山中秘湯旅館を貸し切り大満喫【那須岳・三斗小屋温泉】

朝日岳山頂から見下ろす

08:53
山頂から、登山口やロープウェイ乗り場を見下ろしたところ。今からあそこまで歩いて下りていくぞ。それにしても、深い緑が魅力的な大地だ。那須の魅力は、緑に覆われた土地といえる。それがこの写真からでもうかがえる。

朝日岳西側

09:19
縦走路に戻る。ここから、峰の茶屋跡に向かう。道は朝日岳西側を巻くように作られている。岩場を歩くことになるので、ちょっと注意が必要。これまでののんびりした山歩きから、少しだけぴりっとした歩きに切り替わる。

那須岳は岩肌だらけ

09:21
この写真だけを人に見せたら、「一体どこのアルプス?」と聞かれるだろう。いえいえ、南でも中央でも北アルプスでもない、那須岳なんですよこれが。

こういう景色の中、岩場歩きができるんだから那須岳は本当にお得な登山だ。

岩肌を下る

09:26
ところどころ登山道には鎖の仕切りがついている。それが登山道の真ん中にあり、登り用の道と、下り用の道を分割している。ただし、どっちが登りでどっちが下りかなんて指示はないので、みんな適当に利用している。そのため、途中で登りと下りが鉢合わせになってしまい、鎖を乗り越えて隣のレーンに移る、なんてことが時々発生した。

結構外国の人が歩いてる。一体どんな理由でここにやってきているのだろう。不思議だ。まさか、日本旅行のついでにここにやって来た、というわけではないと思うので、在日の人なんだと思うが。

剣が峰

09:29
尖った岩の塊が見えてきた。地図を見ると、どうやらこれが「剣が峰(1,799m)」らしい。登山道はなく、ただ眺めるだけの岩だ。クライマーは多分このてっぺんを目指すのだろうが、今日は登っている人はいなかった。

峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた

09:34
峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた。

いやぁ、人が多い。登山口に通じる道には、鈴なりで人が歩いて登ってきている。山の上では何かお祭りでもあるのか?と勘ぐりたくなるくらいの人の数だ。やだなあ、あの人ごみの中に入らないといけないのか。今朝までの静寂を返して。

それにしても、これだけ人気の山塊だったのに、昨日は静寂の登山が楽しめたのだから、これはむしろラッキーだったと思いたい。人と出会いたいと思ってはいたが、むしろ出会わなくて正解だったかもしれない。

峰の茶屋跡

09:38
峰の茶屋跡に到着。下界から登ってきた人たちがめいめいくつろいでいる。空は雲が切れ、青いところも見えている。今日は登山日和。昨日悩まされた風も、今日は微風。同じ場所とは思えないくらいだ。ただし日差しは強いので、今日登った人は日焼け注意だ。

峰の茶屋跡から振り返った朝日岳

09:40
峰の茶屋跡から振り返った朝日岳。岩でできた山で、勇ましい。あの山からたった今下りてきたんだ。

登山口に向けて、最後の下山開始

09:40
登山口に向けて、最後の下山開始。若い人が多く歩いているのに、びっくりさせられる。一体いつの間に山は若い人が増えたんだ?僕が去年まで見てきた山ってのは、中高年ばっかりだったぞ。女性も多いし、小さい子連れの家族も結構いる。老若男女の場になってるじゃないか、山が!姥捨て山じゃなかったのか。

後でこの話をコダマ青年にしたところ、

「ここ数年そんな感じだぞ。お前はシーズンオフばっかり山に登ってるから年寄りが多いんだよ。土日とかシーズンに山行ってみろ、若いやつらが多いぞ」

と言われた。なるほど、そうだったのか。全く気がつかなかった。僕は、意識的にオフシーズンを狙って登山してたからなあ。

強風に注意

09:50
登山道脇にあった、「強風に注意!」の警告。はい、昨日まんまと強風にあおられてデジカメ(2.5万円相当)を壊しました。すんません、完全に油断してました。以降気を付けます。風が吹いているのに三脚を立てるなんていうことは今後控えます。

峠の茶屋駐車場

10:05
峠の茶屋駐車場に下山完了。あっという間の下山だった。標準コースタイムとはかけ離れた時間で、三斗小屋温泉から駆け抜けた。3時間で到着。それでも疲労感はほとんどない。うん、今シーズンの開幕としてはとても良いウォーミングアップだったと言える。

それにしても、駐車場が車でいっぱいだ!そりゃそうだ、あれだけ山に人が殺到してるんだ、車も当然たくさん来ているよな。それにしても、昨日はこの駐車場がほぼすっからかんだったんだぜ?それが今日はこのザマだ。たった一日でこうも様相が変わるんだな。びっくりだ。

下山完了

10:14
遊歩道をてくてくと歩き、バス停があるロープウェイ乗り場に到着。これにて完全に下山は終了。あとは公共交通機関を乗り継いで、下山するだけだ。

スマホのバッテリーはもうへろへろ状態。電池のロゴが赤く灯り、もうすぐ電池切れになりますよと警告している。写真を撮りまくったけど、よくぞここまで持ちこたえてくれた。よくやった。スマホって、「機内モード」にすると予想以上にバッテリーが長持ちするということを今回学んだ。今後もこのテクニックはちょくちょく使っていこう。

チーズタルトケーキ

10:22
ロープウェイ乗り場の売店で売られていた、「チーズタルトケーキ」を関係各位へのお土産としていくつか購入した。「那須高原」とパッケージに書かれてなけりゃ、どこの土産なんだかさっぱりわからない代物。そして、お会計のときに「ロープウェイ 那須岳」と書かれた丸いシールが張られ、これで那須岳に行ってきたということが明確になった。相当やっつけ仕事だけど。他に手ごろな値段と量の食べ物系土産物がなかったので仕方がない。ちなみに、製造元を確認してみたら「日光市」との記載が。うわぁ、那須と全然関係なかったよ。

今ここでお土産を買っておかなくては他で買う機会がない、と思ったのだが、実際は那須塩原駅でお土産を買うことはできた。殺風景な駅前だったので、お土産物屋なんてないのだとばかり思っていたが、いやいや、いくつもお店は存在した。「萩の月」そっくりな「御用邸の月」とか、そういうものがあるので、駅でお土産を見繕うのもよろしかろう。

今日はロープウェイがよく見える

10:24
ロープウェイが行き来する。一面のガスだった昨日とは大違いだ。茶臼岳の中腹にある駅もよく見える。

この日は修学旅行なのか遠足なのか、子供たちの団体が多数押し寄せていてロープウェイは大盛況。ただでさえハイカーが鈴なりなので、ロープウェイ乗り場はぎっしりと人で埋まっていた。臨時便をどんどん出しているようだが、それでも追い付かない様子。

温泉神社

10:57
10時30分の那須塩原行きバスに乗って、山を下る。当初計画では12時55分のバスを想定していたので、2時間以上も短縮したことになる。

10時55分、那須湯本で途中下車。ここで、汗を流そうと思う。

今朝、さんざん三斗小屋温泉に浸かっていたばっかりなのに、もう次の風呂か!浮気者!

でもやっぱり、下山したら温泉に入りたくなるのは人の常だ。だいたい、汗臭いまま都会に戻ったら周囲の人に迷惑。山帰りだからこそ、身だしなみには気を付けたい。

次のバスまで1時間半の余裕があるので、いきなり温泉ではなく、まずは温泉神社に行ってみることにした。この那須湯本には、とても立派な神社がある。今朝がた見た、三斗小屋温泉の温泉神社とはスケールが全然違う。

参道は結構長い。木漏れ日の中を、一の鳥居からてくてく歩く。気持ちの良い空間だ。

温泉神社の本殿

10:59
温泉神社本殿。那須与一が、屋島の合戦で平家の扇を射抜く際に祈願したのがここだと伝えられている。温泉の神様なのに、いろいろご利益があるんだな。そういえば、恋愛おみくじなんてのも売られていた。もうなんでもありだ。ちなみに普通のおみくじより割高な200円だった気が。

相手の心を射貫くぞ!ということで、那須与一同様御利益があるってか。

賽の河原

11:04
温泉神社の横手には、賽の河原が広がっている。草木が一切生えておらず、岩だけの荒涼とした土地。この賽の河原の中には、九尾の狐伝説が残る「殺生石」がある。

殺生石

11:06
殺生石。那須湯本賽の河原のシンボル。昔、悪さをする九尾の狐がここにいたのだけど、勅命で押し寄せた大軍の前に追いつめられ、最後は鏑矢で射ぬかれて石になったのだそうだ。でも、狐の怨霊たくましく、いまだに毒っ気を放ち続けている、という話。

松尾芭蕉は、「奥の細道」でこの地のことをこう評している。

石の毒気いまだ滅びず、蝶蜘蛛のたぐひ真砂の色の見えぬ程にかさなり死す

江戸時代は、今以上に相当この石は強烈にガスを放っていたようだ。「かさなり死す」というくらいだから、強烈だ。・・・というか、これ、相当話を盛ってませんか?芭蕉さん。マジすか?

賽の河原に並ぶ、お地蔵さん

11:11
賽の河原に並ぶ、お地蔵さんたち。

夜、この地を肝試しの場としたら、子供たちなら怖がるかもしれない。

那須湯本の源泉

11:16
賽の河原から川沿いにしばらく下ったところは、車が頻繁に出たり入ったりしている。車の大半が、他県ナンバーだ。この何の変哲もない脇道に入ったところが、那須湯本で一番有名な入浴施設、「鹿の湯」だ。

鹿の湯は何度か訪れたことがあるのだが、ここはその知名度故にとても混む。しかし、今日は午前中ということもあって人はまだ少ない様子。だったら、ということで今回もお世話になることにした。

鹿の湯に向かう途中、那須湯本温泉の源泉がさりげなくあった。ひとまず、写真撮影しておく。

でも、後になってこの写真を見直してみたが、「だからどうした?」的な写真であり、あんまり意味がなかったかもしれないと思ったり思わなかったり。

鹿の湯

11:18
鹿の湯。川を挟んで建物が立っていて、川の「こっち側」が受付と休憩室、橋を渡った「あっち側」が風呂場となっている。

鹿の湯を有名たらしめているのが、風呂の造りだ。小さ目の湯船が6つずらりと並び(男湯の場合)、それぞれ湯温が異なっているのだった。低いところは41度で、徐々に湯温は上がり、42度、43度、44度、46度、48度となっている。お好みの湯船でお楽しみください。でも、46度以上になると罰ゲームに等しく、長時間入るのは無理。いや、お試しで短時間入るのも相当きつい。大抵この湯船のへりには「常連さん」が居座っていて、入浴の仕方をレクチャーしてくれる(悪い言い方をすると、ちょっかいを出してくる)。

僕は、42度を中心に、43度と41度をうろちょろした。硫黄のにおいが立ち込める湯船で、汗をどっぷりとかく。三斗小屋温泉とは違った温泉満喫方法だ。

バスの時間がくるまで、じっくりと風呂に浸かった。考えてみれば、今回の旅行は山を歩いている時間よりも、風呂に入っている時間の方が長かったかもしれない。ちょっと特異な旅だったな。

煙草屋旅館のお弁当はおにぎり二個

13:33
バスで那須塩原まで戻り、そこから新幹線に乗って帰路に就いた。

あ、そうだ、煙草屋旅館で作ってもらったお弁当を食べなくては。新幹線の中で包みを開けてみたら、中から大振りなおにぎりが2個、出てきた。両方とも梅のおにぎり。下山後に食べるのもどうかとは思っていたが、那須塩原駅界隈には飲食店があるわけでもなく、ちょうど良かったと思う。おいしく食べているうちに、気が付いたら電車はあっという間に大宮。予想以上に近いのが、那須だった。歩きやすい上に温泉も満喫でき、そして風光明媚。よいことづくめの那須は、今後も機会があれば訪れたい場所だと思った。「一度登った山には興味を失う、ピークハンター」の僕でさえ、そう思うんだから、この地の素晴らしさは本物だ。

このあと、僕はビックカメラでデジカメを早速買い替えた。何代目・・・かは忘れた。もう12、13代目にはなっているはずだが、数えきれない。そしてその足で、僕は「風呂の中で考えて、決心したこと」を実行するため、ザックを背負ったまま街の中へと消えて行った。家に戻ってきたのは翌朝10時過ぎ。へとへとになってのご帰還となった。内容は明かせないが、風呂で熟慮の末の行動なので、後悔はしていない。それにしても、本当に「山歩き」がわき役に追いやられた旅だったな。でも、僕の人生の転機において、貴重な時間が確保できたのでとてもよかったと思う。

今後も山に登り続けるのか?なんのために山なのか?という疑問は相変わらず解けていないが、それは時間が解決してくれるのかもしれない。