2020年7月/コロナ時代の甲府で療養する

「専心庵」での食事を諦めた我々は、そのまま自転車を北上させ「奥藤丸の内第八分店」に行った。

てっきり「おくふじ」だと思っていたのだけど、「おくとう」と読むことをあとになって知る。

「奥藤本店」という名前のお店は、国母と甲府駅前に2店舗ある。僕はその両方とも行ったことがある。

(2019年に奥藤本店甲府駅前店を訪れたけれど、うっかり記事にし忘れている)

この「本店」とは別経営で、「分店」を名乗るお店が山梨県界隈に何店舗もあるようだが、第一からスタートしてずっとカウントアップされているわけではないようだ。途中で閉店・廃業したお店もあるのだろう。Googleで調べたところ、「第十」を名乗る奥藤の存在までは確認ができた。

鳥もつ丼セット

ここで鳥もつ丼セットを食べる。うん、昼からしっかりお腹いっぱいになっちゃった。その時の記録は「蕎麦喰い人種行動観察」

ここは専心庵と違って、お客さんは我々だけ。密を心配しないでご飯を食べることができた。

せっかくレンタサイクルを借りたことだし、甲府駅の北側にある武田神社まで行ってきた。

甲府盆地は広い平地ではあるけれど、さすがに山の中だけあって緩やかに傾斜がある。甲府は、北に向かって上り坂だ。電動アシスト付き自転車だと、坂道でも全然へっちゃらだ。

武田神社は武田信玄の住まいがあった場所の跡地に大正期に作られたものだけど、訪れる観光客は車かバスということになると思う。でも、我々のように自転車だと、密らなくて済むので気が楽だ。

ああ、でもこんなところにもコロナの影響が。

戦国時代から湧き続けているとされる、敷地内の湧き水。ここは柄杓とろうとが置いてあることからもわかるとおり、名水としてお持ち帰りをする人が多かった。

でも、コロナの影響で井戸水の利用は禁止、という表示が出ていた。

水そのものにコロナウイルスがいるわけではないのだけれど、誰が触ったかわからない柄杓やろうとを積極的に使って良いです、とは言えないご時世になった。

さすがに気にし過ぎだとは思うけれど、じゃあ、どこまで気にしなければ正解なのか?というのがよくわかっていないのが2020年7月時点の世界だ。個人一人ひとりの配慮はともかくとして、公の場所については「やることはやってます」というポーズを見せるという意味でも慎重すぎる対策が求められる。万が一があってはいけないから。

武田神社のお詣りをしたあと、すぐ目の前にある「信玄ミュージアム」に行ってみた。武田三代の歴史を中心に、武田神社がある躑躅ヶ崎界隈の土塁や建物の構造についての解説がされている。

ここは、入館前に非接触式体温計での体温計測、住所氏名年齢等の書類記載が求められた。感染者が出た場合、保健所が追跡調査をすることができるように、だ。あと、通路は一方通行になっていて、人があまり交錯しないように配慮されている。

入館時の資料で住所に「東京都」と書くことに、ちょっと後ろめたさを感じる。

こんなご時世なので施設は空いているのだけれど、扉は全開にされていて密閉空間ができないように運営されていた。

そして、壁際のベンチは、1席おきに使うようになっていて、人が群れないように工夫されていた。予めふさがっている席には、「真田昌幸様ご予約席」や「山本勘助様ご予約席」などと書かれた札が置いてあって、ちょっと楽しい。

そう、せっかくいろいろ制約が出るご時世だ。せめてこのようにトンチをきかせて、楽しく制約を乗り越えていきたいものだ。「我慢してやりすごす」という発想だと、長続きしないから。

いずれは、真田昌幸の鎧甲冑を着た人形がデーンとベンチに座っていたりするようになるのかもしれない。そうなると、鎧の鑑賞という点でも展示の価値が出るし、面白いと思う。

ドーミーイン甲府丸の内にやってきた。本日のお宿だ。

自転車を返却し、日がまだ高いうちにチェックインとなった。さすがにごのご時世、日が暮れるまで密な空間で不特定多数の人と密っているわけにはいかない。県外から来た人間なのだから、なおさらだ。「えへんえへん、観光客でござい。地元経済を支援しますよ」なんて上から目線じゃ駄目で、「すいませんが、ちょっと滞在させていただきますね。療養がてらなので許してください」と下から目線だ。

甲府の人には申し訳ないが、地方の県庁所在地ということで繁華街がちょっとある程度でこの町にはあまり観光客が楽しめる場所がない。なのでむしろ、ウロチョロすることもなく、潔く宿にチェックインできる。本当に、「便利な場所で、温泉でゆっくりしたいんです」という人向けだ。そう、甲府はなにげに温泉地だ。このあたりのビジホは、大浴場が温泉になっている。

熱海も、「東京から新幹線で行けて近い温泉観光地」ではあるけれど、ちょっとあそこは欲望が多いんだよな。一大観光地になっていて、近くに小田原とか箱根とか伊豆半島とか、観光地があるし。ゴチャゴチャするのが面倒な人は、甲府がおすすめだ。街なのでスカッと気分転換できないかもしれないけれど、本当に気軽にゆっくりできる。

で、ドーミーイン甲府丸の内は、本日まだ空室があるようだ。とはいっても、僕らが選んだ「1泊朝食付きで3,500円」という「慈善活動レベル」の格安プランはさすがに残っていないと思うけれど。

チェックインカウンターは、上からビターンとビニールシートが吊り下げられている。客とフロントスタッフの会話の際に飛沫が飛び散らないようにするためだ。

まさかこういう時代が来るとはなあ。

ディストピア的な近未来予想だと、「犯罪が凶悪化して、窓口は防犯のために鉄格子やアクリルパネルで仕切られる」という発想はあり得る。しかしまさか、「感染症対策のためにビニールシート」とは。

コロナが大流行してわずか数ヶ月の時点でこれだ。あくまでも、既存施設の暫定対処としてこういう対策なわけだけど、いずれ新規ホテル建設の際には、完全無人化を視野に入れた作りになっていくのだろう。既存のオペレーションの延長線上でものごとをすすめようとすると、どうしてもいろいろな不都合や我慢が出来てしまうから。

フロントの向かいには、コーヒーディスペンサーが置いてあった。宿泊者向けのサービスだが、こういうのがあるとスゲーお得に感じるのはなんでだろう?「おおすごいすごい」と喜んでしまう。

でも僕らは、自宅から水筒に詰めてきたコーヒーがまだたくさん残っているので、利用しそびれた。今日はずっと自転車を漕いでいたので、コーヒーを飲みそびれていたからだ。これからの季節、熱いコーヒーを保温性に優れた水筒に詰めるのはアカンな。

なお、僕ら夫婦は、一週間に一度1kgの珈琲生豆を二人がかりでハンドピックし、自家焙煎している。自家焙煎を始めたよ!という記事は以前書いたことがあるが、

当時はガスコンロで焙煎していたけど、今は焙煎機を使った電気焙煎を行っている。記事にしそびれたけど。電気焙煎なら横着できるだろうって?いや、分刻みで温度設定を変え、豆がハゼる音と色づきを確認するのでこれも結構たいへんだ。全自動、というわけにはいかないのが珈琲焙煎。

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暇人でもないのに、最近の僕は「当たり前の日常を送るための、所要時間」がどんどん増えていっている。米は自家製米で土鍋炊きだし、魚は自分でさばくし、野菜をリビングで水耕栽培しているし。「余暇を楽しみすぎて、疲労で倒れる」なんてことがあったら間抜けだ。

エレベーターホールに掲げていた「笑顔を守ります」というポスターが印象的だった。「お客様の安心」と「私達の安心」の2つの観点で書かれいてるのがとてもいい。ここで言う「私達」というのは、ドーミーインのスタッフさんたちのことだ。

どっちか一方だけが安心、ということはありえないわけで、どちらも安心してこの商売が続けられることが大事だ。

ちなみに、書かれていることは

お客様の安心
空間除菌、換気、消毒、ご当地一品料理、味めぐり小鉢横丁、朝の彩り御膳、脱衣所ロッカーの市松使い、Sauna 5 Roules

私達の安心
空間除菌、換気、消毒、毎朝の検温・体調管理報告、マスク着用、フロントデスクシールド&キープディスタンスライン、手指用

「空間除菌」なるものにどれほどの医学的なエビデンスがあるのか疑問だけど、それ以外は慎重に対策していることがわかる。

ドーミーインの朝食はビュッフェ形式が普通なのだけど、コロナの影響でビュッフェを中止した、ということは予め聞いている。そのかわり、小鉢をあれこれ用意して、好きな料理の小鉢を取っていくスタイルに変わったそうだ。今回ドーミーインの宿泊は、その「新時代のビュッフェのあり方」を実際に体験してみたい、という目的もある。楽しみだ。

(つづく)

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