島流し御赦免ツアー

三原山山頂

09:45、三原山山頂。歩き始めて30分ちょっと。

「朝、山に登るって気持ちいいねえ」

二人して握手して、がははと笑う。

「何しろ、まだ10時前だぜ?それで山頂にいるんだから。まるで、途中の山小屋で一泊して、そこから登り始めたみたいだ」

八丈富士

山頂から北の方角を見る。

八丈富士がその雄大な姿を見せている。感心するくらい、コニーデ型で美しい山容だ。

「・・・コニーデ、で良かったっけ?」

「だっけ?」

感心してたんちゃうんか。

実際のところ、コニーデ型火山で正解。帰宅後、気になったので調べた。

南側を見る

くるりと向きを変えて、南側を見る。

山の向こうに、島一つ見えない大海原が広がっているのが素晴らしい眺めだ。

60km先にあるという青ヶ島が見えるかと思ったが、霞んでいたため確認できなかった。

密林地帯

「これなんて、何だか密林地帯、って感じだよな。まだ見ぬ原人が発見されてもおかしくない感じがする」

八丈島、狭いようで案外広いぞ。

永郷道路

「あー」

しぶちょおが残念そうな、うれしそうな声をあげる。

「見ろ、永郷道路が・・・」

永郷道路とは、「都道で約4kmの直線道路があるのは、八丈島の永郷道路だけであることを銘記してほしい。」と大得意で紹介されていた道のことだ。その後、別の地図だと直線3.8kmであることが判明し、なおかつ宿のおばちゃんによると空港滑走路延長時に道がねじまげられ、直線3.8kmもないということだった。

で、その道路を上から見てみると・・・。

「あー」

僕もしぶちょおと同じ声をあげてしまった。

「ダメじゃん。やっぱり空港のせいで、ぐわっと道がねじれてる!」

「これだと、せいぜい直線3km弱、といったところだな」

「これじゃあ、銘記できないよ。逆に、面白い道路ってことで銘記しちゃいそうだ」

それにしても惜しい。あともう少し滑走路の盛り土部分を削って、この直線道路を維持することはできなかったものだろうか。恐らく、地元住民からも反対があっただろうに・・・。

逆に、「直線3.8kmもあったらゼロヨンレースなんぞをおっぱじめる輩が出てくるかもしれないのでシケインを作ろう」ということだったのかもしれないが。

さあ、山頂の光景を満喫したことだし、下界に戻ろう。

「ねえねえしぶちょお。八丈富士、三原山と八丈島の二大高地を攻略したわけだから、この島はもう僕らの掌握下にある、と思っていいかね?」

「いいんじゃないか?」

適当である。

八重根港

残された八丈島観光地は、ほぼ全て島中心部に残っていた。これは、「万が一最終日まで観光地巡りが終わらなかった場合でも、飛行機出発のぎりぎりまで回ることができるように」という配慮からだった。あと、レンタカー返却後、徒歩ででもやり遂げることができるようにという覚悟の表れでもあった。

次の目的地に向かう途中、八重根港の近くを通過した。すると、何やら人がいっぱいいる。何事かと思ったら、今日は波の関係で竹芝桟橋からの定期フェリーがこちら側の港に着岸しているということだった。

このフェリーに乗って帰る予定の人は大慌てだっただろうな。底土港に行ってみれば、今日はここからは出航しません、島の反対側にある港から出ます、なんて書いてあっただろうから。

なんともにぎやかだ。民宿の人がお出迎えに来ている光景は、ああ、いかにも島だなあという気がする。空港だとこういう光景が無いから、物足りない。

上陸してきた観光客を見ていると、若い人がほとんどだ。そして、その多くがダイビングやサーフィンといったマリンスポーツグッズを手にしている。やっぱり八丈島はマリンレジャーの島なのだな、と今更になって思う。

「とはいっても僕ら、全然マリンなことをやっていないけどな」

「でもおかでん、とりあえずシュノーケリングのセットは持ってきてるんだろ?今日やるんだろ?」

しぶちょおが悪魔のささやきを言ってくる。

頬にあたる風は結構冷たい。八丈島とはいえ、さすがに5月初旬はまだまだ寒い。こんな状況で、スェット未着用で海に潜ったら心臓発作を起こしそうだ。

「持ってきた以上はやらないと後悔しそうだからね・・・まあ、観光地巡りの進捗状況次第だけど、やるよ」

こういうあたりでも、「せっかくだからやっておかないと損」といった貧乏根性が顔を覗かせる。ま、そんな自分がたまらなく好きだー

ということにしておく。次行くぞ、次。

[No.28 優婆夷宝明神社 2005年05月03日 10:46]

優婆夷宝明神社解説

次の目的地は、えーと、変な漢字が並ぶ神社だ。

「うばいほうめい」神社と言うらしい。

また神社かよ、と思ったが、到着してみてびっくり、これがなかなかなビッグサイズなんである。どうせこじんまりしている祠程度のものだろう、とたかをくくっていたのだが、良い意味で裏切られた。

立派な鳥居と社殿

「そうだよな、やっぱりこれくらいのサイズがないと、観光地!って感じがしないよ」

そもそも、「観光地!って感じ」ってのがどんな感じなのだか、発言しているおかでん自身よく判っていないのだが、まあそんな感じ。

「これくらいのサイズがあると、お正月に初詣しようという気になる」

どんな気だよ。

八丈島の総鎮守

このうばいほうめい神社は、八丈島の総鎮守だということで、それなりに立派らしい。

「じゃあ、山二つ制圧して、なおかつこの総鎮守の神社を訪れたということで、より一層島は我らの手に堕ちたと言っていいね?」

「いいんじゃないか?」

こんなことを考えている輩が参拝に来ても、神様はちっともうれしくないだろう。でも、お賽銭は少額だけど寄進したので勘弁して。

[No.29 陣屋跡(玉石垣) 2005年05月03日 10:54]

陣屋跡

島の一角に、見事な玉石垣が組まれた地帯があることは、早い段階から気づいていた。いつもそこを素通りしていたのだが、あらためて観光地図を見てみるとここが観光名所の一つ、「陣屋敷」だった。

北条早雲の時代から明治の終わりまで、ここが八丈島の政治の中心だったという。そのためか、服部屋敷にあった玉石垣が当たり前のようにずずぃと伸びている。なかなか壮観な眺めだ。うっそうと繁った草木の背景もあいまって、微妙に日本的ではない、そんな印象を受ける。

「・・・という写真を撮りたいのだよ」

「で、僕にどうしろと?」

「(1)カメラを振り向いてはいけない。(2)セルフタイマーが落ちる10秒経過時点で、あまり先に歩いてしまってはいけない。(3)さりげなく振る舞うこと」

「何がさりげなく、だよ。もろにわざとらしいではないか」

確かに、何枚か失敗の末納得いく写真が撮れたのだが、なんとも胡散臭いのであった。右側のおかでんなんて、右手で前方を指さし「ほら、見てご覧」って言ってる風を装っているのだが、それがまた怪しい。

[No.B ふるさと村 2005年05月03日 10:59]

ふるさと村看板

玉石垣の間を進んでいったところに、「ふるさと村」というのがあった。なんだか、「入場料500円」とか取られそうなネーミングだが、とくにそういう事は無し。無料開放で、アトラクション楽しみ放題。

・・・まあ、アトラクション、といっても何かがあるわけではないが。

八丈島歴史民俗資料館の裏から、ふるさと村へ通ずる道路は、昔は馬路と称し、八丈島の最も古い由緒ある道で、昔のおもかげを今に伝える貴重な所である。

ふるさと村のこの民家は、母屋、高倉、まや(牛舎)、閑所(便所)などが一式そろっていて、八丈島の民家のたたずまいを知る上で、貴重な存在である。

母屋内部に壁が無いとか、畳の敷き方の違い等にも注意を払って見てほしい。

「おや。八丈島甘藷由来碑を見に行った時に使った狭い道が、最も由緒ある道だったのか」

「でも観光地には指定されていない。よくわからんな」

「それは兎も角・・・」

「お。おかでんも気づいたか。この文章の終わらせ方・・・やっぱり例の人の手によるものだよな」

「だな。注意を払って見て欲しい、なんてリクエストしちゃって。例の人に間違いない」

「でも、『銘記して欲しい』といっていた直線4kmの道路は既に過去のものとなっちゃってるし・・・大丈夫か?」

八丈島古来の民家

要するにふるさと村、とは八丈島古来の民家を再現してあり、いにしえの文化を学ぼう、という主旨のスペースになっている。登呂遺跡や吉野ヶ里遺跡を見るようなものですな。

こちらは「まや」。牛が飼われていたところだ。

閑所

そのちかくに、閑所、すなわちお手洗いがあった。

堆肥を作る上で便は非常に貴重であることから、屋敷の出入り口に設けられていることが多かったという。

なぜか?

お客様が帰るときに、トイレによって用を足してもらいやすいようにするため。

笑っちゃうような話だけど、そういうことらしい。で、気持ちよく、大量に用を足してもらうために、来客にはいろいろと振る舞い歓待するわけですな。

その「歓迎」の「歓」が転じて、「閑」となり、トイレのことを「閑所」と呼ぶようになったとかならないとか。

勉強になります。

高床式の貯蔵庫

高床式の貯蔵庫。高温多湿の八丈島の風土にあわせて作られており、類似したものは東南アジアにも見られるという。

ハシゴを登って中も見学できたのだが、写真は割愛。

このころから、デジカメのメモリがやばくなってきはじめた。余計な写真は削除しつつ、かろうじて写真撮影が続行できている状況。

そんなに写真、撮影したかなあ・・・と不思議がるのだが、確かに、1カ所あたり3枚ずつ写真を撮影した場合、80カ所回れば240枚。あと、食事だとかその他諸々撮影していたらすぐにメモリがいっぱいになってしまう。今後慎重に被写体を選ばないと。馬鹿やってたら、メモリオーバーで写真撮影ができなくなってしまう。そうしたら、このイベントを達成させたとしても証跡が残らず、なんともトホホな企画に成り下がってしまう。気を付けよう。

民家の軒先でまったり

民家の軒先でまったり。

「ああ、ふるさとだなあ」

適当な事を言う。

おみやげ物屋があるわけでもなく、入園料をとるわけでもなく。ひっそりとたたずむ、しかししっかりと人手が入った観光地。しみじみとしていてなかなか良いです。

[八丈八景1 前崎晴嵐 2005年05月03日 11:13]

前崎晴嵐解説

「八丈八景、確かに良い景色もあるとは思うのだが、どうにも心に響かないのだよ」

次の行き先が八丈八景の一つだと知って、ついぼやく。

「登龍峠の景色とか、ふれあい牧場展望台からの景色の方がナンボか興奮したぞ」

そんなことをしぶちょおに言ってもはじまらないのだが、しぶちょおも「そうだよねえ」と僕の話につきあってくれる。

でも、ここで僕が「興奮した!」と言っている景色って両方とも「高いところから風景を見下ろしました」というストレートなものだった。ハリウッド映画のわかりやすさ、みたいなものだ。そう考えると、八丈八景を選定した昔の人ははるかに文学的で、叙情的であったということか。

「くっ。結局は僕の浅薄さが露呈したということか!」

一人悔しがる。

前崎晴嵐とおぼしき場所

で、到着した前崎晴嵐とおぼしき場所。

大坂トンネルのほうの崖を見やる。うん、確かに良い景色だし、ぽかぽか陽気なのでこんなところで一日ピクニックしてもええのぅ、とは思う。

しかし、せっかく訪れた僕らとしては、もっと刺激が欲しいのですよ過去の人たち。頼んますよ。

「のどかだ」

この光景の良さを理解するまでは、半日くらいかかりそうな気がする。観光地を分刻みで移動している高速移動トラベラーの僕らにとっては、価値観が違うようで。

ドラちゃん

ふと振り向くと、こんな景色が。

あらドラちゃん、そんなところで何をしてやがりますか?

ガスタンクだろうか?謎の光景だ。

「こっちの方が、よっぽどインパクトあるな。八丈驚愕八景、というのを編んだら必ずはいると思う」

ちなみに著作権はクリアしてるんだろうか。きっとしていないんだろうなあ。

[No.30 為朝神社 2005年05月03日 11:21]

為朝神社看板

これまで何回も通過してきた道路脇に、次の目標地点である「為朝神社」があるという。

あったっけ?全然気づかなかったんですが。

いやな予感がする。あ、ここ観光地図に載ってる神社じゃないか、だったらちょっと寄っていこうぜ・・・って事に過去一度もならなかったということは、完全に見落とされてきたということだ。見落とされるということは、即ち見つからないくらい小さい、ということか。

「もう神社はいいよおー」

と愚痴りながら慎重に神社を探す。

為朝神社発見

すると、あんまり慎重になるまでもなく、道路脇に赤い鳥居が見えた。為朝神社発見。

源為朝が八丈へ来てみたら、島には女しか住んでいなかった。男女同居すると海神の祟りがあると信じ、男は青ヶ島、女は八丈島に住んでいるのだという。

為朝は島の娘を嫁として子を産み、男女同居することの喜びを教えた。

此処は為朝遺跡の集約されている場所で、神社、腰掛石、耳跡の石、城跡、為朝が射抜いて造った隧道上の切り通しがあり、神社上の断崖にも伝説がある。

「なんという伝説だ。昨日のたな婆の伝説も凄いが、これもまた凄いな。実話か?」

「さあ?」

女しかいない島、八丈島。まさに男の憧れ、ハーレムではないか。

あ、でも最初は「男だ!汚らわしい!」と為朝センセイはつれなくされたに違いないだろうが。

「それにしてもけしからんな!男女同居することの喜び、だなんて。男同士が同居するのが良いに決まってるじゃないか。なあしぶちょお?」

「は?何で俺にふる?」

「いや、男同士で4泊5日もの間、八丈島に旅行に行くっていうのもええもんだぞ、と敢えて言いたい」

「それは事実だが、僕ら同性愛者ではないけどな」

為朝神社の前で記念撮影

為朝神社の前で記念撮影。

神社自体は小さなほこらであり、大きな鳥居、小さな鳥居の二つの鳥居で守られている。そのため、なんだかすごい遠近感があるような印象をうけるが、当然のことながら手前と奥の鳥居のサイズは相当違う。

「せっかくだから、昨日名古の展望台で見た女の子3人組みたいにポーズ決めようぜ」

「どんな格好だったっけ?」

「えーと、こんな感じ?」

「うわ、これは人前では絶対にできんな。恥ずかしすぎる」

「セルフタイマーでのシャッターという技術を開発した人に感謝だ」

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