島流し御赦免ツアー

[八丈八景No.2 大里晩鐘 2005年05月02日 10:22]

大里晩鐘解説

歴史民俗資料館の近くに、「八丈島甘藷(さつま芋)由来碑」なる観光名所があるようだ。われわれは、レンタカーを狭い細道に突っ込ませ、ゆっくり走りながらあたりを調べまくった。

「さつま芋が何年何月に八丈島に伝来しました、とか飢饉の時、さつま芋で救われました、といった事が書かれている碑文なんだろ?それを見たから何がどーなるというわけでもなかろうに・・・」

すでにわれわれは八丈島観光のなんたるかを体得しており、「碑」と名前が付いている時点で非常にやる気が無いんである。ましてや、その碑のサイズがデカいのか小さいのかもわからないので、探しにくいときたもんだ。「面倒じゃのぅ」と言いながら、雨の中を探索する。

すると、前方からは見慣れた看板が。おや、大里晩鐘、と書かれている。八丈八景の一つだ。観光地図で見る限り、どうやら甘藷由来碑は通り過ぎてしまったようだ。おいおい、気づかねぇよ、これじゃ。

妄想・大里晩鐘

大里晩鐘

大賀郷大里には、曽て宗福寺と長楽寺があって、朝な夕なに鐘を撞いて、島民に時刻を知らせる時報の役割を果たしていた。そこで大里の晩鐘として八丈八景にも選ばれていたがその後、両寺とも多地区へ移転したため、その鐘の音も聞かれなくなってしまった。

夕暮れの 秋のあはれに 添ひてまた 入相告ぐる 大里の鐘
蜂須賀 文敏

えっ、既に過去形のものになってしまったんスか。おいおいおい。

そんなものを観光名所として地図で紹介するなと声を荒らげて言いたい。

100人中100人が、この地を訪れてがっかりするぞ。お寺が移転する前の風情と鐘の音を想像しろっていうのか。むちゃなことを言うな。

「とりあえず、ココロの中で鐘の音を想像するということで」

一同、瞑目しつつ鐘の音を想像する。お寺が繁栄していたころを想起しながら。

「どうだった?」

「いや、全然」

そりゃそうだ。

[No.27 八丈島甘藷(さつま芋)由来碑 2005年05月02日 10:29]

八丈島甘藷(さつま芋)由来碑

甘藷由来碑が見つけられないので、今来た狭い道を苦労してUターンする。わかりにくい観光名所、というシチュエーションにはいい加減慣れたが、それにしても難儀する。

地図を疑うべきなのか、自分たちが今来た道に見落としがあったのかというと、7:3の割合で地図の方が胡散臭いのだが、それに文句を言い出してもきりがない。とりあえず地図を頼りに探すしかない。われわれは、今来た道を戻りながら、もう一度逆の角度から道路周辺の何かの目印を探した。

・・・なにしろ、道路の右!と地図上には書かれていても、実際は左側に存在するなんてこともあり得る。

あ、何か木の看板があるぞ。ひょっとして、あれか?

ひょっとして、ソレ

ひょっとして、ソレだった。

フェイントだなあ。いつもの白看板か黒看板を想定していたのだが、今度は木製看板が登場するとは。

それにしても、Uターンしたからこの看板を発見できたわけであり、逆方向からの進行だと発見できなくて当然だ。木に隠れてしまっている。

なんでも、1866年に「八丈島の飢饉を救ったのはうちの先祖が島に持ち込んだサツマイモのおかげなんである」という事が書かれているらしい。

記念碑前で撮影

碑には花が活けられており、いまだ島民に大切に扱われていることがわかる。

でも、外来の僕らからすると「ふーん・・・」で終わってしまうのであった。

[D 黄八丈織元 2005年05月02日 10:42]

黄八丈織元

濃霧の中、一気に島の南部に向かう。昨日訪れた服部屋敷を通り過ぎ、目指した先は「黄八丈織元」。観光地図上では、数字でナンバリングされていないで「D」と記されている。一体何の意味があるのか、地図には一切記載がない。よくわからない。オリエンテーリングでもしろというのだろうか。

到着したところは、「黄八丈ゆめ工房」というお店だった。織り、染めの製造もやっているし、直売もやっている。

ここ以外にも黄八丈を製造しているところはあるだろうに、なぜこのゆめ工房だけが観光地図に記載されているのだろう。謎だ。観光客向けに一般公開しているのはここだけだったのかもしれない。

「んー、ここに来たからには何か買って帰らないと、観光地制覇ということにはならんのだろうか?」

「いや、そんな縛りはやめておこうぜ」

結構黄八丈ってお値段がするんである。手間暇かかっているから、決してお安い値段ではない。とはいっても、何だかさっきからトホホな観光名所を連続で引き当ててしまっているし、この濃霧だし、気分を晴れやかにするために一品購入。黄八丈独特のうこん色をしたティッシュペーパー入れ。えーと、買ったはいいけど、これ誰にあげようか。何も考えておらず、店を出てから「さてどうしたもんか」と考える。結局母親へのプレゼントにすることにした。

[No.40 大御堂 2005年05月02日 10:56]

大御堂

続いての行き先は「大御堂(おおみどう)」というお堂。

大御堂解説

何でも昔飢饉で700名以上もの餓死者が出たことを追悼するために、明治時代に造られたものらしい。

記念撮影

以上おしまい。

いやもう、いちいち解説つけてられませんぜ。

ここから中之郷地区

さあここから中之郷地区なわけだが、ここも観光名所の密集地。当たりはずれは当然あろうが、分刻みで満喫しようじゃあないか。

特にここは、温泉もあるし、滝もあるし、海もある。非常にバランスよく満喫できそうなんである。ある意味、この観光名所巡りの中で最大級のお楽しみポイントなのかもしれない。少なくとも、訪問前はそういう心構えだった。

ああ、そういえば既に「やすらぎの湯」は先行して昨日、入湯したんだっけな。それでもまだ、この地区には二つも温泉が残されている。素晴らしい。

[C 裏見ヶ滝 2005年05月02日 11:05]

裏見ヶ滝解説

まず一発目は、裏見ヶ滝という滝を見に行くことにした。裏見ヶ滝温泉の駐車場に車を停めて、山道を分け入ることにした。天気がいつ崩れて雨が本降りになるかわからないので、温泉は後回しだ。

三原川が人家に近づいて、中之郷の水田用水路と交叉する時、三原川は滝となって落下し、用水路とそれに沿った道路は滝の内側を通るので、流れ落ちる滝の簾を内側から見ることになる。そこで裏見ヶ滝と呼ぶようになつた。大変珍しい景観なので、見物にやつて来る者も多い。しかし、文字を見ないで発音だけ聞くと「恨みの竜」と思うらしいが、文字を見ると「裏見か」と感心する。

「あっ、出た。例の『サボテンにも花が咲くのですか』の人の名調子だ」

ざっと読むだけでわかってしまう、独特の味わい。ここにも登場ですか。「裏見か」と感心する・・・というくだりは、円熟味を帯びたタッチだ。とても若輩者のわたくしごときには書けない。

裏見ヶ滝遊歩道入口・出口という看板

裏見ヶ滝遊歩道入口・出口という看板がある。ご丁寧に「出口」とまで書いてるのは親切すぎる気もするが、まあいい。

「本当に行くか?」

「うーん」

一瞬、躊躇する。ジャングルとまではいかないまでも、うっそうと繁った山の中に道は延びている。下草刈りなどはされていて整備されている様子だが、一体この道を何分かけて歩かなければならないのか、さっぱり検討がつかない。何しろ、地図を所持しているといっても、例のいい加減な観光地図だからなあ・・・。

山歩き

いまさら引き下がるわけにもいかないので、「どろんこになりそうだったらギブしちゃおう」と示し合わせて、山道に分け入ってみた。

霧があたりを包み込んでいる。

観光客は僕らを除いて、誰一人としていない。

未知の生物と遭遇しそうな、そんな印象をうける山歩き。幸い、アップダウンが激しいようなところはなく、どろんことは無縁でさくさく歩くことができた。

裏見が滝

あった。

これが裏見ヶ滝。

写真だとちょっとわかりにくいが、二人が立っているすぐ上のあたりに滝が落ちている。

ごうごうと音を立てて落ちる、名瀑ではない。水量豊富というわけではないので、「ちょっと尋常ではない量のしずく」といった感じ。

滝の裏側

横から見ていては滝の本質ではない。やはりここは、裏に回らないと。

遊歩道は、ちゃんと滝の裏側を通るように造られていた。

裏側からみた図。

写真だと全然状況がわからないと思うが、水がしたたっているのはなんとなく判ると思う。こういう滝。

「裏見か」

とりあえず驚いてみる。

[ヘ 裏見ヶ滝温泉 2005年05月02日 11:17]

裏見ヶ滝温泉

じとじとする中、ぐるっと回って車道に戻ってきた。

さあ、次は同じ「裏見ヶ滝」の名前を冠している、「裏見ヶ滝温泉」だ。ちょうど遊歩道の出入り口の向かいにある。

向かいにある、といってもそこにあるのは看板と下駄箱だけ。ここで裸足になって、崖下の温泉に入れ、ということらしい。

注意書き

いろいろ注意書きがあるが、要約すると

  • 無料で入れます
  • 水着着用の混浴です
  • 10:00~21:00までです

ということだ。石けんも使えない、湯船があるだけのシンプルな温泉。カップルで観光にやってきた人にとっては、水着着用の混浴露天風呂があるというのは非常に魅力的な話だ。八丈島、奥が深いなあ。様々な娯楽を用意してくれている。

湯船

早速われわれも、車の陰で水着に着替えて湯船にGO。

湯船はこんな感じ。

霧に包まれた谷の景色を愛でながら入浴できる。これは結構ポイント高い露天風呂ではないですか。こんなのが無造作に無料として公開されているのは驚きだ。

崖の下には滝

湯船の向こうの崖下はどうなっているのだろう、と身を乗り出してみた。すると、ここにも滝があった。

裏見ヶ滝、というよりここは横見ヶ滝といったネーミングが正しい。

裏見ヶ滝温泉

岩からざばざばとお湯が供給され、溢れたお湯は崖下に落ちていく。すごいかけ流しだ。落差数十メートルのかけ流し。

とても良いお湯だ。湯船も、「無料の公衆浴場」とは思えないくらい広くゆったりとしている。もっとも、夕方になると海に潜っていたダイバーさんたちがたくさんここにやってきて、ごった返すこともあるようだ。

そういえば、ゴールデンウィーク中というのに人が少ないなあ。非常にもったいないことだ。どの観光地も、人だかりというものが無い。

・・・当たり前か、怪しい観光地ばっかり巡っているんだから。

[ホ 中之郷尾越温泉スタンド 2005年05月02日 11:18]

中之郷尾越温泉スタンド

車を駐車していたところにあった温泉スタンド。

おっと、あまりにさりげなくて見過ごすところだったが、これも観光地図に載っているんだった。忘れずに写真を撮影しておかないと。

裏見ヶ滝の源泉もここ。道路を挟んで、給湯されている。

ナトリウムー塩化物強塩温泉。

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