蕎麦・戦士
日 時:2000年(平成12年) 11月23-25日
場 所:長野あちこち
参 加:おかでん、しぶちょお(以上2名)
松本の蕎麦屋「浅田」で美味い蕎麦を食べた際、「ここよりももっとうまい蕎麦がある」と教えられたのが黒姫高原の「ふじおか」。そんな馬鹿な、浅田以上なんてありえんではないかと驚愕し、物事には際限というものがないのだなと思わされたアワレみ隊一同。
そんなわけで、雪が降る前にその「ふじおか」に行ってみなくてはなるまい、ということでたった2週間のインターバルで長野に戻ってきた。
そのときの経緯などはこちらを参照のこと。
前回の「信州新蕎麦包囲網1」は松本スタートだったので、新宿から「特急スーパーあずさ」で松本にやってきたが、今回は長野スタート。始発の長野新幹線で長野駅に降り立った。
今回の主目的である「ふじおか」がある黒姫は新潟県との県境すぐのところ。そんなこともあって、2泊3日の滞在中は長野以北の地、すなわち「北信」と呼ばれるエリアを巡ることにした。
始発電車で長野入りしたのは特に意味はない。とりあえずできるだけ早く長野入りすれば時間に余裕ができるだろう、というだけだ。手元にはガイド本すら無いので、とりあえずどこの店にいくかすら決まっていない状態。
蕎麦屋に限った話ではないが、飲食店は昼営業を14時とか15時に終わらせてしまう。だから、こちらは16時17時まで食べ歩きたいと思っていても、お店が閉まっていてどうにもならないということがあり得る。早く現地入りして、できるだけ早い時間帯にお店を巡るというのは今考えるととても重要な事だ。だから、始発長野入りというのは理に適っていたと言える。
2000年11月23日(木・祝) 1日目
長野駅前に降り立ったら蕎麦屋くらいゴロゴロしているだろう、そして営業しているものだろう、なんて考えていたが、それは非常に甘い考えだった。マクドナルドじゃあるまいし、駅前にひょっこりと蕎麦屋が存在しているわけがない。しかも、たとえお店があったとしても蕎麦屋独特の地味な外観で気づかない事が多いと思う。
そもそも、駅前一等地の蕎麦屋ってなると、賃料が馬鹿にならないのでいい蕎麦粉が使えるのかどうか非常に疑問。値段が高い割には味が悪い、ということがあるかもしれない。一事が万事こんな感じで、当時のおかでんは蕎麦屋の食べ歩きについてとんと無知だった。
とりあえず朝9時になったら、駅前の本屋がオープン。そこで「長野味本」という本を入手。ここには長野全域の蕎麦屋が多すぎず少なすぎず紹介されていたので、それを参考にして検討を行う。
長野界隈で朝から営業している蕎麦屋、となると善光寺の門前に何軒かあるようなので、われわれは善光寺へと向かった。そういえば善光寺には行くのは初めてだ。
「かどの大丸」というお店を一軒目にチョイス。そのときの様子はこちら。
善光寺のお詣りをしたのち、二軒目も善光寺の門前から。「門前そば」を名乗る「尾張屋」で。そのときの様子はこちら。
長野界隈はこれくらいでよかろう、ということで長野を離脱。次は長野の東北方面にある小布施(おぶせ)へと移動。
ちなみに、「ふじおか」だが、朝から並ぶ必要があるということなので訪問は2日目にしよう、という話になっている。今日はひとまず、ふじおかと遭遇する前に舌慣らし、というわけだ。4軒くらい訪問しよう、と考えている。
小布施で訪れたのは「つくし」というお店。ここでおかでん、これまで飲んでいなかった清酒と麦酒を解禁。車の運転はしぶちょおがしてくれるからこういう時非常にありがたい。
このときの様子はこちら。
渋温泉の宿泊案内所に行き、空きがある宿を調べてもらった。幸い宿が確保できたので、本日のお宿は渋温泉に決定。
チェックイン時間までしばらく時間があるので、もう一軒蕎麦屋に行くことにした。
栄忠というお店。
そのときの模様はこちら。
宿に入る前に、渋温泉の近くにある地獄谷温泉へ行ってみることにする。ここは車では訪れることができない場所で、駐車場から徒歩20分ほど歩かないと到着しない「秘湯」だ。日本秘湯を守る会にも入っている一軒宿がある。
天然記念物に指定されている自噴泉。夕暮れ時で人がいないけど、一人たくましくぶしゅーっと温泉を吹き上げていた。吹き出し口は岩の割れ目みたいなものだろうか、と思ったら、ちゃんと人工的にパイプが埋め込まれていてちょっとがっかり。でも、そういう細工をしないと、写真のように高くきれいに吹き上がらないのだろう。
「僕のオシッコもこれだけ勢いよく吹き出したら、逆にトイレ掃除しなくていいかもしれない」
と変な事を思いついたが、よくよく考えてみると、こんな勢いで放尿したらあたりに飛び散ってしまい、かえって掃除が難儀になるに違いないことに気がついた。却下。
地獄谷温泉がその名を轟かせているのは、自噴泉でも秘湯の宿でもない。もちろんそれらも要素の一つだが、もっとも高名なのは「お猿が入る露天風呂」があるということ。何で猿が温泉に浸かるようになったのかは謎だけど、人間と猿、似たもの同士ということで人間が気持ち良いものは猿も気持ち良いのだろう。
しまいには猿が「風呂上がりの牛乳」を所望するようになるかもしれん。そうなったら、本気で猿と人間との世代交代を考えないといかんかもしれん。
さて、その猿たちがいるという野猿公苑だが、夕暮れ時ということもあって誰もいなかった。本来なら有料のところ、そのまま無料でスルーできたのでラッキー。
しかしラッキーなのにはそれなりの理由があるわけで。いざ、お猿が入るという露天風呂に行ってみたら、当然のごとく猿一匹もいやしなかった。山に戻ってしまったらしい。ちぇっ。
やることなく、露天風呂のあたりをなんとなく歩き回る二人だった。
ここで、「もういい!だったらオレが代わりに入る!」と言ってもいいのだが、不思議とそんなことは冗談でも思いつかなかった。「猿が入った風呂=不潔」というイメージが強いからだろう。
実際のところ、猿の入った風呂は不潔なのだろうか?気持ち良くて脱糞するけしからん奴がいたりしてもおかしくないよな。何しろ「マナー」とか「ルール」なんてあんまりない生き物だから。
チェックインしたのは「米屋旅館」という宿。こじんまりした宿だが、とても快適に過ごす事ができた。これで一泊二食付きで9,000円しなかったと記憶しているから、お得だ。
部屋で、明日いく蕎麦屋の候補を見繕う二人。・・・というポーズ。これはやらせ写真ですな。
さっきの写真が「やらせ」だとわかるのは、「温泉地にやってきて、チェックインして、まずやることといったら風呂だろう、風呂」という法則があるからだ。実際はチェックイン後、すぐに風呂に入りに出かけた二人だった。
なにせ渋温泉は凄い。9つの外湯を持っていて、それぞれが温泉街の中に散らばっている。温泉街自体はこじんまりとしているので、外湯同士が100m~200m程度の距離しか離れていないのだった。しかもその温泉はすべて源泉掛け流し、泉質はすべて別ときたもんだ。温泉のデパートだ。
そんな渋温泉の外湯は、普段は鍵がかかっていて一般人は中に入れない。入るためには、宿に宿泊し、宿から鍵を借りなければならないのだった。おかげでゆったりとお風呂に入る事ができる。まあ、ゆったりといっても一つ一つの外湯は非常に小さいので、4名も入ればいっぱいいっぱいになってしまうのだけど。
ここの外湯の特徴として、一番湯から二番湯、三番湯とナンバリングされていることが挙げられる。そして、九番湯にあたる「渋大湯」まで全部の外湯をクリアしたら、すぐ近くの山の上にある薬師如来さんに「結願のご報告」をしにいくという風習がある。スタンプラリー大好きなアワレみ隊ごのみの話だ。これはぜひ9番までいきたい。
夕食前に、一番から三番まで風呂に入った。それぞれ結構熱いので、長湯ができない。それがむしろ丁度良い。でもこれ、夏場はきついだろうな。
宿に戻って夕食。宿泊料金が廉価なのに、立派な食事が出てきて恐縮する。この後何度か渋温泉に通ってみて気がついたが、この温泉地は全体的に物価が安いようだ。比較的廉価で快適な温泉旅行をかなえてくれる。
食事は部屋食。凄い、というより、実際のところは食堂がこの宿に存在しないからなのだった。
ビールが欲しい時は、廊下に冷蔵庫が置いてあるのでそこからセルフで取ってくる。すわ飲み放題か!?と色めき立つおかでんであったが、まさかそんなことはない。多分、部屋に残されたビール瓶の本数でお勘定するのだろう。
だったら、ビール瓶をこっそりどこかに隠せばいいじゃん、とひらめくが、よせ、そういうことはやめろ。セルフのビールというのは非常に快適。欲しい時に、冷たい瓶をすっと取り出す事ができる。これが普通の宿だったら、従業員さんを呼んで、注文して、届くまでしばらく待って・・・というタイムラグがある。しかも、「あのお客さんまた飲むの?」なんて陰口言われるんじゃないかとひやひやしなくちゃいけない。その点セルフときたら気楽快適。このよき文化を保つためにも、お会計はきっちりやろうじゃないか。
一応全部の料理は食べたものの、なかなか箸が進まず。途中、しぶちょおは横になって休む始末。これは確か鍋が煮立つまでいったん待機、というシチュエーションだったと思うが、食事中に横になるというのは珍しい光景。
正直不作法ではある。でも、お昼食べた蕎麦がででーんと胃袋にまだ残っているし、外湯に連続して浸かった疲労感もあるしで、どうにも横になりたい気分なのであったよ。
食後も、どのお店を訪問するかの検討が続く。明日、念願の「ふじおか」に行くとして、明日その一軒だけ蕎麦屋、というわけにもいくまい。ふじおか界隈の別の蕎麦屋も探しつつ、明日の宿も検討しつつ、そうなると明後日最終日の昼までに行く店も探しつつ。
理想としては、一筆書きのように地図上に軌跡が描ければよい。しかしお店の場所や営業時間や、諸々があってなかなかそうもいかないのだった。
とりあえず明日は野沢温泉に一泊することに決めた。
さあて、ここで寝るわけにはいかない。お酒飲んでほろ酔いのおかでんであったが、まだお風呂に入らないと。なにせ外湯は9つある。今晩中にいけるところに行っておかないと。
四番湯から七番湯までぐいっと進む。なかなかどれもよいお湯だった。食後時間ともなると、入浴者が減るので快適な風呂ライフを送ることができた。
この後宿に戻って、宿の内湯にも入ったので、今日一日で温泉8回入ったことになる。過去にも未来にもこんなに入った事はない。新記録だ。
2000年11月24日(金) 2日目
2日目。朝食時間より早く起き、外湯巡りを続行。八番湯、九番湯の渋大湯。
渋大湯だけは鉄さび色したお湯で、他の外湯とちがう。また、ここだけは「大湯」を名乗るだけあって、結構広い浴室と湯船を誇る。最後のお湯としてふさわしい作りだ。
朝ご飯。ハムエッグと鮭の切り身が並んでおり、「これはどっちが主食だろうね」という話になる。Wメインイベント、ということでご飯がいくらあっても足りなさそう。ってことで・・・うわあ、なんだこのご飯の盛りは。
「え?いや、だってこれくらいは当然食べるでしょ?」
しぶちょおにおひつの管理を任せたらこれだもんなー。まんが盛りだ。まあ、毎度のお約束だが。「まんが盛り」といっても、まんがでもここまで盛らないだろうという盛り上がり方をしている。通常の5杯分くらいは盛られれているだろうか?
そのくせしぶちょお自らのお茶碗には、普通に一杯分しか盛られていないのが巧妙。決してご飯が足りなくなったので、というわけではない。
今日も蕎麦の食べ歩きがあるというのに、これはちょっと朝からヘビーでごんすよ。
チェックアウト後、すぐに「ふじおか」に向かわずに、渋大湯から階段を登ったところにある薬師如来さんの参拝。すべてのお湯を巡ったことを報告しに詣でた。
「どれだけ食べても太らない体になりますように」
とむちゃなリクエストを薬師如来にしてきた。実現するといいな。
渋温泉から車で黒姫まで。「ふじおか」は林の中にぽつんとあるお店なので、カーナビがあっても道に迷った。迷った末にお店にたどり着いたが、まだ開店2時間近くも前。開店前から行列ができるというお店だが、さすがにまだ誰も来ていなかった。
それならば、ということで時間つぶしに近くの妙高高原のスキー場に行ってみた。
開放的でとても気持ちがよい。
のんびりしていたら、しぶちょおに置いていかれた。
待ってくれー。
さあ、今回の旅行のメインイベント、「ふじおか」ですよ。
このときの模様はこちら。
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