めぐりあい蕎麦
日 時:2001年(平成13年) 02月10日-12日
場 所:長野あちこち
参 加:おかでん、ばばろあ、しぶちょお(以上3名)
長野の蕎麦は面白い。いろいろ食べ歩き甲斐があるからだ。蕎麦の多様性もさることながら、やはり風光明媚なところが楽しい。店と店を移動している間、いろいろな景色を楽しむことができる。そんなわけで、すっかり信州蕎麦の食べ歩きが大好きになってしまった。
今回は第三回目となる長野の蕎麦食べ歩き。「信州新蕎麦包囲網」とシリーズ名がつけられているが、2月にもなると「新蕎麦」という言い方はあまり正しくないかもしれない。でもまあいいや。許せ。
一回目が安曇野、戸隠。二回目が北信。というわけで、前回の予言通り今回は東信地方の蕎麦屋を巡ることにした。
以前、この地方を訪れたおかでんの祖母だが、何気なく入った蕎麦屋で出てきた蕎麦がものすごい量だったと熱く語っていた。危なく蕎麦に殺されかかった、と。いや、そこまでは言っていないが、とにかくこの地方の蕎麦は量が多いらしい。
上田市に住むおかでんの親戚が語るに、冬は一晩洗濯機の水を入れっぱなしにしておくと、洗濯機ごと凍り付いてしまうんだという。それくらい、寒い。おそらく夏も冷涼な気候なのだろう。だから、主食となる米の生産が難しく、蕎麦のような雑穀をよく食べていたはずだ。そのせいで、「腹いっぱいになるまで蕎麦を盛りつける」ということをやっていると推測する。
さあて、われわれは一体一日何軒訪問できるんだろう。今までは一日四軒くらい巡ってきたが、今回はどうなるかな。
2001年02月10日(土) 1日目

始発の長野新幹線で上田へ。上田で徹夜しながら車でやってきたしぶちょおとばばろあと合流。
さて早速蕎麦を、と思ったが朝がまだ早すぎる。営業時間にはなっていないので、今晩の宿を探すことにする。

今晩は、上田市にある別所温泉に一泊することにした。特にあてがなかったので、別所温泉駅の構内にあった観光案内所で宿の斡旋をしてもらった。
「どこもいっぱいですよ」
と言われてがっかりしたが、なお粘ってみると一軒どうやらあるらしい。とっておきの秘策なのかどうかわからないが、案内所の職員さんはあまり斡旋したくないようなそぶり。
「料理人などいない宿ですけど」
「いや、それで構わないです」
いろいろ言われたが、別所温泉に泊まれる方が重要。少々施設が古くても構わない。結局、しぶる職員さんを押し切ってその宿にしてもらった。
「むしろ気になるな、何であんなに嫌がられるのか」
「すごい宿かもしれん。いい意味でも悪い意味でも」
逆に期待値が高まった。
宿の手配が終わったところで、さあそろそろお店が開店し始める時間ですよと。

「長野味本」を片手に、この界隈で一番早く開店するお店に行ってみることにした。到着したのは「茜屋」。
そのときの様子はこちら。

引き続き二軒目の「おお西」へ。お店がどこにあるかわからず、三人がかりで探した結果発見した。
おお西の蕎麦はとてもおいしく、一同騒然とした。
そのときの様子はこちら。
「おお西」といえば発芽した蕎麦を挽いて打った蕎麦が有名だが、この当時はまだ提供していなかった。

三軒目は「おにかけそば」という料理がたべられる「佐助」というお店に行ってみた。
おにかけそばとは、別名とうじそばで、ラクロスのラケットのような持ち手付きカゴに蕎麦を入れ、ぐつぐつ煮える鍋に浸して食べるというもの。冬ならあったまりそうな蕎麦ではないか。でも、調子に乗ってぐつぐつやりすぎると麺がちりぢりにちぎれてしまうので注意が必要。
そのときの様子はこちら。


さすがに3軒も巡るとおなかがいっぱいになった。この足で四軒目というのはきついので、腹ごなしをすることにした。
向かった先は上田城。真田昌幸によって築城されたお城。なんでも、「お城ファンが選んだ好きな城ベスト10」では、3位大阪城、2位姫路城を抑えて第1位に選ばれているらしい。まじですか。というかなんだよそのベスト10は。
城址公園には新雪がいっぱい。瀬戸内海気候で温暖な広島育ちのわれわれは新雪というのはあまり馴染みがない。だからうれしくなっちゃって、まだ誰も足を踏み入れていないところに足跡を付けて回ったり、「大の字を作ろうぜ」とかいって、雪にでーんと倒れ込んで大の字を作ってみたり。子供のようにはしゃいだのだった。言っておくがこのときのメンバーの年齢は27歳から28歳。うん、年相応の清き正しき遊び方だな。

上田城にて。

「もう少し腹ごなしをしよう」
となにやら意味深な響きでばばろあが提案をする。何事かと思ったら、ここから山に入って行ったところに真田城跡があるのでそこに行こうという。古城・山城好きなばばろあらしい提案。
この後行こうと思っている本日最後の蕎麦屋「刀屋」は通しで営業しているので、夕方に訪れても大丈夫。だったら腹ごなしにちょっと遠出してもよろしかろう。提案通り、真田城に行ってみることにした。
・・・上田市街地でさえあの雪だ、山に分け入ったら雪が多いに決まってる。途中、アワレみカーは先に進めなくなってしまった。途中から徒歩で現地を目指す。

真田城跡に向かったが、途中雪に完全に阻まれてしまいどうにもならなくなってしまった。たとえ城跡に到着しても、これだけ雪に覆われてしまっていては何がなんだかさっぱりわからない。城跡です、と言われてもはぁそうですか、としか言いようがない。
とはいえ、このシチュエーションを楽しんでいたのも事実。なにしろ、ふかふかの新雪が膝まで積もっている。こんな体験はなかなかない。みんな、靴に雪が入るのを物ともせずに新雪の中をずかずかと歩き回った。


んで、おまけにここでも大の字の印をあちこちに。
「駄目だな、びびってしまって膝から先におちてしまう」
などと問題点に気づき、段々倒れ方が上手になってくるわしら。どうでもよい技術に限って、習得スピードが速いのはなぜ。

雪の中歩き回ったわれわれは腹ごなし十分。さて、計画どおり本日最後の蕎麦屋、「刀屋」を目指す。ここでは大盛りの蕎麦が相当すごいことになっているという噂。「チョモランマ」と形容されることもある蕎麦だという。四軒目にしてチョモランマというのはやり過ぎな気がするが、「そこに山があるからだ」と登山家が言うように、おかでんも「そこにチョモランマがあるなら食わねば」というわけだ。
そのときの様子はこちら。

予定どおり四軒の蕎麦屋を巡り、東信地方の蕎麦について少しは判ったようなわからんような微妙な気分になったところで、本日のお宿へ。別所温泉へGO。
別所温泉の宿は、観光案内所が紹介を若干渋った宿。一体どんな凄い宿が出てくるのか。建物がトタン屋根だったり、気難しいババアが一人で切り盛りする宿だったり、なんか凄いのを想像してしまう。しかし、実際は全く問題のない建物だし、女将さんだし、想像と現実のギャップが良い方向にズレていた。観光案内所と喧嘩でもしたんだろうか?何だろうこの仕打ちは。
建物だって比較的新しい。女将さんいわく、「温泉地の建物は傷みが激しいから、20年くらいに一度は建て直さないと駄目なんですよー」とのことだった。そりゃ大変だ、借金を返却したらすぐ次の建物建ててまた借金だ。でも、そういうことをきっちりやっている良心的な宿だということだ。
われわれはチェックイン後、しばらくくつろいだら外湯巡りに出かけた。別所温泉には3つの外湯がある。「大湯」「石湯」「大師湯」の三湯。いずれも150円で入ることができる。
「大湯」は明日の朝訪れることにして、「石湯」と「大師湯」を巡る。この二つの外湯は50mくらいしか離れていないので、巡るには便利。

宿での夕食。
さすがに4軒の蕎麦屋で蕎麦を手繰ってきたのであまり食欲はない。でも、宿メシは別腹・・・ということで、夕食タイムですよ。ビール片手に楽しく食べましょう。
値段が安めの宿だったこともあって、食事の量は少ないものだと思っていた。しかし、ここの宿の場合、人手が足りない事もあってか、五月雨式に「はい、これも」と次々追加が出てくるのだった。トータルの量は標準的宿メシ量だったと思うが、食事冒頭の「これだけ食べればフィニッシュだな」という思惑がどんどん打ち崩されていくので、心が折れそうになった。おなかいっぱいだ!

大ぶりなハンバーグが出てきて、白目をむいてギブアップ宣言するばばろあ。彼はもともと「おいしい物を少量食べられれば良い」という考え方と胃袋サイズなので、今回の食べ歩きツアーみたいな「一日四軒!蕎麦喰い倒れ!」というのはそもそもあまり向いて居なかった。そのツケがここにきて露呈。

おかでん永世名人も肘をついてなにやら長考に入りました。
さすがに刀屋で大盛りを食べた後だったので、料理をもてあましてしまった。
「うう・・・」
うめく二人。そんな中、見事食事を全部食べ終わって余裕しゃくしゃくなしぶちょおがケラケラ笑いながら二人の写真を撮っている構図。

結局おかでん、健啖家を自称していたにも関わらず鍋を半分ほど残したところでフィニッシュ。あとビールも。ビールを飲みきれないなんて屈辱的だが、今回に関して言うとあれだけ既に食べておいて、さらにビールを頼む方が馬鹿だったということか。
なおこの後おかでんは気分が悪くなってトイレに駆け込んでしまった。馬鹿じゃない、大馬鹿だ。
そんなわけで、東信の蕎麦おそるべし、というのは10年経ってもいまだに記憶に新しい。うかつに食べまくっていると後でしっぺ返しがくるぞ、と。

部屋に戻り、ぐったりする一同。
ぐったりしながらも、明日の行程を考える。
この頃になると、蕎麦によって大量に摂取された繊維質のせいでおならがよく出るようになる。
ブリ
「こら、やめんか」
こんなやりとりが頻繁に行われることになった。蕎麦食べ歩きの定番ムーブメント。
だから気をつけないといけない、カップルで蕎麦食べ歩きデートなんてやったら、途中でおならを我慢しないといけなくなるからだ。相手に気づかれないようにおならをすべし!それ、今だ!
2001年02月11日(日) 2日目

別所温泉の朝。
湿度が低いので快適な朝。相当寒いけど。

宿の朝ご飯。
家庭的な朝食。さすがにこの頃になると空腹感が復活していたので、おいしく食べる事ができた。昨日の夜?さあ、何がありましたっけウフフ。覚えてません。

食後、外湯のうちまだ行っていなかった「大湯」へ行く。大湯という名前がつくだけあって、その他二つの外湯と比べると一回り大きかった。露天風呂もある。考えてみれば、温泉街の外湯で露天風呂があるのって、ちょっと珍しいと思う。

この二人が何をやっているのかというと、タオルをぶら下げておくと、板状に凍ってしまうということを発見したから実践中。
しばらくして、ブンブン振り回して空気とたくさん触れさせた方がより堅く固まることが判った。その結果、大の大人が「うひょー」とかいいながらタオルを振り回しつつ、宿への道を歩くのだった。
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