長崎の過去と今【軍艦島・池島】

肥前浜宿

09:33
以前は長崎街道の脇街道「多良往還」の宿場町だったという肥前浜宿。

街道沿いに建物が立ち並ぶが、非常に静かだ。歩いている人がほとんどいない。観光客?いるもんか。

ばばろあが驚きを隠そうとせず、何度となく

「今、ゴールデンウィークで?なんでこんなに人、おらんのじゃろ?」

と声をあげていた。

「ここ、観光地じゃろ?こんなに人がおらん観光地っていうのもどうなん?」

確かにそうだ。まだ時間が早いせいもあるのだろう。なにせ僕ら、メシも食わずに朝7時45分に宿を出ているもんで。

普通の観光客なら、この時間はまだ目的の観光地に到着していない時間だ。

肥前浜宿

まちなみ案内図。

宿場町の跡地なので、道一本を歩いて戻ってくればそれで観光はおわりだ。楽でいい。縦横無尽に古い町並みがあると、むしろ観光しづらい。

肥前浜宿

魚市場、という文字が残っている建物。

台形の形をした屋根が珍しい。

そして、江戸時代にもシャッターがあったことに驚かされる。

あ、さすがにこれは最近のものか。

あと、パラボラアンテナも・・・これも最近?そうですか。

肥前浜宿

人の気配がない道を歩く。

肥前浜宿

風情はすごくある。

人が少ないこともあって、ますます風情がある。こりゃあ、写真映する。観光客がわいわいいる、岡山の倉敷なんかよりよっぽど味わい深い。しかもこの建物、一つ一つが立派なことでかいこと。なんなのこれ。しかも煙突がある建物がちらほらと。

この界隈は酒蔵がとても多くて、別名「酒蔵通り」なんだそうだ。

肥前浜宿

建物の二階部分も立派。

肥前浜宿

酒蔵の煙突。さすがに煙突部分はレンガで作ってある。しっくいでは熱に耐えられないのだろう。

ド・ロ壁は・・・さすがにここには、ない。

試飲する蛋白質

それにしても、観光客相手に儲けてやろうという色気を出している店がない。先ほどの「肥前屋」くらいだ。そこから先、ぜんっぜんお店がない。時間が早いせいもあるのだろうけど。

ばばろあが、建物の中を覗き込んでいる。

「おいここ、入れるっぽいぞ」
「ええ?入っちゃうの?」
「ええじゃろ、鍵かかっとらんし」
「そういう問題かね?」

酒屋さんと思しきお店に侵入。

対応してくれた店員さんに、お酒の試飲を勧められた。ばばろあは車の運転があるし、僕はお酒が飲めない。となると・・

「俺か!」

蛋白質が代表して飲むことになった。

「俺が酒弱いの、知ってるだろうが」
「ああ知ってる、もうかれこれ20年以上何十回と聞かされてきた。大学時代パッチテストをやったら云々、って話」
「それでも飲め、と?」
「酔わなくていいぞ?味の感想さえちゃんと伝えてくれれば」
「そんなにわし、酒詳しくないのに」

そんなやりとりの後、お酒を飲む蛋白質。

店員さんに聞くと、今やこの肥前浜宿でお酒を作っている酒蔵はほとんどなくなったそうだ。建物だけは残っていて、風情バッチリなのに惜しい。

肥前浜宿

「玉ノ香」と書かれた煙突がそびえる酒蔵。飯盛酒造。これもまた立派な建物。

肥前浜宿

またばばろあがガラス扉から中を覗き込んでいる。酒蔵だけあって、広い空間が広がっている。人の気配は、ない。

「でも、酒が入っている冷蔵庫はあるで?やっとるんじゃないか?」

またもや「ごめんください」、といいつつお店に突入。

しばらくして、居住エリアの奥の方から奥様がびっくりした顔で現れた。あ、すいません、ちょっといっすかね。

ばばろあが建物をベタ褒めする。素晴らしい、と。しかし、今やここも酒の醸造は行っておらず、これだけの広い空間は特に何も使っていないのだそうだ。ばばろあがやたらと悔しがり、

「もったいないですね、せめて素泊まりの宿として提供するだけでも喜ばれるのに・・・」

と言うが、じゃあ誰が維持運営するのか、と具体的な話になるとなかなか難しいのだそうだ。

肥前浜宿

ここでも試飲を勧められたので、アワレみ隊を代表して利き酒師蛋白質に。

「このお酒は?」
「近くの酒蔵で作ったものですよ。うちではもう作っていないから」

「蛋白質、どうだ?」
「おっ、これは・・・なんだろうな、パーティーを開いているような味だ」
「なんだそのたとえは?」
「なんだか、華やかで楽しくなるような、そんな感じ」
「どんな感じかよくわからん」

肥前浜宿

酒蔵通りを歩いてわかったのだが、先ほどの「肥前屋」で売っていたお酒は、肥前屋そのもの(峰松酒造)が作ったものだけじゃないんだな。「光武」とか「魔界への誘い」というのは、別の酒蔵のものだ。峰松酒造自体が醸しているお酒は、「菊王将」。

街道筋から裏道に入ったところに、茅葺きの古民家があった。こちらも見学。

バウムクーヘン

最後、車を停めていた肥前屋に戻る。

肥前屋のことをSNSに投稿すれば、お礼にバウムクーヘン1/8切れがもらえるという。ならば、ということでFacebookに投稿し、バウムクーヘンをゲット。

なんで酒蔵でバウムクーヘン?と思ったが、酒米の「米ぬか」を使って作られたのだという。「米ぬか」という表現はあまりうまそうに感じないけど、肥前屋自らがこう表現している。肥前屋のオンラインショップによると、

日本酒の原料となる酒米を高精白して生まれた、佐賀県産米の特等米ぬかを使用した「肥前屋バウム」

と書かれている。「特等」という表現が面白い。米ぬかに「特等」!そりゃそうだ、酒造米を贅沢に磨きまくってるんだもの。事実上、ほとんど米粉だ。しかも上等な。

で、これなんだが、結構うまかった。思わず、お金を払ってコイツを2切れ買ってしまったくらいだ。ばばろあも追加で買い求めていた。それくらい、うまいのでおすすめだ。さすが米ぬか入り。

ちなみに「ぬか漬け」のイメージは一切ないので念のため。

先ほどの「浜天」に続いて、うまいもんが食べられてよかった。大満足。

そういえば、この宿場町って喫茶店の類が全然なかったなぁ。その分俗化されていなくてとても風情があったけど、つくづく商売っけがない観光地だ。

最後まで、観光客は少なかった。しっとりとした時間を過ごすには最適。



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