島流し御赦免ツアー

 八丈島観光名所完全制覇

日 時:2005年(平成18年) 04月30日~5月04日
場 所:八丈島
参 加:おかでん、しぶちょお(以上2名)

今年もGWの連休が迫ってきた。せっかくのまとまったお休みだ、ちょっとスケールのデカいことをしないと凄く無駄な気がしてくる。一種の脅迫観念なのだろう。「近場の温泉で一泊二日でほっこり」という程度だったら、いかに充実していても「損をした!」という気持ちになっているに違いない。

そんなこともあって、GW一カ月前に、アワレみ隊BBSにこんな発言が書き込まれた。

210: 名前:おかでん投稿日:2005/04/06(水) 18:17

さてGWが迫ってきたわけだが、アワレみ隊隊員におかれましては如何お過ごしでしょうか。過去、GWに行われたアワレみ隊の企画を振り返ってみた。

2004年:東北道の駅106カ所完全制覇
2003年:山陰温泉巡り
2001年:お遍路チャレンジ+讃岐うどん食べ歩き
1994年:飯能河原天幕合宿(2)

お遍路と道の駅というビッグイベントがひときわ目立つ。

さて今年は・・・?

おかでんは、5月1日付で職場異動になる可能性があって、初日となる5/2を休めるかどうか疑問なんだよなあ。5/6も同じく。これが現時点で全く不透明なため、どれく らいの期間、自らを企画に投入できるかが読めていない。

僕の現時点のかんがえ

(1)日本三大の旅II
→うわ、そういえばまだこれがあったんだよなあ。実はあんまり乗り気ではないが、あそこまでやったならば完遂しないと気持ち悪いよな。
(2)愛知万博、全世界食べ尽くし企画
→愛知万博のパビリオンやシステムがよく理解できていないので、もう少し調べてから考える。
(3)沖縄かどっかでまったり
→沖縄の大衆食堂で、盛りの良い琉球料理を食べる+夜は島唄と焼酎三昧
(4)秩父霊場34カ所巡り(徒歩)
→いつかやりたいと思っている。総距離100kmほどなので、無理な距離ではない。ついでに、秩父の蕎麦を食べ歩く。
(5)飛島とか、八丈島とか、どっか離島に現実逃避
→離島もたまには行きたいねえ
(6)いっそのこと台湾に行っちゃう
→海外、また行きたくなってきた。台湾で食べ歩くのもいいかなと。

この発言を機にGW企画の検討が開始となったのだが・・・時は流れて4月末。

229: 名前:おかでん投稿日:2005/04/27(水) 08:06
昨日、「島の旅」という本を買った。全国の離島案内。

・・・「日本最後の秘境(自称)」トカラ列島に行くか?

鹿児島からフェリーになる。29日夜には鹿児島発の便がある。
トカラ列島内をピストンしながら移動するというのは面白いだろう。

1便しか運行されていないので、島の端から次の島へと渡り歩こうとすると2-3日おきでないと便がない。ゆえに、行って、帰って、また行って、と船を乗りこなしてジグザグに島を渡り歩くのが正しいスタイルだとか。

なにしろ島民が100人とかしかいないような島だ、その気になれば占領することも可能!?

トカラ列島以外としては、
・奄美大島 ・五島列島 ・やっぱり沖縄本島
が候補かな。沖縄は一番手堅いが。

GW直前なのにいまだにこんなことを議論している始末。しかも、トカラ列島みたいにむちゃくちゃな案が提示されている。これじゃ、まとまるものもまとまらない。ま、昔からアワレみ隊の企画ってこんな感じだった。直前になってようやく固まるのが常。今回も「いつも通り」といえばいつも通りのでき事だ。

結局、「長いGWを有効に、長く使うためにはそれなりの旅の企画(ネタ)が無いと駄目だ」という事があり、そのために旅程の決定が遅れるわけだ。

直前までバタバタと検討を重ねたが、今回の参加者であるおかでん・しぶちょお両名のモチベーションとリズムがいまいちうまくかみ合わず、

255: 名前:しぶちょお投稿日:2005/04/28(木) 22:30
俺の才能は枯渇した!! アカン、何も思いつかん。
肩があがらんほどに痛くて、パソコンに向かうのも苦痛だ。

というギブアップ宣言に近い発言まで出る始末。ちなみにGWは4月29日からスタートなので、前日の夜時点でこんなありさまなのであった。

結局今年はGW企画ないなぁ、とさすがにさじを投げたおかでんは、八丈島に一人でぶらり旅をしようという気持ちに考えをシフトさせていった。そこから話は急に展開していく。

266: 名前:おかでん投稿日:2005/04/29(金) 08:49
ただいま、単独行で八丈島行きの検討開始。
現地で二食付き6300円の宿を発見。焼酎のみ放題なんだと(笑)。
羽田からの飛行機はまだ空きがあるので、何とかなりそう。往復割引12,600円。
八丈島には温泉があちこちにあるので、温泉巡りも楽しそうだし、くさやで一献、というのもいいだろう。

267: 名前:おかでん投稿日:2005/04/29(金) 16:03
急転直下、というのはこのことか。しぶちょおと会談し、急きょ明日から5/4まで八丈島行きが決定したのであった。
ただし、行きと帰りの飛行機し確保していない。現地の宿なんてまだ全然決まっていない。現地についてからという状況。
さてどうなることか。八丈島は、特に「受け身」型の観光スポットがないので、自分で情報収集して時間の過ごし方を考えないと。
先ほど本屋に行ってきたが、八丈島に関する文献を取り扱っていなかった。

とりあえず八丈島に明日朝から行ってきます。明日葉うどんとくさやと島焼酎で酩酊してきます。

268: 名前:おかでん投稿日:2005/04/29(金) 16:04
なにしろ、二人で電話しながら飛行機の予約を入れたはよかったが、羽田早朝便だったために
「あ・・・羽田にこんな時間にどうやっていけばいいの?」ってしぶちょおが後になって気づく状況。
(結局、しぶちょおは羽田近郊で一泊を強制される始末)

269: 名前:しぶちょお投稿日:2005/04/29(金) 16:28
あわてて取ったので変(?)なところになっちゃったよ。
ttp://www.baigetsu.co.jp/ [source] [check]
羽田にすこぶる近いんだけど、ちょっと高いしぼっこい。
もう少し施設の良いところにしとけばよかったか?

270: 名前:おかでん投稿日:2005/04/29(金) 16:32
なんか八丈島って、ダイビングと釣り以外だったら1日程度で飽きる島だっていう情報が・・・。
青ヶ島まで繰り出すかどうするかは要ご相談ってことで。
とりあえず明日、羽田空港に行ったらまずは本屋で八丈島の情報を集めないと。

と、まあこんなありさま。GW企画が無事に決まったのは大変に結構なことであったが、さて八丈島って一体何があるところなんスか?ということがさっぱりわからない。まさに思いつき企画だ。八丈島関連の書籍は、近所の小さな本屋程度では取り扱っていなかった。webサイトを軽く眺めたが、えーと一体何をして過ごせば良いんですか僕たちは。全く想像ができない。ダイビングができ るって?いや、僕らライセンス持ってないし。

どうにかなるさ、という覚悟はできているが、そうはいってもどうなるんかさっぱりわからん。八丈島にあるという温泉にどっぷり浸かって時間を潰すことになるのか、それとも娯楽満載でウワァ楽しい、時間が無い!となるのか。

予約したチケットは、往路4月30日、復路5月4日。4泊5日の日程。確保したのはたったこれだけ。宿も手配していないし、そもそも現地に何があるのかさえわからない。行き当たりばったりの旅が今、始まる。

2005年04月30日(土曜日) 1日目

羽田空港

朝7時過ぎ、羽田空港でしぶちょおと合流する。7時45分羽田空港発八丈島行きANAに乗るためだ。

合流したしぶちょおと、「いやー、想像していなかった展開になったねぇ」と顔を見合わせて苦笑する。24時間前の時点では、八丈島に行くなんて話は何一つ無かった。心の準備なんてまったくできていないまま、今日という日を迎えてしまった。

「なんかね、どうやって今回の旅に対して気持ちを高めていけば良いんだか、まだわからんのだよ」

「宿が手配できなかったらどうする?八丈島に行ったはいいけど、宿が確保できなくて日帰り八丈島旅行なんてことになったらたまらんな」

そんな話をしながら、飛行機が待つ57番ゲートに向かう。57番ゲートには、当たり前だが「ANA821 Hachijojima 7:45 Now Boarding」という電光掲示が。また、二人そろって顔を見合わせて笑ってしまう。

「やっぱり俺ら、本当に八丈島に行くんだな」
「多分間違いない」

どうでもいいことだが、この写真、ちょうどスクロールしている注意事項の表示が途切れる直前にシャッターを切った状態。そうすると、「ANA ださい。」という表示がされているように見えた。ひそかに爆笑。

アイランドドルフィン

今日これから乗り込むB737-400、通称アイランドドルフィン。青色に彩色され、機体側面にはイルカの絵が描かれている。南国離島行きムード満点だ

・・・と思ったが、あまりに機体が小さいため、全然模様を眺めることができなかった。

「おい、搭乗ゲートに飲み込まれそうになっているように見えるぞ」

隣のデカい飛行機と比べると、なんとも小さな飛行機だった。

八丈島-羽田便は一日4往復が就航している。八丈島に行こうと思ったら、このほか伊豆七島を結ぶヘリコプター路線「東京愛らんどシャトル」か、竹芝桟橋を毎日22時に出発するフェリー「かめりあ丸」などがある。ただ、片道1万円強で行くことができ、所用時間45分、しかも一日四便の飛行機の力は圧倒的。時間に余裕がある学生さんや少しでもお金を浮かせたい人以外は飛行機を利用しているようだ。

後で、八丈島のツアー旅行情報などを調べてみたが、「行きは夜行フェリー、帰りは飛行機」という変則的な行程を採用するツアーも結構あるようだ。確かに、現地に朝到着するフェリーは非常に時間の効率が良い。これに、第四便の飛行機を組み合わせれば、現地滞在時間は最大化できる。

小さい飛行機故に、おもちゃのようにうわーんと飛び上がり、僕らは空の人となった。さすがに離陸までに要する時間と距離が短い。あと、振動もちょっとばかり大きい。

所用時間45分なので、「いやー出発しましたなあ」「そうですなあ」なんて暢気に会話をしている間に、もう降下を開始してしまった。早い。混雑する朝の羽田空港を離陸するまでに10分から15分を要するわけであり、正味空を飛んでいるのは30分ちょっとだ。

せっかく窓際の席を確保していたのだが、残念ながら曇天のため伊豆諸島を眺めることはできず。

風が強いという事で、飛行機は操縦に苦労していた。就航率が50%を下回る時もあるという飛行機泣かせの路線だと聞いていたが、確かに太平洋のど真ん中の空港だけあって風に煽られまくっていた。着陸のため減速すると風にあおられてコントロールを失うし、かといって減速をしなければ滑走路をオーバーランしてしまう。素人の耳でも分かるくらい、着陸前にはこまめにエンジンの出力を調整しながらふらふらと滑走路に・・・

滑走路に・・・

おい、足元に滑走路が見えてちょっと時間が経つのに、着陸しない、できない。あれれれ、と思っているうちに滑走路真ん中あたりでようやくガツンと着陸。本来であればここですぐにリバース・スラストが作動して轟音とともに減速するのだが、しばらくするすると進んだまままたぐいーんと機首が上へ。あらー、また快適な空の旅へようこそ。

あっという間に八丈島空港を飛び立ってしまった。いわゆるタッチアンドゴーだ。

観客一同、違った、乗客一同「おおー」と歓声を上げる。うわ、あぶねぇ。離陸した直後には滑走路途切れてるんですけど。このまま強引に減速して停止を試みたら、滑走路をオーバーランすると判断した機長が急きょタッチアンドゴーを敢行したのだろう。

すぐに機長から機内に連絡が入る。気流の影響で着陸ができなかったので、もう一度挑戦するのだという。さすが八丈島、南海の孤島だ。そう簡単には上陸させてくれないのだな。

八丈富士をぐるり反時計回りに周回し、10分後に再挑戦。ああっ、今度もなんだかさっきと同じ展開になりつつあるような。高度をすっと下げると機体のバランスが悪くなる。怪しい動きだ。着陸後、もの凄い勢いで逆噴射がかかり、シートベルトを締めていないと前の椅子にぶつかってしまいそうな制動。かろうじて八丈島の大地に踏みとどまることができた。逆噴射の轟音が落ち着いた直後に飛行機は機首を反転させターミナルに向かったが、滑走路に対して横を向いた時に窓際の人たちが「おおお」と歓声をあげていた。窓の外を見ると、結構な至近距離に滑走路の終端があった。アブねぇ。

この空港、滑走路長が2,000mしかないのでこういうことになるようだ。何ともスリリングな、しかし得難い体験でわれわれの八丈島企画は幕をあけた。

・・・で、僕らここで何をするんだっけ?機内でも、何一つ決まらなかった。

八丈島空港到着

八丈島空港到着。

相変わらず、アイランドドルフィンの姿をちゃんと拝むことはできなかった。

一日四便しか飛行機が飛ばない空港なので、ターミナル直結の搭乗ゲートではなく、タラップから乗り降りするのかと思っていたがそうではなかった。

八丈島は曇り。

空港のあるあたりは太陽が照っているのだが、三原山のあたりには怪しい雲が渦巻いていた。太平洋ど真ん中の島なので、風が山にあたると気流がいろいろ複雑に展開されるのだろう。

荷物受け取り

荷物を受け取るところは、さすがに小さかった。ベルトコンベアの上には、八丈太鼓が飾られているのが旅情をそそられる。

乗客の様子を見ていると、スキューバダイビングの装備を持参する人、釣り具を持参する人が多かった。

僕らは・・・僕らは、何をするんだ?とりあえず、シュノーケリングの装備は持参したのだが、果たしてウェットスーツ無しで5月初旬のこの島で泳ぐことは可能なのだろうか。正直自信はない。

案内カウンター

手荷物を受け取ると、乗客はそそくさと目的地へと散らばっていった。朝の便で八丈島入りするような人たちだ、きっと頭の中では八丈島満喫プランが満載なのだろう。一刻も早く、そのプランを実現したくて仕方がないはずだ。

その点われわれは、「さて、どうする?」といって八丈島空港のロビーでたたずんでいた。幸い、ロビーには八丈島観光協会の案内カウンターがあったので、そこで相談してみることにした。どうやら、ここでレンタカー、宿といった手配はできそうだ。しかも、観光案内地図なども各種入手可能だ。

「えーと、今日泊まるところを探しているんですけど」

我ながら恥ずかしい依頼事項だ。こんな太平洋のど真ん中にやってきておきながら、宿が決まっていないとは無謀以外の何者でもない。しかも、ゴールデンウィークだというのに。宿取れなかったら帰りの便、確保できるんだろうか?なんて、本日これからの便の空席状況をちらちら確認しつつ、観光協会のおねーさんと相談をする。

クーポン

ありがたいことに、宿もレンタカーも確保ができた。おねーさんは「この時期どこもいっぱいですけどねえ・・・」と言っていたが、セレクトした民宿に一発で予約オーケーだった。早速、民宿とレンタカーのクーポン券を発行してもらった。

4泊、と記されたクーポン券を渡された時には、さすがにちょっとだけびびった。ホントに4泊すんのかよ、と。何しろ何もする事が決まっていないこの旅行、4泊滞在して何をすれば良いのか、全く想像できない。一泊、二泊程度だったらまぁなんとでもなるだろう。離島で終日ぼーっと過ごすのも悪くない。しかし、4泊5日となるとぼーっと過ごしているうちに脳細胞が壊死してしまいそうだ。どきどき。だめ押しで、期間中借りっぱなしの予定でレンタカーのクーポンも発券してもらった。さあもう後には引けないぞ。どうしてもやることがなかったら、ひたすらぐるぐると八丈島周回タイムトライアルでもやるしかないか。

ちなみに、民宿は2名で4泊、57,120円。一人一泊二食で7,120円ということになる。レンタカーは軽自動車96時間レンタルで12,000円。24時間につき3,000円だ。レンタカーが非常に廉価だが、この八丈島の地ではガソリン代金が1リットル180円ぐらいしたと記憶している。調子にのってぶいぶい走り回っていると、案外燃料費でコスト高になるので注意だ。あと、実際には対物保険を追加したり運転者を2名に設定したため、結局1日あたりのレンタル料は5,000円くらいになったはずだ。

レンタカー店の送迎があるというので、空港でしばらく待つ。待っている間、観光協会カウンターで各種観光案内のパンフレットを貰う。うーん、いまいちピンとこない。もう少し、島全体を俯瞰した状態でこれからの計画を立てないと。やはり、まずは車を借りた後に本屋に行かなくては。

モービルレンタカー

迎えにきたレンタカー店は「モービルレンタカー」という名前だった。空港ターミナルから滑走路を挟んで反対側にあるところにお店があり、そこまで送迎車で送り届けて貰った。到着してみて、なるほど納得。そこはモービルのガソリンスタンドなのだった。ガソリンスタンドがレンタカーやってれば、給油でもビジネスができるという一石二鳥だ。大変にわかりやすいビジネスモデルと言える。あと、お客としては車を返却する際に満タン返しにしなくても良いという気楽さがある。

レンタカーを受け取る

手続きを済ませて、ガソリンスタンドの向かいにある駐車場に案内された。軽自動車を中心にレンタカーがたくさん並んでいる。われわれにはトッポが支給された。

まず本屋に行き、八丈島のガイドブックを二冊購入した。さすが八丈島のお店だけあって、我らが島を紹介するガイドブックは何冊も置いてあった。しかしそんな本を現地の人が買うはずもなく、これは僕らみたいに「無計画で現地まで来ちゃいました」な人向けのものなのだと思われる。「あ、行き当たりばったりの人は僕らだけじゃないんだ」とちょっとだけ勇気づけられる。店員さんにお薦めのガイド本を聞いたりしながら、一人一冊ずつ、合計二冊を調達した。

小崎荘

とりあえず宿だ。先ほど予約を入れていた小崎荘という民宿に荷物を置いて、そこでいったん作戦会議を開かなくてはならん。何しろ、「宿に行く」というイベント以降何一つ予定が立っていないし、そもそも八丈島のどこに何があるのかさえ理解できていない。「お昼には島寿司を食べたいねぇ」「明日葉うどんというお店もあるらしいねえ」なんていう食い物の話くらいしかチェックできていない。さすがに一日中食ってばかりというわけにはいくまい。

とはいっても、これが迷った。観光協会の案内所で宿を紹介してもらった時点で、なんだか難しそうな案内をしてもらったのだが、その通りに行っても宿が発見できなかった。何しろ、舗装されていなくて、畑と民家の間を縫っていくような細いあぜ道だ。おい本当にこれで大丈夫なのかよ。

一回目、発見できず。民宿だから見つけにくいというのは理解できるんだが、それにしてものっけからお見舞いしてくれるじゃあないか、こりゃあ。間違えて漁港の奥深くに侵入してしまって猛烈にバックしたり、あれこれこの周辺をうろつき、くさや工場の脇をとおり、もう一度畑のあぜ道を通り・・・ちょうど畑で作業をしている人がいたので、「すいませーん、小崎荘ってどこですかぁ?」と聞いたら「すぐそこだ」と指さす。先ほど、軒先を通過した民家だ。

??単なる民家に見えたのだが・・・

未舗装の道路に車を停め、うろうろしてみる。

あれ。コンクリートブロックに無造作に布団が干してあるけど、その背後に何か看板のようなものが見える。

おざき荘入り口→

布団をめくってみたら、案の定。「おざき荘入り口→」という看板が出てきた。

あろうことか、看板を隠してしまっていたのだった。

しかもわれわれがやってきたのは裏口から。もし布団が無かったとしても全く視認することができなかった。宿見つけるのにここまで苦労したのは初めてだ。

誰も出てこない

玄関には大きな表札が掲げられていたのだが、この玄関は奥まったところにあり、なかなか気づきにくいところだった。ま、これなら気づかなくて当然だ。

がらがらと扉をあけて、「ごめんくださーい」とやったが、誰も出てこなかった。買い物に出かけたのだろうか?

「でも、さっき観光案内所の人が電話して、部屋の確保をしたんだから居るはずなんだがな?」

としぶちょおがしつこく「すいませーん」と暗い室内に声をかけたが、結局誰も出てこず。

「・・・どうする?」

「どうしよう?」

早速途方に暮れてしまった。部屋に入って、そこで作戦会議をして今後5日間どうやって過ごすかを検討する予定だったのに、これではそれすらできないではないか。

抜舟の場に向かう

「とりあえず、近くに『抜舟の場』っていう観光名所があるようだから、そこに行ってみるか」

先ほど観光案内カウンターで貰った、「八丈島観光地図」を眺めていたしぶちょおから提案があった。

「抜舟の場?何だそれ?」

「さあ?名前しかわからん」

何ともいい加減だが、とりあえずこの民宿の前で宿の人の戻りを待っていても不毛だ。何だかよくわからんが、抜舟の場なる観光名所?に行ってみることにした。

車で1分少々、あっという間にその「抜舟の場」なるところに到着した。岩がごつごつした海岸だ。

奇異な形をしたホテル

海岸からほど近いところに、奇異な形をしたホテルがあった。ここ八丈島はホテルの数が少なく、圧倒的に民宿の数が多い。廃業したホテルもあるとのことで、大型宿泊施設は八丈島の観光需要数と釣り合いがとれないのかもしれない。

・・・と、そんなことを考察している場合ではない。で、何すんの、何を。

作戦会議

車中で、先ほど貰ってきたパンフレット及び購入した観光ガイド本を読みあさる。

「とりあえず八丈富士に登ってぇ、温泉が何カ所かあるからそこに全部浸かってぇ」

「うーん、何か核となるものが欲しいな」

「4泊もあるんだもんな、行き当たりばったりだと何だか無駄に時間が過ぎそうだ」

「八丈島の焼酎全種類飲み倒し!」

「それ俺が飲めんではないか」

八丈島は決して広い島ではないのだが、焼酎の生産が非常に盛んだ。5つの蔵元があり、島焼酎と呼ばれる焼酎を醸している。芋焼酎、麦焼酎が主で、中には芋と麦のブレンド焼酎もあるという。

「・・・と、書いてありますガイドブックには」

しかし、そんなものを昼間っから飲んでいたら単なる酔っぱらいだ。

しばらく二人がかりで「うーん」と唸っていたが、しぶちょおが「ここに書かれている観光名所全部回るか?」と言い出した。手にするは、先ほど貰ってきた「八丈島観光地図」。

//www.hachijo.gr.jp/html/course/osusume_img/pdf/kanko_map.pdf

当初は、この中から「めぼしいところ」をピックアップして行くことを考えていた。しかし、よく数えてみると、ここに記載されている名所旧跡は、全て合算しても80カ所程度しかない。それほど広くない島であること、車という足を確保したこと、何しろわれわれには4泊5日という長大な時間が与えられていることを考えると、この提案は現実味があった。いや、むしろ「目標を設定して、それにむけて突き進むゲーム的旅行」が好きなわれわれにとってはすごく魅力的なアイディアに写った。

「それは面白い!」

すぐに飛びついたが、ちょっと待て、どんな名所があるのか確認しておかなければ。

八丈富士、三原山といった「登山」もあれば、何だかわからん碑があったりお墓があったり、お堂だったり空港だったり。滝といった自然もあるし、絶景ポイントもある。そして極めつけは10カ所にも及ぶ温泉。素晴らしいごった煮だ。海抜ゼロメートルから八丈富士山頂854mまで、三次元に島を満喫することができそうだ。

思いつきにしては何という素晴らしいアイディアだ。しぶちょおの発案に深く感銘をうけつつ、この場をもって「八丈島観光名所完全制圧」企画がスタートとなった。

この手の企画は得意だ。四国八十八カ所巡り、東北道の駅106カ所スタンプラリーを通じて、ギリギリの時間の中でやりくりするタイムマネジメントを身につけている。今回も、タイトなのかどうかはわからないがきっちりと完遂してみせようじゃないか。

「うおおお、俄然盛り上がってきたぞ」

さっきまで「どうするぅ?」「今日の便で帰るか?」なんて冗談半分、本気半分のことをしゃべっていたのだが、いよいよここからが八丈島本番。島焼酎飲んで酩酊している場合ではない。早速行動開始しなければ。何しろ、改めてカウントしてみるとこの地図に記載されている観光名所は82カ所。実質あと4日で全部回ろうとすると、1日20カ所ずつは最低回らないといけないことになる。

「・・・移動時間含めて一カ所20分だとして、1日400分。約7時間かぁ。いいところだな」

何となく絶妙な配分のような気がしてきた。

[No.05 抜舟の場 2005年04月30日 10:51]

抜舟の場解説

まずは、今いる場所である「抜舟の場」を第一番目の制圧ポイントとし、観光を満喫しようではないか。車を降りて、あたりを散策してみる。

で、一体何なんだ、ここは。

何しろ、観光地図はあくまでも地図に過ぎず、それが何なのかがさっぱりわからない。現地に行ってみないと想像すらできないという「開けてびっくり玉手箱」状態なのだった。

抜舟の場

宇喜多秀家が流されてから明治4年(1871)に至る265年間に八丈島は1,917名の流人が送られて来た。

流人の中には漁船を盗んで脱出を計る者も居たが、これを抜舟と呼び、11回も記録されている。しかし、追手に捕らえられたり、波浪に呑まれたりして殆どは失敗し、成功した記録は1件だけである。此処は漁船も多く、北側に面していて、抜舟に好都合の所だったらしい。

と、看板には記されていた。なるほど。クイズの答えを読むような心境だ。

碑

で、抜舟の場と書かれた碑があった。

抜舟の場

結構入り組んだ岩場になっていて、この岩の陰に盗んだ舟を隠しておいたのだろう。そして、夜になったらそのまま脱出、というわけか。

勉強になるなあ。

まさか、八丈島にきて流人の歴史を勉強することになるとは思わなかった。

昔、松本清張の「無宿人別帳」で八丈島に島流しになる話を読んだけど、なるほどここが実際の場所なのか。

・・・と、この時は感心していたのだが、家に帰って調べてみたら「無宿人別帳」は佐渡島に流される話だった。昔八丈島に島流しになる小説を読んだような気がしたけどなあ、あれこれ記憶を辿ってみたら、山本周五郎の「さぶ」だった。ちなみに「さぶ」の舞台は八丈島だったか別の島だったか、今となっては記憶がない。

沖を航行中のフェリー

抜舟の場から海を見やると、ちょうど一隻の船が八丈島離脱を計っている最中だった。くせ者だ!出会え、出会え!

どうやらあの船が竹芝桟橋~八丈島を往復するさるびあ丸らしい。あれ、違った。かめりあ丸だったっけ。久しぶりにお勉強したので、頭が混乱中。

木造の船

木造の船が抜舟の場に置いてあったので、われわれも乗り込んでみる。さてこれでお江戸まで戻ることができるでしょうか。

・・・うーん、おそらく黒潮に流されて、気が付いたらとんでもないところまで流されてしまいそうな気がする。どんなにガッツがあっても、江戸まで戻れる気がしない。