山中秘湯旅館を貸し切り大満喫【那須岳・三斗小屋温泉】

入山届ポスト

09:38
登山指導センターのところに登山計画書を提出するポストがあった。どこの山の登山口でも見かける光景。どれ、たまにはちゃんと計画書を出しておこうか。書式はどこにあるかな・・・あれ?紙切れ?

どこを探しても、紙がなかった。残念。いつも計画書なんて提出しない僕が、珍しくちゃんと書こうとしていたのに。この燃えたぎる情熱をどこに向ければ良いのか。あ、山か。そりゃそうだ。

でもこの日、僕はやたらと弱気でありすっかり悩み果てていた。周囲の友達には

「何のために山に登るのか、登山口に着いてもいまだにわからない」
「気を強く持っていないと、崖なんかを通過するときに何かあるかもしれない」
「死に場所を探し求めているような気がする」

とメールやLINEでぼやいていた。そんな僕をみかねて、友達からは、「悪い事を考えないで!しっかりして!」と励ましのメッセージがいくつも届いた。それくらい、僕にしては珍しく弱っていた。

もちろん、山で死ぬ気なんてない。それがどれだけ周囲に迷惑をかけるかというのは、よく知っているからだ。でも、ひょっとしたらひょとしちゃうかも、という予感は正直感じていた。この時はそんなやばいメンタリティだった。だからこそ、山奥の温泉に行って、一人物思いに浸ろうと思ったわけで。ちょっと今まで、下界であれこれありすぎた。ろくに寝てない上に激やせという状況が僕の疲弊っぷりを如実に表している。ああ、ゆっくり眠れるようになりたいものだ。今晩は温泉に浸かって、熟睡できるだろうか?

登山口でガッツポーズ

09:39
さて、いよいよここから本格的に登山開始。登山口で記念撮影をしておく。

この写真は、単にナルシストおかでんが己の姿を写しておきたいから、という理由で撮っているわけではない。デジカメ写真はちゃんと撮影日時が記録されるので、何時何分に登山口から出発したか、メモ代わりになるのだった。いちいち紙のメモにペンで記述するより、はるかに楽。

あと、言い方は悪いが、この後万が一遭難とかして死んじゃった場合、遺影の写真に使える。

雨は微妙な感じで降り続いている。面倒なので、レインウェアの上着だけは羽織ることにした。下はまだいいや。山に登っている最中、レインウェアを脱いだり着たりするのはとてもうっとおしい。せっかくいいかんじで登っているのに、水を差される形になるからだ。だから、着るなら着るで今のうちに用意しておきたいと思った。

なお、レインウェアはユニクロ製じゃないぞ。これは命に直結するギアなので、ちゃんと金かけておかないと。登山において、ザック、靴、レインウェアだけはちゃんとお金をかけてないとダメだ。ちなみにこのレインウェアはノースフェース製で、お値段は3万円ちょっとだったかな。型落ち品を買ったので少し安かったが、それでもこのお値段。ゴアテックス製品は、やっぱり値段が相当高い。

ゴアテックスってそんなにいいの?と思うかも知れないが、そりゃあいいもんです。山登るのに、間違ってもビニールの雨合羽なんて持参しちゃダメです。ビニールだと、すぐに中が蒸れて、雨に濡れているのと同等かそれ以上なくらい、内側が濡れてしまう。着るだけ無駄。その点、ゴアテックスだと「湿気は通すけど、水滴は通さない」という特殊な生地なので、一応蒸れないってことになってる。一度使うと、もう元には戻れない。

登山口に鳥居がある

09:40
那須岳登山口すぐのところに、鳥居が立っている。「山の神」と書かれている。この先に、山の神が祀られている。

えーと、こんなの、昔あったっけな?以前ここを通った時には、こんな鳥居はなかったと思うのだが。最近できたっぽい。

こま犬の間を進む

09:42
ご丁寧に、登山道両脇に狛犬まで待機している。

山の神

09:43
山の神。

明治期から昭和23年まで続いた、硫黄の精錬工場の鉱夫たちの無事を願って作られたのが発端だという。で、閉山とともに姿を消したのだけど、数年前に登山道を整備した際に山の神も再度整備したのだとか。なるほど、道理で以前来たときにはなかったわけだ。

通過がてら、ごあいさつをしておく。

整備された道を歩く

09:46
快適な登山道を歩く。よく整備されていて、雨の日でも安心。

この山の特徴は、登山口からほぼ全て樹林帯の中を通らないということだ。標高は決して高くない(登山口は標高1,470m)のに、珍しいことだ。そんなわけで、展望が全くない樹林帯をひたすらつづら折れ、といった拷問がない分、この山は初心者向けといえる。誰でもが楽しめる山。

あっという間に風光明媚

09:53
ほら。歩き始めて間もないというのに、あっという間にこんな開けた景色になっちゃうんだもの。これは相当楽しい。もうこのあたりは、視界を遮る高い樹木は一切存在しない。

何時間もかけて登ったかのような景色がすぐに手に入る

09:53
登山道は谷にぶち当たった後、その谷に沿うように標高を上げていく。このあたりからは土の地面ではなくなり、赤い岩がゴロゴロした地面になる。低い山とはいえ、なめたらいかん。やっぱりこういう地面ならば、ちゃんとした登山靴は履いておきたいところだ。もちろんスニーカーでも登ることは可能だけど。

中の茶屋跡

09:55
中の茶屋跡に到着。なんと、「峠の茶屋」と「峰の茶屋」の中間地点に、「中の茶屋」というのもあったのか。茶屋銀座だな。

標高は既に1,610m。景色が良いので、するすると登ることができる。強引な急坂はこれまで一切なく、ゆるりゆるりと標高を稼いでいる。

峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた

09:59
進行方向正面に、峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた。写真だとほとんど見えないけど、鞍部が、それだ。ここから左に曲がれば茶臼岳、まっすぐ突っ切れば三斗小屋温泉、右に曲がれば朝日岳となっている。十字路だ。

この辺りは風の通り道として有名で、突風が吹き抜ける。何で風が集まってくるのか、その構図はよくわからないが、とにかく風が強い。久石譲が、「となりのトトロ」の劇中曲として作った「風の通り道」という曲があるが、ここはあんな悠長な楽しい世界じゃない。吹き飛ばされないように耐えなければならない、そんな場所がこの「峰の茶屋」だ。

茶臼岳本峰

09:59
ありがたいことに降り続いていた小雨はほぼやんだ。空はどんよりしているもののそれほど暗くなく、晴れてくれとは言わないけどこの調子であってもらいたいものだ。

崖の上から茶臼岳本峰が見えてきた。ちょうど二本のツノが生えているように見え、もし「実写版桃太郎」を作るなら、ここを鬼が島のロケ地としてみるのもいいと思う。

さて、今からあの岩山のてっぺんに登るぞ。大変そうだけど、ぐるっとまわりこむので大丈夫。実は子供でも犬でも登れる山だ。

峰の茶屋が近づいてきた

10:04
峰の茶屋がある峠が近づいてきた。案の定、だんだん風が強くなってきた。さすがは風の名所の峰の茶屋だ、こんな天気じゃ、そりゃ風は吹き抜けるだろうな。

遠目ながらも、峰の茶屋の避難小屋が見えてきた。これが急坂の遥か上にあったら相当げんなりだけど、幸い高度差はさほどない場所だ。だらだらと登って行けば、すぐだ。

一人ぽくぽくと歩く

10:08
峰の茶屋に向けて歩く僕。

こういう写真を撮影できるあたり、まだまだ余裕だ。

雨が止んだので、とっととレインウェアを脱いだ。でも、また降り始めたら困るので、ザックに巻きつけておいた。

人によってこのあたりは性格が出る。後生大事に、太陽が出るまでずっとレインウェアを着続ける人がいるし、ちょっとでも雨が止んだらすぐに脱ぐ人がいるし、そもそも大雨にでもならない限りはレインウェアを着ようとしない人もいる。僕はどっちかといえば後者の方。

峰の茶屋跡

10:14
峰の茶屋跡。

「これぞ、峠」という、くっきりとした形の峠。風の通り道ということもあり、峠周辺には草木が生えていない。避難小屋が一軒、ぽつんと存在している。でも、「宿泊禁止」の注意書きが貼ってあったので、ここで寝泊まりをすることはできない。荒天時の休憩程度にしか使えないという事だ。でも、風が強い場所なので、風を避けつつ休憩ができるというのは助かる人が多いだろう。

峰の茶屋跡で記念撮影

10:15
峰の茶屋跡で記念撮影。

茶臼岳まで1.3キロ、という表示がある。あともう少し。

風が強いので、レインウェアが飛ばないように左手で押さえつつの写真となった。ここで風にふっとばされたら、もう取り戻すことはできない気がする。ずっと、西側から東側にかけて風が吹き続けている。

噴煙を上げる茶臼岳

10:16
峰の茶屋跡から見上げた、茶臼岳。

茶臼岳山頂が今回の行程でもっとも標高が高い地点となる(1,915m)。そんなありがたい場所に、このあとものの50分ほどで着いてしまう。つくづく、この山は初心者向けだ。でも、十分に山歩きの醍醐味(だいごみ)を体験できるので、素晴らしい山だ。

茶臼岳の西側山腹から、煙がでている。まだこの山は活火山だよ、ということを内外にPRしている格好だ。

気温は17度

10:17
気温を確認してみたら、17度だった。7月5日でこの気温だから、下界と比べると随分涼しい。今年の下界は気温が跳ね上がるのが早く、この時期にして早速35度とかを記録していた。それを踏まえると、やっぱり夏は山に登るに限る。山ヤから言わせると、夏に海に行くなんて暑くて仕方がないじゃないか、ということになる。

避難小屋の中1

避難小屋の中2

10:17
避難小屋の中を覗いてみた。二部屋に分かれていて、一部屋は板敷きのスペース、もう一部屋はベンチ風になっていた。

壁には「ここは避難小屋です。宿泊しないでください 栃木県」という張り紙が貼ってあった。避難小屋だから泊まるな、というのはなんだか不思議な物言いだ。普通なら、避難小屋だからこそ泊まる、っていう論法になるんだが。

非難小屋の非常口

10:19
避難小屋の外。

「非常口」として、小さな扉が据え付けてあった。毎時0分になると、中からハトが出てきて時刻を教えてくれるような、そんな扉。地面より遥かに高いところに扉があるのはなぜかというと、ここが冬季の出入り口になるからだ。雪が積もってしまうことを前提にして、わざわざ高いところに扉が作ってある。ちなみに冬になるとこの辺りは結構雪が積もるらしい。

カントリーマアムで栄養補給

10:26
せっかくなので、ここでちょっと糖分摂取をしておく。お酒をやめて以来甘い物をたしなむようになった僕だが、こういうときにすっとカントリーマアムが出てくるあたり、それっぽいでしょ。今回の山用に買ったのではなく、「家に常備されていたものを適当に持参しました」感がにじみ出ていて。うわあ、おかでんらしくないなあ。でも、美味いんだなこれが。

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