島流し御赦免ツアー

おはち

景色を愛でつつ、30分でお鉢に到着した。ちょっと山登りにたしなみがある人だったらこの程度の時間で到着できる。

しぶちょお到着

で、山にたしなみがないしぶちょおの足でも遅れること5分。

ちょいとふぅふぅ言っていたが、息があがるほどでもない状態でしぶちょおがお鉢にやってきた。

到着し、火口を除いて「おおう」と感嘆の声。「これは来るべきですね、絶対来るべきです」と疲れを振り払いながらその景色を喜んでいた。

火口内部の様子

火口内部の様子。

T字型に深く切れ込んだ溝ができている。周囲は木々でびっしりと覆われているが、地面がもこもこしているのがはっきりとわかる。溶岩が冷え固まった地面だから、形がいびつなのだろう。

そういえば、山の外側斜面には背丈が低い植物しか生えていないのに、この火口の中には木が覆い繁っている。このギャップが何だか不思議だ。地下森林、と呼ばれる所以だろう。

ダイレクトに海から吹き付ける風が無い上に、湿気が溜まりやすい地形なので、この火口内はジャングルが形成されるらしい。とても神秘的だ。

神秘さを助長するのが、写真ではほとんど判別不能だがT字溝の近くにいくつもの池があるということだ。溶岩のくぼみに水が溜まったのだろう。

「こういうところに、謎の原人が住んでいてもおかしくないよな」

「川口浩探検隊でここ、取り上げられても良かったのにね」

という会話を二人でする。

先ほどの案内看板によると、このジャングルの中に浅間神社があるという。非常に惹かれるが、いったんここから火口まで降りて、神社まで往復するのは結構大変そうだ。後ろ髪を引かれる思いだが、やめにした。そもそも、われわれは山登りをしているのに水分を一切持参していない。カメラ以外は手ぶらだ。こんな危ない状況で、これ以上深追いしたら何かあったときにまずい。今回はおとなしくお鉢巡りに留めておくことにした。

浅間(せんげん)神社といえば、富士山の山頂にある神社だ。絶海の孤島のこの地にもその神社が分詞されているとは意外だった。

あちこちに穴ぼこ

お鉢巡りにとりかかるが、あちこちに穴ぼこが開いているので注意だ。草が覆い繁って安全なふりをして、あちこちに穴が開いている。

とても気持ちが良い

風が吹き抜け、とても気持ちが良い。

天気が安定したから良かったが、ちょっとでも天気が崩れるとここは吹き飛ばされそうな風が吹き付けることになるのだろう。

なにしろ、周囲は何もない太平洋だ。風を遮るものがない。

お鉢巡り中

お鉢巡り中。

島の中心部

島の中心部が見えてきた。

空港が島のど真ん中にどっしりと構えている。その向こうには三原山。

三根地区

われわれの宿泊予定地がある、三根地区。島の東側にあたる。

竹芝桟橋から船で訪れた場合、こちら側の底土港に着岸することが多い。(海の状況によっては、島の反対側になることもある)

大賀郷

で、こちらが島の西側、大賀郷。青ヶ島行きの船はここから出発する。

青ヶ島はここから60kmさらに遠い場所にある、これぞまさに絶海の孤島。船は一日一便就航しているが、欠航することが多いという。ヘリコプターも就航しているので、確実に青ヶ島に渡りたければ大枚はたいてヘリに乗り込んだほうが良いらしい。

このあたりの島は、太平洋の海底奥深くからにょっきりと突きだしている。そのため、周囲は波にさらされて崖になっており、港を作るのが大変らしい。結局青ヶ島の場合、ざっぱんざっぱんいっている断崖絶壁の真下に接岸する岸壁をこしらえたようだが、波が激しければすぐに欠航するという運命にある。就航率は50%程度だというから、あまりあてにできない路線だ。

八丈富士登頂

14時23分、伊豆諸島最高峰の八丈富士登頂。所要時間は50分弱。

「楽に登っちゃったけど、とりあえず伊豆諸島最高峰だもんな。やっぱり、最高峰って響きはいいよな」

とうれしくなってしまう。

火口のジャングル

眼下の景色も素晴らしいのだが、やはりどうしても火口のジャングルが気になる。

絶対あそこに謎の生物とか、UFO秘密基地とか、何かがあるに違いない。地底人が出てきてもおかしくないぞ。

お鉢を回る

時計回りにお鉢を回る。

八丈小島

歩いていくと、向こうから島影が見えてきた。八丈小島だ。

長州力のものまねタレントとして長州小力がいるように、八丈島もお笑い部門として八丈小島がある。

八丈小島

お笑い部門・・・なわけはないが、八丈小島が見えてきた。

きりりと引き締まったその島影は、全貌が見えてきた瞬間に「おお」と声を上げてしまう淡麗さ。美しい。

1960年代までは人が住んでいたが、今では無人島になっている。学校址や道路などはまだ残っているそうだ。ただし現在は島内幕営禁止。

太平山(標高616.6m)が海面からそびえ立っている。この山に登ろうと思ったら、海抜ゼロメートルから登りはじめとなるので、標高以上に登った感じがするだろう。

登山道

火口ということもあって、外側はなだらか、内側は絶壁という形になっている。このあたりが後立山連峰を思い出させる。

登山道は稜線ぎりぎりではなく、外側のなだらかなところにあるので、気持ちの良いトレッキングができる。

山頂を見たところ

山の北側から、火口を挟んで山頂を見たところ。

大越鼻灯台

島の北側にある灯台。大越鼻灯台という。

このあと、あそこにも行かなくちゃ。観光地図にちゃんと掲載されているからな、ぬかりなく。

大穴の真上

より一層火口が深くなっている大穴の真上にやってきた。

崖になっていて、一段落ちこんだところにもジャングルがある。間違いない、あそこに地底人はいる。

わくわくする。こんなシチュエーションで地底人が住んでいなかったら、地底人の面目丸つぶれだ。

岩肌が露出している

大穴近辺は強烈な風が吹き上げていた。ちょうどこのあたりは稜線が鋭く切れていて、岩肌が露出している。稜線の外側に座り込んで、はいつくばるような姿勢で大穴をのぞき込む。めがねが飛びそうだ。

これだけ良い天気で、風も穏やかなのに、ここだけ強い風が吹き抜けるというのはちょっと不思議だ。

下山完了

15時20分、下山完了。登頂からお鉢巡り、そして下山と一連の動作で2時間かからないくらいだった。ちゃんとした靴を履いていて、膝や体力に不安がない人はぜひお薦めしたい。

「いやー、激しく満喫したな」

「満喫したねえ」

「これぞ、観光!って感じだよな。八丈島に来た甲斐があったってもんだ」

心のそこからの喜びを、笑顔で伝える。

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