[No.49 丹那婆の墓 2005年05月02日 15:45]
本当は「No.48名古の展望」に立ち寄る予定だったのだが、うっかり素通りしてしまい、その先にあるNo.49にまで来てしまった。えーと、これ何て読むんだ?
たなばあのはか?
今度は一体どんな人の墓なんだ。もう、少々の墓とかじゃあ驚かないぞ。イエスキリストの墓が実はここにあった、なんて言われても「へー」って淡々と答えそうな気がする。
大昔八丈島に大津波が襲い、妊婦の丹那だけが船の艫にすがって生き残った。
その後産み落とした男の子と母子交会し、子孫が殖えて八丈島民となったという。
これは日本の他の地域には類例をみない八丈島独特の始祖伝説であるが、丹那婆信仰ともいうべき形で今に受け継がれている。
墓石正面に丹那婆之墓と刻してあるだけで、建立年月日等の刻字は全くないが、明治時代初期の建碑と推定される。
ちょっとびっくりした。凄い伝説だな。一人の女性から子孫が殖えていったとは。
・・・
うーん、何かボケたりツッコんでみたい伝説なんだが、あまりに突拍子もないのでコメントが思いつかない。
二人とも、驚きの意味をこめて「へー」と唸る。
「今ここで八丈島に大津波が襲って、僕ら二人だけ生き残ったらどうなる?」
「いや、どうなるって言われても。待て、男同士でも子供は産まれないぞ」
「あれ?」
「何を考えているんだ、何を」
[No.48 名古の展望/八丈八景No.5 名古秋月 2005年05月02日 15:52]
先ほどは素通りしてしまった名古の展望台。断崖絶壁の上に建つ八丈島南端の展望台だという。八丈島を紹介する写真でよくお見かけする。
なんだか民家の中に侵入するような、そんな感じの外観だ。こののどかな光景のすぐ先に断崖があって、海があるとは思えない。
入場しようとしたら、入口のゲートのところに「大人200円、子供100円、団体一人150円」とかかれた看板があった。
「げっ、何だこれは?有料なのか」
「ひどいな、八丈八景というせっかくの観光スポットなのに、有料なのか」
民家っぽい建物はそういう意味があったのか。よく見ると、簡単なおみやげ物屋になっている。のんびりさの陰では、ちゃっかりしているのであった。
「何だか、こういうところで入場料金を取られたらすげー悔しい気がするんですが」
「こっそり入っちゃえば、判らないんじゃないか?」
何やら不穏な方向に発言の趣旨が傾きつつあったが、さすがに200円をちょろまかして不法侵入で通報されるのも馬鹿みたいなので、きっちりとお金を払う。
末吉の洞輪沢一帯を名古と呼ぶ。洞輪沢は小さな漁港に過ぎないが、汐間温泉が湧出し、名古の滝があり、人家の周辺を清水が取り巻いていて、まさに仙郷とも言うべき所である。八丈島の最南端に位置し、名月観賞の最適の場所として、八丈八景に選ばれている。
展望台からの眺め。
うーわーあー
すごい眺めだ。写真で見たとおりの大展望。足下から頭上まで、左右360度の3次元でこの景色を見ることができるので、写真にはない驚きと感動がある景色だ。
何しろ、すっぱりと崖がキレ落ちているので、下の漁港はまるでビルの屋上から地面を見下ろしている感じだ。なんであんなところに無理して漁港作ったのかね、ってくらいぎりっぎりの港だ。山と海に挟まれて窮屈そうだ。
これは200円の価値がある景色だ!と思うが、やっぱり不意打ちを食らった以上なんだかやっぱりまだ悔しい。ガイドブックにも200円ということは載っていなかったし。
このあたりは、観光客が結構多かった。今日の昼頃まで全くといっていいほど観光客を見かけなかったので、この光景は不思議だった。そういえば、展望台の駐車場にもレンタカーが何台も泊まっていたな。
おそろいの格好をした若い女性三人組が、「写真を撮ってくれないか」としぶちょおに依頼してきた。この大絶景の前で記念撮影をしたいらしい。見ていると、何やら雑誌の表紙でも飾るんかい、というくらい三人がめいめいの格好をして撮影に臨んでいた。見ていて大変に照れる。
「いやー、若いってのは凄いね」
三人が立ち去った後、二人でしみじみと語る。何が凄いんだかはいまいちよく分かっていないのだが。
この三人娘に聞いたところ、今朝のフェリーで八丈島に到着したとのこと。周囲も、そういう人がいっぱいいるようだ。宿泊している宿名なんぞを聞いて、適当にだべってお別れする。
展望台から立ち去り際、土産物屋の横に何やら変な瓶を見つけた。
ガムテープでべったりと、何やら紙が貼り付けてある。
情け嶋焼酎です。黒いボタンを静かに押して丁寧に召し上がりください。
「おいおかでん。焼酎だぞ。情け嶋だぞ」
しぶちょおが驚きの声をあげる。
「何だこりゃ。無料ってことか。入場料200円とったので、その代わりといったところだろうか」
観光地の展望台に、焼酎ご自由にどうぞ、なんていうのは初めて見た。一体何のためにこんなのを作ったんだろう。
しかも、この蛇口、瓶から直接出ているのではなく、コンクリートに埋められている。瓶が動かないようにコンクリートで固めたついでに、蛇口もそのコンクリートに突き刺したのだろう。何だか、焼酎を頂戴するというよりも「学校の水飲み場で水を飲む」的な感覚であり、あんまりおいしそうではないのであった。
正直、あまり惹かれなかったのだが、
「せっかく高い(?)入場料を払って入ったんだ、試しに飲んでみたらどうか」
というしぶちょおの提言に「う、うん、まあ飲んでみようか・・・」とおずおずと手を伸ばす。
おちょこに焼酎を注ぎ、飲んでみる。
うはー
いくら少量とはいえ、居酒屋でもない場所で、こんなまっ昼間から焼酎飲んじゃうともう、何が何だか。昼酒大好きなおかでんではあるが、ちょっといくらなんでもこれはキツすぎる。
「いや、もういいです」
「あれ?僕の分もあわせて二杯飲むんじゃなかったの?」
「いや、昼間に飲むにしてはキツくって」
[No.50 八丈島灯台 2005年05月02日 16:09]
末吉という小さな集落を抜け、崖の上にある灯台に向かった。
八丈島灯台、という名前。
島の最東端にある。
中に入ることはできなかったので、入口のところで記念撮影。
[No.ル 汐間温泉 2005年05月02日 16:19]
丘の上にある灯台から、一気に海抜ゼロメーター近くまで下がる。
先ほど名古展望台から見下ろした光景が、今や水平な位置にある。
漁港を過ぎたあたりが汐間海岸。崖と海に挟まれた場所だけど、浅瀬があるというポイントで、サーフィンをやる人たちでにぎわっていた。
このあたりに温泉がある、ということだが・・・。観光地図を見ると、汐間温泉という表示はしっかりとされている。しかし、観光ガイドブックに載っている八丈島温泉一覧にはその記載がない。一体どういうことだろう。まさか、既に涸れて締まった温泉か?
車を海岸線に沿ってゆっくりと走らせていたら、道路脇に例の見慣れた看板を発見した。おや、汐間温泉と書かれているぞ。
この先一帯の浜を汐間温泉といって、昔から波打ち際に温泉が湧出している箇所があり、今でも夏季の干潮時には、石をどかしてくぼみを造り、そのまま浸ることができる。
近くには簡易入浴施設があり、町民の利用に供している。
泉質は弱食塩水で、腰痛や胃腸薬、便秘、貧血症に効果がある。
「泉質は弱食塩水、ってすごいな。単なる塩水です、って言ってるわけじゃん」
細かいつっこみは兎も角、肝心の波打ち際を見てみたのだが、このどこに温泉があるのかさっぱりわからない。しかも、干潮時でないといけないらしい。
まあ、ここは「観光地に訪れました」ということで良しとすることにした。
[No.51 洞輪沢港 2005年05月02日 16:20]
汐間海岸は行き止まりの道になっているので、折り返して洞輪沢港まで戻ってきた。小さな漁港だが、これもれっきとした八丈島の観光地・・・らしいので、記念撮影。
何の記念なんだろう、まったく。
ここから山の上を見上げる。
あの山のてっぺんが、先ほど入場料200円を払った名古の展望台だ。
当たり前の話だが、上から見下ろしたら絶景だった場所を、下から見上げても全然絶景ではない。
[No.リ 洞輪沢温泉 2005年05月02日 16:28]
この洞輪沢漁港の近くに温泉があるということだったが、特にそれらしきものは見あたらない。おや、どうしたものかと思って周囲を物色していたのだが、どうも漁港の隅にあるあの青い建物が怪しい。看板も何も出ていない無骨な建物だが、ひょっとするとあれが温泉なのかもしれない。
裏手に回ってみたら、下駄箱とすのこが。あ、やっぱりここが洞輪沢温泉だったのか。
「チャンスだ!誰もいないぞ」
と言い、写真を撮り始めるわれわれ。端から見ていると大変に変な人たちなのだが、アワレみ隊OnTheWebの膨大な写真群というのはこうして成立しているのでありました。
そんなこともあって、温泉に入るとき、誰かが既に浴室内にいるとすごくがっかりする。誰もいないときだったら写真撮影ができるが、人がいたら撮影がしにくいからだ。
で、人がいないことをこれ幸いと、写真撮影した浴室内がこんな感じ。
湯面が波打つほど、勢いよくお湯が注ぎ込まれ、そして溢れている。ダイナミックでいいぞいいぞ。
この勢い。まるで工場の排水を捨てているかのごとく、無骨に塩ビパイプからお湯が注ぎ込まれていた。しきりにぼこぼこ音を立てている。
お湯が注がれている周辺は、泉質のせいなのかタイルの色が変色していた。
湯船正面には窓があり、漁港が真っ正面に見える。外から丸見えだ。
湯船の中でも記念撮影。こういうことをやっているからデジカメがすぐに壊れるわけだ。
湯の温度はぬるめ。じっくりと長湯するのがすきな人にはたまらないだろう。
こういうお風呂を無料で開放してくれていて、きちんとメンテナンスしている地元の方には頭が下がる。非常に良いお湯でございました。
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