尾張瀬戸駅を通過・・・。
先ほど、「瀬戸に着いたら瀬戸物のお茶碗を買おう」と言っていたのだが、この時点ではすっかりメンバーはお茶碗の事を忘れてしまっていた。
何しろ、すぐ次のサイコロが迫ってきているからだ。
風任せの優雅な旅・・・かと思いきや、サイコロの旅というのは常にせわしなく、そしてボディブローのように精神を痛めつける旅だった。
しぶちょお 「もう振らんと間に合わないぞ?」
おかでん 「もうか!さっきサイコロ振って1キロも進んでないのに。ええと、停めるところは・・・」
しぶちょお 「なさそうだぞ、車の中で振れ」
おかでん 「車の中かー、あまりいい印象無いんだよなぁ、ロクな目が出ない」
・・・・・・
おかでん 「と、いうことで。ひびさん、アンタ次振りなさい」
ひび 「えー?あたしですかぁ?もう運使い果たしちゃったみたいなんですけど」
おかでん 「車内でもサイコロの神を降臨させることができるのは、女性であるアンタしかいない!さあ、頑張るのだ」
ひび 「第11投目、ということですかね?次は」
おかでん 「そうだね、ええと、第11投目は、国道248号と155号の分岐。奇数が出れば、左折で多治見!右折で・・・うーん、豊田行き。これはもう、奇数で多治見に行くしかないでしょう。豊田に行くと、またもや三河地方さんコンニチハになる」
ばばろあ 「ついでに、153号さんとも再会するぞ?」
おかでん 「うわ、153号さんとはもういいよ。じゃ、ひびさん、奇数ね?奇数よろしく」
ひび 「そんなこと言われても~」
では!
♪何がでるかな、何が出るかな・・・♪
そりゃっ。2・・・偶数!
一同 「うわっちゃああああ」
おかでん 「おい!豊田方面かよ!」
ばばろあ 「はい、153号さんコンニチハー」
しぶちょお 「これでわからんくなってきたな、南下して23号なんかに入ると・・・まあ、いずれにせよ三河の国の旅がはじまることは間違い無さそうだが」
おかでん 「今の今まで、長野方面だとか北の目だとか、言ってたのに。全然違う方向に引っ張られてしまったなあ・・・。おい、ひびさん。罰として今日は一日トイレに行かせないからな」
ひび 「ひぃー、勘弁してくださいー」
しぶちょお 「今のところ左折してりゃ、岐阜県入りできとったんよ。結局愛知県から脱出できず、しかも深みにはまる、と」
豊田市の市街地に突入。
おかでん 「うわぁ・・・豊田市だぁ・・・。違った意味で、感無量だな」
しぶちょお 「153号線を真っ直ぐ進んでいたら、すぐに着いたところだったのにな。えらい大回りしたぞ?」
ばばろあ 「しかも、ピストンを大小2回も満喫。もうおなかいっぱいだよ」
目の前を、デイケア施設の車が走っていた。「アニメイト彩」と書いてある。「アニメイトって名前はあんまりだろー」と車内で盛り上がる。
ここ、豊田市は国道が集中している都市だ。何と、縦に2本、横に1本の合計6つの国道が豊田市に集っているから、何やら国道博覧会状態となっている。
そして、その国道を接続するため、豊田市中心部には国道が井げた状に配置されているのであった。もちろん、われわれはこの井げたを通過していなかければならない。まるであみだくじだ。もちろん、ちょっとでも気を抜けばこの井げたをぐるぐるサーキットする可能性だってある。
はっきりいって、サイコロの旅人泣かせと言える場所だ。
おかでん 「じゃあ、井げたに突入します。最短でも2投、最悪だと延々と井げたとおつきあいしなくちゃいけない、恐怖の場所です。まず一発目が重要なので、そこんとこよろしく。」
一同 「うぃーっす」
おかでん 「現在、豊田市駅を通過中。そろそろサイコロなので、目を決めましょう。まず、最初の井げたは、1,2,3で左折。4,5,6で右折、で行きましょう」
おかでん 「只今の時刻11時09分。では、またもやひびさんに振って貰いしょう。さっき岐阜県の目を潰した責任は、自分で解決するということでよろしく!」
ひび 「あうー」
おかでん 「いいか、1,2,3だぞ?まずは、南下する目を潰してしまわないと話がはじまらないからな?で、左折したらもう一度次の井げたで左折して、いよいよ山道をひたすら北だ」
ひび 「了解です」
おかでん 「いいか?イメージしろよ、自分が北に向かう姿を。大丈夫?」
ひび 「何とか・・・」
じゃあ、サイコロGO!
♪何がでるかな、何がでるかな・・・♪うりゃっ!?
ひび 「いちっ!」
おかでん 「やった!1だ!」
しぶちょお 「おおおお?」
ひび 「わーい、左折ぅ」
おかでん 「まだ気を抜くな?すぐ次の分岐だからな」
車は、左折して東に向いて走る。
おかでん 「さ、そろそろまた次のサイコロを振らないといけないわけですが・・・あ、あそこに駐車できる場所がありますねえ」
ひび 「停めますか?」
しぶちょお 「ああ、もうここなんて停めろといわんばかりの場所!今とても重要なところだから、やっぱ車を降りてサイコロ振りましょう!」
おかでん 「よし!ひびさん、行ってこい!」
ひび 「へ?私一人で外で振れ、と?」
おかでん 「そうだよ、大役を任せるから、どーんと振ってこい!豊田市役所の前でいい結果、出してこい!」
ちょうど停車した場所は豊田市役所の向かいだった。
おかでん 「今回は、1,2,3で右折、井げた続行。4,5,6で左折、さらば都市部こんにちは田舎、という事で行きます」
ひび 「あのー、人通り、結構あるんですけど・・・」
おかでん 「構うモノか!こっちだって地下鉄の駅前でサイコロ振ったりしてるんだから」
ひび 「あうー」
車の中から無責任にヤジを飛ばすわれわれ。
おかでん 「絶対左折だぞ?それ以外、あり得ないんだからな」
ひび 「人が見てますぅー、やりにくいですぅー」
ばばろあ 「もっと奥で振れば人に見られんで済むで、奥でさっさと振ってしまえ」
おかでん 「じゃあ、11時12分!豊田市役所の前でサイコロを振ってもらいます。・・・どーぞー、振ってー」
・・・
(遠くでサイコロを振っているひび)
そりゃっ
ばばろあ 「おい、何だ?いまのそぶりは?え?2?・・・いや・・・1!」
おかでん 「うっわあ・・・右だぁぁ」
しぶちょお 「次のサイコロも今ここで振っとかんと間に合わんで。ついでにここで振ってしまおう」
恥ずかしがって車に駆け戻ってきたひびさんを押し停める。
しぶちょお 「ひびさんもう一回サイコロ振ってきて」
ひび 「はへ?もう一回、ですか?」
おかでん 「次は・・・どうかなあ。左折して301号が一番ベストな選択肢だろうね、名古屋から遠ざかる。248号は南下するんだけど、岡崎から先がぐちゃぐちゃしそうなのであまりうれしくない。で、最悪なのが右折して153号爆走、ってパターン。名古屋に戻ってしまうぞ、これだと。ま、153号を選ばなければなんとかなるでしょ。2/3の確率!」
おかでん 「ええと、せわしないな」
ここで急きょ決めたさいころの目は次のとおり。
1,4で301号線で田舎道。2,5で恐怖の三河、248号線。3,6で井げた地獄を続行。
それっ
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
一人外で、控えめに踊るひび。いや、踊るというより、右へ左へとうろうろしているだけだ。踊っているよりも挙動不審だ。
・・・?
何やら、ひびがさっきと同じようなリアクションをしているぞ。頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまった。
ばばろあ 「何だ?・・・6?」
しぶちょお 「ばっかやろう」
おかでん 「ろ、ろくぅ?153号、右折!おおい、がぜん緊迫してきたぞ、名古屋に戻りはじめたじゃないか!」
ひび 「いけねぇ・・・やっちゃいけねぇことを・・・」
おかでん 「キミ、やるねぇ。この井げた、ぐるりと回って360度ターンしてくれちゃってるじゃないの!うっわあ、どーすんだよ」
ばばろあ 「やばいね、井げたグルグルひたすら回り続けるんか?わしら」
おかでん 「いや、回ろう。とりあえず、次の目で井げたを回ろう。危ない危ない危ない、次の目ってどれもアウトだぜ?三叉路だけど、そのうち二つは今来た方向に戻る目(北上、西進)だし、もう一つは155号南下で知多半島行きだ。どれも危ないってば!それだったら、まだ井げたをぐるりと回って、次の機会を狙った方がいいって!」
おかでん 「ということで、11時18分。非常に憂鬱な選択肢のお時間がやって参りました。車を停める場所がないので、後部座席でサイコロを振ります。ひびさん、じゃあサイコロよろしく。責任をとってすぱっといい目を出してくれ!」
ひび 「いい目ってどれですか?」
おかでん 「・・・ええと。とりあえず、北に向かってくれ!それ以外は認めん。井げたをぐるぐる回っても、この際許す!頼むから、名古屋だけはやめてくれよ。じゃ、行きます!ここが正念場!」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロ任せよ・・・♪そりゃっ
2!
一同 「うぐぅおあぁぁあああああああああああ!」
おかでん 「だと思ったけどよぉ・・・だと思ったけどよぅ・・・・あああああああああああああああ」
頭をかきむしるおかでん。言葉にならない絶叫をあげる車内一同。「あーあー」といううめき声が30秒ほどひたすら車内に響き渡る。
しばらくして、気を取り直したおかでんが質問をする。
おかでん 「え?これどこまで戻るの?」
ばばろあ 「あのバイパスのところ・・・302号線のところまで」
おかでん 「えっ?名古屋市まで戻っちゃうの?いやだって、これ(手持ちの地図を指さす)、153号って途中作りかけのバイパスがあって、盲腸国道になっているからそこでUターンができるんじゃないかって」
ばばろあ 「わしの地図、既に開通しとるで。旧道は国道じゃなくなっとる。ということで、302号まで逆戻りけってーい」
ひび 「しょうがねぇー、しょうがねぇー」
おかでん 「えっ?えっ?何、それ。今から名古屋市まで戻って、だいたい12時くらいに到着だよな。・・・何?何?何?ってことは午前中いっぱい、3時間も無駄にしちまったということか?」
ひび 「ひー、サイコロこわーい。いーやー」
しぶちょお 「ドライブしちゃいました。」
おかでん 「お帰りなさい。・・・って、おい!」
ひび 「もうサイコロいやだぁー」
おかでん 「サイコロ怖いなぁ。今頃になってその怖さが分かってきたぞ。まっさか、瀬戸に行って、豊田に行って、そして名古屋逆戻りとは誰も思わなかったもんなあ」
しぶちょお 「ばばろあの言う通りになってしまったという」
おかでん 「あ!そうだよ!おい!」
しぶちょお 「待て!これいじょうばばろあにしゃべらせるな!奴のネガティブトークが全て現実になるぞ!」
ばばろあ 「だから最初から言っとったじゃろうが。国道ってのは都市の中心部に向かって集約されていく作りになっとるけえ、外に逃げようとしてもすぐに引き戻されるようになるんだって」
おかでん 「違う、都市がブラックホールなんじゃなくて、ばばろあの発言がブラックホールだ」
ばばろあ 「次も、302号線をピストンするよ?きっと」
しぶちょお 「言うな、って!」
ひび 「予言はやめてー」
おかでん 「確率論で言うとさ、井げたの入口からこうやって153号線で名古屋逆戻りの確率って2/9だったんだよ。なんでこんな事になるかなあ」
ばばろあ 「井げたの二回目の時に、おかでんちょっとサイコロの目について悩んだだろ。どっちに目を割り振ろうかって。あそこで悩まんとそのままにしとけばよかったんよ。ひびさんがサイコロ振るんじゃけぇ、ひびさんが今まで出しやすかった目を思い出して、都合のいいように目を割り当てれば問題なかったんじゃけえ。そしたらもう今頃は、田舎道」
おかでん 「俺かよ!結局悪いのは俺って事になるのかよ!」
遠ざかっていく豊田市街地・・・。
おかでん 「さらば豊田市。一体何しにきたんだろうね、俺たち」
そのとき撮影したカーナビの写真。
白い点線が、今まで進んできた軌跡なのだが、見事ぐるりんちょと回って、名古屋方面・東に向かおうとしている。
なんとも情けない地図だ。
おかでん 「えー、さんざん愚痴をこぼしながら走ること約30分」
ばばろあ 「ぶー」
おかでん 「なぜかわれわれはまたもや名古屋市に戻ってきてしまったわけですが。ええと、今日午前中って何やってたんだっけ?」
しぶちょお 「ドライブ!」
おかでん 「そうですね、ドライブです。じゃ、下見もそろそろ終わったということで、いよいよサイコロの旅をスタートさせましょうかね。いい?これからが本番だよ、これからが」
一同 「うんうん」
おかでん 「またもや恐怖の環状国道302号線に戻って参りました。これからは三叉路の場合、1,4で右折・2,5で直進、3,6で左折という統一ルールで行きます。今回に関して言うと、ブラックホール・ばばろあが『ぜひピストンをもう一度したい』とほざいておりますが・・・」
ひび 「やめてー」
おかでん 「ここは、2,5を出して直進、名古屋中心部に一度戻ってから、仕切り直しを計りたいところです。もう302号線はイヤだ。さて、サイコロですが、先ほどとんでもない目を引き当ててしまったひびさんは罵声とともにお役御免となりまして、ネクストバッターズサークルには、ばばろあが控えております。頼むぞ、ばばろあ」
♪それはサイコロまかせよ・・・
おかでん 「早いって!もっと一投に気合いいれろよ!ああ!」
・・・おかでん 「判別不能。ええと、サイコロが微妙に斜めでシートの隙間に突き刺さってしまっております。もう一度、振り直し。次は気合い入れろよ!?」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
そりゃ
1!
一同 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」・・・・!!!!!
おかでん 「302号、右折!またか!またなのか!」
車中を、悲痛な叫びがこだまする。走っていて何ら面白くないバイパス道である302号を、またもやひた走らないといけないという憂鬱さ。そして、「この調子だと、またもやピストンに突入するのではないか」という恐怖。
おかでん 「うわぁ・・・そろそろトイレ行きたくなってきたんだけどなあ。302号、トイレないじゃん!」
ひび 「トイレぇぇぇ」
しぶちょお 「カーナビにトイレの表示はいっぱいでとるんだけどねぇ。でも、全部国道からちょっと、ほんのちょっとだけ離れとるから行けんねぇ」
おかでん 「よし、こうなったら363号線沿いのサークルKにまた立ち寄らせてもらおう」
しぶちょお 「じゃあ僕、戦車(World Tank Museumのこと)を買おうかな」
ばばろあ 「店員びびるで、『あれ?またこの人達トイレ借りにきた』って」
ひび 「すごいゲームだ・・・ありえねぇー」
おかでん 「いやぁ、それにしてもここまで忠実に道をトレースするか?」
ばばろあ 「安心せえ、この先363に入るためには、ピストンするルートとの分岐点がある、そこで363に入らないと新たな可能性が」
しぶちょお 「ピストンは避けたい!」
おかでん 「ピストンはもういいよ、もういやだあの不毛な道は」
しぶちょお 「ピストンもういいね?」
おかでん 「うん、いいよ。もういやだよね、全員。ネタじゃないよね、ピストンに行ったらおいしいなんて思っちゃいないよね、みんな」
しぶちょお 「302号の南側の小ピストンだったら我慢できるけど、北側の大ピストンはねぇ・・・」
おかでん 「うまいことピストンを避けたとしても、また363号で尾張瀬戸だろ?うわぁ、長いよなあ。何でこんなにぐるぐる回ってるのよ、まるでお遍路じゃないか。悟れそうもないけどさ」
ばばろあ 「次に豊田市の井げたに着いたら、サイコロの目をさっきとは違うのにしようで?最初の分岐を・・・」
おかでん 「おい!また井げたに戻ろうとしているのか!」
・
・
・
おかでん 「いやぁ・・・車内、出てくる言葉出てくる言葉、全て愚痴だもんなあ・・・愚痴ばっかりは止まらないんだよなあ。もっと建設的な事、しゃべろうと思っても、サイコロまかせだからなーんも建設的な事なんかないもんなぁ」
そのとき、カーステレオから「トライ・アゲイン」という曲が流れていた。
しぶちょお 「トライアゲインだぞ。ということは、もう一度、頑張れと」
おかでん 「もう一度302号を走れ、っていう意味じゃないのか?」
しぶちょお 「『たった一つの迷いがチャンスを駄目にする』、って歌ってるぞ」
おかでん 「わはは!おいおい、ぴったりじゃないか。迷うな?迷うと、どんどんドツボにはまるぞ?」
しぶちょお 「迷わず行けよ、だな」
おかでん 「行けば戻るさ、って状態になってるけどな」
ひび 「ぎゃははは」
おかでん 「えー、大変お待たせしました。相変わらずわれわれは302号線をデジャブ状態で北上しているわけなんですが、そろそろ次の分岐点。運命の363号分岐が近づいて参りました」
一同 「いえー」
おかでん 「はい、相変わらずやる気のない声援ドウモアリガトウ。次の選択肢からは、二差路の場合は『奇数だと右に曲がる』『偶数だと左に曲がる』という統一ルールにすることにします。なんだか、ここまでくるとどの目がどれだかこんがらがってきましたんで」
しぶちょお 「迷ってないね?大丈夫だね?迷うとチャンスを駄目にするからね?」
おかでん 「大丈夫。自信をもって、この分岐は右に曲がる、と信じたい。これ以上、大ピストンに行くわけにはいかないんでね。そこまでデジャブするこたぁないだろ。もう一度、瀬戸でせともの買おう?それでお昼ご飯、盛りつけて食べよ?」
ばばろあ 「さっさと振れ!」
おかでん 「それでは、第17投目。奇数が出れば、もう一度岐阜県入りチャレンジの363号右折。奇数が出れば、大ピストンの旅をお楽しみください、と、ということで何がなんでも奇数を出さなくちゃいけないわけで!」
ひび 「おう」
おかでん 「ちょうど僕、今膀胱が張ってきているんですよ。やっぱ、前回のひびさんのように、ここは膀胱が張っている人間でないと363号には行けないと思うので、僕がサイコロを振ります!それでは」
しぶちょお 「今の時刻、12時10分ね」
おかでん 「ということで、12時10分、第17投行きます。これからは、縁起が悪いのでサイコロの色をチェンジしました。白いサイコロで勝負をかけます!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・そりゃっ
・・・2!
一同 「ぐぎゃあああああああ」
おかでん 「ごめんなさーい、ごめんなさーーーーい。またやっちゃいましたぁぁぁぁ」
しぶちょお 「がはっはははあはっはあ!あうち!」
おかでん 「また、ピストンだぁぁぁ」
しぶちょお 「おい、俺もうあの川のぎりぎりまではいかんでいいよね?あそこ、国道としては既に切れているところだから」
おかでん 「え?そうだったんだ。・・・ふむ。では、われわれは、国道の端まで、行くぞ。いいね?」
ばばろあ 「あの川まで行って来てさ、川に向かって立ちションすればいいじゃん」
しぶちょお 「やっぱ行っとくか?ションベンできるんだったらちょうどいいだろ」
おかでん 「いや、僕はまあいいけど・・・」
ひび 「私も用が足せるんだったら」
おかでん 「いいぜ?川に向かって用を足す勇気と自信があるんだったら」
ひび 「あうー」
しぶちょお 「いずれにせよ、またピストンは決定してしまったわけで。で、折り返してきたら、またこの分岐でサイコロ」
ひび 「デジャブーだあああ」
おかでん 「そうか、そういうことか。・・・(ひびにサイコロを手渡して)頼むぞ」
ひび 「へ?次私なんですか?」
おかでん 「僕の膀胱はち切れパワーではサイコロの運を手繰り寄せられなかった。あとはもう、過去の輝かしい実績をもつひびさんに、この局面をなんとか」
ばばろあ 「男はねえ、いざとなったらパーッって車おりてどこでも用を足せる、っていう逃げがあるんよ。甘えだな」
おかでん 「そうか。甘さがあったか。ごめん、今頃になって反省する。甘かった。トイレなんて、最後はペットボトルにでも、くらいの認識があったよ。そんなんじゃ、サイコロは動かないよな」
ばばろあ 「もっと我慢しとかんといかんかったんよ」
おかでん 「そうかぁ。今現在でも既に妊娠9カ月目くらいの腹の張り具合なんだけどな、これでもまだ駄目か。精進不足か。うーん。・・・でもよ、これからこの大ピストンさんを満喫して帰ってくるのに、30分かかるんだろ?おい、本当に大丈夫か俺の膀胱」
きっちり30分かけて、あまりに不毛なピストンを終えて分岐に戻ってきたアワレみカー。
既に車内はスライムのようにどろーんととろけた雰囲気になりつつあった。
今までは、まだ見ぬ土地への誘い、ということで青看板を見るのも楽しかった。しかし、ここ数回は「さっき見たぞ、この看板」というありさまであり、ワクワク感なんてものはどこにも存在しない。あるのは、義務的にサイコロを振って、何とかこの場を逃げ出したいという気持ちだけだ。
おかでん 「さあ、また363分岐のところまで戻ってきました。さっき、初心に返ったつもりでサイコロをふったおかでんですが、見事大ピストンにはまってしまいました。やはり運気が逃げてしまっているようです。そこで、私以上にトイレに行きたくて、先ほどから後部座席で悶絶しているひびさんに次の一投を託したいと思います」
おかでん 「これも二叉路になりますので、直進で奇数、左折で偶数ってことになりますかね。何としても、もう一度瀬戸方面に向かわないと。愛知県を脱出しなくてはいけないのと同時に、と、トイレが!」
ひび 「あう」
おかでん 「気合い入ってますか?」
ひび 「はい。では行きます。只今の時刻は12時47分です」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・♪
おかでん 「1!・・・真っ直ぐです」
ひび 「きゃぁー」
おかでん 「(諦めを含んだ声で)ピストン続行です。・・・あああ、さすがだなあ302号さん。まだわれわれと遊び足りないようです」
しぶちょお 「あのねぇ、今奇数が直進、って設定したじゃん。あれ、やめといた方がいいぞ、って言おうと思っとったんよ。奇数って、1,3,5だよな。それって並び替えると1,5,3なんだよ。153号線とも読むことができるわけ。また153号に向かうぞ、この車」
おかでん 「あー、また次はあの153号分岐か・・・今日で3度目のチャレンジだな。もういやだ」
・
・
・
おかでん 「相変わらずわれわれは環状線を走っているわけですが・・・」
ばばろあ 「これでようやく、302号線の上下線ともに完全制覇したってわけだな」
おかでん 「!!そういうことか!いやなコンプリートだな・・・。」
第19投目。
またもや153号線との分岐に戻ってきた。
三叉路でありながら、どの道に向かっても「一度通った事がある道」であるという事実は薄ら寒い限りだ。
この場合、直進して小ピストンしてしまうのが一番最悪の選択肢だ。豊田方面に進むのは一見悪くない選択肢だが、あの井げたの恐怖は当分味わいたくないので気分的に行きたくない。と、なれば、消去法ではあるが右折して一度名古屋中心部に戻って、イチから体制を立て直したほうがいいのではないかという結論になった。
では!
♪何がでるかな、何がでるかな・・・♪
そりゃっ・・・
1!
右折、名古屋中心部!
おかでん 「うおっ!右折だ!やった!名古屋中心部!・・・って、『やった!』って快哉叫んでもいいのか?この選択肢で」
ばばろあ 「まあまあいいんじゃないの?」
ひび 「メシとお手洗い・・・」
おかでん 「おお、そうだった。302号線を脱出できたので、早速お手洗いを探さないと!あと、もう昼なのでメシも。あああ、午前中いっぱいかけて一体何キロ進んだんだ?」
しぶちょお 「直線距離では10キロも進んどらんぞ」
おかでん 「とほほ」
そのとき、地図で先を確認していたばばろあが口を挟んできた。
ばばろあ 「おい、この先の道な、忘れちゃいかんのがサーキットがあるで。ぐるぐる回ってドはまりになる前にメシとトイレ探しとかんと」
おかでん 「あっ!そうか。ピストン去ってサーキット登場か。何なんだこの名古屋は!?了解、153号が二手に分かれる手前で必ずお店を探そう」
結局、153号線沿いにあった「ブロンコビリー」というハンバーグ&ステーキのファミリーレストランに入る事にした。
車から降りた時点で、みんなちょっと足下がふらつく。
相当疲労しているようだ。
精神的に参っている時に、肉汁じゅうじゅうのメニューを目の当たりにしてしまうと人間歯止めが利かなくなるようだ。
ランチであるにもかかわらず、みんな頼みまくった。ストレスが溜まっているので、そのはけ口として食欲に向かってしまったようだ。
ばばろあが言った「食わずにやってられるかぁ!」というセリフは、全員の共通認識であった。
ただ、さすがのおかでんもビールだけは注文しなかった。こういうシチュエーションだと、必ず頼むべきものであるにもかかわらず。
トイレが近くなるビールは、車でのあてもない長旅だと致命傷。さすがにそこは我慢しなくては。
ばばろあは、ランチで食べるにはちょっと高いんじゃないですか、というステーキを注文。結構分厚いステーキが出てきた。
彼は胃袋がそれほど大きいわけではないので、量は食べられない。その代わりに質を追求することでうっぷんを晴らしたかったようだ。
転じて、おかでんとしぶちょおは、大量注文して胃袋をぱんぱんにすることでうっぷんを晴らそうとしたものだから、二人とも2皿ずつ料理を注文。おかでんはさらにサラダまで注文してしまった。
その結果。
テーブルが鉄板だらけになってしまった。
明らかに他と比べて浮いている光景だ。
しかし、われわれはそんなことを意に介さず、わっさわっさと肉を食べまくった。
ブロンコビリーで昼食を終え、店を後にする。
店頭で、ばばろあがぐったりしているところを激写してみました。
ばばろあ 「・・・360日熟成牛ステーキにしておけば良かった。せめて、ぶどう牛のステーキにでも。安いステーキにしたのは失敗だった・・・」
自分の選んだ肉がイマイチだった事に、慚愧の念に打ちのめされているばばろあだった。肉質よりも、分厚いステーキを選んだ己がよっぽど悔しかったようだ。
結局、4人で6000円分くらいの飲み食いとなった。
14時3分、再出発。・・・もうお昼下がりだ。一体今晩はどこに泊まる事になるんだろう。名古屋市内か?
14時15分。
153号線の新道と旧道分岐に戻ってきた。
まさか、この「サーキットコース」に戻ってくるとは、誰もが考えていなかった事だ。恐怖、再び。
あれだけ302号さんのピストンを満喫してしまうわれわれだ、今だったら確実にサーキットぐるぐる、になってしまいそうだ。やばい。
おかでん 「さあ、時刻は14時15分・・・。うわ、もうこんな時間かよ・・・。恐怖の山中交差点にやって参りました。右に行っても左に行っても結果は一緒。しかし、その次の選択肢で、サーキットするかどうかの運命の分かれ道が待っています。ここも、ばばろあに振って貰いましょう」
ばばろあ 「へ?わし?」
車から降りたばばろあ。
車外で投げるのは初めてなので、やや恥ずかしそうだ。そそくさと車から離れていく。
おかでん 「まだ待てよ、こっちの準備ができてないからな・・・」
ひび 「あ、どこに行くんだ!」
おかでん 「おい、どこに行くんだ!・・・まだ待てよ!おい、何やってんだ!ああ!もう投げちまいやがった!・・・
3?3なのか?・・・3だから、右!」
しぶちょお 「広い方か?」
ひび 「広い方だ、とりあえずは・・・良かった?」
しぶちょお 「了解、広い方ね。じゃ、まずはサーキットは反時計回りって事で」
おかでん 「おい待て、まるでぐるぐる回るような言い方じゃないか、それだと」
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