以上あったんじゃないか。ハリーポッターのような人気映画から、アニメ、スポーツ、ドラマなど。よくもまあこれだけそろえたもんだ。しかも、2カ月おきにコンテンツを入れ替えているようだ。

早速テレビを起動してみる。

お。

なにやら起動画面が出てきた。

Windows OSで動くSTB

このシステムの起動が遅いったらありゃしない。

故障かと思ったくらい、ずっと同じ画面が表示された。

一体なんなのよ、と思っていたら、テレビの下にセットトップボックスを発見。ははーん、これがLEO-NETの正体だな。

見ると、ウィンドウズのロゴがプリントされていた。

こんなところにもウィンドウズが。

要するに、これも一種のPCというわけだ。だから早送り巻き戻しが自由自在なのだな。

仙台のフリーペーパーを眺める

さて、日暮れと共にチェックインしたのは良いのだが、その後が続かない。本来であれば、「仙台の美味美食を満喫!」と勢い込むはずなのだが、どうにもおなかが空いてこないのだ。これは不思議だ。

いや、不思議なもんか。16時にあんな天丼を食べておきながら、19時くらいにさぁ夕食ですよ、と言われて満面の笑みを浮かべるのは無理だ。まだ胃袋の中に、先ほど食べたあれやこれやが残っている感じ。残尿感ならぬ残食感。

しゃーないので、しばらくLEO-NETのお世話になることにした。映画を一本、観る。

そうはいっても、今晩訪問すべきお店情報はきっちりと把握しておかないと。映画をみつつ、お店探しも同時並行で開始した。室内には仙台の情報誌が置いてあったので、それを参考にする。

「グルメ発祥物語」という特集ページ。そうそう、まさにこういう情報が欲しいのだよキミィ。

トップにて紹介されたのが、ご存じ牛たん。味太助が紹介されていた。定番中の定番ですな。うまそう。ビールを飲みつつ牛たん、たまりませんな。営業時間は・・・11:30~21:30LO?あれ、あんまり時間がない。胃袋が空くまで待っていたら、閉店しちゃうぞ。

焼き肉=深夜営業 というイメージがあるのだが、さすがに牛たん屋は焼肉屋と違った。早い時間で閉店になるようだ。

元祖炉ばた

いや待て、仙台といえば牛たんが有名だが、今回はもう一つれっきとした目的地がある。それは、「元祖炉ばた」というお店に行くことだ。

はっきりいって、昼間食べた天丼はオマケと言って良い。あれだけでは宮城県まで出かけようとは思わなかった。実は、以前から仙台市にある「元祖炉ばた」というお店に行きたくてしょうがなかったのだった。今回、天丼という口実ができたことにより、ようやくそのお店に行くことができるようになったのだ。今日行かないでいつ行くというのか?

「元祖炉ばた」は、その名の通り炉ばたの発祥地だという。釧路も炉ばたの名所らしいのだが、もともとの元祖はここ仙台、「元祖」の名のとおり「炉ばた」だという。

囲炉裏を囲むかたちでカウンター席があるお店。木造のレトロな内装。お酒は囲炉裏でお燗にしてくれて、徳利は巨大しゃもじのようなものでほいっと囲炉裏からおかみさんが席まで差し出してくれる・・・。そんな、お店。

東北の観光ガイド本 「クチコミじゃらん東北」という本を僕は所有しているのだが、その表紙がこの「元祖炉ばた」の店内だった。レトロな内装の中、おかみさんがちょうどお燗をつけている写真だった。これが非常に印象的で、以来、僕にとっては「東北のイメージ=元祖炉ばた」になったくらいだ。

この映画のセットみたいな店内で一献傾けたい!

そんな欲望をずっと持ち続けてきた。それが、今日達成できる。楽しみだ。

・・・とはいっても、おなかが空かないんだよなぁ。

元祖炉ばたの看板

結局、21時近くまでホテルの部屋で映画を観たりPCをいじったりしてから、夜の街に繰り出した。仙台の繁華街は国分町。ホテルから徒歩7-8分程度のところだ。

21時過ぎだと、ちょうど18時19時ころから始まった宴会を終えた人たちが道路にはいっぱいたむろしていた。その人たちを巧みにかき分け、元祖炉ばたを探す。

おっ、あったあった。

元祖炉ばた入り口

あまり目立たないところに元祖炉ばたはあった。狭い入り口。通りすがりにひょい、と入店しようとは思わない。旅をするとき事前学習をするってことは重要だよなあ、と改めて感じた。

僕のイメージとしては、外観はなまこ壁の蔵づくりだったり、藁葺きの家だったりするのではないかと勝手に想像していたのだが、実際はビルの一角、奥まったところに位置していた。

この暖簾をくぐると、写真でみたお店があるというのか・・・?

がらがら

意を決して扉を開ける。

おや?扉を開けたら、二三歩先に障子が。障子が、店内を覆い包むように取り囲んでいて、周囲は廊下のようになっている。一瞬面食らったが、障子の向こうから僕の来店を察知したおかみさんの「いらっしゃいませー」の声が。障子を開けてみると、障子のすぐ前がカウンター席になっていた。

すなわちこのお店、カウンター席の背後は障子になっていて、例えば席を移動したり、お手洗いに行こうとすると障子を開けていったん客室から出ることになる。変わったつくりだ。

元祖炉ばたの店内

店内の様子。

非常に味わいがある。

客席数は全部で20席もないくらいだ。こじんまりとしたお店。カウンターオンリーの構成になっていて、全員がおかみさんが座る炉の方向を向くことになる。劇場型店舗といえる。

「炉ばた焼きのお店」というのがあるが、あれは炉であぶってくれる野菜や肴が供されるスタイルだ。しかしこのお店においては、そういう「炉ばた焼き」ではない。あくまでも、炉を取り囲むだけのお店だ。店内の中心にいるおかみさんは、オーダーを厨房に取り次ぐのと、お酒に燗をつけるのと、話相手になるのと、お会計をするという行為にとどまる。

壁一面のお品書き

壁一面に張り出されたお品書き。

「行者にんにく」「山うど」「とんぶり」などと渋いメニューが並ぶ。

「かき鍋」「どぜう鍋」などの鍋メニューも存在するようだ。

天井からは、金魚ねぶたがぶら下がっている。部屋の片隅には、神棚があってしめ縄が掲げられている。360度全てが物珍しい。「へぇー」の連発だ。

写真を撮りまくりたい衝動に駆られたが、この狭い店内のこと。あまりパシャパシャやっているのは非常にみっともないし、他のお客さんの迷惑だ。最低限のものに留め、あとはぐっと我慢した。

コの字型カウンターは、中心のおかみさんをじっと眺めるシチュエーションでもあるが、お客さん同士を眺めるシチュエーションでもある。このお店の場合、泥酔客が混じるとか躾がなっていない人が席にいると店全体が不愉快な雰囲気になるだろう。

スターターキット

あれもこれも頼んでみたいところだが、このお店の場合お通しがどん、と出てくる。正確には覚えていないが、確か突き出しだけで1,200円くらいしたはずだ。高い!と思うが、これが大変よくできた突き出しで、食べてみると納得、大満足だ。「高い」という前言撤回。

お通しは3品。それにお酒の杯が添えられている。この突き出しだけでお酒を飲んですいっと帰るお客さんも中にはいた。とてもスマートな飲み方だと思う。

この日のお通しは、麩、山芋、何かのお浸し。

お酒はどうしようかな。麦酒っていうのも風情がないから、やっぱりおかみさんにお酒を出してもらいたいな。ええと、このお酒ください。

メニューを眺めながら清酒を注文。・・・すると、女中さんが奥の厨房から瓶入りの冷酒を持ってきた。あらら、失敗。そうか、メニューに銘柄が記載されているような生酒を頼んでしまうとダメなんだな。今更ひっこめてもらうわけにはいかないので、小瓶のお酒をぐいぐいあけた。

その後、改めておかみさんに「お酒を。お燗にして」と注文。これでようやく希望通りのオーダーになった。おかみさんは、自らの傍らにある瓶のフタを取り、大降りな徳利を引き寄せ、徳利にろうとをつっこんでからひしゃくでお酒を注ぎ込んだ。その後、炉に設置されている魚雷発射装置みたいなところに、徳利を沈めて待つことしばし。これでお燗のできあがりだ。炉ばた焼き屋では定番である巨大しゃもじみたいなやつで、「はいどうぞ」とこちらに徳利をよこしてきた。おかみさん座ったまま一歩も動かず、慌てず全てのオペレーションが完結。なるほどよくできているもんだ。

狭い店内、いつの間にかお客さんたちと仲良くなってしまい、おかみさんも交えていろいろ話をした。楽しい一時だった。「仙台に天丼を食べに来た、だって?アンタ馬鹿だな」と大笑いされてしまったが。

手羽一郎

閉店時間が迫っていたので、適当なところでお暇した。

とはいっても、ちょっと小腹が空いているのも事実。さて、どうしたものか。

ああそうだ、牛タンを食べることができたらいいなあ・・・。と、仙台の街をあてもなく歩く。

途中、「手羽一郎」という手羽先屋を発見。何だか妙におもしろかったので写真を一枚。

警察が取締中

道をうろついていたら、警察がなにやら取り締まりをしていた。

つい数時間前に納得いかない形で取り締まられたばかりなので、非常に不愉快な光景だった。

「ちぇっ、気分が悪い。やっぱりもう一軒行って、がばりんちょと食べて飲んないと今日という日を締めくくることができぬ!」

なんか都合の良い理由を作っただけのような気がするが。

うっかり一風堂に入ってしまった

だからといってこのお店はないだろう、このお店は。

チェーン展開しているお店だし、そもそも博多ラーメンではないか。

いや、でも「お酒を飲んだら無性にラーメンが恋しくなる」というのは、これ真実だねぇ。身をもって体感中。「待て、博多ラーメンだけはやめとけ」と軽く酔っぱらった頭の中では警鐘を鳴らしていたのだが、でも看板を見たらもう我慢できんかった。

「元祖炉ばた」を出たあとは、「なんか決定打に欠けるんだよな」とか「あれっ、もう閉店しちゃったの」というお店ばかりをうろうろしており、ようやく「おとなしくホテルに戻ろう」とあきらめをつけたばっかりだったんだが・・・。ホテルに帰る途中、こんなのを見つけちゃったから、「それで良いのかお前は」という無念さも相まって、つい。信じてください刑事さん。

二軒目で餃子とビール

で、こんなありさまに。

仙台に来て、一風堂で、餃子と麦酒を深夜に楽しむことになるとは思わなかった。

ビバ深夜営業の店。

そんなわけで、仙台の夜は更けていったのであった。

お品書きを今更眺める

・・・待て、なぜメニューをしげしげと眺めてる?

ラーメンも食べてしまった

おい!

この写真は何だ。