羊肉の会#01 モンゴロイドがモンゴル料理を食べるナイト

「 激辛グルメ祭り」やバーベキュー企画のときに参加してくれる、「のっちょ」さんから「羊肉を食べる企画を立ち上げませんか」とLINEで打診があった。聞くと、今まさに羊肉がマイブームなのだという。あれこれ食べたいと熱く語ってらっしゃる。

もちろん僕もその意見には賛成だ。「しょうがないなあ、ひと肌脱いでオフ会を企画するか」なんて消極的な気持ちはこれっぽっちもなく、二つ返事で「やる」という答えになった。さすがのっちょさん、我が意を得たり!だとさえ思った。だてに付き合いが長くないぜ。

「シリーズ物」のオフ会は、これまで「激辛グルメ駅伝」「スパイシーナイツ」「麦酒飲み人種行動観察」などあった。主に辛いものを食べる目的で世界各国料理を食べるオフ会「スパイシーナイツ」は最近ご無沙汰だ。というのも、「激辛グルメ祭り」全店舗を食べ尽くすオフ「激辛グルメ駅伝」が毎年夏の定番になったからだ。

羊肉料理を出すお店、というのはエスニック系だったりエキゾチックな国のものが多い。「羊肉」といういキーワードでオフ会を定期開催すれば、いろいろな珍しい国の料理と文化に出あうことができそうだ。

この手のお店は、一人で押しかけても多勢に無勢だ。「わあ、あれも食べたい、これも気になる。えっ、何この見慣れないメニューは!」とメニューを見て興奮しても、胃袋とお財布は有限だ。そして摂取カロリーは無限大だ。嗜みある大人として、しこたま食べることはできない。だからこそ、こっちも頭数を揃えておく必要がある。

「羊肉」というテーマ性で人を集めるなら、オフ会は適している。これを「職場の同僚」だとか「地元のダチ」とかで開催したって、羊肉愛好度合いは人それぞれだ。「次は牛肉で焼き肉が食べたい」とか「豚しゃぶに行こうよ」と軸足がブレるのは時間の問題だ。それは困る。だからこそ、「羊肉を今、NOWに食べたいやつは誰でもいいからかかってこいや!」と言えるオフ会が向いている。

オフ会名を「主に羊、あるいは民族料理と」というタイトルにしたのは、羊肉ネタがなくても、珍しい国の料理であればそのお店に行きたいね、という希望を表現したからだ。

やるからには、定期的なイベントにしたい。不定期にすると、「忙しいから」とか「なんとなく気が乗らなくて」とモタモタしているうちに幽霊イベントになってしまうに決まっている。そして、参加希望の日程調整をしていると、日程調整がうまくいかずにズルズルと開催日が後ろにずれる。

だから、「毎月第三週目に開催」というルールを設定してみた。この範囲内で人が集まるなら開催するし、開催しないなら延期だ。すっぱりして潔い。

そんなわけで、第一回目はこの企画のファウンダーであるのっちょさんからお店の提案をいただき、そこに行ってみることになった。場所は、巣鴨と大塚の間くらいにある、「シリンゴル」というモンゴル料理店だ。

いきなり「モンゴル料理」のお店がターゲットになる、というのが面白い。そうか、そうきたか、とのっちょさんから提案を受けた時は唸った。

というのも、僕はいつも「辛い料理のお店」探しばっかりやってきたからだ。タイ、インド、四川、韓国・・・という国名はよく目にするけれど、「モンゴル」は全くノーマークだった。こりゃ面白そうだ。

モンゴル料理店、というのには行ったことがない。これはおそらく大多数の日本人がそうだろう。モンゴルといえば「お相撲さん」のイメージばっかりで、じゃあモンゴル料理はどうなってるの、というのは詳しくないものだ。

僕は東京外語大学の大学祭「外語祭」で毎回モンゴル料理を食べているので少しは馴染みがあるのだが、「料理に塩味をつけているだけの、素朴な料理」という印象だ。今回も、羊肉の塊に塩をかけて食べるシンプルな料理とか、馬乳酒とか、そういうのが中心になるのかな?と予想している。

いずれにせよ、楽しみだ。

2019年07月10日

シリンゴル

駅から10分以上歩き、周囲が住宅街になって薄暗くなる。「本当にこんなところにお店が?」と心細くなるところにあるのが、シリンゴル。

この日の参加者は、 のっちょさん、ゆうどんさん、ばばろあ、イシさん、おかでん の5名。

このサイトの読者数とページビューは右肩下がりが止まらず、「時代は完全にSNS、ブログを見るにしてもスマホでながら見ができる短文が主流」というのを実感してやまない日々だ。昔から、「親兄弟しか読者がいない、サーバ容量とネット帯域の無駄遣いサイト」を自称していたけど、いよいよ親兄弟も見放して、ブツブツと独り言を言っているだけのサイトになってきた。

その割には5名も集まって、驚きだ。まあ、全員知ってる人なんだけど。ばばろあはご存知・アワレみ隊の一人。ちょうどこの時期、東京に長期出張中だったので参加できた。そして今回唯一の女性・イシさんはオフ会初登場。

旅行記が全然書けていないので時系列順に登場人物初出を紹介できないのだけど、イシさんは新潟・上越市の農家民宿「うしだ屋」にのっとれ!松代城メンバーと一緒に合鴨農法を見に行く旅行に参加したりしている。初めての方ではない。今回は紅一点。

シリンゴル卓上

決して広くないお店なので、予約は必須だと思う。今回5名で予約を入れていたら、入り口すぐの大テーブルに通してもらった。

客の回転はゆったりなので、飛び込みでお店にやってきて、満席だから外で待ちます・・・というのはちょっと難しいかもしれない。

積み上げられた食器

すでにテーブルにセットされたお皿やグラス。積み上がっているのはちょっとめずらしいので、思わず写真を撮った。

スーホの白い馬

壁には絵本「スーホの白い馬」が飾ってあった。

「ああ!懐かしい!そういえばこれ、子どもの頃読んだなあ!」

と思わず大きな声を出してしまったが、話の内容は一切覚えていない。えっと、なんだっけ。大事に飼っていた白い馬がお殿様に気に入られ、理不尽に召し上げられてしまったので奪還プロジェクトを立ち上げる、みたいな話だったっけ?いや、「お殿様」っていう時点でモンゴルじゃないし。いかんな、全然わからない。

シリンゴルメニュー

メニューを見て、びびる。

全く読めない。遠目で見ると五線譜みたいなので、「何かの楽譜なのかな?」と思って近くで見ると、多分モンゴル語だった。

これを見て注文してください、って言われたらもう笑っちゃうしかない。むしろ楽しくなってくるけど、さすがにそれはない。

そもそもモンゴル語は左から右に向けて読むのか、右から左に向けて読むのかがわからないのだけれど、どうやら日本語や英語と同じで左から右、らしい。メニューの一番右下に、「yy!!」と書いてある。これはなんだろう。「グッジョブ!」みたいなものだろうか。いやメニューでそれはないか。

シリンゴルメニュー

シリンゴルの日本語メニューを発見してほっとする。表紙は、弓を持った少女が描かれている。背中を描いた絵で、構図として楽しい。

コース料理は3種類あるようだ。おまかせコース4,000円、Aコース3,000円、Bコース4,000円。

お店のおすすめ料理が組み込まれていたり、お得になっているのだとは思う。しかし、せっかく未体験ゾーンの料理を楽しむんだから、お店任せの料理選びはしたくない。メニューを手に、「何を頼もう?」とウンウン唸っている時間こそが至極。これが一番のごちそうだと僕らは信じている。実際に食べるのは、メニュー検討時点の推測や妄想、希望の答え合わせ時間に過ぎない。

シリンゴルメニュー

「これはすごい!」

思わず興奮した声を上げてしまう。だって、メニューの一発目に出てくるのが「ハロントガ」だぜ?なんだよその料理名。見たことも聞いたこともない。そしてその次が「チャンサンマハ」だ。ちゃんと解説文がついているので迷うことはないのだけど、この謎の文字列にワクワク・ソワソワしないわけがない。

というか、注文するときに店員さんにこの文字列を発したい。まるでRPGゲームの呪文を唱えるがごとく。

シリンゴルメニュー

こうなってくると、「何を食べたいか」ではなく、「何のメニューを発音したいか」「噛まずにちゃんと発音してオーダーできるか」みたいな方に興味が移っていく。このいびつな展開が、また楽しい。みんな、「まじかよこんな料理名があるぜ」なんて言いながら、ページをめくる。

ソンゲンテマハンホーラッグ、とかウンデゲテトマトイーンホーラッグ、なんて何度でも言いたい!!!

「ホーラッグ」という名前がメニューに出てくるのだけど、「ホー」は羊肉じゃないか説。法則性はどうなっているのだろう。

江戸時代、船が漂流してアメリカ船に救助されたジョン万次郎なんてのは、こういうことを延々繰り返しながら英語を身に着けたのだろうな。

シリンゴルメニュー

完全に日本語化しているメニューもある。「ミックスポークソーセージ」のように、英語名のものもある。何が何でも現地名にするのは無理があったらしい。

シリンゴルメニュー

ドリンクメニューを見ると、さすがモンゴル料理店だけある、ビールが先頭に記載されていない。トップバッターを飾るのは、チンギスハンウォッカだ。モンゴルはロシアと隣接していることもあり、ウォッカが飲まれているのだけど、それをちゃんとここでも再現。

よく考えると、ビールなんて贅沢な飲み物だ。大して度数が高くない水っぽい酒で、ガブガブ飲まないと酔わない。物流がしっかりしていないと、飲むのは大変だ。遊牧民にとっては無縁の飲み物だろう。それよりも、少量でガッツリ酔えるウォッカのようなお酒の方が現実的に好まれるだろう。

他にも、中国のお酒である白酒なども置いてあった。コーリャンで作った蒸留酒で、これもきっつい奴だ。今日はお酒が飲める人たちは酔っ払うこと必至だ。

以前、職場の仕事おさめの時に毎回、マオタイ酒を持ち込む先輩がいた。これは度数が50度以上ある蒸留酒で、コーリャンの匂いがきついやらアルコールがきついやら、えらく飲むのに難儀したものだ。でも先輩からの指示で、若手男性社員がぐいっと飲む、というのが定番だった。何しろ、紙コップに入れてしばらく放置しておくと、紙コップが溶けるくらいのアルコールだ。早く飲め、とせかされたものだ。

紙コップが溶けるアルコール、というのは恐ろしい話だけど、丸めたコップを接着している「のりしろ」部分から崩壊していくのだった。接着剤が強いアルコールで溶かされてしまうのだろう。

そんなわけで、僕の20歳代半ばころは、仕事納めの日=職場のトイレから出てこられなくなって、目が冷めたら翌日だったとかタクシー帰りになった、とかそういう思い出しかない。

シリンゴルメニュー

話がずれた。

壁にもメニューが掲げられていて、これがまた魅力的なんだわ。

「羊内蔵スープ」なんて最高じゃないか。他でこんな料理、見たことがないぞ。あと、羊肉麻婆豆腐も、味の想像はつくものの想像すらしたことがない珍しい料理でぜひ食べたい。さらには「チーズ入り羊肉シャルビン」というのも地味に名前がいい。思わずブツブツと連呼してしまったくらい、なんか語呂が楽しい。全部頼もうぜ、ひとまず。

5人いるんだからなんとかなるだろう。きっと。たぶん。

岩塩

テーブル上には、石が置いてあった。

水晶みたいなもので、何かこれがパワーを持ってるとか呪術的な意味があるとか、そういうのかと思って様子を見ていたが、大根おろしみたいなのが添えられているのに気がついた。ああこれ、ひょっとして岩塩なのか。

岩塩を大根おろしですりおろして使うんだな。へえー。これもまた面白い。

(つづく)

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