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一瞬民家になったと思ったら、また森の中を歩いたりする。
ただ、車のタイヤ跡がある道なので、ここは既に登山道ではなく、車道の域なのだろう。
こうやってなだらかな道があると、この先がドキドキする。だって、まだ標高差100メートルくらいが残っていて、水平距離がわずかだということがわかりきっているから。ここからズドン、と急降下するぞ。
急坂が怖いからドキドキしているんじゃない。楽しみだからだ。単なる階段ならつまらないけど、ここから先大磯駅に向けて、山の斜面に沿って家が立ち並ぶエリアだ。山の斜面に、どのようにして家が建っているのかを観察するだけでも楽しいじゃないか。

えっ。
びっくりした。なんだこれ。グランピング施設のバーベキューテラスっみたいなものが、今歩いている道のすぐ脇にある。
立派なガスグリルが際立っているが、上下水道完備、屋外用の暖房も完備、おっとよく見ると焚き火台まである。
生け垣の隙間からこの光景が見えるんじゃない。堂々と、道からこれが見える。すごいなぁ。
さすがにこれは宿泊施設のものだよね?と思ったが、個人名の表札が入口に掲げられていた。えっ、これ、自宅なのか。
すごい。さすが大磯の眺望がよい場所に家を構えるような人は、財力が違う。
とてもきれい。作ったばかりなのか、それとも使用人を雇っていてここを掃除してもらっているのか。とにかく、ただならぬ雰囲気に驚いた。

高田公園。
広い空き地と、ブランコとすべり台。

こちらのお宅は、外敵から家財を守ろうと重武装していらっしゃる。
ブロック塀ではない、コンクリートの塊の外壁で中が見えない。そしてその上には、するどく尖った忍び返し。
鳩よけにしては長すぎるし尖すぎるので、これは盗人対策なのだろう。
中がどうなっているかは、むしろ興味を持たないことにした。出入りするところから中をチラ見でもしたら、防犯カメラで録画されて通報されかねない。

この辺りからの眺望。
僕が立っているところは電柱を支えるワイヤーや電線だらけで見晴らしが悪いが、この山の斜面にせり出して建っている家々はこういう障害物がない。バーンとした光景をドーンと毎日楽しんでいるのだろう。
人生観、変わるだろうか?いや、人間というのはそう簡単に変わらないか。
タワマン上層階に住んでいるのと、どっちが人生を達観するだろう?

ここから住宅街に入る。
何をするにしても、車は必需品となる。
もちろん、僕のように歩いて駅に行くことはできるが、僕は非日常のハイキングだからこそ、この道を下っている。毎日のようにここを登り降りしてください、と言われたらさすがに辛い。で、面倒になって、家に引きこもってしまうだろう。
せっかく開放的な眺めなのに、家に引きこもって鬱々とするのはもったいない。そこで車ですよ。車を自分の足のようにして使わないと。
ということでこの坂にある家々は、駐車場があるわけだが、なんとか車を置ける場所を確保するのに四苦八苦している様子がよくわかる。結構な角度の斜面なので、平地を人工的に作る、というのはかなりの土木工事だし、コストもかかる話だ。

急な坂を歩いていく。
前方はるか彼方に、雄大な伊豆半島が見える。

対向車注意、と書かれた警告表示。
まず、この急な坂を上るのも下るのも大変だ。ちょっと気が緩むとフェンスにぶつかりそうだ。道が細いし、坂は急だし。
そんなとき、対向車がやってきたら、これはキツい。すれ違えるほどの道幅がないので、どちらかの車がバックをするしかない。でも、この急坂で、後ろ向きに車を走らせるのは相当むつかしい。僕はやりたくない。

駐車場が家の玄関に面してある家は幸運で、駐車場は別の場所にあって、そこからすこし歩いて自宅、という家もちらほらあった。雨の日の買い物などはちょっと面倒だ。
こちらのお宅は、外玄関は幅が狭い。そこからストローのように細長い道を通っていって、母屋に繋がっている。
個人宅敷地内、道から外玄関の間にガードレールがあるというのは珍しい。
遠目で見ても立派なお宅。なので、玄関があまり大きくないからといって庶民、というわけではない。不便かもしれないけど、ここに住んでいる人たちは全員すごい人たちだ。

急斜面という制約の中で家を作っているわけだから、当然建売分譲なんかではない。全部、注文住宅だ。
しかも、こういうところに家を建てたいと思うひとだから、当然屋内からの眺望は確保したいし、家に対するこだわりも強いはずだ。建築士はこの仕事を請け負ってみて「大変だなー」と思うかもしれないし、「こりゃあやりがいがあるぞ」と思うかもしれない。
そんなわけで、家はどれも個性的な作りになっていて、そういう中を歩いていくと楽しい。
(つづく)

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