おかでん「ただいまの時刻、15時54分。そろそろ、302号さんのお膝元にやってきました。302号さんが、おいで、おいでと手招きしているのが手に取るようにわかります。ここで大ピストンに引きずり込まれるのか?それとも、153号分岐の方に向かうのか?どっちにしても喜ばしくない選択肢になるわけですが・・・まぁ、もうどっちでもいいや、この際。ということで、次はばばろあさんがふりまーす。がんばってーくだーさーい(明らかにやる気のない声)。左がでればー、1,3,5ぉ。右がでればー、2,4,6ぅ、こっちはピストンですよー、はーいがんばってーくださーい」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
1!おかでん「1がでましたー。ということで、左、大ピストン回避で153号分岐方面に向かいまーす。・・・何の感動もない」
ばばろあ「最短で駅の近くまで行くぞ。今日中に神戸に帰るぞ、わし」
録音も、ダレダレなんである。もう、本当に精神メルトダウン状態だ。

見慣れた302号さんを走る。
変化に乏しい道を走っていると、気分がどんどん滅入ってくる。
しぶちょおは、「そうだひびさんの様子を確認しなくちゃ」と言い、昨日のダメージで病床に伏しているひびに電話をかけていた。
「うん、そう、でどこにいると思う?」
なにやらうれしそうに謎かけをしている。
「302号なんよ、また今日も302号走ってるんよ、わしら」
しかし、昨日時点で302号を走る苦しさと、今日たった今302号を走る苦しさは段違いだ。いくら、昨日行動を共にしたひびであっても、この状況を理解することはできないだろう。
車中では、「なぜわれわれはピストンルートにひっかかてばかりなのか」という議論がなされる。
おかでん「いや、絶対何かピストン国道同士で連絡評議会か何か作ってるって。連携とってんだよ、だから僕ら、行く先々で必ず盲腸国道にお呼ばれされてしまう」
しぶちょお「挙げ句の果てには、法面崩壊で通行止、だもんなあ」
おかでん「愛知・ピストン・ネットワークだよ、きっと。略してAPN。会長はもちろん、ご存じ302号さん。で、周辺の盲腸国道に『おい、今そっちにアワレみカーが移動したぞ。丁重にもてなせ』って指示が飛ぶんだから」
しぶちょお「よけいなお世話だな」
おかでん「まったくだ」

おかでん「はい、えー。ただいま、国道302号さんをたっぷりと楽しんでいるところです。あいさつしまくっている状態なんですけど、これだけ誠意を示せば、今回限りで許してくれるんじゃないかと、思いつつも、そろそろ国道153号との分岐が近づいて参りました。時刻は16時13分。また今回もばばろあが振ります」
おかでん「今回、1,4が出ればウンザリの豊田市方面、2,5が出れば小ピストン、3,6が出れば昨日さんざん悩まされたサーキットコースとなります。どのコースになっても、地獄。新鮮味ゼロ、ドキドキ感無し。ただし、直進して小ピストンだけは勘弁して。もうこれ以上302号さんと戯れるのはヤバイ。マジヤバイ。ということで、ばばろあ、頑張ってください」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・そりゃっ
1!
一同「うきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
おかでん「左折!豊田市に向かいます!」
ばばろあ「ううううう」
おかでん「うわぁ、うわぁ、わかんなくなってきたぁぁ!中途半端な展開!このまま、中途半端に山奥に突入してしまい、日没を迎えるのではないかという予感が」
ばばろあ「きっついなあ」
しぶちょお「8の字でぐるぐる回ってる状態です、今」
おかでん「ハチのダンスじゃないんだから、もう・・・。一体何回豊田を通過したんだ?」
ばばろあ「いっかい、にかい・・・4回目だ!」
おかでん「4回目だ!・・・わはははははは。さあ、次は、お楽しみ豊田スーパーチャレンジってことで」
ばばろあ「わははははは」
おかでん「はい、時刻は16時45分。そろそろ薄暗くなってきました。車は豊田市に入ったところで、また豊田チャレンジをしようとしているところです。今回はまた、153号を走ってきていますので、左から・・・瀬戸市方面の155号線北上ルートをサイコロの1、そこから時計回りに目を割り振っていって、6が155号南下知立方面、ということになります。で、正直・・・達観したというか、涅槃の境地に達したというか。もうどこに行ってもいいです、好きにしちゃってください。ただ、6の目が出てまた知立に向かうようなことがあったら、もうこの企画は終了かな、という気にはなっていますが。1と6、155号線は南北ともに行きたくないよなあ。じゃ、次は順番として、僕がサイコロを振ります。ええと、白いほうちょうだい」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・ほいっ
6!
一同、軽いため息とともに一瞬沈黙。おかでん「はい、155号南です」
しぶちょお「・・・ま、予想通り、だったな」
ばばろあ「このまま熱田神宮逆戻り、で終わりか?」
おかでん「うーん?僕ねぇ、今頃になって山奥の目が出るんじゃないか、っていう気はしてたんだけどな。今更遅いわ!って感じで」
しぶちょお「うん、僕もそう思っとったんよ。いい加減出るだろうと思ってたんだけど・・・どうしてもでないなぁ」
おかでん「出ないなぁ」

「東海28km、知立15km」とかかれた青看板を仰ぎながら車は進む。くそ。ここを通るのは三度目だぜ。

ほぼ24時間前、トイレ休憩のために立ち寄ったサークルKにまた戻ってきてしまった。リフレッシュをかねて、トイレ休憩をとる。
今日の落としどころが見えなくなってきた。一体、どういう結末を迎えればいいんだ、僕たちは。
サイコロの目に翻弄されている、という意識をここまで強く持ったのは、企画を通じて初めてだ。
おかでん「えー、17時18分。先ほど、サークルKでトイレ休憩をかねてリフレッシュタイムを設けました。それほどリフレッシュされてないんですが、旅は続行です。さて、次は155号線バイパスとの分岐ということになります。ここでバイパスに入ってしまうと、盲腸ということでまたもや不毛な時間を過ごすことになります。さて、サイコロはしぶちょおの番となります。サイコロは赤と白、どっちにしますか?」
しぶちょお「白」
おかでん「白ですね。では、1,3,5の奇数が盲腸国道155号バイパス入り。2,4,6の偶数がまっすぐ知立の1号線分岐まで進むということで行きます」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
そらっ
1!
おかでん「1!奇数!盲腸!」
しぶちょお「やっぱりなぁ~!」
おかでん「やっぱりなぁ。いや、絶対こりゃ盲腸に行っちゃうな、って思ってたんだよぉ。・・・・・・あぁ」
しぶちょお「ここに来て盲腸に入らないわけがないと」
おかでん「入らない訳がない。行っちゃうから。もう、何が何でも行くから、盲腸は」
ばばろあ「盲腸折り返してきて、またそのまま・・・」
おかでん「多分そうだよ、もう、見えてきたよ俺はッ」
しぶちょお「豊田行くんじゃないか?」
おかでん「豊田だよ、次は。また豊田に引き戻されるんだよ。それしかねぇ」
しぶちょお「俺今の目が悪かったから、お役ご免だからな。次の目、頼むぞ」
おかでん「そうだよ・・・やっぱりAPNだよ。愛知・ピストン・ネットワーク。そりゃ155号さんの耳にだって、入ってるわい僕らの情報。『いやー、302号さん羨ましいなー。僕んところにも来てほしいなー』『おや?だったら斡旋しますよ?』『えっ、そう?悪いねぇ』『貸し一つ。貸し一つね。今度ビールでも』なんてやってんだろうな」
しぶちょお「うわー」
おかでん「いや、そりゃそうなるわい。今までこの盲腸に入らなかったこと自体が奇跡だもん。あいさつくらいしていけ、って礼儀には厳しいのがAPNだもんな。側を通っておきながらあいさつしねぇとはどういう了見だ、って」
しぶちょお「あんまりだ・・・」

車は、155号バイパスに入った。
まったくもって不毛だ。
春日井48km、瀬戸32kmだって。ふん。

不毛な走行を続けること約10分、終点が見えてきた。一度、高架から下に降りて、Uターンすることにする。

おかでん「ば、馬鹿すぎる・・・こんなUターンする車なんて他にいないぞ」
しぶちょお「当たり前だ」

そして、今走ったばかりの道を逆走。
青看板の「東海・知立」という文字が精神的ダメージを増長させる。
おかでん「155号バイパス・盲腸をひととおり走ってきました。トヨタの工場を両脇に眺めながら走るってのも悪くなかったんですが、時間も時間だしこれから先一体どうなることやら、と思い悩んでしまいます。さすがの僕も、新幹線の時刻表を見てしまいました」
ばばろあ「くくく」
おかでん「・・・あーあー、何か小動物が路上で死んでるし。なんだかもう、どんどん憂鬱になってくるような。でも逆に、『どうにでもなれ』って感じで開き直って楽しいような、非常に奇妙な間合いなんですが。さて、盲腸往復の役務が終わったところで、豊田市に戻るか・知立市に向かうかの選択肢になります」
おかでん「何事も無かったかのように知立方面に向かう、が1,3,5。豊田市に逆戻りするのが2,4,6偶数、ということで、ばばろあが振りまーす」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・
ほいっ
1!
おかでん「はい1が出ました、知立方面に向かいまーす」
・・・
しぶちょお「特にコメント無し?」
おかでん「あっははははははは。もうね、もうね、何が善で何が悪なんだか、こうなるとさっぱりわからん」
しぶちょお「そう、判断つかん。どっち行けば正解なんだ、と」
ばばろあ「・・・帰ろ?」
おかでん「・・・帰るか?」

おかでん「はい、えー。さっきサイコロ振ってあんまり時間が経っていないんですが、すぐに知立の国道1号分岐が迫ってきているので、引き続きサイコロを振りたいと思います。ま、正直言って、先ほどの分岐で豊田市に引きずり戻されると思っていたんですが、1号線の方にやって来たということで、ちょっと拍子抜けのところもあります。で、これから先どうなるのかというと、ある意味運命の一瞬、なのかな、という状態ですね。左折して岡崎に向かうなんてことがあれば、この時刻にもかかわらず新しい旅がそこから始まるわけですし。逆に、右折して1号線を名古屋方面に向かってしまうんだったら、もうさっさと名古屋に戻ってゲームオーバー、企画終了にしてしまうのか。名古屋に戻れば、何となくこの企画のオチとして成立するんじゃないかという気がしなくもないですが」
ここでの選択肢
1,4:国道1号右折、岡崎方面
2,5:国道155号直進、東海方面
3,6:国道1号左折、名古屋方面
おかでん「ということで、もう一度ばばろあが振ります」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・
それっ
ばばろあ「3!」
一同「おおおおおお!?」
しぶちょお「1号線だよ」
おかでん「1号線で名古屋方面です!」

しぶちょお「うわぁ、いやぁ・・・強いなあ、名古屋の引きは」
おかでん「戻るねえ。このあたりの国道1号はバイパスルートだから、強烈に名古屋に引き寄せられるぞ」
しぶちょお「あと23号分岐だけだよ」
ばばろあ「あと1/3の確率で名古屋に戻るわけじゃろ?23号分岐で東西の分岐があって・・・」
しぶちょお「いや、23号分岐は名古屋方面しか行けないぞ」
おかでん「そうだな、豊明インターは23号西行きにのみ接続してる」
ばばろあ「わ、そうなん?」
おかでん「ま、いずれにせよ。次の国道1号線と23号線の分岐である豊明インターで『まっすぐ』の目を出してしまったら、またしても熱田神宮の前に凱旋帰国となって、ジャーンおしまい、と」
しぶちょお「とほほ・・・」
おかでん「だって、これ以上この企画続行させる気になれんだろ?日も暮れてきて、この時間でまた熱田神宮の前かよ!今日の出発地点じゃん!っていうありさまで、もう一度サイコロを振って旅に出る体力と気力を持っているやつがこの車の中にいるか?ええ?もう、酒飲んで今日中に解散じゃ!」
一同「ははははははははは」

おかでん「さぁ、カーナビ上でも23号分岐豊明インターの姿を捉えることができました。時刻は17時46分。ここでまっすぐ名古屋方面を出すと、熱田神宮・・・今日のスタート地点にそのまんま戻ってきてしまいます。で、先ほど車中で相談した結果、全員の一致した意見として、『熱田神宮に着いてしまったら、そりゃもうゲームオーバーだろ』と。今回はもうお仕舞いだ、と。ただし、23号の目を出してしまったら、これまたどうなるかわからない。この企画、終わるに終われなくなってしまって迷走は続行となります。ひょっとしたら今晩あたりは長島スパーランドあたりで一泊、なんてことになっちまうかもしれない。そこら辺、どっちに転ぶかが注目の一投となります」
しぶちょお「問題は、誰が先にリタイアって言うかだな」
おかでん「チキンレースの様相を呈して参りました。さて、23号に合流が1,3,5の奇数、1号線まっすぐ熱田神宮行きが2,4,6偶数です。ここもばばろあに振ってもらいます。よろしく。せーの」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロまかせよ♪
GO!
おかでん「4!偶数!・・・お仕舞い!」
車中、大爆笑。しばらくの間、全員が腹の底から大笑いをした。
ばばろあ「ホンマに終わってしまったで!?わ、今晩どうしよ」
おかでん「この時間だったら帰れるだろ?飲んで食って、帰ろうぜ」
またゲラゲラ笑いがおきる。無理して腹から絞り出すような笑いだ。
しぶちょお「みんなで、声をそろえて、せーので『リタイア!』ですね」
ばばろあ「最後熱田神宮にお参りして、記念撮影して終わりにしようや」

おかでん「いやー、びっくりした!あぁ、ばばろあ、サイコロ4の目で持って、写真とらせて?」
しぶちょお「すごいね、ばばろあは。いや、ホントばばろあすごいと思うよ。鬼ヅモだよ。三連発で、名古屋さんを引き寄せたもんな。最初から最後まで、ばばろあにサイコロ振らせれば良かったんじゃないかと」
おかでん「いやぁ・・・でも何で、名古屋方面に向かい出すとがぜん引きが良くなるんだろう?みんな」
しぶちょお「いや、みんなじゃないって。ばばろあだけだって。俺、振ってないもんこの近辺じゃ」
おかでん「昨日も、この時間知立からグイグイと熱田神宮まで引っ張られたもんな。若干寄り道はしちゃったけど。知多半島さんに何度も引き込まれそうになりながら、結局何事も無かったかのように名古屋市へ」
ばばろあ「やっぱねぇ、国道が都市部に向けて放射状に延びとる以上、絶対こうなっちゃうんだって」
おかでん「いや、今回は放射状とかそんなの関係なしに、重力が働くところってあったじゃん。今回は熱田神宮がブラックホールの核だったけど、他にも302号さんとか」
しぶちょお「ここの1号線区間って、信号も分岐もないワープ区間なんだよ。一気に進めるし、一気に引き戻される」
ばばろあ「これさぁ、熱田神宮をスタート地点にした方が良かったんじゃないんか?」
しぶちょお「そうだね、熱田神宮からの方が正解だったねぇ」
おかでん「うーん」
しぶちょお「熱田神宮が正解だったんだね。名古屋城スタートが失敗だったんだよ」
おかでん「でも、熱田神宮スタートだったら、今日みたいにやっぱり行ったり来たりをしちゃうんよ?」
ばばろあ「いや、でも名古屋城スタートだったからピストンとかサーキットが。昨日より今日の方がまだマシじゃん」
おかでん「昨日のは修行だったな」
しぶちょお「ま、今日もこの1号線を走り回ってるんだけどな。ちなみにここ、何回通ったよ?3回?」
おかでん「3回通ったねぇ・・・いち、にぃ、さん。うん、3回だ。・・・うわぁ。そりゃ、日も暮れるわ」
一同「ははは」
おかでん「いや、でもよ。こっちの望み通りに進まないのがサイコロの旅という通説からいけばよ、ここで23号に合流してしまい、熱田神宮を通り越して長島スパーランドあたりをうろうろ、なんてパターンだと思ったんだけどな」
しぶちょお「でも、今日中に帰ることになってるばばろあは、それを許さない訳だから」
ばばろあ「いや、別にええんでワシは」
おかでん「『最後の最後で愛知県脱出かぁ?しゃーないなあ』なんて言いながら企画続行になるとばかり思ってたんだけどな」
しぶちょお「じゃ、サイコロ続けて振るかぁ?もうやんねーだろ?」
ばばろあ「やるか?わしは別にええで」
おかでん「いや待て、次サイコロ振るとキリ無いぞ?」
しぶちょお「知多半島行くか、三重に行くか、それとも名古屋城に戻るか」
おかでん「とほほ・・・」
しぶちょお「リタイア宣告ってもうされてるのか?」
おかでん「あ、録音されてる。熱田神宮に着いたらもうリタイアだって」
しぶちょお「おっけ、証拠があるなら」
おかでん「全員一致でリタイア、勝ち負け無し、ってことでいいね?」
しぶちょお「全員同時リタイアでしょう?うん」
おかでん「ははははは・・・。愛知県を、出られませんでした、と」
一同「はははは」
しぶちょお「いやぁ・・・」
ばばろあ「ピンポイントで、どこそこに到着できれば終わり、ってすればよかったのに」
しぶちょお「うん、いやー・・・。でもこれ、やらせ臭いんだよな」
おかでん「バラエティ番組みたいにさ、編集加工して面白可笑しくしました、って感じだもんな今回の企画は」
しぶちょお「うむ」
おかでん「ハラハラさせるんだもんな、とりあえず遠くには車は向かって」
しぶちょお「で、きっちり戻ってくるんだからな」
一同、はぁーとため息。
しぶちょお「ちょっとねぇ・・・いやぁ・・・・・・・びっくりしたわ」
おかでん「これはねぇ・・・サイコロの神様が居たんじゃないんだよ、笑いの神様だったんだよ」
しぶちょお「ははははは」
おかでん「降りてきたよ」
しぶちょお「降りてきたねぇ」

途中、車はなにやら工事中の箇所を通過した。
しぶちょお「これ、今302号作っとるところよ」
どうやら、小ピストンの先はここに繋がるらしい。なんたる繁殖力だ、302号。
おかでん「ここに繋がるのか!あと数年後、もう一度サイコロの旅をやったら、また全然違った展開になっていたわけだな」
ばばろあ「今度こそ名古屋から抜けられんようなるで」
おかでん「さらば、302号さん。アンタにはさんざんお付き合い頂いたけど・・・この企画のうち、1/5くらいの時間は302号さんに捕まっていたんじゃないかと思う」
しぶちょお「!言われてみればそうかもしれん」
おかでん「親切にしてもらったけどさ、いろいろ誘ってくれたけどさ・・・今だからいうよ、二度と行くかバーカ」
車は、名古屋方面に向かう。
そして、その先には、ばばろあにとっての神戸、そしておかでんにとっての東京が待っている。日常生活への復帰。ただ単にサイコロを振って、出た目の通りに進むだけの企画のはずが、ここまでわれわれの精神をメルトダウンさせるとは。今、われわれにあるのは、企画が終了しようとしている充実感では当然なく、かといって全員リタイアの屈辱感や虚脱感があるわけでもない。ただ、「もう、終わるんだ」という一言だった。
強いて言えば、学校の授業でマラソン大会があって、あと残りグラウンド一周、となったときの「後もう少しだ、あともう少しでこの苦しさから解放されるんだ」というあの気持ちに、近い。第三者にこの苦労話を語ったって、誰も理解してもらえないだろうというのも、マラソンの苦しさと一緒だ。
この企画を、面白可笑しく友達に語ろう、という気はあまり無かった。もうこうなると、いかにわれわれが苦労したか、を理解してもらえた方がいい、少しでもこの苦しさを共有してくれる人が居てくれた方が・・・
いるじゃないか。
初日リタイアしていた、ひび。ヤツなら、われわれの苦しみを唯一理解できる。よし、病床から呼び出せ。
急きょ、国道を離れることになった。レギュレーションで規定されている、「1日1回に限り、国道から5km以内で離脱が認められる」ルールが、ここで使われた。本来は、国道近辺の観光地を見に行くための措置だったんだけど・・・観光地?そんなもの、かすりもしなかったわ。
あ、違う。桶狭間のそばは通ったな。見に行こうとは思わなかったけど。
結局、ようやく体調が回復基調にあったひびをアワレみカーに連行し、最後は苦労したメンバー全員で、熱田神宮前で記念撮影を行って終わりにすることにした。

18時30分、熱田神宮直前。国道1号線の車線いっぱいに青看板がでているのが見えてきた。
知多、東海、四日市、弥富、岐阜、多治見・・・。
この道路には、無尽の可能性が、ある。
しかし、実際われわれが通ったのは東海だけだった。
一体、何をやっていたんだ。
そんな気分の、4度目の熱田神宮前。

熱田神宮をバックに、アワレみ隊4名で記念撮影。
おかでん「おい!ここが起点、って書いてあるぞ。起点じゃなくて終点だったんだけどな、うちら」
しぶちょお「長野まで270キロ、岐阜まで37キロ。全然近づきもしなかったな」
ばばろあ「やっぱり、最初のおかでんの一投がいかんかったんじゃ・・」
おかでん「まだ言うか!まあいい、さあ飲みに行くぞ、飲みに!明日の企画続行は無くなったんだ、今日は飲まずにやってられるか!」
ひび「昨日も同じような事言ってたような」
おかでん「だまらっしゃい。今日は付きあってもらうからな、僕の絡み酒に」

最後、ガツンと冷えた生ビールで乾杯。
「おつかれー」
のかけ声で乾杯となったが、お疲れも何も、いまだに体が車の中に居る感じ。昨晩もそんな感じだったけど、今日はもっとひどい。結局、翌朝まで体が微妙に揺れている感じは抜けなかった。
やけ酒をぐいぐい飲むつもりだったのだが、今日も、疲れが先行してしまい痛飲することがでできず。そこそこの量でやめてしまった。
酒を飲みながら、ばばろあは今回のレギュレーションについてあれこれと指摘。彼はボードゲームなどを愛する人間として、今回のゲームバランスの悪さとゲームマスターのコントロールの悪さが気になって仕方がないらしい。ただ、根本的にばばろあと、おかでん・しぶちょおの発想が違っていたのは、「いや、同じところをグルグル回るのも運命と思って受け入れなくちゃ」という、マゾ的状況を許容できるかどうかという点だった。
ばばろあは、適度にゲームは進展し、時には逡巡して・・・という絶妙なバランスでこの企画が達むのが良いと考えていて、おかでんは「絶妙なバランスもいいけど、今回のように熱田神宮参拝を繰り返してしまうような状態も企画としてアリ」と考えていた。お酒のせいもあって、大激論となった。
結局、この企画はマゾっけがないと辛いだけ、ということが議論の末にわかった。「こんな不毛な事に翻弄されているワタシ」をかわいく思えるかどうか、というところだ。
さて、今回の教訓をふまえて、次回は・・・という話題が席上、出てきたが・・・
「いや、当分はいいわ。というか、しばらく車に乗りたくない」
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