高山を駆ける死神の群れ【大キレット越え】

2002年09月02日(月) 3日目

ヒュッテ大槍→槍ヶ岳→大キレット→北穂高岳→穂高岳山荘

東鎌尾根から見た夜明け

快適な寝床だった。山小屋泊の経験の中では、もっとも心地よく眠ることができたのではないか、というくらいだった。

しかし。

山の朝は早い・・・。気が張っているから目覚めが早くなるということもあるが、例のごとくビニール袋ガサガサ音があちこちでするので、どうしても目が覚めてしまうのであった。ああっ、うるさい!

まあ、そのおかげというわけではないが、きっちりとニッポンの夜明けを楽しめるから結果オーライなのだが。

朝5時15分。東の空から太陽がのぼってきた。ご来光を見ると、いつも「今年もよい1年でありますように」と条件反射でお願いをしてしまうのだが、もう9月なわけでありあんまり時節を捕らえていない内容ではある。

朝日に染まる槍の穂先

朝日に染まる槍の穂先。

今日はまず、あのとんがったてっぺんを攻略しないといけない。でも、あんなに狭いところに人が登って、足の踏み場はあるのだろうか?

槍の穂先の左側に、平坦な場所があるのが見える。あそこが槍岳山荘。まずは、ここからあそこまで進軍し、そして穂先に向けてハシゴと鎖で岩のぼりとなる。

富士山も見える

ご来光といえば、やっぱり富士山がなくちゃ。

富士山、きっちりと拝むことができました。

その右手には、南アルプスの山々がそびえている。

ヒュッテ大槍の朝食

朝5時半から朝食。

さすがに朝食には白ワインは付かなかったか。ちぇっ。

・・・というのはともかくとして、相変わらず山小屋では鮭が圧倒的に強いな、というのをまざまざと見せつけられた朝食であった。

昨晩、あれだけ気合いの入った夕食を提供したヒュッテ大槍「でさえ」、鮭が朝食のメインディッシュとなっているこの事実。やはり、安くて・日持ちがして・メインディッシュの重責を担うことができる食材、として最適なのだろう。

しかし、標高3,000m近い山の中で海のものを食べているというのも不思議だ。

朝食にもキャベツの千切りがついていたり、きんぴらゴボウがついていたり、ポンジュースがついているというところが地味に凄い事だ。普通の山小屋だったら、こんなに朝から品数はつけない。

うれしくなって、ついついご飯を大盛りにしてしまった。昨晩はご飯をついつい食べ過ぎてしまい、ちょっと後悔していたところなのだが・・・まあ、今日はこれからカロリーを消費しまくるということで勘弁。

ゴミを持ち帰るとお礼を言われる

廊下に貼ってあった注意書き。

こういう文章ひとつとっても、山小屋スタッフの感じの良さがうかがい知れる。

普通だったら、「ゴミの持ち帰りにご協力ください」というお願いになる。だけど、「ありがとうございます」とお礼を言われてしまうと、何かもう持って帰らないと犯罪人みたいな気がしてくるから不思議だ。

ヒュッテ大槍出発

5時54分、ヒュッテ大槍を出発。

最後、記念撮影をしようと三脚をセットしていたら、ご主人が「あっ、写真撮りましょうか?」とニコヤカに駆け寄ってきた。非常にきさくな方だ。

それだったら、一緒に写ってもらった方がいい、ということでこうして3人で一緒に。

いやあ、いい山小屋でした。兄貴も僕も、「過去に泊まった山小屋の中でベスト!」と断言してしまった。ありがとう、ヒュッテ大槍。

ここで普通、山小屋に「ありがとう」なんて言葉を言うことはまずあり得ないのだが、そう言いたくなるような、いい小屋だった。

槍岳山荘

切り立った東鎌尾根を、時々ハシゴや鎖を使いながら進む。槍の穂先直下で道は左に巻いて、そのまま槍ヶ岳山荘に到着した。午前6時27分。

槍ヶ岳山荘はつい先日リニューアル工事が終わったばかりらしく、正面入り口は新しい建物になっていた。

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