広島、ふるさとの味は今も【広島ミニ食べ歩き】

カプセルルーム

今晩のねぐら、ホテルニュージャパンのカプセルルーム。

二階建てのカプセルがずらっと並ぶ。まるでサーバルームを見ているようだ。しかし、サーバルームは空冷ファンのうなりがかなりの騒音になっているけど、この部屋は至って静かだ。夜が更ければ、誰かのいびきが響き渡るのだろうけど。

こんな光景を見て、「人間が寝泊まりするには、尊厳が足りない。まるでモノ扱いだ」と眉をしかめる人もいるだろう。その考えは正しいと思う。でも僕は、これを見て年甲斐もなくワクワクしてしまう方だ。お得な性格だ。

こんなのを作ってしまったら、シングルルームとかツインルームとか、普通のホテルの部屋を作る気力が失せるよな、経営者。見よ、この大胆な人口密度を。人の上に人が寝る。人のすぐ横に人が寝る。なんという効率の良さだ。

いずれ、「立ったまま寝ることができるカプセルホテル」なんてのが出てきて、より一層効率が良くなるかもしれない・・・と思わず夢想したけど、さすがに立って寝るのはイヤだな。

最近ではネットカフェで仮眠をとる、というやり方が一番廉価に一晩を過ごす方法だ。でも僕はそこまでお金をケチりたいと思っているわけではなく、僕なりの「ここまでなら許せる」範囲の最果てがこのカプセルホテル、ということになる。

カプセルの中

カプセルの内部。至ってシンプル。

ホテルの部屋と違って、湯沸かしポットだのズボンプレッサーだの、そういう装備が一切ない。そりゃあ一泊の料金が安くなるよな、とあらためて思う。なにしろ、朝ご飯付きで3,500円だぞ。

とはいえ、掃除はそれなりに大変だと思う。何しろ狭いカプセルに潜って、腰をかがめながらの作業だ。やることは少ないとはいえ、カプセル数が多いし、上の段はハシゴを登らないといけない。登ったり降りたりが大変だ。

ちなみにカプセルは、下の段から埋まっていくようだった。今回は、うかうかしている間に下段の予約が全て埋まってしまい、しぶしぶ上の段にしたくらいだ。

子供に「二段ベッドの上と下、どっちがいい?」と聞いたら、大半が「上の段!」と答えるはずだ。しかし、さすがカプセルホテルに泊まるのは大人だけあって、わざわざハシゴをよじ登らないといけない上の段は敬遠される。

装備

カプセルの中。

装備は年期を感じさせるものだ。何年前のものだろうか?

カプセルはそうそう老朽化しないだろうから、一度設置すればかなり長持ちしそうだ。

・・・と思ったら、目覚まし時計が置いてあった。どうやら、壁面の操作盤を使って目覚ましを鳴らすことはできないらしい。

なにしろ、ラジオのチューナーが「つまみを回しながら周波数をあわせる」タイプのものだし、そもそもヘッドフォン端子が見当たらない。周囲のカプセルを気にしながら、音量を絞りつつ聴いてくれ、ということなのだろうか。

さすがにそれはうるさいだろうから、どこかにヘッドフォン端子はあるのかもしれない。でも僕はホテル泊の際、ラジオもテレビも一切見ないようにしている主義なので、確認する機会はなかった。

人によっては、ホテルの部屋に入るやいなやすぐテレビをつけ、朝起きたらすぐまたテレビをつけるという人がいる。普段からそういう習慣なのだろう。僕はむしろ逆で、せっかくの非日常空間なのだからと、できるだけテレビは見ないようにしている。

そのくせ、一人旅のときはパソコンを持ち込んで、このサイト向けの記事を書いていたりするので、主義がまたく一貫してないのだけれど。

寝転がってみる

寝床から足下をみたところ。

この狭さ。何かの罰ゲームか、という幅と高さしかないプライベートスペース。むしろこういう不自由さは、ワクワクさせられる。毎日ここで過ごせ、と言われるとイヤだけど、どうせ寝るときだけしかここにはいない。それ以外の時間は大浴場でクタクタになるまで湯けむり旅情なのだし、全く問題はない。

正面に、すでにロールカーテンが閉まっているカプセルが見える。あの中に、見たこともないおっさんが寝ていると思うと、ゾクゾクするよな。ここからボールか何かを投げつけたら、中から「イテッ」という声がするだろう。そんな至近距離に、無防備な人がゴロゴロいるという現実。

天井の一部がもっこりとせり出していて、そこにテレビが埋め込まれている。サイズ感からいったら、アナログのブラウン管テレビっぽい。そういえば、縦横比がこのサイズのテレビを見るのは、ずいぶんと久しぶりだ。

壁には、テレビのチャンネル一覧が記されているが、アナログ時代のチャンネル番号を、あとからマジックの手書きでデジタル放送用に書き換えてある。悪く言えば古い、よく言えば物持ちがとても良い。どうせ僕はテレビを見ないので、どっちでもいい。

おっと、一般的なテレビチャンネルの中に、「アダルト映画VTR」というのも混じっているぞ。気がつかなかった。後日、この写真を見て気がついた。

ビジネスホテルでは、アダルトコンテンツは「1,000円のペイチャンネル用カードを購入してから見てね」となっていることが多いけど、ここは無料で見られるっぽい。さすが男性専用施設だけある。

しかし、こんな狭い空間で、すぐ隣の人がアダルト映像を見て発奮していらっしゃったりすると思うと、気持ちがいいものではないな。何しろ壁一枚で隔てられているだけで、壁がなけりゃ、隣のカプセルの人と肩を組むことができるほどの距離感だ。

ロールカーテンのセンサー

カプセルの出入り口にはロールカーテンが設置されているのだが、そこに何やらセンサーらしきものが取り付けられていた。IoT・・・と呼ぶにはちょっと無理があるっぽいが、何だろうこれは。

ロールカーテンが開いているか閉じているかをこれで検知し、フロントで一括管理しているのだろうか。ロールカーテンが開いている=お客さんはすでにいない=それっ、掃除だ! というためのもの??

岩盤浴もある

身支度を調え、早速5階にある大浴場に向かう。やっぱり旅の醍醐味は大浴場だよな。大浴場がない宿には泊まりたくない、と言い切れるんじゃないか?というくらい、僕にとってはマストアイテムになっている気がする。

マッサージを受ける人は、別途料金がかかる岩盤浴が無料で使えるという特典があるので、ますますウッキウキだ。岩盤浴、なかなか体験できないので楽しみで仕方がない。

なんだかなぁ、わざわざ広島に来て何をやってるんだ、僕は。

この建物は不思議な作りになっていて、大浴場には仕切りが無かった。仕切り、というのは、エレベーターや階段との間に、だ。エレベーターを降りたら、すぐ目の前に風呂場がある。これにはびっくりした。床に段差すらなく、エレベーターや階段でこのフロアにやってきたら、すぐ風呂場だ。1フロアまるごと、風呂場。

エレベーターが湿気で錆びるんじゃないか?と心配になる作り。なんて大胆なんだ。

だからその気になれば、丸裸でエレベーターでこのフロアにやってきて、そのままダッシュして風呂にダイブしたっていい。いや、本当にやっちゃ駄目だけど。間仕切りがないので、そんな芸当が可能。

ここには、「日本一最強のジェットバス」があった。さすが男性専用施設だけあって、こういう荒々しいサービスを容赦なく提供してくれるところが、うれしい。もちろんその「最強」を楽しませてもらった。

最強だから体が吹きとばされるかと思ったらそういうことはなく、大量の水流と気泡で体が浮き上がってしまう。なので、何かシートベルトのようなもので体をガチガチに固定し、勢いが背中や腰から逃げないようにしないと効果は薄いと思った。でも、そんなことをやったら、体が弱い高齢者などは身体を痛めてしまうかもしれない。危ないのでやっちゃ駄目だ。

レストランのご案内

風呂に入ったあと、引き続きウッキウキでマッサージを受けに行く。「星虎」直伝のマッサージとやらを身体にねじ込んでもらおう。

驚いたのは、まず最初に仰向けに寝かされ(普通、マッサージはうつぶせから始まる)、「目薬、いいですか?」と言われたことだ。一瞬、何を言っているのか理解できずに困惑した。メグスリ?・・・目薬!?なんでマッサージに目薬なんだよ。

とっさに「いえ、結構です」と答えたけど、数秒間をおいて、「いや、やっぱりお願いします」と訂正した。なんだかよくわからないけど、ここの流儀に従ってみよう。

すると、すーっとする系の目薬をちょこんちょこん、と目に差してくれた。サービスの一環らしい。珍しい。

そして今度は、「冷たいタオルいいですか?」と聞かれた。なんだそれは。すると、おでこに冷えたタオルをあてがってくれた。これもまた見たことがないサービス。面白いな、ここ。

マッサージは、なかなか良かった。さすが男性専用施設のマッサージ屋だけある。力強くぐいぐいと揉まれ、大満足だった。

マッサージ後に、6階のレストランで使える1ドリンク券をもらった。お酒が飲める人なら、風呂上がり・マッサージ終わりのビールなんて最高だろう。

ワルン

大浴場の上、最上階にあるレストラン「ワルン」。明日の朝ご飯もここで食べることになる。

カウンター席と、お座敷席少々。

野菜ジュースとノンアルコールビール

0:18
マッサージで貰ったドリンクチケットで選べる飲み物は数種類。手頃なものがなかったので、野菜ジュースを貰うことにした。

んー。

日付も変わった深夜0時過ぎ、野菜ジュースをちびちび飲む、というのは若干冴えない気分がする。

えーい、せっかくだからノンアルコールビールも頼んでしまえ。

今日何度目だろう、ノンアルコールビールを飲むのは。えーと、3度目か。よく飲むなあ。

そこまでうまいもんでもないんだけど、独特のきめ細かい泡の感じは、他のジュースでは再現できないんだよな。炭酸ジュースだと、泡が大きくてプチプチして痛い。その点ノンアルコールビールは、もっと細かい泡で、汗をかいたあとにはちょうどいい。

メニューを見る

ただ、酔いもしないノンアルコールビールを飲んでいると、間がもたないのも事実だ。ええと、何か頼む?今日はさんざん食事をしてきたけど。

・・・

「ノンアルコールビールにあうおつまみ」って何だよ。酔うために飲んでいるわけじゃないので、手頃な食べ物が思いつかない。「カキフライ」とか頼む気にはならないし、「のり」や「梅干し」というシンプルすぎる一品を頼むのも違う。野菜炒め?やめとけ、あとは寝るだけだ、今更食べてどうする。

つけ麺を頼んじゃった

あー。

結局頼んでしまったのが、これ。

「元祖広島つけめん」。

するするッと食べられるからいいよね、と頼んだけど、ちょっとお前そこに立て。歯を食いしばれ。

ラー油がテラテラと浮いているつゆ、蛋白質満載の麺、深夜に何を食べてるんだ。食べやすいかどうかはこの際どうでもよくって、今日一体どれだけのカロリーを摂取したのやら。これから先一か月間は、体重計に乗るのはやめよう。乗るだけ無駄だ。

広島といえばお好み焼きが対外的にメジャーな食べ物だけど、「激辛のつけ麺」というのもなにげに名物だったりする。

つけ麺といっても、東京界隈で出てくる「濃い魚介系つけ汁に、極太の麺」というものではない。大抵茹でキャベツ、時にはキュウリが添えられていて、つゆはラー油や唐辛子が多用されていて酸味がありつつ辛い。お店によってはオーダー時点で辛さの調整が可能。広島つけ麺の元祖である「新華園」では「冷麺」という呼び方をしている。

名物、といってもこれが食べられるお店は限られている。また、どこで食べても美味しい、というものではなく、当たり外れが結構大きい料理だと思う。さらには、お店によっては一見さんが困惑するお作法がある場合もあるので、観光客にとってはちょっと敷居が高いかもしれない。もし観光ついでにこの広島つけ麺を食べようと思うのなら、事前に情報収集をしておいた方が良いと思う。

翌朝のメニューを確認

このレストラン、週末は24時間営業だという。さすが繁華街のカプセルホテル。そして、朝ご飯は朝6時から11時までやっている、というのも「さすが」だ。11時!そんな遅い時間まで朝ご飯をやっっているホテルはなかなかない。

モーニングは洋食と和食、どちらかをチョイスすることになっている。見ると、洋食は556円、和食は602円になっている。値段が結構違う。和食の方はサバの塩焼きらしい。

明日の僕は、11時から「肉のますゐ」で久々の「ますゐ詣で」を行う。がっつり洋食なので、せめて朝ご飯は和食にしておかなくては。あと、11時までモーニングが食べられるからといって、そんなギリギリの遅い時間に朝ご飯を食べたら、ますゐが食べられなくなる。朝寝をしていないで、ちゃんと起きて早めにご飯を食べてしまわないと。

・・・いっそのこと、朝飯抜きでも良かったんだけどなぁ。でも、旅行予約サイトで「素泊まり」って文字を見ると、なんだかすごく残念な気分になるんだよな。「朝食付き」とか「二食付き」って書いてあるほうをついつい、選んでしまう。

深夜1時過ぎ、就寝。

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