広島、ふるさとの味は今も【広島ミニ食べ歩き】

食品サンプルは健在

11:03
メンバーが揃ったところで、入店する。合計6名。うち2名は遅れて合流する予定なので、とりあえず今のところは4名。全員、男。というか、昔からの顔なじみだ。

今回、「ますゐ詣で」をやる、ということで、このサイトで「オフ会」として募集をかけた経緯があるが、途中でそれを引っ込めた。参加表明してくださった方、参加を検討してくださっていた方にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。

というのも、「ますゐ詣で」というキーワードで、僕は10年以上前の「全メニュー制覇」時代を脊髄反射で連想したからだ。

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このときは、メニューを少しでも「制覇」するために、できるだけ多くの人に参加してもらいたかった。なので、アワレみ隊をはじめとする広島内外の友人だけでなく、オフ会として広く参加者を募っていた。

しかし時は流れ全メニュー制覇後の今回は、旧友との語らいの場としての会だった。何しろ僕自身が広島凱旋数年ぶりだ。クッソ久しぶりの仲間がいるわけで、そういう人との「よう、最近どう?」という会話は、オフ会にそぐわなかった。

だいたい、「アワレみ隊」の一員であるしうめえ(広島在住)でさえ、会うのは5年ぶりだか6年ぶりだか・・・という有様だ。

「ああそうか、広島でオフ会を開催できていたのは、僕が頻繁に広島に帰っていたからこそなんだな」

と今更気がついた。頻繁でなかったとしても、「広島一泊」程度ならば、旧友と私的に会う方が優先されてしまい、オフ会を開催するというのは難しいかもしれない。

ただ、「広島でオフ会を開いて欲しい」という声はちらほら聞こえているので、いずれ何かの形でワーッとやってみたいものだ。昔はこのサイトには「2ちゃんねる」風の掲示板があって、そういう声を束ねやすかったのだけど今はそういう仕組みがない。さてどうしようか。

話を戻す。

ますゐの店先に立つと、思わず笑みがこぼれてしまう。いやあ、変わってない。赤い看板の色使いからして、昭和テイストだ。並ぶ料理サンプルも、昭和的風貌だ。

7月にもこのお店を訪問しているばばろあが言う。

「さすがに結構値段はあがっとるで」

それは仕方がないだろう。これまでが安すぎたんだ。我々が全メニュー制覇をしていた21世紀初頭だって、「あれっ、このメニュー・・・値段が上がったよね」というのが頻繁にあった。

でも、このお店の看板メニューである「サービストンカツ」は相変わらずライス付きで350円だという。このメニューだけは一生懸命値段が上がらないようにこらえているらしい。無理しなくてもいいのに、と客として心配になる。「ワンコインですよ」として500円に一気に値上げしたって、誰も文句は言わないと思う。350円って、吉野家の牛丼並よりも安いんだから(2017年11月時点=420円)。

2階席

中に入って1階席を見渡す。6人程度が座れる小上がりの席はまだ空きがあったけど、「6人なんで・・・2階ですかね?」と店員さんに確認を取り、2階に上がる。慣れたもんだ。

こういうやりとりを久しぶりにやる自分自身に、なんだか照れる。時計の針が逆戻りした気分だ。

二階に上がってみると、そこは相変わらずのレトロな店構えが残っていた。正面の帳場、黒光りするソファ、赤い絨毯。そして左右に広がる、大小様々なお座敷。あっちこっちのお座敷でこれまで宴会をやってきたものだ。ひょっとしたら全部のお座敷を使ったことがあるかもしれない。

さすがに僕が当時知っている店員さんは誰も残っちゃいないだろう、と思っていた。人が入れ替わるには十分すぎる期間、僕はこのお店から遠のいていたのだから。しかし、見覚えのある顔もまだいらっしゃって、「ああ、伝統と格式はまだ健在だ」と密かに微笑んでしまった。

もちろん店員さんは僕の顔なんて覚えていないだろうから、何食わぬ顔をして客席に通してもらう。昔は、半年に一度の「ますゐ詣で」にもかかわらず、「あら、またこの人達やってきたわ」という顔で出迎えてもらっていたものだが。

短冊メニュー

相変わらずだなあ・・・。と思う一方で、変わっているものもある。油断ならない。

これまでの経験で特に油断ならないのが、2階上がってすぐのところにある下駄箱上に張ってある短冊メニューだ。これは、お座敷内に置いてあるメニューには書かれておらず、お座敷の壁にも貼っておらず、見落としてしまう。しっかり確認しておかないと。

ええ!メンチカツカレー!?

ますゐにはメンチカツなんて概念は無かったはずだ。いや、あったっけ?・・・あまりに昔のことなので、記憶がかなり曖昧だ。

「メンチカツなんてあったっけ?」

隣にいたばばろあに聞く。

「いや、無かったとおもうで。でもハンバーグはあったけえ、メンチカツがあってもおかしくはないけどな」

うーむ。なにげにメニューが増えているのか。しかもカレーの上に乗っけるとは大胆な。

「鶏ももステーキ」というのもあったような無かったような。というか多分、昔は無かったと思う。しまった、予習と復習が足りなかった。一体何が未体験料理なのか、さっぱりわからない。多分これも、昔は無かったメニューだと思う。

こういうメニューを見て、ああ懐かしいな、と思う。

というのも、全メニュー制覇の時、「さあ次回こそ全メニュー制覇だ!」と思っていたら、まだ見ぬ料理がしれっと新登場していたからだ。それがまさにこれ。数年ぶりだもんな、そりゃあメニューだって増えるし、変わる。

「いちご(アイス入) 5個400円」

だなんて、昔じゃ考えられなかった。いよいよデザートまで扱うようになったのか、ますゐは。昔はデザートなんて無かった・・・よな?いかん、記憶が曖昧だ。

メニュー2017年11月表

変わったことといえば、従来は卓上にラミネート加工されておいてある「御献立」が、紙になって店頭配布されていたということだ。これなら、家に持ち帰って自由に吟味ができる。アワレみ隊に続いて全メニューを考えている方は、是非ご活用ください。

さらに言うと、時代と共に値段やメニュー構成が変わっていくますゐの「記録」として、時系列に沿って保存していくと良い記念になると思う。

メニュー2017年11月裏

ぱっと見、昔と変わらないように見える「御献立」だが、値段以外にも結構違いがある。昔は別紙で用意されていた「一品料理」がグランドメニュー内に書かれているし、「モウモウ焼き」のような店内壁面短冊メニューだったものもメニューに明記されている。あと、容器代20円で持ち帰り可能、という記述も追加されている。

2017年11月時点のますゐグランドメニューを、記念を兼ねて全部書き出してみよう。このほかに「壁面短冊メニュー」が別にあるということはあらかじめご了承願いたい。

■牛肉料理■
スペシャルステーキ 5,500
Wステーキ 4,900
上ステーキ 2,600
サービスステーキ 1,950
上ビーフカツレツ 850
ビーフカツレツ 600
上タンシチュー 1,700
タンシチュー 1,500
上ハンバーグステーキ 850
ハンバーグステーキ 650
モウモウ焼(ライス 赤だし付) 980
ホルモン焼き 900

■サラダ料理■
グリーンサラダ 600
グリーンサラダ(ミニ) 300
野菜サラダ(フルーツのせ) 600
ハムサラダ 600
ポテトサラダ 300

■若鳥料理■
チキンチャップ 650
チキンカツレツ 650
とり足 580
手羽先 400
鶏モモステーキ 780

■ランチ■
特ランチ 880
(カツレツ・プレスハム・オムレツ・ハンバーグ・ライス)
上ランチ 830
(カツレツ・ロースハム・オムレツ・ライス)
並ランチ 730
(カツレツ・ハムエッグ・ライス)

■鶏卵料理■
ベーコンエッグ 490
ハムエッグ 490
オムレツ 490
フライエッグ(目玉焼き) 390

■豚肉料理■
鉄板焼
上ポークチャップ 1,050
ポークチャップ 750
特上トンカツ 1,050
豚ヒレカツ 950
上トンカツ 650

サービス
トンカツ(ライス付) 350
(ライス大盛 プラス¥30)

■ライス料理■
カレーライス 690
カツカレー 780
ハンバーグカレー 780
メンチカツカレー 830
ハヤシライス 690
チキンライス 690
オムライス 730
ハヤシオムライス 780
カレーオムライス 780
カツハヤシライス 780
焼きめし 690
ハムライス 690
スパゲッティー 690
ライス 150

■スープ■
牛煮込みスープ 1,350
牛煮込みスープ(ハーフ) 780

■寿き焼き料理■
1人前玉子付
特上ロース寿き焼き 3,100
特ロース寿き焼き 2,500
ロース寿き焼き 1,950
並寿き焼き 1,750
とり寿き焼き 1,450
阿波尾鶏寿き焼き 1,950
豚寿き焼き 1,450
かき寿き焼き(冬季限定) 時価

御飯(漬物付) 300
うどん玉 280
そば玉 280

■水煮■
とり水煮(1人前) 1,450
豚水煮(1人前) 1,450

■しゃぶしゃぶ■
牛しゃぶしゃぶ(1人前) 2,500
豚しゃぶしゃぶ(1人前) 1,450

■一品料理■
酢の物 480
枝豆(一皿) 400
冷奴 300
赤だし 150
ホワイトアスパラガス 380
ポテトフライ 380

■一品料理■
鴨の燻製 580
一口ギョウザ 450
海老フライ 1,300
海老天ぷら 1,500
肉ソテー 1,250
鶏の唐揚げ 730
鶏肉の天ぷら 950
白肉ソテー 950
白肉天ぷら 950
ホタテのフライ 600
ウィンナー 680
メンチカツ 700
かきフライ(冬季限定) 時価

※お持ち帰りに応じます(容器代別途¥20)
平成28年5月改訂

お座敷席

しばらく、みんなで「こんなメニューって昔からあったか?」という話をする。

「鴨の燻製って昔は無かったよな?」
「多分なかったとおもうで」
「おい!阿波尾鶏寿き焼きなんてのがある!これは確実に以前は無かった」

僕は本当に久しぶりのますゐだが、僕以外のメンバーは広島に実家があったり、そもそも広島在住者だ。

「いや、いくら広島に住んどるっていっても、そう頻繁にますゐには来とらんで?年に数回、あるかないか程度で」

しうめえも、はくちゃんもそう言う。ばばろあも含めて、全員「ますゐ全メニュー制覇プロジェクト」に関わっていた古参兵だ。というか、全員中学時代からの同級生だ。

しばらく御献立を見ていたが、頭が混乱してしまった。「懐かしさ」と「驚き」と「ええと、どうだったっけ?」が混在し、一体何を今日頼めば良いのかがさっぱりわからないからだ。

サービストンカツは当然頼まなくちゃいけない。しぶちょおの言葉を借りると、「ライスがわりにサービストンカツを頼む」というのがデフォルトだからだ。なにせ、ライスは150円、サービストンカツ(ライス付)が350円。ならば「白いメシを食べたいなら、サービストンカツを頼め」ということになる。

えーと、そうなるとあとはどうしようか。

見たことがあるようなないような、記憶が曖昧なメニューがいくつもある。もうアカン、この場で「全メニュー制覇2017」を再開するのは無理っぽい。食べたいものを食べる、という当たり前のことをやっていたら、とてもじゃないけど「まだ見ぬ強豪メニュー」に手が回らない。

あと、隠しようのない「みんな、昔ほどバンバン飲み食いしなくなった」という現実。そりゃあそうだ、もう誰一人として若くはない。となると、どうしても「そこそこ」の注文で妥協せざるを得ない。

とりあえず店員さんを呼び、注文をお願いする。

さすがに昔のように、「お前がそれを頼むなら俺はこれを頼む」といった意地の張り合いとか、「このジャンルのメニューを全部頼む」といったことはしない。できない。

・・・が、あれもこれも頼んでいるうちに注文量が増えてしまい、店員さんが戸惑ってしまった。あ、これはいかん。

「すいません、注文が多そうなので、紙とペンを持ってきてもらっていいですか?注文を書きますんで」

そういえば昔はこういう頼み方がデフォルトだったなー、と思わず笑ってしまう。10年以上も前のことを思い出してしまった。

店員さんから、「何ですかそれは?」と言われるかと思ったが、ちゃんと話は通じた。今も昔も、このお店はハンドヘルド端末のようなものは一切導入していない。

久々のますゐTシャツ

今回、「ますゐTシャツ」を家から持ってきていたので披露。2006年に限定23枚で製作したものだ。ばばろあ作画で、表にメニュー9品、裏にお店外観が描かれている。

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今更お店の人に見せびらかして、「ほら、あのときのおかでんでございますよ」とPRするつもりはない。そんなのはむしろ痛々しい。むしろ、ここまで愛したますゐから疎遠になっていたことを恥じ、おかでんという存在を消したいくらいだ。

とはいえこのTシャツ、こういう機会でもないと着ることがないというのも事実だ。今日着ないでいつ着るんだ?というわけで、フリースを脱いで、季節外れのTシャツ一枚で居直る。さあて、この格好で食うぞぉ。

「さすがに絵が色落ちしてるな」

とみんなから笑われる。そりゃそうだ、もう11年も前の服だ。何回か着用するうちに首回りが黄ばんできたので、何度かハイターを少量使って漂白洗濯したことがある。それでもまだ絵はしっかりと残っているし、首回りがデロンデロンに伸びているということもない。つくづく頑丈なTシャツを作ったものだ、と我ながら感心する。

ノンアルコールビールはアサヒ

「ノンアルコールビールなんて、昔はなかったのになあ」

としみじみつぶやきながら、「ドライゼロ」を手酌する。これもまた、時代の流れだ。

昔、このお店はキリンビールが主体だった。それがいつの間にか「スーパードライ」の生ビールを扱うようになり、「おっと、キリンの牙城が崩れた!」と思っていたのだが、ノンアルコールビールもアサヒだった。

ちなみに、このお店には角ハイボールのポスターが貼ってあった。サントリーも入り込み、群雄割拠の時代になっているらしい。

乾杯

久々のメンツと、久々の乾杯。

ばばろあは生ビールだ。

しかし驚くべきは料理が出てくるスピードの速さよ。乾杯の段階で、もう料理の一部が次々と運ばれてきていた。そうだった、忘れていた。このお店はめっちゃ提供が早いんだった。

「積もる話でもしながら」なんて余裕は、客に与えない。とりあえず料理を出すから食え、といわんばかりだ。

そのかわり、料理を食べつつのんびりと過ごすには最高のお店だ。このお店で、「そろそろ出て行ってくれ」なんて言われたためしがない(閉店時間がある夜の部は除く)。

料理が並ぶ

というわけで、なにやら茶色いものが並び始めた卓上。

そうだそうだ、どんどん食べてどんどんテーブルの上を片付けていかないと、置き場所に困るんだった。

4人とも、サービストンカツを頼んでいる。ばばろあが

「サービストンカツは『お通し』じゃけえ、当然頼むんで」

と言う。

ただしばばろあはオムライスが食べたかったので、「サービストンカツのライス無し」という見たことも聞いたこともない斬新な注文をしていた。それだったらもともとライスが付いていない「上トンカツ」の方が良いじゃないか・・・と思うかもしれないが、サービストンカツはサービストンカツなりの肉のうまさがあるのだから、他には替えられない。

あと、時代とともに全てのメニューが値上がっていく中、サービストンカツだけが取り残されている。全メニュー制覇を始めた2003年当時は、

  • サービストンカツ(ライス付) 350円
  • 上トンカツ 480円

という値付けになっていた。しかし2017年11月現在では、

  • サービストンカツ(ライス付) 350円
  • 上トンカツ 650円

になっていて、サービストンカツと値段の差が広がっているのだった。

ちなみに、「これを食べたらわし、もう死んでもいい」とまで言われたこのお店の最高メニュー、「スペシャルステーキ」だが、2003年は4,000円だった。それが今や5,500円。本来、サービストンカツもこれくらいの割合で値上げしていてもよいのだけど、ますゐは意地を張って値上げをしていない。

なのでこの記事を読んで「肉のますゐ」に行ってみようと思った方にお願い。サービストンカツだけを食べて終わりにしないでください。ライスもついているし、結構この単品でおなかは満たされると思う。でもそれだと、ますゐが単なる「炊き出しのボランティア」みたいになってしまう。せっかくなので、もう少し別のものも、セットで注文して欲しい。

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