羊肉の会#6 「焼き羊」というありそうでなかった単語

毎月開催を目標にしつつ、微妙に隔月だったりする不定期開催オフ会「羊肉の会」。正式名称は「主に羊、あるいは民族料理と」というタイトルなんだけど、長過ぎるので面倒くさくて「羊肉の会」と省略している。省略しすぎだけれど。

なので、本来は「羊肉だけじゃなくて、世界各国の料理を食べよう。そしてみんなで驚いたり感心したりしよう。」という趣旨の会だ。しかし、すぐにネタ切れになると思われた「羊肉」が案外レパートリー豊富で、未だネタ切れになる気配がない。そんなわけで、第6回目となる今回もまた、「民族料理」という雑なくくりのジャンルではなく、「羊肉を食べるぞ!」という会になった。

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ことの発端は、前回第5回の「ラム・ミート・テンダー」にて参加者のちむさんが「焼き羊、という名前のお店があって、一度行ってみたい」と発言したことだ。ん?焼き羊?

するっと聞き流してしまいそうだけど、よく考えると変な名前だ。「焼豚」というのはある。「焼き鳥」というのもある。「焼き牛」というのはないけれど、「牛焼肉」なら牛めしでおなじみの「松屋」のレギュラーメニューだし、まあありえなくはない言葉だ。

しかし、「焼き羊」というのは初めて聞いた。ありそうでない、そんな言葉。

調理法はそのものずばりなので、今更びっくりすることはないけれど、この名前には完全に不意を突かれた感があった。あっ、それは盲点だった、というか。じゃあ行ってみよう、となるのがフットワーク軽いこのオフ会シリーズ。早速第6回目の開催地として、「焼き羊」企画が立ち上がった。

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お店について調べてみると、ここは和食をベースとした羊肉料理のお店なのだという。マジか。これまた盲点だった。そういえば和食と羊の組み合わせって、想像したことすらない。

「主に羊、あるいは民族料理と」 というオフ会タイトルからもわかるとおり、当初僕は「羊肉、というのは主に中国の一部地方や中東諸国で食べられるものだ」というイメージを持っていた。しかし、足元の和食で羊を調理するとは。こいつァ楽しみだ。

しかも、さらっとお店のメニューを眺めてみると、「羊肉の酢味噌和え」みたいな料理があったりする。おおお、これは他では見たことがないぞ。ぜひ食べてみたい。

前回「ラム・ミート・テンダー」は羊肉の塊を食べて、大満喫だった。いや、これまで満足しなかった回はない。いつも大満足だ。しかしまあ、想像の範疇ではあった。それがどうだ、「和食と羊肉のコラボ」となった瞬間、一体何がどうなるのか?とワクワク感が止まらない。これは腹を空かせて行かねば行かねば。

あいにく、世の中は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行でいろいろなイベントが自粛されはじめていた。我々の「羊肉の会」も、来月2020年3月の開催はいったん見送るつもりだ。なので、食べ納め、というと大げさだけど、心置きなく羊を愛でたい。腹に収めたい。

そんな意欲あふれる6名が、今回は集結した。

2020年2月18日(火)

cafe de crieでスタバのwifi

本題に入る前にどうでもいいことをひとつ。

「焼き羊」がある市ヶ谷駅近くに「カフェ・ド・クリエ」というカフェがあるのだけど、そこだとスターバックスのフリーWi-Fiが入った。違うお店のWi-Fiが入るというのは、なかなかにシュールだったので記念撮影しておいた。

焼き羊外観

市ヶ谷駅からしばらく靖国神社方面に向かって歩いた路地に、「焼き羊」はあった。市ヶ谷といえば、あまり飲食店街のイメージはない場所だけど、案外ちらほらと個性的なお店があるようだ。

「羊肉の会」シリーズのファウンダーであるのっちょさんは、「このお店のすぐそばに、『ボスポラス ハサン』というトルコ料理店があって、そこでも羊肉料理があれこれ食べられるんですよ」という。ほう、それは気になる。いつの日か、我々羊肉の会がお邪魔しなくちゃ。

一昔前・・・といっても、せいぜい数年前までは、羊肉を食べようと思うとちょっと面倒だった。そういうお店がないからだ。せいぜいジンギスカン屋で羊肉を食べまくって鬱憤晴らしをするか、おしゃれな洋食屋でラムチュオップを食べるか。

2019年の食べ物ブームといえば、なんといってもタピオカだ。でもその影で、着実に羊肉が市民権を得ている。長い目で見ると、羊肉の台頭というのは日本の食文化にとって大きな意味があるんじゃないかと思う。タピオカブームは一過性で、ある程度すれば過熱感は収まるだろうけれど。

焼き羊メニュー

さてこの「焼き羊」、もう店頭のメニューからしてしびれる。

黒板に羊肉料理がズラリ、だ。店名に偽りなし。「メニューの一部に羊肉が混じっています」ではない。羊肉がメインだ。だって、シメのメニューにだって、「ラムカツサンド」「羊にゅうめん」「羊そぼろ卵かけご飯」と、最後まで羊づくしなんだから。

で、さらに痛快なのが、日本すのメニューがそれに続いているということだ。羊といえば、なんとなく赤ワインのイメージがあるけれど、このお店は和食をベースとしたお店。僕はお酒が飲めないけれど、飲める人は今回ぜひいろいろなお酒と組み合わせてもらいたいものだ。

焼き羊メニュー

炭火ひとくち生ラム串焼き、というジャンルだけでも14種類あって目移りする。ああ、悩ましい。

羊だって生き物だ。「羊肉!」というくくりはあまりに雑すぎる。牛肉のように細分化できるはずだし、実際にはされているはずだ。それを今日、食べ比べることができるというのは至福。

焼き羊メニュー

「酢味噌和え」というのがいかにも和食で新鮮な驚きを僕らに与えてくれるけど、ほかにも「鬼おろしぽん酢」とか、名前を見ただけでニヤニヤしてしまう料理がずらり。

そうか、そりゃそうだよな、こういう調理法が羊とあわないわけがない。

羊ったって、昔のイメージである「独特のくさみがある」という肉はあまり流通しなくなった。お上品な、場合によっては上品すぎて「これだったら羊じゃなくてもいいや」ってくらいの風味だ。なので、加熱しようが半生だろうが、何をやってもうまいに決まってる。

よし、食うぞ。

今言えるのは、ただただ食うぞ、ということだけだ。

ラムをカツサンドにするなんて、贅沢すぎる。実際、お値段もそれなりに贅沢だ。

こういう「羊肉の会」という枠組みだからこそ、「じゃあ物は試しで食べてみよう」という気になる。もしこれが絶品だったとしても、コンビニで売られていても買わない。カツサンドは等しく愛おしいしうまいから。トンカツでも、チキンカツでも。

ラムカツサンド、食べるまでもなくうまいだろう。でも、普段使いとしては知ってはいけない旨さなんじゃないか?と思っている。これだけのお値段をポン、と支払える金持ちならともかく。

羊のオブジェ

お店は比較的こじんまりしている。カウンター席もあるので一人での訪問もできるけど、数名での来店ともなれば事前予約が必要だろう。幸い、食べログ経由でネット予約ができたので、予約は楽ちんだ。

客席の壁には、ダンボールで作った?と思われる羊さんがこんにちは。

この羊さんに見つめられながら、これから羊をしこたま食べることになる。やあ、すいませんねぇ。

羊の箸置き

箸置きも羊だった。芸が細かい。

これを見ながら、「今食べている部位はどのあたりだろう?」と検討してみるのも一興。

(つづく)

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