業務:雪だるま制作班見習い【SOボランティア記録】

スペシャルチーム

大会最終日の表彰台がにぎわっている間、会場内のあちこちではゆるやかに撤収準備が始まっていた。始まりがあるものは終わりがある。ずっと続くと思っていたこの野沢温泉での日々も、例外は無かった。

ヘルプデスク班においても、どの機器を撤去してどこに運ぶか、といった段取りをすでにつけてあり、あとはインフォメーションコーナーやサブメディアセンターといったPC設置場所の業務がクローズするのを待つだけの状況になっていた。「終わるのを待つ」。なんだか寂しい気がする。

そんな中、お昼からスペシャルレースがコース上で行われた。ボランティア、運営スタッフ、各国コーチが4名からなるチームを作り、100mx4を走る事になっていた。ただし、トラック一周で合計400mではなく、100mの直線を2往復でゴール、というルールだった。

チームエントリーした人たちは、前日夜から「本気を出して走るか、それともウケねらいに走るか」ということを真剣に議論していた。イベント最後の打ち上げ花火として、参加者全員が楽しもうとしていた。

結局、真面目に走ることに決めたチームが多かったが、エントリーされたチームの中にいかにも屈強そうな選手団コーチグループがいたりなんかして、「うわ、勝てっこねぇ」と悟り、やっぱりウケ狙いに走れば良かった、と出走する直前になって後悔しているところは多かった。

写真は、スタバ軍団チーム。大きなロゴフラッグをマント代わりに身にまとっている。宣伝効果抜群だ。

ハッピ&ハゲヅラ

やっぱりこういうチームがいないといかんよな。どこで手に入れたんだか、「信州野沢温泉」と染め抜かれた緑色のはっぴを着て、しかもハゲヅラまでかぶっているコーチチーム。どこの国だったかは忘れた。

他にも、「宿のゆかたを全員が着用」というチームもあった。「くそー、あれはオイシイなあ」とウケ狙いに走りそびれたチームがくやしがる。ただ、ユカタ着用のご本人に話かけたところ、「寒くてやってられん!」と悲痛な叫びが返ってきた。

疾走する人

チーム数が多かったのでディビジョン2まで行われ、その後上位チームで決勝戦が行われた。

大会期間中、ずっと選手のコールをやっていた日本語と英語のウグイス嬢が今回も担当してくれていて、選手名紹介の際にはやけに盛り上がった。

レースは、SO台湾のコーチチームが勝った・・・と思うけど、どうだった覚えていない。たくさんのボランティアが見学に訪れ、最後のイベントだと盛り上がった。「アスリートたちの競技よりも盛り上がったんじゃないか」という話もあったが、もちろんそれは冗談だ。

溶けずにこらえる雪だるま

レース終了後、撤去作業に入る。

あちこちに当たり前のように据え付けてあった長机は、全部折り畳まれて一カ所に集められた。なるほど、机は片づけるものなのか、と今更のように驚いた。あまりに毎日、同じ光景を見守ってきたからだ。

出店も撤去が始まっていた。おぎのやの店員さんともお別れのあいさつ。明日はエムウェーブで行われる閉会式に出店するそうだ。お疲れさまです。

会場はあっけないくらい早いペースで片づけられていった。なにしろ、ボランティアの数が非常に多い。それっ、と作業を開始するとみるみる作業がはかどる。さっきまでレースをやっていた会場も、1時間もしない間にコースがどこにあったのかすらわからない雪の台地に戻っていた。

入り口にある雪だるまは、そんなあわただしいわれわれとは無頓着でじっとその場にたたずんでいた。さすがに随分と溶けてしまい、顔つきもかわってしまったが健在だ。よくぞ耐えたものだ。

雪だるまで記念撮影

最後、SO日本のアスリートたちが雪だるまの前で最後の記念撮影をしていた。作った本人としては非常にうれしかった。自分の作ったものが、参加したアスリート、ボランティアその他の人たちにとって思い出の象徴の一つになってくれるというのは感慨深い。

この雪だるま、会場からボランティアの姿が消えた3月6日以降も大切に保管されていたらしい。荷物搬出のためトラックが入り口に横付けされる際は、わざわざ手間暇かけて「脇にお引っ越し」させたと聞く。3月10日時点ではまだ残っていたというから、きっと溶けきるまで天寿を全うしたのだろう。いい雪だるま人生だ。

本日は14時まで撤収作業

呆れてしまうくらい豪快に片づけが進んでいくのだが、「本日は14時まで撤収作業」という告知が出された。それ以降は解散で、任意でSOタウンで行われる閉村式に参加するように、という指示だった。

明日3月5日の片づけも任意で、参加義務は無いという。業務によっては今日で全て終了、解散というところもあったようだ。

ヘルプデスク班はまだ明日も仕事が残っている。

SOタウン

SOタウンに移動すると、お昼ご飯を食べたアスリートたちが閉村式が始まるのを待っていた。

サインを書きあう人たち

閉村式。

はちまきが参加者全員に配られ、

「思い出のために、お互いのはちまきに寄せ書きをしましょう」

という事になった。アスリート、ボランティアがあちこち歩き回り、お互いのはちまきに健闘をたたえる文章を書きあった。

ボランティアによっては、着用している白いジャケットをカンバスにして、アスリートたちにいろいろ書いて貰ったりしていた。

SOタウンメイヤーのあいさつ

最後、SOタウンメイヤーの佐藤和男さん(3大会連続クロスカントリースキーで五輪出場した地元の英雄)からのごあいさつで全ては終了。

あー、本当に終わってしまった。大会、終わってしまったぞ。

もちろん、大会そのものは明日午後の閉会式まで続くし、DALは選手団を成田から送り出すまで任務は続く。でも、野沢温泉会場としてはこれがオーラスだ。

「終わっちゃったねえ」
「終わったねえ」

初日からずっと参加していた人と、間の抜けた会話をする。やはり、大会途中から参加した人たちと比べると、はるかに感慨深いものがある。こういうイベントは最初から最後までいた方が強烈な達成感があって良いものだ。つくづく、会社に無理を言って長期休暇をとって良かったと思った。

風化しつつある雪だるま

SOタウン入り口に設置されていた雪だるまは、すでに風化しつつあった。

SOタウンも撤収開始

閉村式が終わった直後から後かたづけを開始した。本来であれば18時まで開いているSOタウンだが、この日は閉村式があったために、お客さんは早く引き上げていた。

当たり前のようにそこにあった旗、椅子、机などがどんどん片づけられる。

SOタウンスタッフで記念撮影

翌日3月5日に仕事を若干残しつつも、この日は終了となった。SOタウンメンバー全員+ヘルプデスク班の残党で記念撮影。SOタウンだけでもこれだけの大所帯。

もりそば

ここ3日、連続して宿以外のところで酒宴を開いていたが、今日は特に予定無し。宿でビール2本あけつつ食事をとり、外湯巡りの総まとめにでかけた。

途中、写真が抜けてしまっているが順調に外湯巡りは進み、残すところはあと2つになっていた。

ちょっとお酒が入った状態で外湯に向かっていたら、何やら蕎麦屋を発見。気になるのでついつい入店して蕎麦を食べてしまった。お酒も1本。やりすぎだ。

十王堂の湯

やりすぎた、と反省しながら十王堂の湯へ行く。ここも二階に湯船がある変わった作りだ。

温泉玉子コーナー

一階入り口の脇に温泉玉子コーナーがあった。むむ、気になる。

温泉玉子コーナー

見ると、おでん鍋みたいな作りのものがある。細く仕切られた木蓋が敷き詰めてあって、どうやらお一人様木豚1個分ご利用ください、ということらしい。

でも肝心の玉子が無いんだよなあ・・・。

たまごを買ってきた

ということで買ってきました生卵。近所のスーパーで1パック260円程度で。うわ、高い。あと、温泉玉子制作用ネットを1袋30円で。

こんなに玉子いらないんだけどな。1個もしくは2個で十分なのだが・・・。

温泉卵製作中

とりあえず漬けてみる。熱湯なので、ネットをきっちり湯船の縁にひっかけておかないと、後で大変なことになる。

この状態で30分程度待てば、温泉玉子のできあがりだという。仕上がり状態を外から確認できないので、疑心暗鬼でお持ち帰りしなければならない。

河原湯

温泉玉子を仕上げている間に、街の中心部にある河原湯に行く。

「かわらゆ」と読むのかと思ったら、地元の人曰く「かわはらゆ」だという。紛らわしい名前だ。

十王堂の湯の前でばったり出会ったボランティアの人がいたが、温泉玉子を作っている最中にもまた出会い、そして河原湯を出たところでも遭遇した。「何やってるんスかウロウロして」と聞いてみたところ、お土産の買い出しをしているところだという。ああそうか、明日はもうこの地を撤収するのだから、お土産を買わないといけない時期だったか。今頃になって気がついた。

しかしその割には、手にはスナック類やお酒の一升瓶が置いてある。お土産か?

聞いてみると、これから宿で飲み会をやるんだという。ぜひ一緒にどうぞ、と誘われたので、ご厚意に甘える事にした。さっき宿でビール飲んだし、蕎麦屋でお酒を飲んだ後なのに。やりすぎだ。

宿の門限である11時まで宴席に滞在し、引き上げた。

宿泊していた宿の門限は11時だったのだが、この門限に間に合わずに途方に暮れた仲間もいた。ジャケットのポケット内に携帯電話が入っていたため、着信に気づかなかったのだが翌朝携帯の画面を見ると深夜1時くらいに着信履歴が残っている。その人はおかでんが滞在していた隣の部屋の住人だったために不思議に思い、会場で聞いてみた。すると彼は、「いや、門限過ぎちゃってて、宿の玄関が鍵がかかっててどうしようもなかったんですよ」とぐったりした顔で言った。「しょうがないので、大湯のそばにある足湯で一晩過ごしましたよ。死ぬかと思いました。しかも、途中でお巡りさんに職務質問されるし」なるほど、確かに赤い顔をしている。風邪を引く寸前のようだ。えらいこっちゃ。「お巡りさんも酷いんですよ、宿の門限が過ぎちゃったので朝までこうして時間を潰してます、と言ったら『ふーん、そうなんだ』で終わっちゃったんですから。派出所に連れて行ってくれるとかしてくれるかと思ったのに」

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